「(だっる‥)」
都内某所に存在するビルの一室
そこに訪れているのは海漓一人のみ。いや、より詳しく言うのであればリリィとして訪れているのは海漓だけ
教導官の一乙も引率兼失言があった際のフォローという面目で訪れ、海漓の横にすわっている
「(一乙先生も用事があったのか?
確か他の部屋では他校のリリィも来てるみたいだし」
本来ならば海漓の引率は絵画科で担任を務める教導官だったのだがどういう訳が一乙自ら変わってほしいと頼み込んだのだとか
今日は海漓以外にも都内から数校、時間と部屋をずらす形でリリィが来ており引率等で教導官も多くいる
もしかしたらその中に一乙の知り合いがいたりしたのかもしれない
「本日はよろしくお願いします」
対面式に椅子に腰掛けるカジュアルな服装の女性。
これだけ聞くと堅苦しい雰囲気で何かの事情聴取とも捉えかねないが、木製のテーブルにはコップに注がれたジュース、そしてお菓子が置かれどちらかと言うとインタビュー。
一乙に対してと言うよりもリリィである海漓にストレスを与えないように気遣っていることが伺える
「(見せ物じゃなきけど‥切り替えよう。)はい。こちらこそよろしくお願いします!」
見せ物になるつもりは無い。かといって過度な塩対応を行い隊や神庭に対して悪評を招きくような行動をするつもりもない
相手は大人であり彼女も仕事として行うのだ。海漓も年頃の少女らしく、元気よく、礼節を持ち対応を行う
‥が
「えっ!?」
「ん?」
挨拶直後、一乙は驚いたかのような表情で自身をみる
神庭での海漓をみていれば人が変わったかのような対応をしたのだ。無理はない
「いえ、なんでも」
「そうですか。」
言いたいことは海漓も分かる。別人だと言いたいのだろう
外面を良くする位の行動は取れるのだ。ガーデンでインタビューを受けたとしても同じような対応をしていた
「早速ですが。新たに設立となった防衛隊の隊長就任
当時の心境を教えてください」
「そうですね〜。やはり光栄な事だなと思いましたよ
転入してきた私にそのような大役を任せて頂けたので、ガーデンや生徒会の期待には応えなければと思いましたし
生徒会防衛隊の任務を引継ぐ形ですので、これまで隊を率い、神庭を守っていた秋日様の顔に泥を塗るわけには行かないとおもいましたね」
これは良く聞かれる質問のパターンだ。インタビューの話を聞きたときに海漓の脳内であらかじめ用意していた模範的な回答をそのまま答える。当たり前だがグランエプレへの不満諸々を打ち明ける訳には行かない
やっても良いが後々面倒くさい事になるのは目に見えている
「成る程、所属するメンバーともその時に初対面だったんですか?」
「一年生はルームメイトやクラスメイトがいたりして見知った子達が多かったんですけど‥上級生は全員初対面でしたね」
「怖くなかったですか?」
「正直怖かったですよ〜。上級生からしたら見知らぬ一年生が隊長ですし反発されたらどうしよう?って思ってたんですけど
皆さんとても優しくて良かったです」
ここも想定内だ。ここは正直に、嘘偽りなく答える
同期はともかく上級生は全員初対面。反発される可能性はあったし指示も聞いてくれるか分からなかったが祥枝達含め皆が優しかった。
「初めて会う子達を率いるから不安になりますよね
私達から見たら神庭って優しいリリィが多い印象があるけど上級生って怖いイメージを持たれてたりします?」
「うーん、どうでしょう?
全然優しいと思いますけど‥やっぱり生え抜きの有無は働いちゃうかなって思いが強かったです
生え抜きの上級生達も頑張ってた訳ですしポッと出の転入生に大役を任せられた不満はあるかなって思いましたよ」
世間から見た神庭は優しいガーデン。間違いではない
怖いや厳しいも感じ方それぞれ。一概に定義づけられる話ではない。やはり転入生である自分に率いられる事に対しての反発、プライドを傷つけられた事への行為は覚悟していたし、今も大丈夫だろうかと思ってしまう
これが叶星や高嶺、秋日や藤乃のように名を残す素晴らしい実績が有れば良いが海漓にそんな物は無いのだ
「大役を担えるけど、不安もありますよね?
