訓練を積み、対策を練り続けた日々。ついに対決の日となる
対決の場は屋内の訓練場
この対決の為に午前中は貸し切り状態。
最初に副隊長対決、少し時間を開け後半に変則タッグバトルの流れとなる
「休憩も有りますけど、半ばイベント化してる‥」
事前に配布されたプリント片手に半ば呆れ気味に呟く海漓、半ば私的な理由で始めた事がここまでの大事になるなど予想外。イベントの多さも神庭の売りだがまさか模擬戦までもがイベント化するとは海漓の頭をもってしても予想する事は出来なかった。
「見学は‥任意‥でも‥興味ある子は‥沢山いる」
「そりゃ実績十分のグランエプレに喧嘩ふっかけたなんて前代未聞だし」
見学は強制ではない。見に来るも自由、見に来ないも自由。来ない事で何か不利益を被ることもなければ、来たからといって利益を得られる訳ではない。単純な興味という理由で見に来る者は多い。
リリィとしてもレギオンとしても実績十分の存在に半ば喧嘩をふっかけたのだ。仕掛け人は元グランエプレであの天野天葉の妹ともなれば嫌でも注目が集まってしまう
「放送用のカメラまで用意して本格的だな‥今中に居るのは在校生の一部と中等部か?」
「そうだねー、在校生は教室のテレビで見る子が大半じゃない?」
玲奈と春音の3年生2人は訓練場を見渡す。2階の四角にはカメラが設置され、校内に中継される形をとっており今会場にいるのは当事者の他では一部の在校生と中等部のリリィだ
「え?中等部?」
「来年のグランエプレ候補生じゃないかな?
‥良い所見せればこっちに入団希望出してくれるかもね」
「あぁ、そう言う‥(何処もやってるんだな)」
今いるのは中等部3年生の中でも成績上位者。俗に言うグランエプレ候補生が大半。中等部生からすれば先輩達がどんな戦いをするのか。戦いを間近で見れる貴重な機会。逃すはずが無い
グランエプレ目当てで来たであろう彼女達の前で
「驚か‥ないの?」
「
相模だって模擬戦の見学の他にも戦場に随伴させたり、訓練混ぜたり色々あったよ」
中等部が高等部訓練や模擬戦を見学する事は珍しい事ではない。特に3年生ならば来年、高等部へと進級すれば自分達の先輩となる人物であり、仮に同じレギオンに入れなくとも戦場で共闘する機会は必ずある。どういう戦いをするのか、今後の自分達に必要な技術は何かを考えさせる貴重な機会
相模女子は中等部3年にもなると一部のリリィは高等部の戦場に随伴する形で連れて行くこともあり海漓もその一員として遊糸達について行ったことがある‥相模女子の場合、一時期随伴ではなく主力として海漓を筆頭に現高1世代を投入していた事もあるがそれは別の話
「後輩も見てるし勝って勢いつけたいよね〜」
2階席にいる海漓達を他所に、副隊長を務める祥枝は右手にみずからの愛機であるクリューサーオールを持ち準備万端。
軽くジャンプをしいつでもいけると言わんばかりの動きを見せる
「(慢心して負けるも恥ずかしいけどー、可愛い中等部生の前で一方的に叩き潰すのも多分良くないし、うーん。よし、こうしよう)」
相手が後輩だから、高等部からリリィになったから。そんな理由で慢心し万が一にも負けたら恥ずかしい事この上ない。かといって文字通り何もさせず一方的に叩き潰してもそれはそれで良くない筈だ
「さて、副隊長さん準備は良い?」
「はい!」
「ならばよし」
姫歌もやる気十分、いつでも来いと言わんばかりの対応だ。ネストの勝利に限らずグランエプレで積み重ねた日々が彼女の自信を後押し。向こうは向こうで何らかの対策、訓練はしてきていると祥枝は予想する。
「さて、対人戦。そして貴方はアイドルにして後輩
ならばしっかりと見せ場を与えなきゃね」
「は?」
だからこそ祥枝は後輩の積み重ねた日々の成果を発揮する機会を与える。更に姫歌はアイドルを自称するリリィである事も把握している。
ならばこの戦いは彼女にとってもステージ。そして、ステージに立つ以上、主役である姫歌にだって見せ場は必要だ。歓声を浴びる権利はステージに立つ者に平等に与えられる
