ラストリロード   作:しばじゃが

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対轟竜防衛作戦!

「~~~~!! くっそ固ぇですわ!!」

 

 渾身の刺突を、その首筋に弾かれた。

 まるでドラグライト鉱床に、突きを入れたような。

 そんな感覚を、彼女は錯覚する。

 しかしここは、火山ではない。目の前にいるのは、確かにティガレックス。

 ──しかしその様相は、ただのティガレックスではなかった。

 

「……何ですの? この子……」

「様子がおかしいですな。やはり、城壁を登ってくるだけのことはある。特異個体、というものでしょうか」

 

 唸る顔は酷く(やつ)れ、その目は血走ったように爛々と輝いている。

 鼻息は荒く、動悸はどこか不安定だ。膨らむ肺が、不規則なリズムで収縮を繰り返す。

 何より、体中から舞い上がる、(もや)。さながら、汗が蒸発しているかのようだが、通常のティガレックスが、黒紫色の汗をかくことはない。

 であれば、この個体は何か異常であるのだろう。

 突然変異か、はたまた外的要因か──。

 

「……"極限状態"?」

「きょく……?」

「聞いたことがあります。十年近く前になりますが、このドンドルマ一帯で奇妙な個体のモンスターが確認されたと」

「それって、一体」

 

 荒く、大地を掻く。

 獲物を前に、品定めをしているようだった。

 ティガレックスは、様子を見ている。

 その姿を前に、セバスチャンは確信を抱いた。

 

「かつて古龍の幼体、黒蝕竜ゴア・マガラがばらまいた未知のウイルス……それに感染して凶暴化するモンスターの事例がありました」

「凶暴化……?」

「通常の個体とは一線を画す行動をするのです。中でも、ウイルスを克服した個体は特に危険で、ギルドからは"古龍級生物"級の危険度と認知されています」

 

 恐暴竜、イビルジョー。

 彼に代表される古龍級生物とは、その名の通り古龍でなくとも古龍と同等、もしくはそれ以上の危険性をもつ強靭なモンスターを差す言葉。

 ティガレックスは本来有り触れた飛竜であり、古龍に比べれば明らかに格下だ。その幼体であるゴア・マガラにすら軽く屠られてしまうのだから。

 だが、例のウイルスを克服した場合は、話が異なる。

 

「類稀なる凶暴性、生命維持を度外視した行動、強靭な皮膚、限界を超えた筋力……など、挙げればキリがありません。極限状態は、極めて危険な個体です」

「……ということは、目の前にいるあの子は、古龍と同等の強さを?」

「そういうことになりますな」

 

 セバスチャンは、盾を構えた。

 その所作を前に、轟竜は吠える。決戦の火蓋を落とすかのように。

 

「お嬢様、ここは退避を」

「何を言うのです、私もハンターですわ! 戦います!」

「ですが、これは非常に危険です」

「我がグレイビアード家の家訓に、撤退の二文字はありませんわ!」

「ですが……!」

 

 それ以上の会話をするな。

 そう言わんばかりに、ティガレックスが迫る。

 その強靭な前脚で、床の石畳は尽く捲られていく──少女はその光景に息を呑みながら、横に跳んだ。

 セバスチャンは、腰を捻り、盾を低く、低く構える。

 

「──ハッ!!」

 

 振り被る前脚。

 その鈍く、かつ鋭い爪を、彼は弾いた。

 直撃する瞬間、素早く振り上げた盾で爪先を滑らし、軌道を逸らす。

 そして隙を晒した頭部に、渾身の一突きを叩き込むのだ。

 

「ヒョオッ!!」

 

 それが目元を穿ち、轟竜は悲鳴を上げる。

 叩き潰すはずが、腕を逸らされ反撃を喰らう。

 その事実が、信じられなかったのだろうか。今度は反対の腕を振り被るが──。

 

「甘いッ!」

 

 それも再び、滑らかな表面の盾に逸らされる。

 続く斬り上げ、さらに薙ぎ払い。十文字を描くようなその斬撃に、轟竜は一歩後退し、体勢を低くした。

 

「……尻尾ですわ!」

「ぬんっ!」

 

 低めた体を、瞬時に回転させる。

 まるで小さな竜巻のように、周囲一帯を薙ぎ払う荒業。石畳が剥がれ、細かな砂利が舞い上がる。

 しかしセバスチャンは、それをも捌き、反撃の一打を叩き込むのだった。

 続く打撃は、盾に依るもの。轟竜の頭蓋が、嫌な音を立てる。

 

