Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第107.5話(前編)

 

消耗したリリィを一旦下がらせた後に次の一手を打つ海漓

 

「庵珠ちゃんと比呂美さんも出てください。私達もすぐに行きます」

 

「分かったわ」

 

「任せて」

 

指示に従う形で2人は前線へと向かう。彼女達は助っ人の身だ。指揮官が前へ出ろと言われれば出る。それだけだ。逆らう理由もなければ指示に逆らうタイプでもない

 

「私も出ます。玲奈さん、後を任せても?」

 

「あぁ。補給を終えた者達を連れていけば良いか?」

 

「はい。」

 

指揮官である自分が場を離れるのは心苦しいがTZ.BZが後退した分の穴を塞ぐ必要がある。庵珠と比呂美では塞ぎ切れない。

これは実力では無く人数の問題なのだから

脚を進め夜道をかける。すっかり日が落ち暗くなる中で街灯の灯のみが頼りな中で彼女は前へと進む

道中に広がるのはヒュージの残骸、殆どがスモール級、切られ、貫かれ撃ち抜かれ。殲滅されたヒュージが瓦礫の如く周囲に散乱。彼女はそんなの気にも留めず前へと進む。

 

「あれは…!?」

 

地上に張り付く形で存在しているであろう大ケイブ。空中に向け円柱状の柱のような物が生成されつつある。

その明るさと大きさは少し離れた所にいる海漓からもしっかりと視認出来る

 

『祥枝さん!!近くにいるリリィで大ケイブに攻撃して下さい!!』

 

『分かってる!!』

 

祥枝達を筆頭に残っているリリィで攻撃を加え始めた事が近づくに段々と聞こえる銃声により確認出来る

 

「何か来るよ!?」

 

「下って!!」

 

その最中、夜の街並みには非常に不釣り合いな程に眩しい光に目を逸らす。時間にして数秒。光が消え、その方向に自然と目を向ける

ある者は間近で、ある者は遠目にはっきりと映るその姿。

 

「うそでしょ…」

 

「ちょっとまってよ‥流石に冗談じゃない?」

 

皆がその姿に唖然とする。突如として現れた個体だから、ではない

その容姿が余りにもこの場に不釣り合い、いや存在してはいけない姿だったから

 

「まさか‥あれって」

 

「ファー‥ヴニル‥」

 

それは7大アルトラと呼ばれ世界中に破壊と絶望と振りまき、今年の6月までは新潟に根を下ろし、新潟を陥落一歩手前まで追い詰めた存在。

しかし、その凶悪な個体は姉の仲間達、新潟のガーデンによって葬られた事が大々的に報じられたのも事実。

怪物(7大アルトラ)には怪物(世界最高峰のリリィ)を当てろとは良く言ったものだ

そんな怪物達が力を結集し倒した個体が復活して戦力的にはるかに劣る荻窪に現れたこれだけみれば絶望しかない。

 

『防衛隊の皆さん!周囲でギガント級の反応が出ています!!無事ですか!?』

 

『‥ギガント級?‥アルトラ級の間違いでは?』

 

ガーデンの司令部。校内に残っている教導官から通信が入る。姿を視認できずとも設置された機器で情報は手に入る。ギガント級の出現を受け連絡を入れるが聞いた海漓としては耳を疑い、聞き返す

 

『‥アルトラ級?いえ、確かに高い数値を示していますがあくまでもギガント級の範囲内。アルトラ級では有りませんよ』

 

『えっ!?‥あれが、ギガント級‥?(そんな馬鹿な事が‥あ、マジだ)』

 

ガーデンの観測機器ではギガント級と表示されているようだ。以前のネストでもネストの主はギガント級だと示し、合っていた。故障やギガント級までしか示せないという欠陥品で無い限りは眼の前の個体はギガント級という事になる

だが流石の海漓もこればかりは信用できず自身の機体に搭載されているヒュージサーチャーを確認すると数値は高いながらも確かにギガント級の枠に収まる数値が表示されている

 