グランエプレに残ればそういう不安を抱かずに戦えた訳けれど移籍を選んだっていうのは大役を担いたかったって言うのがあったからでしょうか?」
「あ〜そうですね〜うーん‥(困ったなこれ、最後まで模範解答が思い浮かばなかったやつ‥)」
確かにその通り。これらの不安は全てグランエプレから移籍したことで生じた事。移籍せずグランエプレに残っていればそのような事は無かった
実際の所、海漓からすればかなり居心地が悪く再編成後に知った秋日や鈴夢の事情を考えれば抜ける事が大正解
だがこの部分を話すわけにいかず、かといってバカ正直に話せば叶星と高嶺への不満と悪口の暴露大会だ。
この質問も想定はしていたが何と言えば良いか何も思い浮かばず来ないでくれと祈るしかなかった
「私からいいでしょうか?」
そんな事を察知したのか、この場面で一乙が彼女に助け舟を出す。引率に加え海漓が答えにくい質問に対してのフォローを行う役目もある
「はい。」
「彼女は鎌倉で激戦を乗り越えた経験者です。
本人がどのような思いを抱いていたのかは分かりませんが、ガーデンとしてはそういう大役を担う事で生じる不安や困難を乗り越えた先にこそ彼女の成長があるという判断もあり、移籍させるという決断を下しました」
海漓は素人では無い。相模女子で経験を積んできたリリィだ。多くの困難や苦悩があっただろう。司令塔を担うための教育を受けてきた事も把握している。
グランエプレに残るよりは隊を移籍させてでも司令塔や隊長という地位につかせ困難を乗り越えた過程にこそ天野海漓の成長か進化があると判断したのだ。
「えーっと、グランエプレは指導や育成に定評があるという評判ですが‥彼女の育成は難しかったと言うことでしょうか?」
ここで少し突っ込んだ質問を行う。
各ガーデンには方針がありトップレギオンも例外ではない。
例えばエレンスゲは戦果重視。悪評の有無や大小は一端無視したとしても戦果を求めるのは何処も同じ。
だが神庭は違う。出撃選択制の採用を含めリリィの自主制を重視。
そしてトップレギオンも戦果を出せる人員では無くグランエプレとして過ごす心身共に成長させる事を目的とし、場合によっては不調ならば再生を行う事で有名だ
そんな評判のレギオンから出してまで成長を願うとはどういう事か?となるのは当たり前
「末端や便利屋としての育成ならば問題はなかったと思いますがリーダーとしての育成は難しい‥いえ、不可能だと結論づけています」
「それはなぜ?」
「ご存じの通りグランエプレの2年生は世代を代表すると言っても過言ではあません。再編成後も同じです
司令塔一つとっても同じ。ヒュージとの戦いは遊びでは有りません。
命がけの戦場である以上どうしても実績や経験が重視されます。今のグランエプレは百合ヶ丘やエレンスゲと同盟を組み、ここ最近は御台場との共闘を模索している状況で彼女に司令塔を任せよう、経験させようという判断にはならないでしょう」
確かに成長はしただろう。だがそれはガーデンが求めた姿では無くグランエプレに取って理想的な姿
組織の末端であり戦場での便利屋止まりだ。再編成後も恐らくは同じような扱いになっただろうというのが一乙でたりガーデン上層部の判断
だがこれは無理のない話、叶星や高嶺、秋日に藤乃と上級生は破格の能力。下手をせずとも百合ヶ丘や御台場のトップリリィクラスであり実績に加え人望も十分
戦場では能力のある者が指揮を執るのが当たり前。ましてや同盟先にも数多の協力なリリィが在籍し最近は御台場女学校との共闘も模索している事を考えれば海漓に司令塔などという考えは至らない。仮に任せたとしても皆が納得しない。納得するのはそれこそ藤乃ぐらいだろう‥だとしても彼女はグランエプレの一員。海漓との間で板挟みになってしまうのは容易に想像できる
そもそもグランエプレの陣形の土台は御台場であり訓練や考え方も御台場が入り気味。相模女子出身の海漓には文字通り入るすき間が無いのだ
「(仮に可変式をやるとしても取り入れるのは御台場ではなく鎌倉からでしょうし‥)」
