Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

103 / 107
第103話

 

訓練場に設置された時計の針が進む音が鳴り続ける。

戦いの時が迫っている事を皆が察し、室内全体が静まり返る

 

針の進む音以外が消え数秒。海漓は一つ深呼吸。心を落ち着かせ、倒すべき敵を視界に捉え、機体にマギを込める。

 

「藤乃さん!お願いします!!」

 

「はい!!」

 

海漓の一声と同時、藤乃が先陣を切り2人に向かう。変則タッグバトルの幕開けは海漓達の先制攻撃で始まる

 

「高嶺ちゃん!!」

 

「えぇ、行きましょう」

 

藤乃の突撃を確認すると同時に2人は素早く横に離れ距離を取り、前進。迫り来る藤乃を無視し海漓へと向かう。

 

「(やっぱりそっちを選ぶか!!)」

 

「(海漓ちゃん、少しの間頼みましたよ)」

 

藤乃を突撃させ相手の出方を伺う

これは事前に用意した策。2人が自分と藤乃のどちらを優先して狙うのかそれだけは事前に予想する事が出来ない

叶星と高嶺の最大の特徴であり武器は芸術的と言われる程の連携だ。

この戦いでも2人(叶星と高嶺)は2対1に持ち込み戦う事を海漓と藤乃は予想していた

問題はどちらか片方を優先して狙うのか、同時に相手し適度に狙いを切り替えながら戦うのかが分からなかった事

 

「(理由はともあれ私なのが分かったのは収穫)」

 

故に海漓は開始直後にあえて藤乃を突撃させた。

藤乃を優先して狙うならば挟み込めばいい、海漓ならば藤乃を無視し前進するだけ。2つの選択肢がある中で後者を選んだ。この後に何が起こるのか、それは簡単な事だ

 

「(来る‥!!)」

 

叶星と高嶺による連携攻撃。

正面から叶星による突撃、その一撃を受け流し後退するが、

 

「(後ろ‥!!)」

 

殺気を感じ、叶星の連撃をやり過ごしながらも僅かに視線を後ろに向ければ既に高嶺が背後に回り込みリサナウトを振り下ろす寸前。

 

「(間に合うか‥!?)」

 

左足を軸に90度反転、足裏にマギを集中し高速で床を滑る形で素早く後退するが高嶺はリサナウトを振り下ろし、そのまま切り返しとばかりに海漓を追撃。今度は下から上へ斜めによる切り上げの一撃を放つがそれも更に後に下がる事で回避。

しかし、回避先を読まれたのか既に叶星は攻撃態勢を取り、高嶺も追撃態勢に移っている

 

「(マジで?‥しゃーない)」

 

回避しても回り込まれ追撃の嵐。ならばと海漓は両手に持った機体と両足にマギを込める

イメージするのは地面に突き刺さるスパイク、植物の根。しっかりと足を固定し叶星、高嶺同時に振り下ろされる一撃をCHARMを使い真っ向から受け止めた事で鈍い衝突音が室内全体に鳴り響く

 

「嘘っ!?」

 

「止めたっ!?」

 

叶星のクラウソラス、高嶺のリサナウトによる一撃を海漓は受け止める。自身を挟み込むようにして放たれた一撃の為、文字通り片手一本づつで受け止める形になる

 

「‥ッ〜!」

 

攻撃は防げても受け止めた衝撃を殺す事は出来ず独特な痛みが全身を貫くが声を押し殺し耐える海漓

重く鋭い一撃ではあるが武器を手放す程ではない

 

「(こんなんで倒れたら怒られるって‥叶星さんはともかく高嶺さん、軽くね?)」

 

相模時代は教導官や上級生、力自慢の同期たちの一撃をこれでもかと叩き込まれ続けたのだ‥この程度で倒れる程海漓はヤワでは無い

一つ気になるのは高嶺は使う機体の割に一撃が軽いと感じた事か、手を抜く理由は無いはずだが

 

