ラストリロード   作:しばじゃが

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交叉する二丁の砲身

 凍て付いた大気が、頬を撫でる。

 日が落ちて、極寒の世界と変貌したこの寒冷群島で。

 その白い騎士は、吹雪に紛れて剣を振るうのだった。

 

「ぐっ……!」

 

 迫る、二本の剣。琥珀色のそれらは、アルフレッドの持つガンランスと激しく擦れ合い、彼の体を軽々と吹き飛ばした。

 

「……肉を切らせて」

 

 空中で、ガンランスを背後に回し。

 かと思えば、その砲口から青い光が瞬いた。

 同時に、騎士は気付く。自身の鼻先に、鋭い杭が刺さっていることに。

 

「骨を断つ!」

 

 硝煙を撒き散らす杭が、弾け飛んだ。

 飛散した金属の破片と、火薬の熱量に悲鳴を上げる騎士──ベリオロス。氷牙竜と呼ばれる実力者といえど、鼻先という急所を穿たれては悶えるしか方法がない。痛みと煙で、視界を失ってしまう。

 その隙を、アルフレッドは突いた。

 先程の青い光──空中で放ったブラストダッシュで猛進し、白い脳点へと砲身を叩き付ける。ベリオロスは、甲高い悲鳴を上げた。

 

「オオオォォォォッッ!」

 

 そこから、フルバースト。

 彼の持つ金色の砲身、『叛逆銃槍ロドレギオン』は、今宵も激しい爆炎を放つのだった。

 遠方の隠れ里、『カムラの里』で開発されたという、新拡張シリンダー。かつてのバルバレやドンドルマ、龍歴院では、放射型のガンランスの装弾数は最大でも四発だった。

 しかし、カムラの里では新たな製造技術を公表し、その技術を取り入れた火薬庫の手によって、ロドレギオンの装弾数を五発に拡張させることが実現した。

 先ほどのブラストダッシュの分を差し引いて、四発分。その衝撃を叩き込まれ、ベリオロスは怯む。自慢の琥珀色の牙に、一筋の罅が走った。

 

「食らいな!」

 

 フルバーストの反動を、腕を振るって受け流し──それをさらに、薙ぎ払いの構えへと移行させる。

 狙うは、あの琥珀色の牙。もう一撃叩き込めば、砕けそうな様相だ。

 しかし、そう簡単には事は運ばない。ベリオロスは飛び上がり、金色の横薙ぎを華麗に躱すのだった。

 

「ちっ……」

 

 空中で回り込んで、口の奥から白い液体を吐き溢す。

 それは、超低温の塊。体内の氷結袋で作られた、氷点下の液体だ。

 

「うおおぉぉ!!」

 

 構えた盾に直撃し、その衝撃を受けて一瞬で気化する。

 まるで壺の形のように吹き荒ぶ、氷の嵐。気化した氷点下の息は、乱気流のように逆巻きながらこの海を覆う。その中心にいたアルフレッドは、あまりの寒さに歯を打ち鳴らした。

 

「さ、さむ……ッ!」

 

 幸い、彼はホットドリンクを飲んで寒さの対策を施していた。

 体の芯から温めてくれるそのドリンクのおかげで、彼は意識を手放すことなく、この浅瀬の海に立ち続けている。

 しかし盾や鎧は凍て付いて、表面の水滴が氷柱のように立ち並んでいた。

 それでも構わず、ガンランスのリロードを図る。中折れ式の構造が作動し、纏わりついた氷が音を立てて砕けた。小さな粒となって、この寒冷群島に舞う。

 

「これで全部……!」

 

 予備弾倉から、重さが消えた。

 それはつまり、残弾の全てがシリンダーに注ぎ込まれた証。

 

「来るか!」

 

 空を泳ぐように舞いながら、ベリオロスは牙を剥いた。軽い滑空のような姿勢で、自慢の牙を振りかざす。

 

「何のッ!」

 

 それを、彼は盾で防いで耐え忍び──。

 

「お返しだ!」

 

 左手の槍で、斬り上げを放った。

 攻撃の姿勢から脱し切れていないベリオロスは、それを直に翼に受ける。

 しかしアルフレッドの反撃は、それだけには終わらない。

 

「落ちろ!」

 

