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週明けた月曜日。天気は快晴。春の日差しが心地良く、ポカポカと背中を暖める今日この頃。今朝は、三日間俺の部屋に泊まっていた姉様と一緒に登校しました。あっ、そうそう。姉様のお金関係は、俺が提案した通りで頷いてくれた。案の定、姉様のお金遣いは荒かったらしく、この一年間は常に金欠状態だったようだ。
話は変わって、午前中のクラスの状況。やっぱり緊張感がなくなってきたのか、居眠りする人やスマホをいじる人が増えた。そんなに増えた訳じゃないけどチラホラ出てきたって感じ。Bクラスと言えど、欲望に弱い若輩者だ。あー、でも、そろそろ一之瀬に情報を流しても良いかなー?プライベートポイントはあったらあった分だけ良いし、原作の観点から見ても最初に落とし過ぎるのは嫌だからなー。
「ねえねえ、鬼龍院くん。今朝、一緒に登校して来た女の人だあれ?」
更に話は変わって、今は昼食。学食にいます。一之瀬を中心とした女子グループと先週から約束していたので、それを遂行している形だ。それよか、登校してる時にBクラスの生徒とは会わなかったのに、三時間足らずで情報が出回るって女の子ってほんとすごい。
「麻子ちゃん、それホント!?」
「うん。なんかスッゴイ綺麗な人と歩いてたって聞いたよ。その子、絵画みたいだったって言ってた」
ほう?姉様が綺麗って言われると、俺が嬉しいぞ!ふふん。女神様だからな!…ちがった。姉様だからな!
「鬼龍院くん、彼女居たの?もしかして、この前言ってた合図を送る人ってその人?」
一之瀬が前半ハズレ、後半当たりな疑問をして来た。女の子たちはキラキラした目で俺の回答を待っている。うん、そろそろこの話題も収束に向かわせようか。
「うん。でも、彼女じゃないんだ。姉様だよ」
「ねえ…さま?」
「あぁ、ごめん。姉なんだ」
「そうなんだ。鬼龍院くんのお姉さんだったら、確かに二人並ぶと絵になりそう」
「分かるー!」
「鬼龍院くん、お姉さんの写真ないのー?私、見てみたいな」
女の子たちが興味津々に姉様の写真を要求して来た。写真?………見せれるようなやつってあったかな?昨日、何故か二人でツーショット撮ったけど、俺たちは部屋着だったからあまり人に見せれるようなものじゃないな。今度、制服姿の姉様を撮っとかなきゃ。
「ごめん。今手持ちにはないなー。本物を探してみてよ。同じ髪色だし、瞳の色も一緒だよ。それに、背が高いからすぐに見つけられると思うからさ」
「どのくらい高いのー?」
「170は超えてたね」
「えっ、すごっ!鬼龍院くんのお姉さんって、そんなに高いんだ」
「俺も180前半だし、遺伝だね」
「それなら、探せばすぐに見つけられそう」
「鬼龍院くん、他にはないの?」
「髪が長いのも特徴かな。ちょうど一之瀬と同じくらいか、身長を鑑みればそれより長いかもしれない」
「えーっ!それすっごく長いじゃん!手入れめんどくさそう」
「ァハハハハハ。確かに昨日一昨日と、久し振りに乾かしてあげてたら結構時間が掛かったな~。一之瀬はどう思ってるんだ?」
「私?………う~ん、私はもう慣れちゃったからなぁ………。なんとも思わないや」
「えっ………帆波ちゃんもすごい。私なら絶対に無理」
一之瀬の慣れてる発言に、ベリーショートの女の子が「うへぇ」という表情を浮かべた。
「その人が気に入った髪型が一番いいと思うよ?やたら伸ばしても手入れしなかったら悲惨なことになるらしいしね」
「じゃあ、鬼龍院くんは長いのと短いのだったらどっちがタイプ?」
「あっ、それ私も聞きたーい!」
およおよ。俺の好みに話題が移るか。
「その人に似合ってたら、それが一番いいと思うっていうのはダメ?」
「ダメでーす!」
「厳しいなぁ。まあ、やっぱり長い方が好きかな」
「お姉さんの影響?」
「それもあるかなー。というか、それしかないな」