「お待たせしました。」

 

海漓が稼いだ一瞬は藤乃が駆けつけてくるには十分な時間。彼女は高嶺に狙いを定め近接戦を仕掛ける

 

「お邪魔虫の退治と行きましょうか〜」

 

「なんですって?」

 

本来は海漓と叶星の決闘。口を挟んだ高嶺はお邪魔虫。退治と言わんばかりの口調だ

 

「高嶺ちゃん!!」

 

「敵から目をそらすなって言う基本すら御台場では教えないんですか?」

 

高嶺を引き離してくれたお陰で海漓は叶星との1対1の状況に持ち込む事が出来た。海漓の技量ならばどうしても後手、守りから入るのが基本だが今の叶星は攻撃を防がれ、更には高嶺と引き離された事で心身ともに僅かな動揺、隙が生じておりそこを逃す海漓では無い

剣と斧、変則二刀の連撃を叶星に叩き込む‥が

 

「そんな攻撃で‥!」

 

「ですよねっ!!」

 

海漓の攻撃は全て躱されてしまう。叶星から見ても彼女の連撃も決して遅くは無いが御台場女学校のリリィ、自身が所属した船田予備隊、共闘した現トップレギオンの面々と比べられると大した事は無い。

故に余裕を持ち対処し海漓とは違い攻撃を掻い潜りながら直ぐ様攻めへと切り替える

 

「こっちの番よ!!」

 

「(やっぱ真っ向じゃ無理か‥!)」

 

お返しとばかりに今度は叶星が攻め手へと回る。海漓とは比べ物にならない攻撃の速さと鋭さを備えた攻撃数々。その全てを海漓は回避と防御でやり過ごす。

連携が無くとも叶星と高嶺は強い。そんな事は分かっている。

 

「やっぱ切り替えされるよねー」

 

「先程もそうですがそれでも崩れませんわね、彼女。」

 

2階席で戦いをみつめる防衛隊や相模女子の面々。祥枝とは打って変わって激戦。互いの立ち廻り、動きをみた中で率直な感想を言うのは祥枝と林乎の2人

案の定と言うべきか、海漓から攻めても決めきれず切り替えされる。しかし連携、単独問わず繰り出される攻撃を相手に一歩も引かず崩れる兆候すら見せず防ぎ続ける海漓は見事としか言えない

 

「あんな事出来るの?」

 

「ちゃんと‥込めれば‥防げる

あのハイスピードで‥完璧に‥するのは‥技量が‥いるけど‥」

 

海漓の行っている事は特別な事ではない。マギを込め、相手の攻撃を防ぎ受け止める、受け流すを状況に応じて適切に繰り出す。先の戦いで姫歌がやらなければならなかった事だ。

それは薫を筆頭に生え抜きならば誰もが分かっている事で理論だけならばここにいる皆が出来なければならない事だが、それを叶星が高速で放ち続ける攻撃に合わせ完璧に防ぐには相応の技量が求められる

 

「(一体何を考えているの?)」

 

海漓と打ち合いながら叶星は冷静に考える。戦巧者と言われる藤乃と連携せずに各個撃破を行う方針は誤りではないが理解出来ない

 

「(高嶺ちゃんに藤乃さんを当てる判断も間違いじゃないけど‥高嶺ちゃんだって戦えるのよ?)」

 

技量、マギの保有量を踏まえ高嶺に藤乃を当てる理由も分かる。

マギの保有量に不安がある高嶺相手に長期戦を仕掛け文字通り磨り潰す算段なのかもしれないが、彼女だって相手の狙いが磨り潰しだと分かれば節約しながら戦う位の判断は出来る。これだけ露骨に仕掛けてきた以上、高嶺は節約しながらの戦法に切り替えている

何より、だ

 

「(貴方のマギ事情が苦しい事は忘れてないわ)」

 