「──やはり、硬化する部位とそうでない部位があるようですな」

「で、ですの?」

「頭は、通常の個体と変わりない! お嬢様、前脚は特にご注意を!」

「わ、分かりましたわ!」

 

 攻撃を尽く捌かれ、ティガレックスは自身の逆鱗を露わにした。

 吠える。周囲を薙ぎ払うが如く。

 

「わっ……!」

「ふんっ!」

 

 背後に回っていた少女は思わず耳を塞ぐが、セバスチャンは冷静に盾を掲げた。

 音は見えない。そのため目視で捌くことはできないが、衝撃波であることには変わりない。盾に身を隠し、衝撃を最低限に留める。

 怒りに燃えるティガレックスは、もはや自我を失ったように走り出した。その乱撃の嵐には、流石のセバスチャンも回避を選択する。

 

「後ろががら空きですわ!」

 

 前脚を振り被るだけの、大振りな技。

 その度に尻尾は揺れ動くが、逆にいえばそれさえ躱してしまえば、背後は隙だらけである。

 少女は身軽な動きで尾を掻い潜り、付け根を踏んで飛び上がった。

 真上からの急襲、鋭利なレイピアを突き出しては全体重を掛けて落下する。その降下突きを受け、ティガレックスは忌々しそうに唸り声を上げる。

 

「……ど、毒が効いている様子はありませんわね」

「極限状態は、毒も何もかも弾きます。ウイルスに対する抗体が、異常なまでの効力を発揮しているのです!」

 

 振り向いたティガレックスは、少女に向けて腕を振るう。

 その先の爪を薙いで、石畳を弾いては彼女にぶつけようと試みるが──滑り込んだ大盾がそれを逸らす。そして続く、突進。

 轟竜ではない。老紳士が、その優雅な所作には似合わぬ豪快な動きで、大地を蹴って走り出すのだ。

 

「はっ!」

 

 懐に入り込み、鎖骨を狙って刺突を放つ。

 痛みのあまり仰け反らせた頭部を、続く刺突が襲う。三度目の連撃は、大きく振り被るのだ。力を溜めるように槍を構え、盾を大地へと突き立てる。

 そして放つ薙ぎ払いは、確実に彼の頭部を揺さぶった。絶対強者、悲鳴を上げる。

 

「まだですわ!」

 

 少女が、盾を足場にして跳んだ。

 真上から、全体重を乗せる。プリンセスレイピアは、その刀身に塗り込まれた毒と、鋭利な切っ先を用いた刺突技に優れる。だが小振りな盾もまた、飛竜の甲殻を用いているだけあって重く固いのだ。

 つまり、盾を用いた打撃も強烈である。上空から、その盾をもって殴り付ける妙技。片手剣使いの中では、『フォールバッシュ』と呼ばれている──。

 

「むっ!」

 

 だが、轟竜は倒れなかった。

 背後に跳んで、体勢を整える。

 目の前の小さな獲物を、全て轢き潰す体勢へ。

 

「これでも、眩暈(スタン)を起こさないなんて……!」

「まずいっ!」

 

 少女は、彼を昏倒させるつもりで前に踏み込んだ。

 だが実際はそれが実現することはなく、むしろ今、彼は目の前で突進を繰り出さんとしている。

 主人である彼女を守るため、槍使いは老体に鞭を打って前に出る。しかし、盾を構えたところであの巨体を防げるかどうか。先に自分が、磨り潰されるのではないか──。

 その事実に、セバスチャンが強く歯を食い縛ったところで。

 大きな影が過ぎるのに、気付いた。

 

「暴れんじゃねぇ!」

 

 轟竜の背中に張り付く、大柄な男。

 赤髪を揺らし、その背に重槍を突き立てて。

 かと思えば穂先を分離させ、背中の肉へと突き立てる。突然の乱入者に、轟竜は悲鳴を上げて走り出した。

 

「させるかよっ!」

 

 背中から飛び、首元へと刃を突き立てる。

 それを軸に体勢を整えつつ、彼は拳を振り上げた。

 目元へ──轟竜の右目へと打ち付ける。

 

「な……!」

「だ、誰ですの……っ?」

 