『対処‥どうし‥えっ!?ファーヴニル!?そんな馬鹿な‥!!』

 

恐らくだが一乙を筆頭に現場に展開しているリリィや教導官。そして防衛軍から現場の状況を聞かされたのだろう

ガーデンでは視認することができず無線からは慌ただしさも伝わって来る

 

『あー、承知しました対処します。ただ、』

 

『ただ?』

 

自分達の獲物などと大きな事は言えない。与えられた任務は荻窪を守る事。相手が何であれそれは変わらない。現れた敵は確実に倒す。ただそれだけの事

 

『建物の被害は無視してもらいます。良いですね?』

 

だが全てを完璧、元の状態で切り抜けることはほぼ不可能だ。仲間の生還、ヒュージの撃破を最優先にするため周囲の被害には目を瞑ってもらう必要がある。

無闇矢鱈、ひたすらに暴れ故意に壊すという意味ではない。

単純明快、周囲に傷一つつけず、崩壊もさせず文字通り綺麗な状態で乗り切る事は出来ないという意味だ

 

『事後処理や対応は我々で行います‥ですので』

 

『分かりました』

 

そんな事は言われた方も分かっている。下手に気を使い海漓達(出撃した者)の全滅や荻窪の陥落なんて事はあってはならない。

被害の発生も予め伝えられた事で後々の処理や対応も考えられる。

だから気にせずに戦っていいと告げたのだ。

 

「(速攻‥と行きたいけどまぁ、無理だよね。かと言って時間をかけすぎても不味い)」

 

倒すと言っても速攻で決着させる等と格好のいい事は言えない。それは自分含めこの場にいる全てのリリィに不可能な事。

だが出来ないからと言っても時間をかけすぎるのも良くはない。最低でも大ケイブがネストに成長、もしくは眼前の個体がアルトラ級に進化するまでには決着をつけなければならない。

 

「‥んっ!?」

 

一手を考え指示を出す。

まさにその瞬間、突き刺すような殺気が全身を貫きすぐさまギガント級へと視線を向ける

 

「隊長!皆!多分攻撃が来るよ!!」

 

「何か来るよ!!」

 

それと同時。祥枝は殺気の類から、智英はいつもの直感で。上手く説明出来なくとも何かが来る事を察知する

 

『全員、流れ弾に気をつけて!』

 

海漓が周囲、そして通信機越しではあるが展開している全てのリリィに向けて忠告を行うその直後であった。眼の前の個体が口を大きく開くとまたたく間に口内で巨大な炎を球体を生み出し、一定の大きさになった所で地上にいる海漓達めがけて火球を放つ

 

「火球!?そんなの有り!?」

 

「まだまだ来ますわよ!!」

 

「そっち行ったよ!!気をつけて!!」

 

放たれた火球は計6発。直撃すればただでは済まない協力な一撃。

散開し回避動作へと移行する。

建物や地上に当たり、爆発や火災が発生する。周囲には火の手が上がり黒煙も立ち込める

 

そして攻撃は火球だけではない。

 

「ねぇ‥両腕なんか光ってない?」

 

回避の最中、頭上が不自然なほどに明るくなり上を向けば、そこには両腕を前に出し手を開く姿。

合計10本の指先から彼女達に対して熱線を繰り出す

 

「あっぶなっ!!」

 

「あっつ!当たってないのに!?」

 

繰り出された熱戦は指先から地上に向けて一直線。幸運なのは熱線が湾曲し追尾するような動きを見せる事は無く直線的な軌道で自分たちを追い払うだけ。

ギガント級の指先ということで熱戦の太さはあるが動きは単純。回避する事自体は簡単だ。だが攻撃はかわせたとしても周囲の建物や道路に多大な被害が生じる。

 

火球を回避したとしても建物に直撃し炎上、熱線も同じ。直撃した事で建物の炎上や道路の崩壊など多大な影響が出てしまう。火球の攻撃が止んだと思えばすかさず熱線が飛んでくる

道路も大穴が生じ、コンクリートが切刻まれたような地形へと変化している

 