 続いて、引き金を連続で引いた。

 重いシリンダーが激しく回り、中に込められた砲弾を撃鉄が強打する。

 弾けた薬莢からは、爆炎の渦が飛び出し、それが砲身によって軌道を描かれて。最終的に、ベリオロスの翼に届く。それが、五回だ。続けざまに五回引き金を引き、込められた砲弾を全て連射する。

 その衝撃は強烈で、如何にベリオロスといえど、空中の体勢をつい崩してしまうほどだった。

 

 落ちる巨体。

 露わになる、翼に立ち並んだ棘。

 アルフレッドは、それをまとめて薙ぎ払う。金色の切っ先に簡単に断ち切られ、黒い破片が寒冷群島に舞い散った。

 

「……やべっ!」

 

 悲鳴を上げるベリオロス。打って変わって、唸り声を漏らす。まさに、怒り心頭だ。

 太い尾を薙ぎ払って、アルフレッドを弾き飛ばした。そして野太い声で雄叫びを上げながら、鼻息を荒立てるのだった。

 

「怒ったか。参ったな」

 

 残弾は、尽きた。

 狩りの相棒も、未だに到着していない。

 これ以上の継戦は、望めないだろう。

 彼はそう判断し、ガンランスを折り畳む。

 

「じゃあなベリオロス! またすぐ来るぜ!」

 

 懐から取り出した閃光玉で、白銀の騎士の視界を白く塗り潰し。

 獲物を見失って暴れる飛竜を尻目に、彼は走った。目指すは、丘の上に建てられたベースキャンプ。

 ガンランスの砲弾を、補充するのだ。

 

 

 ○◎●

 

 

「あ、アルフ。おかえり」

「セレス……まだここにいたのか」

 

 ベースキャンプに辿り着いた彼を迎える、小さな影。

 彼と共に狩りをする重弩使いの少女、セレス。

 

「えへへ、ごめん。新しい狩猟区だから、植生が分かんなくて」

 

 そう言う彼女の目の前には、小さな木製のローテーブルと、革袋が並べられている。

 テーブルの上には、中身を()()かれたカラの実の山、火薬粉を入れる携行缶、工具セット、そしてすり鉢に磨り潰された火薬草など、多種多様の物が置かれていた。

 彼女は、現地で弾丸を調達する。

 雑貨屋で購入すればいいじゃないか、とアルフレッドは考えたこともあった。確かにその方が手っ取り早いが、費用が掛かるのだ。それも、少なくないほどの。

 で、あれば。

 

「いつも思うが、丁寧に調合するよなぁ」

「この手間でお金が浮くなら、あたしはいくらでも調合するよ!」

「……弾丸の職人としても、やってけそうだ」

 

 ローテーブルの端には、調合された弾丸が立てて並べられている。

 その十二個目を作り終えた彼女は、それを列の最後尾に並べ、懐から弾倉を取り出した。

 バネが収められた内部へ、弾丸を一つ一つ詰め込んでいく。十二個もあったそれらを残さず呑み込んだ弾倉は、革袋へと放り込まれた。

 

「普段から慣れてる狩猟区なら、どこに何が生えてるか覚えてるから、もうちょっと早く調合できるんだけどね」

「ここは、初めてだもんな」

 

 寒冷群島。

 近年狩猟区として認定された、その名の通り寒冷地帯である。

 地理的には、ユクモ地方に近いだろうか。比較的近隣のカムラの里で主に狩りが為され、ギルドとの連携を経た結果、アルフレッドらのような別拠点のハンターでも狩猟が解禁されたのである。

 

「氷海とはまた違ってて、ここも悪くないな」

 

 何より、スープが旨い。

 そう言いながら、彼はテント横の焚火を覆う鉄鍋から、ガウシカの胸肉の煮込み汁を掬って飲んだ。

 滋養強壮に優れた栄養素に、溢れ出るような肉の旨み。そして何よりもその温かさが、彼の体に染み渡る。氷牙竜の吐息を受けて冷えた彼の頬が、ほんのりと赤く染まった。

 

「大体の探索も済んで、地形も分かったからあたしも狩りに出れるよ! アルフの方は、どうだった?」

「見た感じ、地域は違えど、そこまで変化はないな。氷海や凍土のベリオロスに近い……が、大きく垂直飛びする癖があるみたいだ。あれには注意した方がいい」

「垂直飛び……真上に飛び上がるの? 後ろに跳んでブレス、っていうのは聞いたことあるんだけど」

「ブレスじゃなかった。完全な飛び掛かりだ。肉弾技だから、盾でも防ぎにくい。回避に徹した方がいいだろう」

「分かった! 参考にする!」

 