マギの保有量で苦しいのは海漓も同じ。彼女の保有量は平均よりも下でグランエプレでは圧倒的に最下位だったのだ。マギの保有量で言うならば初心者である姫歌達3人にすら劣る。

それを技術で補っているだけで、時間は彼女の味方ではない。今こうして自身と打ち合い続ける事で追い詰められているのは彼女なのだ

 

「(ここまで耐えるのは予想外だったけど‥どの道貴方に勝ち目なんて無いわ)」

 

海漓の防御の上手さは叶星にとって予想外。連係の揺さぶりも正面からの攻めも防ぎ切るのは見事としか言えないが守ってばかりでは意味が無い。藤乃と言う強力なリリィを助っ人に入れておきながら活かさずに自身を単独で沈めようなど愚の骨頂である

 

「(1対1なら分からなかったわね)」

 

1対1ならばまだチャンスがあったかもしれないし、勝算があったから挑んできたのだとここに来て叶星は思う。しかし今の自分には高嶺が居るのだ、決して負ける事は無い

 

「(くっそ、しんどいな)」

 

叶星の攻撃を耐えている海漓は内心で悪態をつく。放たれる攻撃は全て鋭く少しでも気を抜けば一瞬で敗北に繋がってしまう一撃の数々。マギ以上に心身の消耗が激しい。制服の下では汗がへばりつき独特な気持ち悪さが彼女を襲う

 

「(まだ音を上げる程じゃない)」

 

確かに激しいが音を上げる程でもなければ負けるような一撃を受けるような事は無い‥そう思っていた時だった

 

「海漓ちゃん!!」

 

「…!(んなっ!?)」

 

藤乃の声と同時に自身に迫る高嶺の気配。横に視線を向けると高嶺がすぐそこまで迫っておりリサナウトを振り下ろす動作に入っている

 

「(いつの間に!?)」

 

ほんの一瞬、藤乃がいたであろう方向に視線を向けるが彼女は武器を手放した訳でもなければ地面に膝をついた訳でもない。つまり藤乃は敗れていない

高嶺は藤乃を強引に振り切り海漓へと向かった事になる

 

「(普通に受け入れてるし‥何らかの合図が出た?)」

 

当たり前だが叶星は驚かずそのまま連携攻撃へと移行している。2人にしか分からない合図が出た可能性は大いにあるが、それがなんなのか彼女には調べる術が無い

 

「(藤乃さんが来るまでなんとかするしかないか)」

 

突然の出来事で藤乃は出遅れ、暫くの間連携に耐えなければならない。自身に出来るのは仲間(藤乃)が来るまで耐える事

 

 

「(防御‥は間に合わない‥なら!!)」

 

目下最優先の課題は連携への対処

直ぐに叶星との切り合いを止め高嶺の攻撃を回避する。今から防御してはマギの注入が間に合わない。

後退し回避するも、高嶺が構え直す時間を稼ぐように叶星が追撃を行う

しかも、だ

 

「(さっきよりも、速い!)」

 

先程の打ち合いよりももう一段階スピードを上げてきた、クラウソラスの軌道を読み回避するので精一杯、更に攻撃を回避すれば回避先を読んでいたかのように高嶺のリサナウトによる横薙ぎが放たれ、防ぎきれずに受けてしまう。身体に直撃する訳には行かないため咄嗟の判断でリサナウトと自身の間にCHARMを挟み最低限の防御は行う、が

 

「いったぁ‥」

 

完全には防ぎきれず後に吹き飛ばされてしまう

膝をつけば負けの為、空中で体を捻り体勢を立て直す。

着地後も叶星と藤乃は円を描くような立ち廻りで海漓を包囲網の中に閉じ込め高速移動をしながらの一撃離脱の繰り返しで海漓に攻撃を与え続ける

 

「(まだ沈むか‥!)」

 

