流に身を任せて   作:玄武 水滉

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なんだか繋ぎの話ばっかで全然進んでませんが、申し訳ないです。小南も全然出てきません。原作初登場までは出すのを渋ってましたが、もうそろそろ出てくると思います。


玉狛

 

 

 

 仮想敵が飛ばす弾を弾く。

 孤月の側面で往なし、じりじりと距離を詰める。

 今日は玉狛のトレーニングルームで特訓をしていた。というのも、いつものランク戦仲間は珍しく休みだらけ。有力候補の太刀川は遠征で不在。既に日課の素振りを終えた私は、宇佐美の協力の下鍛錬を行なっていた。

 飛んでくる弾を弾くだけの大したものでは無いのだが、空き時間があれば少しでも技術を研磨するべきだ。何せ、私には才能は無いのだから。

 

 そろそろ休憩するべきか。既に時計の針が二周している。

 宇佐美に終わる事を告げようとすると、彼女からの応答がない事に気が付いた。離席中だろうか。

 宇佐美もきっと忙しいのだろう。申し訳ない事をした。

 とりあえずトレーニングルームから出れば良いのか。自動でこれらは止まったりするのだろうか。分からない。

 いや、宇佐美が来るまで少しでもやるべきだ。うん、そうに違いない。

 

 

「ごめん! 今お客さんが来てて!」

「客人? 玉狛に来るのは珍しいな」

 

 暫くして戻ってきた宇佐美は慌てた様に謝ってくるが、気にしてないと返す。

 しかし、玉狛に客人とは珍しい。本部の者だろうか。それとも技術者だったりとか。

 客が来ているのであれば挨拶をしておくべきだろうか。いや、私にはきっと関係のない人達だろう。

 

「折角だから流さんも挨拶でも」

「そうか、分かった」

「それに長い付き合いになりそうだしねー」

 

 はて、長い付き合いとは。もしかして新たな玉狛支部の隊員候補だったりするのだろうか。いや、パワーバランス的に加入の線は低いか? ううむ、どうもこういった予測は得意ではないな。

 一先ず、会って挨拶するべきか。よし、そうとなれば直ぐに準備をしよう。

 

 

 

 ー

 

 

 

 

 トレーニングルームから出て、客間に向かえば、宇佐美の姿と、もう一人小さな影があった。

 きっと彼女が客人だろう。背後から見ただけでも分かる程の小さな体。益々何故玉狛支部に来たのかが分からない。

 

「あっ、流さん!」

「宇佐美、彼女が雨取千佳ちゃん。それで、あの背の高いイケメンが霜月流 17歳……17歳だよね?」

 

 失礼な……何故私だけ皆から『さん』付けなのだろうか。

 

「霜月流だ。よろしく、雨取」

「はいっ、よろしくお願いします」

 

 髪のまるっとした子だ。だが、想像以上に落ち着いていて大人しい。

 あまり戦闘向きの性格はしてなさそうだ。ならば、誰かの親戚とかだろうか。

 宇佐美が用意してくれた茶を飲み、宇佐美と談笑する雨取を見る。

 

「そういえば、雨取は何故玉狛支部に?」

「それは、えっと──

 

「おっ、何時ぞやのボーダーの人」

 

 扉が開き、そんな言葉と共に入ってきたのは、先日出会った白髪の少年だった。背後には眼鏡の訓練生の姿もある。そして迅。

 眼鏡の訓練生も此方に気が付いたのか、あっとした顔で此方を見てくる。

 

「白髪の少年に、眼鏡の訓練生。まさか君達も客人か?」

 

 迅の紹介で白髪の少年 空閑遊真。そして三雲修だと知る。

 三雲はまだ分かる。彼は訓練生なのだから、何かしら要因があって玉狛支部に来るのは理解出来る。が、空閑の方はただの中学生な筈だ。

 