海漓の性格だ。ガーデンや秋日から防衛隊であっても可変以外は認めない。命令だ、と言えば嫌々でもやるだろう。だが参考にするのは御台場では無く鎌倉。百合ヶ丘やアールヴヘイムに拘らず防衛隊に近い形や戦い方を行うレギオンを土台にした可変フォーメーションを組むのではないかというのが一乙の予想だ
「グランエプレというレギオンは天野さんの成長にはふさわしく無かったと?」
「そうなりますね。勿論情勢の変化でそうなってしまったという一面があるのかもしれませんが、ガーデンとしてはあのタイミングが最初で最後のチャンスだと思っていたので」
他のリリィは問題なく伸びている。
しかし、天野海漓という人物からすればグランエプレは非常に居づらい場所であり成長には適さなかった
様々な事情や情勢の変化を考慮すれば仕方の無い部分はあるが我慢の限界
海漓を抜けさせるにはあのタイミングしか無かったのだ。不謹慎かもしれないがネストの兆候やグランエプレの再編成という移籍させるには丁度いい大義もあった。
叶星と高嶺から強い抗議や、復帰を求める声、移籍させる理由の問い合わせが無かったのも移籍の判断は間違ってなかったという根拠にもなった。
「先生はこう言ってくれてるけど、どうでしょう?」
「えっ!?いや、初めて聞いた事が多かったので驚いてます
転入生の自分を気にかけて頂いてとても有り難いですね」
今の話は海漓も初めて聞いた。
驚きとしか言えない。生え抜きならばまだしも転入生である自分を気にかけてくれていたのはとても有り難い
「前に所属していた相模女子さんからも事前に資料やお話を頂いてます。見る限り司令塔やリーダーとして期待されてるって私は感じて戦果もだしてる‥自分でもリーダー向きだなって思ってたりしますか?」
「いや‥どうですかね?強いカリスマとか圧倒的な武力や才能なんて持ってないですし
相模でも防衛隊でも皆に助けられてばっかりですよ
戦果が出てるって言っても皆が頑張ったからなので、私1人の話ではないです」
この女性、相当用意周到に準備をしてきたようだ。相模の事まで出されるとは思っていなかった
相模の経験や期待値、出してきた結果を考えても自分がリーダー向きだとは思っていない
戦果をだしたのだって皆が力を発揮できたから。海漓が行うのは指揮。勝つため、生き残るための指示でありそれを聞き動くのは自分自身。
戦果が出ているのであれば仲間のおかげだ
「成る程。答えたくなかったら答えなくて大丈夫。カットもします
目標や夢として再編成後のグランエプレ。後はお姉さんが率いるアールヴヘイムと共闘したい、その為に強くなりたい、レギオンを強くしたいってのはありますか?」
この質問は避けて通れない。自分の姉や率いるレギオンとの共闘。姉については多く語らず、グランエプレでも防衛隊でも話題にはならなかった。
だがインタビューという形で記事にする以上は避けられない話題でもあるのだ
「あ、無いですね。全然」
この質問は予想していた。そして答えも決まっている。今もなお揺るがない
共闘したいという望みもなければ同等のレギオンを作ろうなんて考えてもいない
「えっ?」
「‥んっ!?(ここでやりますかぁ!?)」
驚くインタビュアーに一息つこうと置かれたお茶に口をつけるまさにその瞬間であった為噴き出す寸前で止まった一乙。
ここまでは順調だった。なぜこのまま終わってくれないのか
こんな所で失言しないでくれ、そんな視線を海漓に向ける
「私達は防衛レギオン、向こうは外征レギオン。こっちから出張って共闘なんでほぼ不可能です。
仮にアールヴヘイムが荻窪に来るって事はいよいよそういう状況ですしグランエプレを選ぶんじゃないですかね。」
そもそも自分達は守りのレギオン、姉達は攻めのレギオンだ。任務が異なるのだから共闘など出来るはずがない
姉達が荻窪に来るとしたら相応の非常事態。自分達ではなくグランエプレや増援に来るであろう御台場との共闘になる筈だ
「強くなる、隊を強くするにしてもそれはヒュージを倒すためであって誰かに認めてもらうとかそんな事は考えたつもりもないです」
強くなるにしてもそれはヒュージを倒すためであり自身や仲間が死なないため、死なせないためだ。認めてもらうとかそんな目的の為に強さを求めた事は無い‥いや、かつてはそうかもしれないが今の海漓はそんな事を考えたことは無い