「(狙いは私達‥?射程が短いなんて事は無いとは思うけど‥離れたリリィを脅威に感じていない?)」

 

強力な攻撃を回避する中で気になる事があるとすれば放たれる攻撃は全て身近にいる海漓達めがけて。後方に控えている後衛、四方に展開しているリリィや教導官、そして防衛軍や避難誘導にあたっているであろう残りのリリィがいる方向に対し直接攻撃を放つ仕草は見受けられない。現段階で海漓はレアスキルを用いての干渉を行っていない。

彼女達が気をつけなければならないのは流れ弾による被弾だ

 

「(詳細なデータは公表されて無いから分からないけど‥感覚器官が未発達?)」

 

ファーヴニルの詳細なデータを海漓は知らない‥いや公表されていない。公表されているのは姉達が戦い勝利した事や姉達側の動が中心であり敵がどのような攻撃を行っていたかをはじめとした詳細な情報は何一つ明らかになっていない。理由は様々だ

知っているのはそれこそ現地のリリィや討伐を行った姉達、そして百合ヶ丘の上層部ぐらいだろう。

故に海漓は攻撃に晒されながら一つ一つ確認するしか探る手段がない

 

「隊長、どうするのこれぇ!?

ずっと避けるにしてもジリ貧だよ?」

 

攻撃を避けながら祥枝が真っ先に言うが他の者も思いは同じ。避けるだけならば何とかなる。

それだけの技量は持ち合わせているが時間という縛りがある。体力や精神、そしてマギ。じわじわと削られていくのは明白だ

 

「(策はある‥問題は‥)」

 

この状況を打開する為の策は有る。問題があるとすれば智英達3名。彼女達をどう扱うか、そして未だ判明していない相手の手の内

仲間を使い潰す事や生贄として扱うつもりは全くないが、あくまでも協力者という立場の3人にこれ以上の負担を求めていいものか、悩んでしまう‥が

 

「(被害を増やしたり陥落させるよりはマシ‥か)」

 

打てる手を打たず、多大なる被害を出した事で荻窪を陥落。陥落を避けたとしても大ケイブがネスト成長してしまう事やアルトラ級へと進化させてしまう失態を犯すわけにいかない。

ガーデンの許可も出てのだ躊躇う理由は無い。

 

「ちょっとこっちに集まって貰えます?

通信越しでも良いんですが、試したい事も有るので」

 

攻撃を回避しながら周囲の者に対して集まるように指示を出す。通信機越しでもいいが、移動の最中では聞き取りづらい事もある。認識のズレ、伝達ミスは作戦の失敗につながってしまう

 

「智英ちゃん、祥枝さん!!手を出して!!」

 

他の者は訳が分からぬまま、言われるがままに各々が攻撃を掻い潜りながら彼女の元へと集まる。集合したのは。住宅の影、ギガント級からは死角になる位置に集まると、次に智英と祥枝に手を出すように注げる

 

「はい」

 

「どうするの?」

 

差し出された手を海漓は左右、それぞれの手で握りしめる

 

「後は適当で良いから皆で手を繋いで円を作って」

 

後は適当に。順番も決めず。集まった全員で手をつなぎ小さな円陣を作り上げる

 

「(後は‥っと!)」

 

海漓が2人の握る手に力を込めレアスキルを発動したと同時。突如としてヒュージの攻撃が止まり、辺りを見渡したかと思えば周囲を警戒し力を蓄えるような動きへと変わる。遠方に対して攻撃を放つ仕草は見られない

 

「嘘っ、止まった!?」

 

「どうして!?」

 

突如として動きを留めた事に対し何が起きたのか疑問に思い周囲を見渡す。

 

「何をしたの!?」

 

「マギの痕跡を含め全ての気配を消しつつ、周囲に飛ばしました

ぶっちゃけ手を繋がなくても出来るんですけどこっちの方が楽なんで」

 