 セレスは、この新たな狩猟区の地図作りを。

 アルフレッドは、この環境に住むベリオロスの特性を。

 それぞれ分担しながら、狩りの準備を進めてきたのだった。

 

「さて、砲弾……っと」

「砲弾、撃ち尽くしたの?」

「ちょっと熱くなっちまってな。様子見のつもりだったんだが」

 

 そう言う彼の好戦的な笑みに、セレスはやれやれと両掌を天に向けた。

 

「相変わらずだなぁ、もう。無理しないでよね」

「大丈夫だ。まだ若い個体のようだから、きっと下位相当だろうし」

「でも、油断は禁物だよ。ね?」

 

 そう言いながら、差し出されたホットドリンク。

 それを受け取るアルフレッド。

 掌に触れたそれは、この雪空に似合わないほど温かった。

 

 

 ○◎●

 

 

 吹き荒ぶ吹雪。

 その雪と塵の隙間から、猛烈な勢いで弾丸が飛ぶ。

 自ら吐いた白い嵐が、むしろ煙幕となってしまった。敵を見失い、弾丸で甲殻を削られ続ける。

 ベリオロスは苛々した様子で、低い唸り声を上げた。

 

「オォラァッ!!」

 

 そこへ割り込む、真紅の男。

 氷と雪を掻きながら、重い銃槍を斬り上げる。摩擦によって刀身が熱を灯し、白い甲殻を軽々と引き裂いた。

 慌てて、跳躍。

 しかし、翼の棘は既に切り払われている。スパイクの役割を担っていたそれに見放され、ベリオロスはその巨体を滑らしてしまう。

 

「いいねぇ!」

 

 続けざまに、叩き付け。

 鋭い刀身に、額を叩き割られる氷牙竜だったが──悲鳴を上げる前に、砲口が吠えるのだった。

 その咆哮は、静けさに満ちたこの寒冷群島を、容赦なく打ち鳴らす。

 

「フルバーストが、命中してる……! これなら!」

 

 それを好機と見るや、セレスはヘビィボウガンの弾倉を取り換えた。

 通常弾から、火炎弾へ。ベリオロスが火を弱点としているのは、その生態から見れば明らかだ。着弾と共に熱と衝撃を与え、燃焼剤として働く火薬草の粉末をさらに撒き散らす。

 しゃがんで連射すれば、それだけ多くの範囲を燃やせるということ。頭部を砲撃され、隙を晒した巨体が著しく焼けていく。

 

「……アルフ! 尻尾がくる!」

 

 しかし氷牙竜とて、やられるばかりではない。

 目の前の大男を弾き飛ばそうと、太い尾を薙ぐ。それは盾に吸い込まれたが、彼を弾くことには成功した。

 興奮した鼻息は、まさに怒りの感情の表れだ。遠目から見るセレスにも、それはよく分かった。

 

 屈む上半身。

 力む肩甲骨に、筋が浮き出る後脚。

 で、あれば。予想される動きは、きっと──。

 

「アルフー!! 跳ぶ!」

「マジかッ!」

 

 ガンナーである彼女は、距離を離して戦うため、モンスターの動きの全貌が見える。

 故に、彼女の言うことはより真実に近いだろう。アルフレッドはその信頼の下、ガンランスを背中に背負って機動力を確保した。

 その直後、跳躍。セレスの言う通り、ベリオロスは真上に跳んだ。

 

「うおおおお!!」

 

 アルフレッドを狙って、真上から飛び掛かる。

 しかし彼は、前に出た。先程ベリオロスがいた方へ。前へ前へと、走り抜ける。

 巨体の、落ちる音。

 爪が乱雑に大地を穿ち、氷の割れる音が響く。

 舞い上がる霜と霧に、視界が奪われる中、彼は吠えた。

 

「オオオオオオォォォォォォ!」

 

 全身を使った、薙ぎ払い。抜刀の勢いのままに、展開直後のガンランスを叩き付ける。

 それに斬り抜かれた尾は──溶けたバターのようにあっさりと、その巨体と分離した。

 重しを失い、バランスを崩す。致命の一撃を放ったばかりで、隙だらけだったベリオロスは、簡単に前へ転がり込んだ。

 