「5分間、私は貴方に一切攻撃しないから
頑張って攻めておいで」
5分間、全ての攻撃動作を放棄、先に攻めて来いと言わんばかりの物言いに加え、左手の手の甲を姫歌に向けクイッと動かし、さっさと来いと言わんばかりの態度を示す。
「このっ!!馬鹿にしてっ!!」
分かりきった挑発に乗ってしまい、CHARMを構え一直線に向かう姫歌。
戦いの幕が開いたのだ。
「あーぁ、定盛ちゃん。あんな分かりやすい挑発にのってるよ‥」
「猪突猛進、強気のスタイル。姫歌ちゃんの良い所ですし、AZとしても必要な要素ですが‥」
繰り広げられる状況に口を開くのは海漓と藤乃。一連の流れは誰が見ても祥枝の挑発。ムキになり向かって行った時点で彼女のペースに乗らされたも同然
悠夏の時にも海漓は姫歌に対し言ったが彼女はどちらかと言うと気性が荒いリリィ。常日頃から他人に対し当たりが強い事は無いが都合の悪い事や気に障ることがあると感情的に動く事が多い傾向がある。
そんな性格はマイナス面ばかり際立つがAZとして見るならば敵に対し恐れず向かい強気で戦う事に繋がる為、必要な要素だ‥必要なのだが
「あのハイペースだと5分で決めなきゃ負けですよ、分かってるんですかね?」
「普段なら悠夏ちゃんや灯莉ちゃん、紅巴ちゃんのフォローがあってこそですが
今回は正真正銘、姫歌ちゃんのソロライブ‥どうなるでしょうか」
祥枝の挑発に乗せられたのか、相当なハイペースで攻め続ける姫歌。海漓の見立てでは文字通り5分で決められなければ姫歌の敗北だ
普段であれば姫歌がハイペースで攻めようとも悠夏が静止しつつ隣に立ち援護、隙を見せれば灯莉や紅巴が助ける。
藤乃の例えは的を得ており姫歌のソロライブ。楽曲からセトリ、会場の演出まで誰の手も借りず一人で成功させなければならない。
姫歌1人で強敵をどう撃破するのか、自分で考えながら戦わなければならない
「このっ‥!!」
「(うーん)」
海漓達の考えを他所に姫歌はひたすら攻め続ける。CHARMを上下左右に振り回し、時折突きを織り交ぜる。
そこらのヒュージ相手ならば通用し蹴散らす事が出来るであろう一撃の数々も祥枝は全て余裕を持ち回避する。CHARMを使い防ぐ事は無く、繰り出される一撃をひたすら回避。
「(単調な攻撃だなぁ、しかも分かりやすいし)」
姫歌が繰り出す攻撃に対し油断は無い。刀身に安全カバーを装着しているが当たれば痛い。
だが繰り出される攻撃はすべて単調、駆け引きも何もなくただ攻撃しているだけ。しかも日頃から目立つ事を意識している故か攻撃の動作一つとってもかなり大きい
姫歌の視線、身体の動きに注目すれば簡単に回避できる。
「(そもそもレアスキル使ってないよね、この子。覚醒してるはずなのに)」
繰り出される攻撃を全て回避しているがこれもおかしな事なのだ。
彼女のレアスキルはこの世の理。その能力は力の方向性を目視できる範囲内で察知する事
主な仕様目的は防御、回避だが攻撃に応用する事も十分に可能なレアスキル。簡単に姫歌の攻撃を回避している事がおかしいのだ
技量の差を考慮しても苦戦、もしくは防御の選択肢を取らせる位の事は出来るのだ
そしてその異変は見学している海漓も察知していた
「(定盛ちゃん、そんな所まで真似しなくても)」
彼女がレアスキルを使わずに戦っている事に一部のリリィは勘付いているがそれが作戦なのか、使わない方針なのかは分かっていないはず。
海漓の見立てではおそらくだが姫歌は故意に使っていない。使えないのではない。現に春先、まだ結成して間もない頃の姫歌はレアスキルを使いながら戦っており、それは灯莉や紅巴も同じであった
日時が経つにつれレアスキルの使用に消極的になり己の技量での戦いに変わっていったのだ
「(レギオン同盟や新宿事変がターニングポイントだったかな…)」
レアスキルを使わずとも個々の技量の高さと連携技で圧倒的な強さを誇る叶星と高嶺。そして同盟先の一柳隊とヘルヴォル。この2レギオンを見ても例外なのは一柳梨璃ただ一人。彼女を除き大半がレアスキルを使わない戦い方が主