行ったことは自身のレアスキルを用いて味方の気配を周囲に飛ばした上で姿と気配を消したのだ。ヒュージからは文字通り突如として姿が消えたように映っている筈だ。

手をつないだのは自身の負担を軽減するため。繋がなくとも出来るが大人数の気配と姿を飛ばしたり消したりするのは中々に大変な事。手を繋ぎ1つの円になってくれたほうがやりやすいのだ

 

「この感じだと目は良くないしマギによる探知にも限度があるみたいですね、あのヒュージ」

 

「どうして?」

 

海漓はあっさりと告げるが何故そんなことまで分かるのか。智英は本当に分かっていない。庵珠を筆頭に数名は気がついているが

 

「火球と熱線。両方とも中遠距離攻撃として有効なのに私達めがけて撃ってたけど後方に控えている皆に攻撃してないから」

 

「確かに‥あれだけの攻撃なら別に私達に拘らなくても‥」

 

「適当に攻撃ばら撒かれた方がもっとヤバいよね」

 

ギガント級から見たら敵は近くにいる自分達だけではない。どの程度認知しているか、定かではないが周囲にもリリィや人間は大勢いる。

自分達めがけ放たなくとも適当に攻撃をばらまけば甚大な被害をもたらせるだけの威力はある。もう少し知能があるならば火球や熱線による遠距離攻撃なんていう芸当も可能だろう。

 

「‥(さて、どうしようか。懸念とあと一押しが欲しいな)」

 

確実に仕留める為。もう一押し欲しい。

今のままでも可能だが失敗のリスクが高すぎる

 

「どの道ここで隠れてる訳には行かないわよ」

 

隠れ続けるわけにはいかない。庵珠の言う事は海漓も十分に分かっている

こうしている間に自分達は呼吸を整えられるがそれは相手も同じなのだ。相手を休ませるつもりもない

 

「祥枝さん、知智ちゃん、庵珠ちゃん、比呂美さんは残って

林乎さん、結弦さん、春音さん、楊美ちゃんは後退してTZ.BZ陣と合流

魔弾の射手を使う為の準備を進めてください」

 

自身を含め計5人はこの場に残り、他は後退。合流の後魔弾の射手の準備を進めるように告げる

 

「確かにアレなら近づけなくてもいっか

他の子達はあの攻撃避けるの厳しいもんね」

 

防衛隊の面々は納得だ。

AZを務める面々ならともかくTZやBZの面々は荷が重い。中でも姫歌達と同様に春先からリリィとなった寧々と紗鳥には厳しすぎる

 

「タイミングはこっちで指示します

流れ弾、敵の増援には十分に注意してください

手加減無し、フルパワーでお願いします」

 

魔弾の射手を放っタイミングは海漓の指示

配置に付き準備を。その上で流れ弾やケイブによる増援には十分に注意を払うように告げる。加減無し文字通りフルパワーで消し飛ばす算段だ

 

「円から抜けて大丈夫?狙われたりしない?」

 

指示は理解した。だが円から抜ける事で狙われないか?春音は海漓に告げる

後退は出来るが無駄な力は使いたくないのだから

 

「直ぐには影響が解けませんから大丈夫ですよ

距離を離すぐらいの時間はあります」

 

その点に関しては抜かりは無い。

抜けても直ぐには気づかれない。本気で走りこの場から後退するだけの時間はある筈だ

 

「えーっと、それってマギの残滓とか残り香って奴??」

 

「ぶっちゃけ言うとそう言う事。あっ、変な意味じゃないからね!?」

 

凄く極端な例えを出すならば手を繋いでいた者同士が手を離したとしても繋いでいた感触や体温が僅かに残るあの感覚だ。正確には多少異なるが、楊美が不意に言葉にした残滓や残り香という聞く人によっては勘違いされそうな例えで合っている。海漓と直接手を繋いで居ない面々ですらそれ程の影響。

手を繋いでいる智英と祥枝は更に強い影響を受けられる

 

「分かりましたわ。」

 

「皆、気をつけてね?」

 

林乎達は円陣から抜けた直後、マギを用いて身体を強化し全速力でその場を後にする

 

「魔弾の射手って何?そんなのあったっけ?