それでも海漓は沈まない。虹の軌跡の未来予知を用いて攻撃を凌ぐための最適回に辿り着く為の手助けを受けた事で放たれる攻撃を防ぎ、受け流し続ける

耐えながらも叶星と高嶺を見失う事なく常時視界に納められるように立ち廻り死角から不意打ちされる可能性を潰す

 

「大人げないとは言いませんが‥

無視は寂しいですね〜(仕掛けるならこのタイミングですね)」

 

ようやく藤乃が海漓を助けに入る。先程までの流れならばここで高嶺を抑え込みに入るがここで藤乃は叶星を狙いに行く

 

「(私のタイミングで叶星さんに仕掛ける、さてどうなりますか)」

 

これは準備期間の間に海漓が建てた作戦の一つ。藤乃のタイミングで一度叶星に対し攻撃を仕掛けること

海漓からの合図は無く、仕掛ける際も自身に合図を出すことなく俗に言う臨機応変な対応をした体で仕掛けて欲しいと言われていたのだ

 

『私や藤乃さんの合図は多分‥いや確実にバレます。それなら最初からやらない方が良いって考えてるんですが

‥どうでしょう?』

 

海漓と藤乃による合図を連想とされる仕草は2人であれば全て見抜くだろう。

見抜かれるぐらいからば始めから出さない、グランエプレ風に言うならば藤乃による臨機応変な対応を行った風に見せかけた形による奇襲をかける算段を海漓は建てた

 

『それは構いませんが‥本当に私のタイミングで良いのですか?』

 

『えぇ、構いません』

 

海漓が望むのであれば藤乃はその通りに動く、臨機応変な対応だって可能だ

しかし、それで良いのかと尋ねる。自身のタイミングが最優先なら海漓のフォローは行えない可能性だってあるが、そんなのは問題にすらならない。

タイミングを掴むために自身を囮に使っても構わない位の覚悟を海漓は持っている

楽に勝てる相手ではない。相応のリスクを背負わなければ戦いにすらならないのだ

 

「(そこまで覚悟決められたのならば応えなくては先輩失格ですからね〜)」

 

勝つ為に、結果を出す為に覚悟を決めているのであれば応えなくては先輩としても仲間としても失格だ

だからこそ、藤乃は仕掛ける。海漓に集中砲火を行なっていることで生じた叶星の隙と仕掛けられるタイミング

 

「させない!!」

 

しかし、その行動は高嶺により防がれてしまう。今まで海漓を攻め立てていた彼女は叶星の危機を察すると即座に攻撃を中止、彼女のフォローに回る

高嶺のリサナウトと藤乃のクリューサーオール、グングニルカービンが衝突する鈍い音が鳴り響く

 

「駄目ですか〜(やはり通りませんね)」

 

タイミングは完璧だったが防がれてしまう。実戦でもよくある光景の為、藤乃も覚悟はしていたが改めて目の当たりにすると厄介極まりない

 

「そんな事、私が許す訳ないでしょう?」

 

「(騎士気取り、けど‥そっちを偉ぶって分かったのは収穫)」

 

叶星には指一つ触れさせない、そう言いたげだな立ち回り。お姫様を守る騎士の姿そのもの。だが海漓とすれば模擬戦でもその立ち回りをすると言う事が分かっただけで十分だ

 

「(模擬戦でも叶星さんを守る‥スパルタは無いな)」

 

今の行動、その真意は叶星の危機にどうするか、だ。決戦ではあるが最低限のルールを設けた模擬戦だ。過度に守る必要はない。模擬戦なのだから、と叶星へのフォローをしない事もあり得た。そんな中でも叶星を守る事を選び、それを受け入れた

これは今後も同じという事。先の狙いも今の不意打ちも海漓の与えた選択肢に対して自分達が選んだ形だ

余談だが藤乃を狙おうと、叶星を見捨てようと海漓はどっちでもよかったのだ‥其の為の策も用意していた

 

「(海漓ちゃんの話を聞いてから改めて目の当たりにするとおかしな事ですね)」

 