 瞳は、敏感だ。人間程度の力であろうと、瞳を殴られれば大きな反応をせざるを得ない。

 ティガレックスは殴られた方へと仰け反って、その体ごと方向転換する。少女と老人のいる軌道から、ただの石積みの城壁の方へと向きを換えた。

 ──そして、これこそが、この大柄な男の狙い。

 

「いいぜ、いい子だ」

 

 穂先の刃を、重槍に戻す。

 その槍には、砲口があった。穂先の戻った槍を、彼はその厳つい頭部へと押し当てるのだ。

 それは重槍では、ない。

 銃槍だ。

 

「そのまま、突っ走れ!!」

 

 全ての砲弾を、射出する。

 その猛烈な勢いに、ティガレックスはたまらず走り出した。

 顔を焼かれ、目が煮え立ち、痛みと衝撃に五感を失う。

 ただ痛みから抜け出すことだけを考えて、彼は走り出すのだが──その先は、ただの石造りの壁。

 柔らかな頭部は、固い石の衝撃を存分に吸収した。たまらず、倒れ込む。あの獰猛なティガレックスに、隙が生まれた。

 

「来るのが遅くて悪かったな、お二人さん」

「増援、増援ですのね!? 助かりましたわ!」

「……おや、貴方は……」

 

 その男──アルフレッドの登場に、少女は両掌を合わせて喜んだ。

 一方で、老紳士は何か思い当たることがあると言いたげな表情で、彼を見るのだが──。

 そんなことに構うことなく、アルフレッドは二人にある物を手渡した。

 それは、武骨で重い杭。そしてその尻には、太いロープが折り畳んで仕込まれている。

 

「追加の支給品、らしい。バリスタ用拘束弾だ」

「まぁ、(わたくし)たちがボックスを見た時には、このような物ありませんでしたわ!」

「これで、轟竜の拘束を頼めるか。一つは地面、もう一つは──」

「あの、高台のものですか?」

「そうそう、それそれ」

 

 この戦闘街を囲うように作られた石壁の上には、レールと弾薬庫、そして固定式のバリスタが配備されている。

 もう一つは、地上に設置された小型バリスタ。地面に埋められるようにして、射出の瞬間だけ顔を出す折り畳み式だ。

 

「拘束、とは……如何するおつもりで?」

「あのでかいのを、ぶち当ててやろうと思ってな」

 

 アルフレッドが親指で示す先には、天に聳え立つような黒い巨砲が佇んでいる。

 少女が見たいと言っていた、『巨龍砲』。

 

 

 ──そうじゃアルフレッド、これを持ってけ。

 

 ──何だこれ、でかい炭か? 

 

 ──火薬庫印の、副産製滅龍炭じゃ。巨龍砲の起爆剤となる。

 

 ──爺さん、これ……。

 

 ──もちろん、非公式じゃ。わしはあの事業に関わらせてもらえんかったからのぅ。が、きっとこれでも扱えるじゃろう。

 

 ──大丈夫かよ? 

 

 ──なぁに、撃っちまえばそれが公式か非公式かなんて分からんさ。それに、お前さんも気になるじゃろう? これの放つ、砲撃の威力が。

 

 

 あの悪巧(わるだく)みをするような老人の表情。

 ゴーグル越しでも、卑しい顔をしていたのは容易に想像できる。そんなことを考えながら、アルフレッドは歩き出した。

 

「地面に、大きく焼けた箇所があるの、分かるか?」

「……あの、撃龍槍手前の?」

「そうだ。あれが、試射した時に出来た着弾点らしい」

「ということは、巨龍砲はあそこに弾が届くということでしょうか?」

「そういうことになるな。だから、あそこでティガレックスを拘束してほしい! 頼んだ!」

 

 一点だけ、草も生えない不毛の部分がある。

 焼け焦げて、深く抉れたその部分こそ、巨龍砲の着弾点。巨龍砲は大きすぎるため、砲の旋回も射撃地点の調整もできないのだ。ただ一点を撃ち抜くだけ、しかしそれさえ通せば、あの轟竜も仕留められるだろう。

 ティガレックスは、起き上がった。

 その目は血走っており、とてもまともな状態じゃないことは見て取れる。

 

「お嬢様、上へ! 下は私が務めましょう」

「分かりましたわ! 気を付けて!」

 

 壁に張り巡らされた縄を登り、高台へと登るアルフレッド。少女もまた、後を追うように登り始める。

 一方、ティガレックスの前に立つのはセバスチャンのみ──。

 轟竜は、その鈍重な爪を振るう。目の前の小さな存在を、打ちのめそうと。

 だが。

 