「すごいすごい! 見事なカウンター!」

「へっ、してやったりだな」

 

 火炎弾を撃ち続けながら、セレスは称賛の声を上げる。

 アルフレッドは鼻を鳴らしながら、次の砲弾を装填するのだった。

 翼の棘を削がれ、尾を斬り落とされて。

 それでもベリオロスは、立ち上がる。憎々しげに、アルフレッドへと走り出した。

 

「うおっ!」

 

 慌てて横に跳んだ彼だったが、反撃を試みる前に、その巨体が過ぎ去ってしまう。

 

「えっ──」

「セレス! そっちに行ったぞ!」

 

 氷牙竜は、アルフレッドを取り逃がしたものの、それを気に留めることはなかった。

 自らを焼き続けるもう一つの影に、気付いていたのだ。

 

「くっ……!」

 

 セレスは照準を合わせ、火炎弾を撃ち続ける。

 とうとう琥珀色の牙は音を立てて砕けるが──それでも彼は、止まらない。少女を薙ぐために、走り続けた。

 アルフレッドも走る。しかし、彼の脚ではとても追い付けなかった。着実に、セレスの目前へと巨体が迫る──。

 

「セレスッ!!」

 

 迫る巨体。

 いつかの砂塵が脳裏をよぎる。

 目に焼き付いた猛き双角が、背筋を寒々しく撫でる。

 しかし彼女は──折れなかった。

 スコープから目を離し、両脚へと力を込める。

 

「はっ!」

 

 跳躍、そして着地。

 宙を泳ぐように、横に跳ぶ。

 セレスもまた、冷静にその突進を躱したのだった。

 

「セレス……!」

「大丈夫! あたしはもう、大丈夫だよ……!」

 

 恐れない。

 突進が迫ろうと、冷静に対処する。

 初めて共にウルクススを狩った、あの時の彼女とは違う、冷静で自信に満ちた笑みだった。

 頼もしさすら覚える。アルフレッドは、そんな彼女を見て静かに笑った。

 

「やるな……! あれを躱すとは」

「えへへ、頑張ったもん!」

 

 追い付いたアルフレッドと、肩を並べるセレス。

 その視線の先では、体勢を崩しながら方向転換するベリオロス。

 まさに満身創痍。

 そして獣は、手負いが一番恐ろしい。

 

「あの足取り、もう一度突進してくるな」

「みたいだね。また避ける?」

「……いや、あと少しで、仕留められそうだ」

 

 そう言いながら、彼は懐から二本の薬莢を取り出した。

 火炎弾とも、砲弾とも違う、黒く焦げ付いた薬莢だ。ただその大きさは、太く、また長い。

 明らかに大きさの異なるそれの一つを、セレスは受け取った。その薬莢となっている素材に、彼女は見覚えがあった。

 

「……リュウゲキの実?」

「あぁ。道中見つけてな。俺からの選別だ」

「……これって、もしかして」

「こいつを調合するの、中々大変なんだぜ。まだ、お前さんも作ったことはないだろ?」

「う、うん」

 

 その弾は、銃槍の真髄、竜撃砲を模したもの。

 ヘビィボウガンの銃身には、加圧機能はない。できるのは、ただ超質量の火薬を押し込めるのみ。

 見た目こそ似ているが、ガンランスのものとはまるで別物だ。だが、必殺級の威力を誇るという点では、まさに同等のものと言えるだろう。

 人はそれを、『竜撃弾』と呼ぶ。

 重弩であっても、近接射撃を要求する道化そのものだ。

 

「あたしに、扱えるかな」

「反動は覚悟しとけよ。だが、きっとあいつを仕留められる」

 

 ベリオロスは、走り出す。

 猛烈な勢いで、二人に迫る。

 

「俺の盾の後ろにいろよな。銃口だけ、俺の砲身と並べてくれ」

「そっか、妃竜砲の長さなら……!」

「あぁ、丁度いいくらいだ!」

 