「あー、任務とか状況を抜きです
アールヴヘイムと共闘が出来たらな?みたいな夢や目標です」
そのように回答したがどうやら違っていたようだ。任務や状況では無く純粋な夢や思いを聞きたかったようだ。
そんな未来や可能性を抱いているかということなのだろうか
「どっちにしろ無いですね〜
世界最高峰のレギオンと肩並べたいとか寝言って言われちゃいますし‥仮に叶ったらアールヴヘイ厶は今まで何してたの?って言いたくなりますよ」
そうだとしても、そのような事を抱いたことは無い。自分含め隊の皆がその次元に達していない‥にも関わらずそのような事を言えば罵倒や侮蔑の嵐がとんでくるのは目に見えている。
隊が弱い強い以前に文字通りリリィとしての次元が違うのだ、
仮に並べる事があったら寧ろアールヴヘイムは今まで何してた?という話になる
「か、格付けはどうかな??」
「うーん‥私達まだ格付け貰ってないですからねまずはそこからじゃないですか?そもそも私SSSとかも意識した事はないです」
「格付けも無い!?」
格付けも同じ。そもそも現段階で防衛隊の格付けほ無し。そんな自分達が最高峰の格付けをもらうと言うことや貰いたいなんて考えたり意識した事すら無い
「私達のような防衛レギオンは相手可どうあれ守備範囲を守らなきゃいけないですし‥格付けが無かったり低いからって任務放棄したら駄目じゃないですか?」
防衛レギオンは特にそうだ。スモール級からギガント級、最悪の場合はアルトラ級まで守備範囲に現れたならば戦わなければならない。格付けがないから戦いません。何もしませんなんて言うふざけた事は許されない。
勝てないにしても市民の避難や前線の維持、かつてのネスト戦のように持ちこたえる戦いが必要となる
「任務をこなす中で格付であったりそういう高評価を頂けるのであればうれしいですけど、高い格付け目指して任務や訓練するのは何か違うな?って私は思ってます
私達が戦う理由ってヒュージの脅威から人類を守ることであって高い評価を貰うためじゃないって言うか‥」
任務を行い、戦果を出す中で評価される、認めてもらうならばとても光栄な事だ。だが高い評価を貰うため、皆にチヤホヤされる為に戦ったり訓練するのは違うと海漓は思っている
初戦評価など後からつくものだ。相模が求めるのは結果であり評価ではないのだから
「先生はどう思いますか?」
「神庭はリリィの自主制を尊重します。今の発言に対して特に口を出す事は有りません。
格付けは色々と複雑ですから」
一乙、否。教導官のスタンスは変わらない。神庭はリリィの自主制を尊重するガーデン。海漓のスタンス、考え方、価値観に口を出すつもりは無い。
格付けそのものが基準も曖昧でこれをすれば良いという具体的な基準はない。予想は出来てもあくまでも予想。
評価に対して周囲からの低すぎる、高過ぎるというのはよくある反応だ
「(もう少し言い方があります〜あの一言じゃやる気ないリリィって見なされますよ)」
今の考えを聞いたからこそフォロー出来る。これが自分や大人が不在。リリィであれば藤乃のように理解者や真意を探ろうとする者、相模女子のように海漓をよく知るものならば騒ぎにならないがそうでないものが大半。そんなリリィからすれば罵倒の嵐だ
「上を目指して欲しいとは思いますが上ばかり見て大切な事を疎かにしてはいけません。
目指す道は沢山あります。仲間達と共に考えながら歩んで欲しいなと」
結成したからには格付けは与えられてほしいし、目指せるならば最高峰を目指すべき。
だが上を目指すことばかり意識しすぎて仲間達や隊の任務を疎かにしてもいけない。最高峰に至る道は一つではない。皆で考えながら歩んでほしいものである
「成る程‥他は‥」
その後もインタビューは淡々と続く
終える頃にはすっかり日も暮れるためインタビューは終わりとなる
「ありがとうございました。
完成したサンプルは一度お送りします。目を通して頂き、よければ発刊という形になりますので」
「分かりました。よろしくお願いします」
海漓と一乙は一礼し室内を後に
ビルを出て並んで歩く
「心臓に悪い発言は止めてください!