一番傍にいた人が自分の好みになっていくってどこかで聞いたことある気がするけど、実際はどうなんだろうか?人それぞれかもしれないけど、少なくとも姉様が俺の理想像であることは変わりない。そうなったのは、いったいいつからだろうか?気が付けばって感じだ。
「髪も乾かしてあげるほど仲がいいんでしょ?ウチの弟にも見習わせたい」
「えー、私なら自分の弟になんて乾かして欲しくないわ。いつも喧嘩ばっかりだったもん。あり得ないよ。鬼龍院くんみたいな兄弟なら別だけど」
「私は欲を言えば、お兄ちゃんが欲しかった」
「私もー!」
女三人寄れば姦しい、と言うけれど、モーターレースのようにビュンビュンと会話が目の前を通過していく。ふえぇぇ、周回遅れになりたくないよぅ。
「鬼龍院くん、お姉さんと仲良いんだね」
「そうだな。自慢の姉様だよ。一之瀬は妹と仲が良くないのか?」
「へっ?ううん!仲は良いよ。ただ、異性の兄弟がいないからさ。未知の領域でどんな感じか分からないの」
「そうか。まあ、異性の兄弟っていうのは実際にいないことには、どんな感じかは理解しがたいよな」
「ないものねだり、だね」
「こればっかりはな」
俺と一之瀬は兄弟話で盛り上がる面々を傍目に笑い合った。
──────六限目
この日、最後の授業は体育だ。ちなみになんだと思う?体力テスト?バレー?バスケ?サッカー?いやいや、どれも違うんだな。なんと、水泳だぞ!このまだ暖まり切っていない時期に水泳だぞ。午後だからだいぶお日様のお陰で気温が上がっているけど、午前中に水泳があったクラスはマジでご愁傷様だね。
さらには、全国の男子諸君、聞いて驚き給え。なんとこの学校、男女合同で体育をするらしいぞ。つまりは、俺の今視界に見えている男子生徒の興奮具合は察することができたな?………そう。テンションマックスである。なになに~?Bクラスの男子もやっぱり男子なのね。欠席者は4人いるけど、水着を忘れただけらしい。忘れてなかったら参加してたって悔しがってるよ。みんな元気だなー。女子は欠席者7、いや8人でした。まぁ、うん、女子たちの気持ちは分からんでもないが、ポイントがなー。え?ポイントとかで女子を見るなだって?はは、何言ってんだよ。そんなにおマセなわけないだろ?俺ぁ、姉様の弟だぞ。枯れてる?うるさいっ!星之宮先生みたいなこと言うんじゃねぇっ!?
ツンツンと誰かに俺の上腕二頭筋をつつかれた。ムッ!?そこは俺の得意筋肉じゃないんだ。腹直筋はいかがかな?………って、得意筋肉ってなに?無意識って怖いね。
「一之瀬?早かったな」
どうやらツンツンしてたのは、スクール水着を着た一之瀬のようだ。ふむ、これはこれは。全国のスクール水着マニアが喜ぶんじゃないかな?写真に納めたら、一枚5万円ぐらいで売れそう。絶対にしないけど。
「うん。私はパパーって着替えちゃうからね。それにしても、鬼龍院くん、すごい体だね!腕もすごくカタいし、腹筋もバキバキ!わぁ!すごいっ!鬼龍院くんのお腹、皮しかないよ!」
一之瀬が俺の体をペタペタ触っている。男子たちから睨まれる。やっとプールサイドに入って来た女子たちから好奇な視線が集まる。
「一之瀬?」
「私ももうちょっとダイエットした方がいいかな?でも、毎朝ランニングはしてるし。なら食事を減らす?んー、ご飯は食べたいよねー」
おーい、一之瀬さーん。そろそろ周りを見て欲しいなー。あれ?教師じゃん?なんでブラックコーヒー飲んでるの?まだ授業前だよ?あっ、今は休憩中だから別にいいのか………。
「一之瀬。今の体形で十分だと思うし、ダイエットもしなくていいから、その代わりに周りを見渡してごらん?」
キョトンと俺を見上げる一之瀬。うん、可愛いが………。この後、すげーことになるんだろうな。
一之瀬は俺に言われた通り、周囲を見渡した。男の筋肉を触る一之瀬、男子たちの嫉妬の目線、女の子たちのニヤニヤした表情、二缶目のブラックコーヒーを飲んでいる教師。たっぷり十秒を使って、一之瀬は自分の置かれた状況を理解した。みるみる真っ赤に染め上がっていく顔。おおっ!耳まですっごく赤い!すげぇ!