房総半島での共闘でも御台場勢はレアスキルの使用ナシ。同盟、共闘先で才能と力に恵まれた優秀なリリィを多く目撃し色んな事を学んだ筈だ。
その中で本当に強いリリィはレアスキルを使わずに戦うと学び、自分達も強くなる為にそのような戦い方に切り替えたのだろう
生徒会との再編成を迎えても藤乃以外は原則レアスキルを使わずに戦う者が大半なのだ‥考えが正しいと思い込むのも無理はない
「(真似するの間違ってないんだけど、例外ってか参考にしちゃ駄目というか…)」
強くなる為に真似をする。それ自体は間違った事では無い。彼女達は非常に恵まれている。誰かの戦い方を真似したり参考にするのは自由だ
だがここで注意しなければならないのは、関わった者たちはリリィとして上澄みに属する者たちばかり
海漓からすればそんな上澄みのやり方など参考に出来るわけがない‥何より
「(レアスキル自体効果がバラバラだから一概に真似出来ないんだけどな‥仮にも一時期司令塔目指してたのに)」
レアスキルの効果は様々で中には使用する事でデメリットが生じるスキルも存在する
グランエプレならば紅巴、悠夏、鈴夢が該当し彼女達は温存もしくは切り札として切るのが正解。
だが姫歌は違う。使用する事で何らかのデメリットは生じない‥何より彼女はAZになる前はTZで司令塔を目指していたはずだ‥自身と味方のレアスキルの特性や使用法は学習していたと思っていたが‥違ったのだろうかと思ってしまう
「(そろそろかな)」
海漓の思いなど知らず、姫歌の攻撃を避け続ける祥枝。左手の腕時計に表示された時刻を見ると期限が迫っている
「そろそろ5分たつけど、次がラスト?」
「このおおぉっ!!」
振り下ろし、流れで横に薙ぎ払おうとその一撃は決して届かない。
真っ向から挑み攻め続けようが一切通用しなかったという事実が姫歌に伸し掛かる
そして、ついにその時がくる
「やああっ!!」
「はい、5分ね。」
時間切れ寸前、渾身の力を込め振り降ろした最後の一撃は祥枝がこの戦いで初めてCHARMによって防がれる
姫歌は両手持ちに対して祥枝は右手一本で持った上で受け止め、びくともしない
「初心者でつい最近AZに転向したっていう事を考慮したってちょーっと軽くない?」
「何をっ!?」
「ちゃんとマギ込めた?そもそも体重移動もバラバラだし、ペース配分もデタラメじゃん」
空いていた左手をCHARMに移しクリューサーオールを両手で持ちながら呆れ気味に告げる
姫歌の事情は祥枝も分かっている。この程度の事など海漓に聞かなくとも注目を集めているトップレギオンの副隊長。調べようと思えば簡単に調べられる
リリィとして入学し直ぐにトップレギオンに選ばれ多くの戦いを経験、そして1年未満でポジションの転向だ、精度を高める事なく今に至ってしまった事は十分承知している
「(感覚も掴めてないよね、コレ
スコアを上げることには注視してるんだろうけど)」
恐らくマギが通る感覚や戦いでのペース配分を掴めていない。配備されているシュミレーターではそんな事は表示されない。標示されるのは撃破の有無だけ。しかも姫歌の放つ一撃は雑であろうとスモール級ならば撃破は可能な為、それが問題とすら思っていない。
撃破スコアやタイムの結果に一喜一憂し、戦闘の内容は殆ど無視。単独ではなく常に仲間と訓練している事で隙は埋められる。それでここまで来たのだろう
「(隊長だって一杯一杯だし手が回らないよね‥条件だけならかなり厳しかったよ)」
再編成前のグランエプレにおいて海漓が1年生の中では唯一の経験者。指摘していてもおかしくはないが、隊において指導を担っていた叶星と高嶺に気を使い言えなかったのか、指摘しようにも古巣と違いリリィの自主制を尊重する神庭でどのように指摘していいか分からず戸惑いもあったのかもしれない。
何より海漓自身も鎌倉から東京に来たばかり。戦う環境が代わり頼れる人物がいない中でレギオンの戦闘スタイルも従来の方式から最新式へと変わってしまった。環境に慣れること、可変フォーメーションへの対応とやる事は多岐にわたっていたのだ