「はっ!」

 

 彼は直撃の瞬間に、滑らすように盾を振るのだった。

 その滑らかな曲線の動きは、大柄な轟竜の腕であっても、軽々と受け流してしまう。

 全ての攻撃を捌き、顔に向けて刺突を放つ。そんな離れ業を前に、アルフレッドは感嘆するのだった。

 

「……すげぇな、あの爺さん」

「ふふん、うちのセバスは優秀ですのよ! 何といったって、古龍との交戦経験があるのですから!」

「……セバス? どっかで、聞いたような」

 

 聞き覚えのある名前だった。

 しかし、ゆっくりと思い出している場合でもなかった。

 高台の上を刻むレール。そのレールの上に佇む、移動式砲台。トロッコに大砲を取り付けただけの簡素なものだったが、アルフレッドはそれに乗り込んだ。道中の弾薬庫から引っ張り出した、三個詰めされた砲弾を押し込みながら。

 

「お前さんはバリスタを頼む!」

「分かりましたわ! 貴方も、しっかり狙ってくださいな!」

 

 トロッコの両端に備えられたスイッチは、その進行方向を定める物。

 アルフレッドは、左の物を勢いよく踏み抜いた。

 すると、ゴトンと重い音を立てながら車輪が動き出す。車体の下部から蒸気を噴き出させ、トロッコは走り出した。荒い作りのレールを走るそれは、大層乗り心地の悪いものだったが──。

 それでも、走りながら大砲の狙いをつけることは十分可能だ。

 

「食らいな!」

 

 大砲下部のスイッチを、勢いよく叩く。

 込められた三発分のそれが、瞬時に放たれる。轟竜の背中が勢いよく焼け、その衝撃に彼は腹を大地に擦り付けた。

 

「好機ッ!」

 

 晒された隙を狙い澄ますかのように、セバスチャンは槍を引いた。

 限界まで引き絞るそれは、さながら弓の剛射のよう。しかし、その筋力の弦は、うねるような螺旋を描く。乱回転した切っ先は、旋風の如き刺突を放つのだった。

 スクリュースラスト。ランスの奥義の一つである。

 

「……セバス!」

 

 しかしティガレックスは、怯まなかった。

 まるで痛みも何も、感じていないかのように。

 とうに自我も何もかも、失ってしまったかのように。

 全身を酷使した反動に苦しむセバスチャン。彼に、振りかざされる牙を防ぐ手段は、もうない。少女は、悲痛な叫びを溢しそうになる──。

 が、それよりも速く、超高速の一閃が走るのだった。その爆ぜる弾道が、ティガレックスを否応なしに怯ませる。痛みを感じずとも、爆破の衝撃には抗えないのだ。

 

「セレス! 間に合ったか!」

「へへ、お待たせ!」

 

 高台から狙いを定めていたのは、銀髪の狙撃手、セレス。アルフレッドの相棒だ。

 彼女の放った狙撃竜弾が、轟竜に無理矢理隙を晒させる。その隙に、セバスチャンはランスを背に戻して走り出した。地面に固定された、バリスタの下へと。

 

「さぁ、いよいよだ」

 

 固定式砲台は、とうとう巨龍砲の根元へと辿り着いた。

 到着と同時に、車輪が固定される。砲身は下部へ折り畳むように収納され、それが配送管の代わりとなって巨龍砲へと結合する。

 アルフレッドは、懐にある火薬庫印の滅龍炭を取り出した。

 

 ──新作の開発中に出来た副次的なものじゃ。が、きっと強いぞ。

 

 あの火薬庫の老人は、そう語っていた。

 新作とは、何だろう。

 彼が語るのだから、きっと素敵なものに違いない。

 楽しみだ。嗚呼、楽しみだ。

 そんな(はや)る気持ちを、(こぼ)れそうになる笑みを抑えながら、彼はそれを砲身の中に押し込むのだ。

 

「さぁ、これが俺の最高の竜撃砲だ。なんつってな」

 

 ゴウン、と音を立てながら、巨龍砲が動き出す。

 真上に聳え立っていた砲身が、ゆっくりと倒れていく。その照準は、確かに戦闘街の中心へと向けられた。

 

 

「あのモンスター……」

 

 射撃、躱すティガレックス。

 続けざまに射撃、横っ飛びで躱し、狙撃手に向けて走り出す。

 迫る絶対強者。それでもセレスは、冷静にスコープを見続ける。

 