「フニャァァァァァ!!」
授業のチャイムが一之瀬によって搔き消された。教師が腕時計をしてなかったら、俺たちは授業が始まらなかったのかもしれない(大嘘)。
──────
「欠席者は女子が8人と男子が4人か………。他クラスより比較的少ないぞ。先生は嬉しい限りだ。早速だが今日は各自何本か泳いでもらって、その後競泳をしてもらう。そうだな………男女それぞれ一番速かった奴には、俺からのご褒美に5000ポイントをしんぜよう」
体育教師が提示したご褒美に、数名が色めき立つ。
「ハイ!先生!俺、泳げません!」
男子が一人、………名前が出てこない、が自信満々に自己申告した。自信満々になることじゃないけど、その潔さは認めよう。夏までにしっかりと補習を受けるがいい。
「大丈夫だ。俺が夏までに泳げるようにしてやる!そう、補習付きでな!」
サムズアップして歯をキラリと光らせる教師。不満の声が泳げない人たち(女子が多かった)から上がる。君たち、無人島に行く気あるの?もっと熱くなれよぉ!って、まだ知らないんだっけ?………これは失礼。
「まーまー、そう不満を垂れるな。夏までに泳げるようになっておいて損はないぞ。それに、補習は学校から言い渡されてるから文句は理事会に頼むぞ」
サラッと権力をチラつかせたな。そうだよな。権力ってすごいもんな………。年齢が上がるにつれて、しみじみ感じるんだろうな。あー、やだやだ大人って。ピーターパンシンドロームにでもなろうかしら?でもなったらなったで後々がしんどくなるから絶対にヤダだけど。
そんな訳で、泳げるクラスメイトたちは50メートルを二本ほど軽く流して準備をした。レースは女子からやるそうです。12人で泳げる子が8人だから、4人2組の予選をして、4人で決勝という形になった。皆頑張ってねー。目指せ5000ポイント!じゃなくて一位の座!…危ない危ない。金に目がくらむところだった。俺は純粋な青少年であるから、お金より名誉が大事!…かもしれないことはない。そうだよ!お金欲しいもん!
女子一組の予選は水泳部の女の子が独走だった。独走?独泳?…ふむ、深くは考えまい。女子二組の予選、あっ一之瀬じゃん。頑張れー!一応手を振っておく。あっ、目を逸らされた。まだダメージ残波が取り除けていないらしい。おっ、始まった。結果、一之瀬は二位で予選突破。一位は、なんと一之瀬大好き白波ちゃんだ。ほら、そこの人、胸の差とか言わない。白波ちゃんに殺されるよ?
少し休憩して決勝戦。全員がスタート台に、キンチョーの一瞬。………白波ちゃんの優勝!えっ?なに!だから言ったじゃん、一瞬って。いやー、みんな頑張ってたよ。いいね、あの終わってからお互いの健闘を称え合う感じ。うんうん、白波ちゃん、一之瀬にほめられてすんごく嬉しそうな顔してる。もう尻尾つけたらブンブン振り回してるね。
そんなこんなで男子のレース。16人で泳げるのが15人だから、5人3組の予選からの6人で決勝。クジ引きを引くと、3組目になった。スゴスゴと自分の元居た場所に戻った。
「何組目だったの?」
そこには女子たちのおしゃべりを終えた一之瀬が居座っていた。どうやら一之瀬はレースを経て、平常心を取り戻したようだ。表情が柔らかい。
「3組目だった」
「自信の程は?」
「ん~、まあ、1位は取れるんじゃないかな」
正直、高円寺と綾小路が本気だったら分からないけど、それ以外なら負ける気がしない。
「おー、ありありだね。男子の中に水泳部がいるらしいけど、そんなこと言って大丈夫?」
「できないことは言わない性質だからな」
「なら、私は鬼龍院くんに賭けておこうかな~」
「オッズは期待しておこう」
「だ~めっ!配当は私の独り占めだよ」
「頑張ったのは俺なんだけど?」
「ふふふ。冗談だよ」
1組目がスタート準備に入っていた。皆の視線がプールに釘付け。俺はその機を逃さず、一之瀬の耳元に近付き、ささやくように喋った。
「一之瀬、一つ助言をしよう」
「………鬼龍院くん?急にどうしたの?」
俺の低い声に一之瀬は何かを感じ取ったのか、訝し気な表情をを浮かべる。………ああ、いい表情だ。
「俺の助言にどう対応するかは、5月1日まで、一之瀬の判断に任せよう。ただし、それまで誰にも相談せずに決めることが条件だ」
「………ちょっと言っている意味が分からないかな」
「今はそうだろう。だから、5月1日まで対応は可能なことだ」
「………」
「まず、最初の助言は親睦会でほんの少し触れたとこに関する」
「…理想化しているだけで、現実に向き合わなきゃならないって言ってたこと?」
「驚いたな。覚えてたのか?」
「あの後で、どうして鬼龍院くんがあんなことを言ったんだろうって考えてたから」
「なら話は早い。一之瀬、お前が目を向けるべきは配布されたポイントの多さだ。そして、教師たちは何故居眠りや私語を指導しない?」
「………」
「そろそろ、3組目か。じゃあ、一之瀬、行ってくる。来月を楽しみにしてるよ。くれぐれも条件を守って内密にな」
俺は一之瀬の耳元から離れて、立ち上がった。内心でほくそ笑みながらスタート台に向かって歩いて行く。ピクピクと俺の筋肉が今か今かと待ちわびている。すごく調子が良い。負ける気が全くしない。笛が聞こえた。水しぶきをほとんど立てることなく飛び込んだ。水を掴み、前へ前へと突き進んだ。
5000ポイント、ゲッチュだぜ♪
網倉麻子ちゃんの口調が分からない………。