 二人は、それぞれの切り札を獲物に呑み込ませた。

 一人、盾を構えて砲身を突き出す。

 一人、盾の背後から銃身を並べる。

 ガンランスのリーチは、穂先の刀身によるもので、砲身だけ見ればそれほど長くはない。

 一方で、セレスの持つ妃竜砲は、遠撃という銘を打つだけあって長射程を誇る。その分、銃身もまた長いのだ。

 つまり両者の銃口は、綺麗に揃えられており。

 その先には、こちらに迫るベリオロスがおり。

 ──舞台は全て、整った。

 まさに、この狩猟を終わらせる最後の一手。

 正真正銘の、最後の装填(ラストリロード)

 

「発射まで、若干の溜めがある! 俺の合図に続いてくれ!」

「分かった!」

 

 猛烈に掻き均す、黒い爪。

 鬼の形相、白き竜。

 

「まだだ、まだ……!」

 

 凍て付いた世界の中で、汗が垂れる。

 

「もっと、もっと引き付けるぞ……」

 

 セレスの額から垂れたそれは、氷点下の粒を浮かべながらも、彼女の頬を降りていく。

 

「まだ、まだ……まだだぞ……!」

 

 それが顎まで伝い、一瞬、玉のように包まって。

 

「さぁ、指に力を入れて──」

 

 ぽん、と、小さく落ちる。

 凍て付いた浅瀬へと、落ちていく。

 

「今だッ!!」

 

 その声と共に、引き金が甲高い音色を奏でる。

 同時に砲身が震えた。銃弾が、燃え盛った。

 溢れる炎の奔流は、灼熱の吐息となって、二つの銃口から滲み出る。

 まるで、青い空のような吐息──。

 一瞬の凝縮を経て、膨れ上がったそれは、真っ赤な炎の螺旋へと変貌する。ベリオロスの巨体を、軽々と包むほどの劫火(ごうか)

 断末魔のような悲鳴は、一瞬でしゃがれて灰に融けた。

 

 

 

「……どうだった?」

 

 反動で転がって、腰が抜けたように座り込みセレス。

 そんな彼女に向けて、アルフレッドは手を伸ばした。

 覚束ない手付きで握り返されるが、彼女の小さな手は、未だに震えていた。

 

「びっくりしたか?」

「……びっくり、した」

 

 強烈なまでの衝撃に、氷牙竜に轢き潰されたかと思ったほど。

 セレスは彼の腕を頼りに、何とか立ち上がるものの──それでもその足取りは、まるで生まれたてのケルビのようだった。

 目の前には、動かなくなったベリオロスがいる。

 灼熱の吐息に包まれ、全身を黒く焦がした姿は、あの白銀の騎士だったとは思えないほど、見るも無残な姿だった。

 

「竜撃弾って、こんなすごいんだね……」

「合わせて撃ったら、やりすぎた感が否めないな。気を付けよう」

 

 そう言いながら、アルフは手を合わせる。

 セレスが狩猟を終える度にしていたそれを、彼も無意識にやってしまうのだった。

 

「……うん」

 

 彼の様子に、少しだけ頬を緩まして。

 彼女もまた、手を合わせる。ベリオロスの命をいただくことに、感謝をしながら。

 

 ドンドルマギルドから依頼された、寒冷群島の生態調査。

 そのためのベリオロスの狩猟だったが、必要以上に素材を痛ませてしまったことで減給されたのは、また別の話である。

 それでも、二人は満足そうだった。

 心躍るような狩りを、することができたのだから。

 

 




竜撃砲&弾のクロスファイアを、させたかったのです!!
ベリオロスの垂直飛び回避のイメージはあれです。アメンドーズの跳躍。あれ尻尾の方へ走ると上手く避けれるし頭が目の前に来るしで最高なんですよね。聖杯ダンジョンで、死に物狂いで覚えました。何なん体力半減って…(別ゲーの話すんな)
これにて第二章は終わりです。第二章は、アルフレッドとセレスのペア狩り編でした。ガンランスとヘビィボウガンのタッグというのも、なかなかいい組み合わせだったなぁと感じます。ベースキャンプで弾薬調合とか、書いてみたかった。採集しながら狩りの準備をするって、まさに狩猟生活でいいなと思います。MHRiseは、ヒトダマドリの仕様で賛否両論あると思いますが、普段は特に気にせず獲物に向かう一方で、ヌシ等の強敵と戦うならば丁寧に鳥を集めて準備する…というのができますね。綿密に狩猟の準備を進めている感じがして、好きなんですよね。こういう丁寧な描写を、今後もしていきたいなと思います。
それでは、第三章で会いましょう。閲覧ありがとうございました。
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