「極限状態って話は、本当だったんだね……」

 

 遠撃弾でティガレックスの誘導をしながら、そんなことを呟いていた。

 

 ──極限状態だと、皮膚が硬化してまともな傷を与えられない。それに、猛攻を掻い潜るのは非常に危険だ。今は、抗竜石もないしな。

 

 変わり果てた市街地(ベースキャンプ)で、アルフレッドが語っていたことを、彼女は思い出す。

 極限状態のモンスターというのは、彼女は初めて見た。

 アルフレッドが言うには、ここ数年は確認されていなかったらしい。かつては、バルバレやドンドルマを(めぐ)って蔓延したことがあった、そうだが。

 そのため、抗竜石を持ち歩いているハンターは、今ではほとんどいない。故にアルフレッドらが今持つ効果的な手段は、この巨龍砲のみなのである。

 

「今だよ!」

「承知っ!」

「分かりましたわ!」

 

 セレスの声を合図に、少女と老紳士はバリスタを放つ。

 弦が激しく跳躍し、その拘束弾をまっすぐ、ティガレックスへと弾き飛ばした。

 セレスの放った遠撃弾を、避けながら彼女まで走ってきたティガレックス。しかし、それは着弾点へと誘い込むための罠だったのだ。

 その飛竜は、今不毛の抉れた地点で、ロープの付いた杭に射抜かれ、もがいている。

 

 皮膚に穴が空き、ロープが体を縫い付ける。

 動けば動く度に、その杭が体に食い込み、ロープが深く巻き付いた。

 

「――あばよ」

 

 アルフレッドは、発射台を踏み抜いた。

 直後、大気が爆ぜる。

 その瞬間に、ティガレックスと目が合ったような――そんな感覚を、彼は覚えた。

 

 軌道が焼ける。

 轟竜は、背後に跳ぼうと全身に力を込める。

 しかし動けない。

 避けれない。

 彼の眼前に、超質量の塊が迫っていた。

 

 

 

 音は、後から響いた。

 放たれた砲弾は、着弾と同時に炸裂する。それは巨大な火球となって、内包した龍属性エネルギーを吐き出すのだ。

 獄狼竜の素材と、滅龍炭を合わせたその威力は、如何に極限個体といえど防ぎようがない。

 あの硬質化した皮膚も、易々と打ち砕くのである。

 

 

 ○◎●

 

 

「……まるで、太陽が目の前にやってきたようでしたわ」

 

 火が収まった頃、少女はポツリとそう溢した。

 その焼け跡には、動かなくなった轟竜が、一頭。

 

「……仕留めましたな」

「対轟竜防衛作戦、これにて完了だよ!」

 

 最も近くでその光景を見ていたセバスチャンは、大きく息を吐きながら胸を撫で下ろし、セレスは狩猟完了の信号弾を空に向けて放つのだった。

 その光景を見ながら、アルフレッドは静かに座る。

 その表情は、どこか晴れやかだった。

 

「……っはぁー……良かった」

 

 先ほどまでの荒々しい世界が、嘘みたいに静かになる。

 しかし彼の心は、それ以上に大きなものに、支配されていた。

 

「巨龍砲、たまんねぇな。……あれが、これで撃てたなら」

 

 そう言いながら、彼は愛用する銃槍を撫でる。

 まるで巨木と枝ほどの差がある二丁の砲身だが──それでも銃槍は、持ち主の期待に応えるかのように、太陽の光を静かに反射させるのだった。

 




4Gの頃の狩りが懐かしいです。
ゴグマジオス、復活してくれないかな。WorldやRiseのような昨今のリアル調で、是非とも4Gをリメイクしてほしいなと何度も感じてしまいます。村々を転々としながら、その土地の人々の依頼を聞いて応える、これが一番私のやりたかったモンハンだなと、ずっと感じてしまうのです。村専属のハンターや新大陸調査のエリート集団、里の存亡を一丸となって守るというのも、楽しい体験でしたけどね。でも、心はずっと4Gを引きずっている気がします。
ところでサンブレイク、セルレギオス復帰が決まりましたね!叛逆銃槍ロドレギオンも帰ってくるのでは!?しかもしかも、サンブレイク版の彼のBGMに、一部ゴグマジオスのものがアレンジして入っているという…。これは、嬉しいファンサービスです。楽しみでなりません!
それでは、感想や評価お待ちしております。
閲覧ありがとうございました。
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