「(春先からガンガン出てたし‥ちょっとね)」
グランエプレは訓練の日数が浅くても実戦投入。当時の海漓はAZとして未経験者へのフォローも担っていた‥そんな中で1年生全員の技術指導も率先して行えなどはっきり言って無理難題。
何より可変フォーメーションに必要な技術など海漓は知る訳が無い。相模女子は固定式なのだから
だからこそ叶星と高嶺が担わなければならない。簡単な基礎は教えたかも知れないが細かい所や応用は教えずほぼ放置していたのだろう、何より
「(グランエプレはこの手の訓練と模擬戦はしてないって言ってたし‥そもそも気付けないよねー)」
これは海漓から聞いたことだがグランエプレは対人での訓練、模擬戦はやっていないし提案は拒否されていた。マギの込め方が甘いなど実際に対峙し刃を交えないと分からない。交えれば一発で気付けた筈だ、そのぐらいの技量と知識はある
でなければ模擬戦で藤乃の連撃を防ぎきれる筈がない
「さて、今度は私のターン
ちゃんとやらないと…どうなっても知らないからね」
姫歌の一撃を受け止めていた彼女は軽くステップを踏み、数歩後退
「(流石に防ぐか避けるかはするでしょ、後はしーらない)」
わざとらしく機体を身体の横に持っていくと、左足で地面を力強く踏みだすと同時に一気に加速姫歌と距離を詰める
「おっりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
大げさすぎる程の動作で大きく横に薙ぎ払う
「…ッ!!」
姫歌とは比べ物にならない速さと鋭さ、そして自身の体重とマギを十分に込めたCHARMによる渾身の一撃。姫歌もCHARMで受け止めようとするがマギも籠もっておらずその一撃をまともに受けた結果彼女の体は後へと大きく吹き飛びそのまま壁へと叩きつけられてしまう
大きな衝撃音が鳴り響くと同時、そのまま床に崩れ落ちる。気を失ったのか機体も手から離され、装着されていた安全カバーは粉々に砕け散り刀身がむき出しになっている。
「は?‥え、ちょっと、何やってんの?」
その光景に会場の空気が凍り、一撃を与えた張本人ですら呆然とした表情で声を絞り出す
まさか回避や防御すらまともに行えないなど思ってなかった
「ちょっと、何してんのあの子!?」
「祥枝、本気で打ち込みにいったね」
見学している者を中心に辺りは騒然となる。模擬戦で繰り出された光景ではない。現に姫歌の周囲にはグランエプレの面々の他に教導官が数名集まっている
数名の教導官から祥枝は怒られているが当の本人は悪びれもなく軽い口調でやりとり
そんな事を続けている内に姫歌は意識を取り戻し叶星達に連れられ一度訓練場を後にする
姫歌が立ち上がった事で祥枝も解放され海漓達がいる2階席へ、マギを利用した跳躍で飛び込んでくる
「よっと」
「お疲れ様‥です?」
「大して疲れてないけどね」
労いの言葉をかけるも、特に疲れていない為素直に受け取るべきか悩む祥枝
流石に一撃で終わるとは思っていなかった。
余りにもあっけなく終わってしまい、時間だけが経過。暫く経った後に叶星達が訓練場へと戻って来る。
つまり自分達の番が来たことを意味する
「隊長、私勝ったからねー。続いてよー」
サブリーダーの祥枝が励まし隊の皆も後に続く。期待以上に興味、関心が強いのは伝わってくる
「(これ私が負けたらめっちゃダサい)」
あれだけ偉そうな事、強気な事を言っておいて叶星と高嶺に負けようものならダサいことこの上ない。
さらにはサブリーダーは文字どおり瞬殺で勝ちを拾ってきたのだ、仕掛け人としても、隊を率いる隊長としても負けるわけにはいかないのだ
さらに、だ
「おっしゃぁ!ギリ間に合ったわ!!」
「開始が遅れたことに感謝ッスね」
どういう訳か魅夢と舞弓まで来る始末
何故?というのは終わってから尋ねることにしよう。そう海漓は判断する
「あ、勝敗は相模に報告する事になってるッスよ〜」
「余計なプレッシャーかけんな!!