 

「防衛隊が使える連携技よ

校内でも少しだけ話題になってたしヒヒイロカネの人達も来てたじゃない‥」

 

「そうだっけ?」

 

「まったくもう‥で、魔弾の射手で倒すつもり?」

 

当事者である防衛隊はともかく智英や庵珠達ならばその程度の認識だろう

あくまでも導入しているのは海漓達だけ。今後どうなるのかは分からない。海漓個人としては魔弾の射手も強力故、防衛隊以外のリリィにも扱えるようになってほしいと思っていたりする。

 

「うん。近づけないなら近づかずに倒せば良い。それだけ、簡単でしょ」

 

海漓からすれば容易に近づくことが出来ないならば遠距離攻撃を用いて倒す。単純明快だ。

 

「それで、どうするの?

撃つだけなら私達も下って良かったよね」

 

「攻撃手段は火球と熱線。まだ有るかもしれないですけど‥考えたらキリが無いです。」

 

「まぁね。」

 

祥枝の言うように魔弾の射手で倒すだけならば自分達も後退だ。残る必要はない。

現段階で判明しているのは火球と熱線による攻撃。だがこれで終わりとは思えないが考えればキリがない。現時点で詳細なデータが無い以上、無限の可能性がある

 

「気にしなきゃいけないのは防御手段です

特にマギリフレクターには十分に警戒しなければなりません‥後は本体の装甲の厚さです」

 

そして敵の攻撃だけではなく防御にも気をつけなければならない。自分達が過去に相対しただけでもヒュージは様々な手段で自身を守る術を持っていた。特に警戒すべきはマギリフレクター。最も知名度が高くヒュージにとって切り札ともいえる盾は意識しなければならない。そもそもヒュージ自体の装甲、外皮が硬く防御手段を持っていなくとも硬さで防がれるリスクが非常に高い

 

「フルパワーで突破できない?

11人分+レアスキルの上乗せだよ?

無理なら私達も全員下って加勢する?」

 

「普通のギガント級なら十分です

けど相手が相手です。元に比べて柔らかいとは思いますけど‥」

 

11名の渾身のマギとレアスキルの上乗せによるフルパワー運用。無理ならば自分達も下がり全員で撃つ。これならば倒せる。

それは通常のギガント級や特型ギガント級、もしかしたらアルトラ級すらも撃ち抜ける一撃だ。しかし目の前の相手は7大アルトラの姿を模した個体。原型であるファーヴニルと比較すれば格は落ちるが、能力はギガント級の枠に収まってはいないはずだ。アルトラ級として現れなかったのは非常に運がいい

 

「新潟の作戦の要であったアールヴヘイムが文字通り全身全霊の力を込めて倒した個体。彼女達の込めたマギは私達の扱うマギよりも遥かに上‥目の前の相手がギガント級だとしても‥不安があるという事ね」

 

今の話を聞いていた比呂美も大体の事情は理解できた。

比較は出来ずとも原型となった個体は怪物の姉達が渾身の一撃を用いて倒した個体。扱うマギの質と量共に規格外で自分達よりも遥かに上。眼の前の個体は劣っていたとしても関連があると思われる以上は楽観視は出来ない。まともに撃てば防がれる可能性はある。

 

「はい。残った私達の役目はとにかく相手を弱らせて一撃を通しやすくする事。

マギの消耗と同時に楔を打ち込みます」

 

相手はヒュージだ。攻撃にしろ防御にしろ行動にはマギを消耗する。相手を消耗させこちらの一撃を通しやすくする為の下準備が必要だ

 

「マギの消耗は分かるけど‥楔?」

 

「よっと、ここでコイツの出番なの」

 

「ノインヴェルト戦術に使う弾丸‥?」

 

「5人でやってマギリフレクターを引きずり出す、もしくさ装甲にヒビさえ入れてしまえばレーザーでそこを撃ち抜いて倒す」

 