何も知らなければ、ただの連携。それで止まってしまう。

しかし海漓のように捻くれた見方をする者からすれば何処かおかしな話でそれを聞かされた上で対面した藤乃もまた違う見方で今の流れを思い浮かべる

 

「(叶星さんだって船田予備隊、この位は防げてもおかしくは有りません)」

 

叶星と高嶺の間に実力差があるならば高嶺が庇う事は不思議ではないが、2人は共に船田予備隊だったのだ。多少不意を突かれようが叶星は反応しなければならないし、放たれた攻撃を受け止める技量位は持っていなければならない‥2人の仲の良さを無視しても、だ

 

「(海漓ちゃんの真似は考えられませんし、そんな事を認める方でもない)」

 

叶星が囮を申し出た、高嶺が叶星を囮として利用した。どちらもあり得ないし何よりそんな行動を認める訳もない

 

「(そもそも何故あのタイミングで連携を?

考えられるとすれば‥叶星さんの苦戦が予想外?)」

 

何故高嶺が強引に攻めにいったのか。一番の理由として予想するならば叶星の苦戦。海漓を瞬殺し自身に狙いをつけるつもりが予想外に粘られた事による焦りが考えられるが

 

「(海漓ちゃんの予想が正解だとして、あのタイミングで主導権を握ったのはどうして?)」

 

訓練期間中に海漓が言っていた違和感

それは【高嶺の司令塔能力と彼女を起点に行う連携】が存在している可能性。

司令塔ではあるが自らが隊を指揮して戦いに勝つ事よりも叶星の望む事をする事を重視するタイプとも言っていた

 

『再編成してからは分からないですけど‥無視して突撃していく時は高嶺さんが言い出す事が多かったんですよねー。私と叶星だけ〜って言って』

 

海漓が言うのは彼女が所属していた時の話だ。基本的に自分達は放置、大物は2人で仕留めるが基本で、高嶺が主導する事も何度かあったのだ

 

『起点は分かりますが‥司令塔は?』

 

連携のパターンの一つとして叶星ではなく高嶺を起点として行う連携が存在していても不思議では無いが司令塔能力がある事に結びつける理由が分からない。

連携の起点に目をつけるならば司令塔としての能力は求められない。

 

『いや、幾ら高嶺さんでも司令塔務める自分を無視して勝手に采配されたら気分悪くならないのかな?って

私、そんな関係持った子が居ない無いから分かんないですけど‥』

 

親しき仲にも礼儀あり。幾ら高嶺が大切な人であろうと戦場で司令塔を務める自分を無視して勝手に采配されて不快にならないのだろうか?と思ってしまうのだ。

御三家の一角を担う御台場で司令塔としての教育を受けた中で芽生えた自覚や責任感があるなら尚更。

それは海漓の価値観であり押し付けに過ぎない。彼女は叶星達と比べれば才能も実績も無くおちこぼれかもしれないが自覚と責任感は持っている。司令塔と言う立場で見るならば高嶺は叶星を舐めていると思ってしまうがこれはあくまでも彼女の妄想。相模女子にも舞弓や魅夢を筆頭に多くの友人はいるが2人のような関係は築いておらず、またその手の関係になった者はいない為本当に分からないのだ

 

『‥うーん‥そもそも高嶺さんが自分の仕事を奪うような認識は無いと思うのでその手の感情自体持たないと思いますよ』

 

藤乃も顎に手を当て回答に困ってしまう。互いに想い合っているなら不快と言う感覚は存在しないし芽生えない。全てが助け合い、互いの為だと認識している。故に海漓の思考は間違っていると告げる

 

『ですが‥2人一緒と考えるなら高嶺さんにも司令塔能力があっても可笑しくはないですね

それと攻略に何の関係が?』

 