勝っても負けても何か言われるやつじゃん!!」
何故戦う前に言う必要があるのか
勝てば『強いリリィと組んだんだからもっと楽に勝て』負ければ『何負けてんだ』等々言われるに決まっている。言うのは遊糸を含め上級生だが
「何度も駆けつけてくれるなんて
強い絆で結ばれているんですね」
「まぁ、色々ありましたからね」
絆と言えば絆だろう。相模で苦楽‥主に苦ばかりだが経験すれば自然と培われる絆の形もある
叶星や高嶺、御台場の絆とはまた違うのだ
「2人は置いといて、藤乃さん。
打ち合わせ道理にお願いしますね」
「はい。」
何故2人が来たのか、他にも相模の関係者が来ているのか。分からない事は多々あるが気にする余裕は無い
最後の確認を藤乃と行う。この一週間、訓練と対策は練ってきた‥藤乃としては不本意かもしれないが打ち合わせ道理の動きを依頼。
元より藤乃はそのつもり、断る理由など無く破るつもりもない
「後、どうしても分からなかった部分は‥」
「私も打ち合う中で気にかけてみます。
それがわかったら詰め、ですね?」
「はい。何とかそこまで持っていきましょう」
叶星と高嶺を攻略するにあたりどうしても分からない、気になる事が一つだけある。それは違和感や疑念の域を出ず、最後の一手を躊躇う事になる
戦いの中で判明させる事が出来たのならば勝利に向けて詰めていくだけだ
「(海漓ちゃんから言われるまでは気づきませんでしたが‥確かにおかしな事、ですからね)」
訓練し、共に策を練る中で聞かされた海漓の話。それは藤乃としても初めての内容
彼女に限らずほぼ全てのリリィは叶星と高嶺の連携はある種の芸術。付け入る隙など何も無く完璧と言う認識だったが、海漓が感じた疑問を聞かされれば藤乃にも心当たりはあるのだ
「(それが事実ならグランエプレの前提が壊れてしまいます‥私としても突き止めなければなりません)」
疑念、違和感の元になっているのは叶星ではなく高嶺。
海漓も『気の所為ならそれで良いですけど、どうしても気になった』と言うが指揮采配を得意とし、相模女子で実績を上げてきた彼女が感じるならばそれはほぼ当たりに近い。後は決定的な証拠をこの戦いで掴むだけ
それはグランエプレの今後にも関わる重大な問題なのだ、藤乃も見過ごす訳にはいかない
2人の思いを他所にいよいよその時がくる
叶星、高嶺と海漓、藤乃による変則タッグバトル。
「さっさと始めましょうか
確認ですが勝てば約束通り権限の一部を私達に
負ければ今後貴方達に文句も何も言いません。」
「本当に良いのね?」
「えぇ。私、二言みたいなダサいことはしないタイプなんで」
本当に良いのかと問われるが、彼女の決意は変わらない。やっぱり自信が無いから止めてくれなんて情け無い事はしない
なにより、生徒会長の権限の一部を賭けた以上、この程度の障害すら乗り越えられない者に担う資格は無いのだ
「藤乃さん、改めて貴方の力借してもらいます。どうか宜しくお願いします」
「お任せください。1週間の頑張りと用意した策が無駄では無かったことを一緒に証明しましょう」
藤乃がペアになったのは海漓としても本当に想定外だったのだ。用意した策も彼女の技量を信じた上での物が多い。勝つために使える物は使う、それが例えリリィであったとしても。そんな海漓に嫌な顔一つせず協力してくれたのだ。戦いの前とは言え改めて伝える位の礼は尽くす
そんな言葉に任せろと、僅か1週間と言えど2人を倒す為に訓練、策を用意したのだ。特に自分から2人の事を話した事は無かったし裏工作もしていない。2人を相手にする以上、藤乃もまた海漓の力が必要だ、優れた技量を持つ藤乃と言えど叶星と高嶺の2人を同時に相手し勝つなど不可能だ
文字通り一緒に戦わなければ勝てないのだ
「(さて、何処まで通用するかな)」
色々と策は練り、訓練も重ねた。しかしこれから挑む相手はあの初代アールヴヘイムと同等と呼ばれた船田予備隊に在籍した2人
船田予備隊は知らないが、鎌倉に限らず初代アールヴヘイムを知らない者はおらず、所属した者全員が文字通り規格外のリリィ
そんな彼女達と同等を掲げたのが船田予備隊であり所属した叶星と高嶺
そして叶星は司令塔を務めていた事を考えると頭脳は初代アールヴヘイムにおいて司令塔を務めた者と同格であると海漓は想定する
「(名前や肩書に負けるのは良くは無いけど、無視は出来ないからな)」
名前や肩書を恐れ萎縮するのは良くないが決して無視できる物では無い。
かなり大げさな事を言うと海漓は対アールヴヘイムを想定するレベルの作戦を立てたのだ。仮に行ったとて簡単に蹴散らすのが初代アールヴヘイム、そして司令塔。だが、そのぐらいの精度と徹底的な事をして戦うつもりなのだ
真っ直ぐに2人を見つめ、戦いに挑むのだ
Q海漓ちゃん初代アールヴヘイムと戦うつもりだったん?
→初代と戦うなら私はこのぐらいの事しないと(しても)戦えないよな、戦いにならないよな、って言う妄想、憶測
中等部だしそのぐらいの夢とか妄想はゆるして?
司令塔だし、自分だったら〜的な事考えちゃうやん?知らんけど