話の流れは庵珠も理解している。正攻法が駄目ならば搦手を用いるというのも分かるが楔とは何なのか

その答えは海漓がポケットから取り出した1つの弾丸。ノインヴェルト戦術に用いるものであり、彼女は5人制の一撃で防御手段を引き出させるか外殻に亀裂を入れた後に止めを刺すと言うのだ

 

「5人!?それなら9‥いや駄目ね‥」

 

ギガント級以上は9人でなければ倒せない。そんなのは教科書に書いてあるレベルの常識。それならば林乎達を残し9人で撃てばよかったのでは?と言いかけた所で口をつぐむ。

先の比呂美の話は彼女も思うことではあった。自分たちが9人で行ったとしても不発に終わる可能性にすぐに思い至った

 

「どうして?ギガント級は9人いれば倒せるんじゃないの?」

 

「話聞いてた!?あのギガント級は間違いなく特型。私の予想だとアルトラ手前よ。

そんな相手に私達が9人制をやった所で簡単に防がれておしまい

なら5人制で倒せなくてもダメージを与えて本命に繋ぐ事を選んだの」

 

だが理解出来ていない者が一名。智英だ。話は聞いていただろうが恐らく理解が追いついていない。9人が駄目という理由が分からない。

庵珠の説明がほぼ正解。数値ではギガント級扱いだが詳細に分類すれば特型で恐らくはアルトラ級に進化する一歩手前。

そのような相手に神庭の末端レベルのリリィが9人制を行ったところで防がれてしまうのは目に見えている。それならば倒すのではなく繋ぐための一撃を放つ事に切り替えたのだ

 

「春音達をいれて9人での一撃を放って防がれてしまったらもう私達に倒す手段は無い。海漓さんは最大火力を出せる魔弾の射手に賭けたのよ」

 

そんな状況だ。9人制を行ったとしても防がれてしまえば文字通り神庭の詰み。

ならば現状で火力を出せる運用、通しやすくする作戦を用いて挑むしか無いのだ

 

「(名門と私達じゃそもそもリリィとしての出来が違うからな‥扱う機体だって向こうの方が上だし、同じやり方、同じ事をしても無駄。)」

 

名門と呼ばれるガーデンと神庭ではリリィとしての出来が違いすぎる。そして扱う機体だって名門の方がより高性能だ。それはグングニルやアステリオンのような量産型でも同じ事。

条件に差がある中で名門と同じやり方で挑んだ所で無駄なのだ。真似をして失敗で済めばいいが最悪の場合は死人が出る。

 

「(グランエプレがいい例だしね)」

神庭内に限定してもグランエプレとその他の在校生でもその差は明らか。

元グランエプレの海漓も中等部(相模女子)の3年間で培った頭脳と技量、積み重ねた経験でどうにか誤魔化していたが根本的な身体能力やマギ保有量と言った才能は圧倒的に最下位。叶星が導入している御台場式の運用だってリリィの資質に大きく左右される高度な物。同盟先のヘルヴォルや一柳隊だって素質では海漓以上

そのような物を導入された、関係を持ったレギオンでは海漓のような凡人(無能)はいつ弾き出されてもおかしく無かった。

 

「(9人以上でやろうにもカリスマ持ちが居ないからな‥可能性があるって噂されてる子は1年にも居るけど呼び出してぶっつけ本番は余りにもリスクが高すぎる)」

 

9人が駄目ならそれ以上でのノインヴェルト戦術を実行するにしても必須となるカリスマ持ちは神庭には居ない。となっている。

実を言うと智英を筆頭にレアスキルが未覚醒かつ可能性があると噂される者は同学年やクラスメイトにもいるがあくまでも噂。

本格的に覚醒し、なおかつ安定的に発動する状態に至っていない。ぶっつけ本番、覚醒に賭けた運用など海漓はしないしガーデンも認めないだろう

 

「マギインセンシティで高めて叩き込むんでしょ?私が軍神の加護持ってるから最低限の事は出来るけど‥足りる?」

 

言いたいことは理解出来た。祥枝はレジスタのサブスキルである軍神の加護を持っているため実行する際に最低限の事は行える。

それで火力が足りるのかと言う疑問はある。当たっても無傷、簡単に弾かれた、では骨折り損だ

 