互いに思い合う事を考えるならば高嶺が習得してもおかしくはない。

御台場のカリキュラムの詳細は藤乃も把握していないが2人は御台場の時から常に一緒で部屋も同室だったのだ。普段から教え合いをしてもおかしくはない。何かを学び習得する事は悪では無いのだから。だが船田予備隊が把握していたのかは誰にも分からない

高嶺の司令塔と連携の攻略に関係あるとは思えない。レギオンとして戦うなら警戒は必要だが今回は2対2。最悪無視してもいい事なのだ

 

『2人の連携と作戦に高嶺さんの手が入ってるならそういう事を踏まえて動かなきゃ行けないんで‥』

 

叶星が作戦や連携、起点の変更のタイミングを全て担っているのか、それとも高嶺と役割分担、もしくは高嶺と共に作り上げたのか。あらゆる可能性を想定した作戦を練らなければならない以上、無視と言う訳には行かない

高嶺に関してはゼノンパラドキサの攻略が最優先だが万が一に備えなければならないのだ

 

「(やっぱり持ってる?

それとも叶星さんの合図?わっかんねぇ‥)」

 

一連の流れを見た中でも高嶺の司令塔スキルは分からない。独断か、合図か。見抜く術を海漓は持ってない

 

「(藤乃さんが臨機応変な対応で動いたと思うとして‥どの位意識する?)」

 

緻密な作戦よりも臨機応変な対応で戦うのがグランエプレだ。叶星と高嶺に限らずこの場にいる大半の者が今の動きを海漓の作戦の一つではなく藤乃の臨機応変な対応として捉えた筈だ

肝心なのは藤乃の動きをこの後2人がどの位意識するか、だ

 

「(今度はこっちから仕掛けるか‥恐らく‥!)」

 

いつまでも後手に回っていては道は開けない。時には打って出る事だって大切だ。無策という訳では無い

 

「藤乃さん、叶星さんを狙ってください!!」

 

「えっ!?あっ、はい!」

 

故に、声で叶星を狙うように指示をだす。声で伝えるという分かりやすい合図、秘匿なんて関係無いと言わんばかりの行為

真逆の事に驚きつつも藤乃は素直に従い、前進。少し遅れる形で海漓もスタートを切る

高嶺は身構え藤乃を注視する、が

 

「良いんですか?私の事無視して」

 

「‥いつの間に!?」

 

遅れてスタートを切った筈の海漓が気がつけば高嶺の懐ギリギリまで接近

 

「一発貰っとけ!!」

 

その言葉と同時、自らの機体を使わず自身の右足を使った蹴りを彼女の鳩尾に叩き込む

 

「高嶺ちゃん!?」

 

「攻撃が通った!?」

 

攻撃を受けた事に驚く叶星、攻撃が通った事に驚く藤乃。ゼノンパラドキサの攻略は上げていたが繋がるような事はしてなかった…何が起きたのか理解出来ない

 

「CHARMを使うだけが攻撃じゃ有りませんよ?」

 

攻撃をもろに受け、体を前に折り曲げながらも機体を手放さず、膝を突かないのは高嶺の根性だ

 

「まっ、この程度で倒れたら同等なんて名乗れませんよね

さっさと立たないと本当に負けますよ?」

 

鳩尾一発で沈むはずがないのは分かっている。ここにきて始めて海漓が高嶺に対し挑発を行う。黙ってれば止めを刺すぞと言わんばかりの言い方だ

海漓だって荒くれ者の集まりと言われた相模女子出身。

敵への煽り方も十分に心得ている

 

高嶺も無言で彼女を睨みゼノンパラドキサを発動

海漓もインビジブルワンで対抗

 

叶星と藤乃が打ち合う中で高嶺と海漓による高機動戦が幕を開ける

 

「(さて、こっから詰めようか)」

 

種は蒔いた、ここから詰めていく

恐ろしいほどに冷静に戦いを進めるのだ

 

 

 

 




海漓、下手したらメンタルぶっ壊れるのではなかろうか(新ストーリーみつつ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。