ガンダムビルドダイバーズ リレーションシップ   作:二葉ベス

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酒だ。酒を飲め!

朔紗奈様の「可愛い子たちに会いに行く」から「チェリー・ラヴ」ちゃんを、
青いカンテラ様「サイド・ダイバーズメモリー」から「クオン」ちゃんを、
それぞれ許可を取った上でお借りしております。

※当話は本編終了後から半年経過しております。


EX6:可愛い子たちと飲みに行く

 時間というものは、気付けばあっという間に過ぎていく。

 それがいいことか悪いことか、と問われれば、わたしとしてはいいことであると選択する。

 何故か。見た目の年齢が実年齢と伴っていくから、っていうのがだいたい8割。最後の2割は大抵みんなこう言うことだろう。

 

「わたし、お酒飲んだことないのよね」

「エンリちゃんって下戸っぽいよね! あはは!!」

 

 さらっと失礼なことを言う目の前の彼女は、わたしと同じく相方が高校3年生で忙しいフレンその人だった。

 最近、ユーカリもムスビもとにかく忙しい。

 それもそう。ユーカリはわたしと同じ大学に行きたいと、受験勉強を始めた頃。

 同じくムスビは就職活動という、わたしですらやったことのない面倒なことを始めている。

 言ってしまえば、2人とも将来のことで頭がいっぱいでGBNにはログインしていない状態でもあった。

 フレンはELダイバー故に受験勉強や就職活動にほぼ無縁。こうして楽しんでいる彼女は恐らくケーキヴァイキングの中でも1番気楽者と言っていい。

 かくいうわたしだって、来年には就活を始めなきゃいけないし、それにユーカリと一緒に計画していることもある。そのためにアルバイトや親への根回しなど、様々やっていた。

 あのナツキとハルとか言う女ども、アルバイトしながらランカーやってるんだから意味が分からないことこの上ない。仕事でもGBNでもプライベートでも一緒なあいつらだからやれているところはあるのだろうけど。

 

「はぁ……」

 

 思い返しただけで糖度と湿度で吐き気がする。

 目の前でいちゃつくのはやめていただきたいのだけど。

 

 本題に戻ろう。結局わたしは20歳になってもお酒を飲んだことがない。

 正直、どれから行けばいいか分からないし、ビールは買っていたものの、その日の夜に何故か帰ってきていた兄さんに缶を開けられていた。

 義姉と妹によるお説教はしたものの、いまいち勇気というか、そういうものが湧いてこなかったのだ。

 お酒に対する興味というものはある。ただ飲むか? と言われたら機会がなければ飲まない。そんな状態だった。

 

「ため息なんかついちゃって! じゃー、マギーちゃんのとこに飲みに行く?」

「あんたと2人で? 嫌よ、介抱させるつもり?」

「まぁまぁ~! 今日はラヴちゃんとクオンちゃんも来てるだろうし!」

「……クオン、ねぇ」

 

 聞いたことがある、というよりも嫌でも耳にする名前というか。

 相手が100位圏内のダイバーであるなら尚更というやつだ。

 最近は昇格戦にも顔を出すようになったわたしだけど、あのクラスの敵は正直なに考えているのか分からない。訳わからなさすぎてあのナツキやセツも負けたって言っているのだから驚きだ。

 知り合いの知り合いであるちのやタイルが同等かそれ以上だというのだからそれにも驚愕を禁じ得ない。

 キメラめいた巨大MSの割に阿頼耶識システムを搭載した意外な反射性。まさに破壊の権化。怪物。とも言わしめる程度には有名だった。想像するならグレイズ・アインのそれだと言ってもいいだろう。要するに、やばい。

 

「いーじゃん! そのうちユーカリちゃんとも飲むんだろうから、よこー練習!」

「……はぁ。仕方がないわね」

「やりぃ!」

 

 さっきも言った通り機会酒でなければ、お酒は飲まない。

 だけど、今回はその絶好の機会だということにしておく。まさかあの後あんな事が起きるなんて、思ってもみなかったけど。

 