「もう一押し、最後の鍵は比呂美さんです。正確には備え付けられてるソレなんですけど」

 

「私?‥なる程、コレね」

 

「えぇ。離脱可能な距離でフィニッシュを放って下さい。私達でフォローします

‥引き受けてくれます?」

 

必要な最後のピース。それは比呂美、正確には彼女が使用する機体に備わっているとある機能

 

「それしか手が無い以上仕方が無いわね。分かったわ‥ん‥私‥達?」

 

「当然です。仲間のフォローは個人が専属でやるんじゃなくて皆でやるのが基本ですよ(まぁ、例外は多いけど‥)」

 

比呂美も覚悟は出来ている。だが気になるとすればフォローは海漓では無く全員と言った事。他を信用していない訳では無いがてっきりに一人でやるとばかり思っていた為意外な反応を見せるが、海漓としては当たり前だと告げる

仲間のフォローは全員で行う。それがチームで戦う上で基本となる事。親しい人が専属で行うのはチームではないが、まぁ、例外や実力差、信用度等で全員でフォローしない事が多いのだが

海漓は全員で戦うような運用をしている。この場で指揮をとるのは彼女である以上、その方針で動いてもらう

 

「それで、順番は?私が最後だとしてポジションはどうするのかしら?」

 

「祥枝さん、智英ちゃん、比呂美様が前。私と庵珠ちゃんが後。

パスもゆっくり確実に、溜め終わったら次に回す」

 

AZを務めるのは祥枝、智英、比呂美

海漓と庵珠はTZ。今回はBZ無しの陣形。

即席故に求めるのは確実性。マギを溜めて相手が取れる速さ、タイミングでパスを回す方針だ

 

「溜める事考えたら近くでグルグル回るしかないよね」

 

「余計な被弾は避ける。パス後は味方のフォロー、確実にお願いします」

 

ヒュージの近くで動き回りマギを溜める。

余計な被弾は避け、パスを終えたら仲間のフォロー、ヒュージの増援が現れれば露払いを行いパスを行いやすくする

 

「倒す事と同じくらい生き残る事に全力を注いでください

まぁ、大丈夫だと思いますけど特攻はガチで禁止なんで」

 

敵を倒す事は大事だ。そして同じぐらい生き残る事も大事

生きる意思、生き残る意思がリリィの力だと海漓は思っているし譲るつもりは無い。死ぬ気でやるのも構わないが、つけ足すならば死ぬ気で戦い死ぬ気で生き残れ、だ。

 

「え?!突撃駄目なの!?」

 

「突撃じゃなくて特攻!死にに行くような行動はしないでって事よ」

 

‥特攻と突撃を同一視していた人物(同期)がいたがブレーキ役でもある庵珠がいるから大丈夫だろう。

「じゃあ、‥行きますよ!!」

 

海漓の言葉と同時に手を離し、ギガント級へと向かうのだった




神庭側、そんなにヘボくする必要ある?
→作中ネームドの9人と比べたら格落ち感はすごい
人数は居るけど名門がやるような方向制御の術なし、希少レアスキル、強化リリィ無しの差はある

ファーヴニルの規模
→特型ギガント級の枠にギリおさまった強さ。巣無しのアルトラ未満
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「酒寄?酒寄なら俺の隣で寝てるよ」芦花「は?」(作者:ソリダコ)(原作:超かぐや姫!)

「酒寄?酒寄なら(日頃の疲れと寝不足の状態で満腹になったからか勉強中だったんだけど)俺の隣で(電源が落ちたかのようにぐっすり)寝てるよ」▼そんな(?)お話▼メインで投稿している作品が詰まってる最中に超かぐや姫に脳を焼かれて衝動的に書いたお話▼小説版未読でヒロインもオチも何も思いつかない状態で書いたお話なので突っ込み所満載だと思うので温かい目で読んでください


総合評価:8771/評価:8.79/連載:7話/更新日時:2026年06月05日(金) 07:00 小説情報


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