「そんで、こっちが霜月流さん」

「霜月だ。よろしく、久しぶりに出会ったな」

「あれ、もしかしてもう知り合いだった?」

「あぁ、三雲には街の救護活動に尽力して貰った。そして空閑は私が至らぬ故に巻き込んでしまった被害者だ」

「とまぁこんな風に馬鹿真面目な人だけど、悪い人じゃないから」

 

 馬鹿真面目とは心外だ。私はただ、私が決めた基準に沿って動いているだけのこと。

 そんな私の心の叫びは届く事なく、私のイメージが馬鹿真面目な人に定着してしまう。悲しい、だから皆呼び捨てで呼んでくれないのか……

 

「流さんはこう見えてもボーダー随一の実力者だ。特にメガネくんにはきっと役に立つ」

「ぼ、僕にですか?」

「あぁ、流さんは特に捌く事が上手いからな」

「それしかできないと言った方が正しいだろうな私は」

 

 随一の実力者になった覚えはないのだが、捌く事に関しては一日の長があると自負している。というか少しぐらいは自信を持たせて欲しい。

 迅の口ぶりから察するに、三雲もきっと私よりの立ち回りをするのだろうか。ならば、訓練生からB級に上がるのは難しそうだな。

 

「捌く?」

「あぁ……っと、話そうとも思ったが、いかんせん長くなりそうだ。暫く玉狛支部にいるなら、教える事も可能だ」

「よろしくお願いします!」

「私は何時でも暇だ。呼んでくれれば駆け付けよう。が、今は用事が出来たので、ここら辺でお暇させてもらう」

 

 宇佐美に礼を言い、三雲と連絡先を交換した。雨取は……交換してあげた方が良かっただろうか。ほぼ知らぬ男の連絡先を受け取って嬉しいのだろうか。いやでも渡さなかったら仲間外れっぽくなってしまうか……

 笑顔で交換してくれた雨取の頭が上がらない。彼女の力になろう。必ず。

 皆に礼を言い、私は玉狛支部を後にした。さて、やるべき事が出来た。

 それは宇佐美が客人用として出してくれた皿の上にあった菓子。恐らく、玉狛にあった菓子を出したのだろう。先日確認した所、どら焼きしかなかった筈だから、それを出した……

 

「補充すべきかどうか」

 

 このまま私が買いに行って補充するのは容易い。ただ、三上は『自分がいるのといないとの差を分かりやすくするのも大事』だと言っていた。つまり、私がここで補充しなければ、何時も補充してくれてありがとうと言った、当然の事に対する感謝が芽生えるという事だ。

 いやだが、菓子が無くて悲しむ桐絵の姿は見たくない。いやで毎回把握して買うのは少々気味が悪いか? 俗に言うキモいと言うやつなのではないか? 

 

 むむむむむ。

 

 

 

 

 

 ー

 

 

 

 

 

 流が玉狛支部を出た所で、三雲修はふとした質問を迅に投げかけた。

 

「……迅さん」

「どうしたメガネくん」

「あの……霜月さんって幾つですか?」

「確か17歳だった筈」

 

 17歳と聞いて驚く。

 振る舞い、口調にはかなり歳食った様に見えたが、顔や体格を見る限り、とても若く見えたのだ。その為、知っていそうな迅に聞いてみたが、想像以上に低い年齢に驚きを隠せないでいた。

 二つしか違わないのに、あれほど大人びて振る舞えるだろうか。三雲も歳の割には落ち着いた方だが、自分では出来ないと思っていた。

 

「メガネくんもやっぱり驚くか」

「やっぱりってことは」

「ああ、いっつも勘違いされてるな。何なら年齢知らない人だっている」

 

 なんだか自分ももう少し子供っぽく振る舞うべきかと、頭を過った三雲であった。

 






書きにくいキャラランキング

3位 小南
理由:女性キャラで主人公に一番近いポジなので口調とかが結構悩ましい。後、距離感もむずい。

2位 弓場
理由:一方通行になりそう(予感

1位 影浦
理由:一方通行になりそう(予感
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