 ◇

 

「いらっしゃ~い! お二人様ごあんな~い!」

 

 フォース『アダムの林檎』のバーである『La Rencontre』はマギーが営んでいるお店でもある。初めてきた時からだいたい半年ぐらいは経ってるけれど、装いは特に変わっていない。強いていえばバーカウンターの奥にあるお酒の種類が変わったと言ってもいいだろう。ただ、その程度だ。

 

「フレンちゃーん! おひさー!」

「へーい! ラヴちゃんおひさー!」

「煩わしいわね……」

 

 パチーンとハイタッチし合う彼女たちも割と最近見ている光景の一つでもあった。

 相手はダイバーネーム:チェリー・ラヴ。小さい身体に大きな夢を胸に蓄えた美少女G-Tuberの1人。

 La Rencontreではだいたいいるような常連客のようでありながら、実際はリアルでは従業員として働いているという話を目の前の金髪ギャルから聞かされたことがある。

 曰く、リアルではおとなしいらしいけど、そんなの目の前にいる今のトランジスタグラマーの女を見て関係ないのだと一蹴できるぐらいには無縁な存在だ。

 

「もー、クーちゃん拗ねちゃって! マギーちゃん、クーちゃんにシャンディー・グフを1つ!」

「かしこまり~!」

「ちょっ! 何言ってるの?!」

「ほらほら~、おねーさんと一緒に酔っちゃいなよ~!」

「あなた酔わないでしょうが。それと、私の方が年上よ」

「あはは、そうだったそうだった!」

 

 なんとも騒がしいというか、バーこんなんでいいのか。と言う具合に紹介された席へと座り、メニューを確認する。……分からない。

 

「アタシはカシスオレンジにするけど、エンリちゃんどーする?」

「……おすすめある?」

「そっかー、分かんないよねー! このカルーアミルクってのはほぼコーヒーミルクって感じで飲みやすいよ!」

「じゃあそれにしようかしら」

 

 かくしてフレンとわたしはそれぞれカクテルを注文し、しばらくしてグラスに注がれたお酒が到着する。

 初めて飲むお酒がフレンと、というのは気に入らないもののカルーアミルクを一口含ませる。

 ん? 本当に美味しい。これ本当にお酒? ちょっとアルコールの風味を感じるものの、それ以外はまったくもってただのコーヒーミルクだ。ひょっとしたらお酒というものは本来このぐらいの難易度で、他のお酒もこういうのばかりなのだろうか。

 でも人間という生き物はたいてい安定にすがりつくもの。気付けばまたもやカルーアミルクを注文する。

 

「で、今日何話す~?」

「別にないわよ。強いていえば向こうの2人の話かしら」

「え?!」

 

 ちらりと目線を横に向けて、小さい身体でガバガバジョッキビールを飲み干す従業員と、少しずつ紅茶を飲む半人半竜の少女を見る。

 

「え、聞きたい?! 私とクーちゃんのか・ん・け・い・せ・い・!」

「言わんでいい!」

 

 軽く小突くようにチョップを繰り出すクオン。ははは、仲がいいことで。

 

「で、何が聞きたいのよ」

「結局言いたいんじゃーん! 草」

「そんなこと、ないわよ……」

 

 フレンが言った途端しおらしく枯れてしまって。色々と遠慮がないというのは素晴らしいことだ。わたしも、ユーカリとそんな仲になれるのかしらね。

 

「はい、カルーアミルク。それより私はエンリちゃんの事聞きたいなー! 最近破竹の勢いでランカー街道まっしぐらでおねーさんびっくりしちゃうもん!」

「意外と耳ざといのね」

「これでもバーで働いてたら色々耳にするんだよー。はいもう1杯!」

「ありがと」

 

 今思えば、クオンの話をそらしたのかもしれないし、この短時間でカルーアミルクを注文もしてないのに差し出してきたことに疑問を抱くべきだったと思うけれど、そんなのはどうでもいいのだ、重要なことではない。

 そう重要なことではないのだ。

 

「だからぁ! わたしももっとユーカリと仲良くしたいっていうか、イチャつきたいのよ本音はぁ!」

「分かる。分かるよー! アタシだってムスビちゃんとチュッチュしたいよぉー!」

「……うわ」

 

 カルーアミルクとは、飲みやすい代わりにそれ相応にアルコール度数が高い危険な飲み物である。

 フレンがこれを勧めたのは暗に面白そうだったからに他ならないものの、10杯近く飲んでベロベロになったのはわたしである。

 傍から見てたクオンとチェリーが少し冷静になってしまうほどには、泥酔状態だった。

 

「そもそもよ! あんのナツキとかいう女! わたしとのライバル関係があったくせにさらっと他の女のところに行って……。もっと申し訳ないと思わないのかしら」

「あ、あはは……。まぁそのぐらいにしておいて……」

「チェリー! もう1杯」

「あっ。はーい」

「チェリー、調子に乗ったツケよ」

 

 クオンも大人である。お酒の引き時というものを理解しているからこそ、冷静でいられたけれど、わたしはまだまだ若い。つまるところ、上限を知らないのだ。

 一気飲みに一気飲み。お互いにヒートアップしていく相方の愚痴をもはや止めるには酔い潰すしかないのである。

 

「わたしだってナツキみたいにユーカリともっとくっつきたいわよ。抱きしめてうなじ吸ったりおっぱいに顔をうずめたり」

「アハハウケるぅ~! アタシ超やってるし~!」

「はぁ?! あんた表出なさいよ! ちっさい身体を更に刻んであげるわ!」

「ざんね~ん! エンリちゃんの武器鈍器~!」

「爪があるわよ爪が!!」

 

 もはや衝突寸前の暴走列車。クオンもチェリーも、おおよそこう思っていることだろう。

 一見クールで凶暴で。『バードハンター』なんて異名を持つ畏怖の対象ともなっている彼女が、まさか酔ったらこんなにも本能に忠実な獣になるだなんて。

 

「……13杯。持った方ね」

「結構強いねー、エンリちゃんは」

 

 カルーアミルク13杯という記録を叩き出したわたしはそのまま眠りへ付く。

 同着2位のフレンはカシスオレンジをたった4杯でダウン。やっぱり弱いのね、あんた。

 薄れゆく意識とともに、強制ログアウト機能が働いたのか、その場から意識が離れていくことだけは鮮明に覚えていた。

 

 ◇

 

「……すみませんでした」

「いーのいーの! 私も調子に乗っちゃったから!」

 

 後日、マギーとチェリーに謝罪をしに行ったところ、あまりにもあっけなく事が済んでしまったので唖然としていた。

 

「でもリアルではちゃんとセーブするんだよ? でないと、お持ち帰りとかされちゃうかも~!」

「……それは、嫌ね」

 

 純血は誰でもないユーカリに渡したいので、そういういった飲み会は注意しなくてはならない。やっぱり、お酒って怖いわね。カルーアミルクは特に、ね。




カルーアミルク is 怖い


◇チェリー・ラヴ
(可愛い子たちに会いに行く:朔紗奈様作)
ちっさい。でかい。酒に強いの三拍子が揃ったトランジスタ酒飲みグラマー女子。
G-Tuberとしても有名であり、その体型に似合わぬコスプレをも着こなす。
クオンとはただならぬ関係であるが……?

◇クオン
(サイド・ダイバーズメモリー:青いカンテラ様作)
ごきげんよう亡者たち……。
終末を呼ぶ竜系G-Tuberであり、個人ランク100位圏内という実力を持った女子。
チェリー・ラヴには心を許しているように見えるが……?

◇シャンディー・グフ
シャンディー・ガフの青いやつ
本来はビールベースのカクテルではあるが、GBNではこれを青くしている。
故にシャンディー・グフ。
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