あれは本当にびっくりしましたよ」
「そうですか?」
あの後もチラホラと失言はあったがまだ笑えるレベル
強くなる気がない発言に比べたら可愛いものだ
「先生相手では言いにくいかもしれませんが‥本当に認めてもらおうとかそんな風に思ってないんですか?」
「今は無いですね‥それこそ相模に入った時とかはそんな風に思った事も有りましたよ。」
そう。相模女子に入学した時や暫くの間は姉に認めて貰いたい、馬鹿にしてるリリィを見返したいという思いもあった、が
「でも訓練厳しくて、戦闘もキツイし覚える事も多くて‥途中からそんな事考える余裕とか暇が無くなったんですよね
勿論、ふざけんなとか思った事はありますけど‥それよりも」
海漓からすれば相模の訓練は相当厳しかった。戦場に経てば文字通り死を覚悟した事など数え足りない。覚える事も多く司令塔を見出されてからは更に拍車がかかり背負う者も増えた
そんな状況だ、初めは抱いた思いも薄れていったし考える余裕も無くしていったのだ
「それよりも?」
「落ちこぼれな私についてきてくれた友だちとか気にかけてくれた先輩や仲間の期待とか信頼に応えたり‥市民を守る事の方が評価とか見返す事より大事よなって」
今も昔も落ちこぼれで有ることにかわりは無い。才能や力など下から数えた方が早い。
それでもついてきてくれた者、気に掛けた上級生が多くいたのだ
いつからかはもう忘れた。ターニングポイントポイントは心当たりがあるが正しいかどうか分からない
彼女達や市民の為に戦うように気持ちを切り替えたのだ‥それでも暴言は出るし必要とあれば市民にも怒号を浴びせていたが
「教官とか私設レギオンの人達にも『お前についてきてるんだから気にするのは雑音や影じゃなくて今いる隊の仲間だぞ』って言われてましたし」
教官や私設レギオンの隊員から何度も言われた
雑音や影を気にして大切な事を見落とすなと
「大人の人達が話題に上がりますが上級生は?
中等部からならお世話係のようなリリィがつきますよね?それが松永遊糸さんですか?」
「遊糸さん?あー、違います。私のそういう面倒見てくれた人は他にいたんです‥けど」
よく教導官や私設レギオンが話題になるがリリィは何処に行ったのか。呼び方は違えど中等部からの入学ならば上級生か生え抜きの同期なのかは分からないがお世話係、ガーデンの事を含め面倒をみるリリィがつくはずだ。それが遊糸なのかと思ったがそれは間違い
海漓を担当した上級生は他にいる。が、彼女が担ったのは基本的に生活面でのフォローであり技術面はノータッチだ
「けど?」
「技術的な指導面は基本的に大人が主導したんですよね。
ほら、当時の相模って落ちこぼれ扱いですし‥そんなリリィが育てたって‥って感じで」
それもそのはず。当時の相模女子は落ちこぼれまっただ中
そんな中で落ちこぼれと言われるリリィが後輩を育てた所で落ちこぼれが育つだけ。余計な事はせず力をつけろというお達しが出ていたと後に聞かされた
「あー、確かに‥
確か相模はそのぐらいから優秀なスタッフを多く雇ったんでしたっけ?」
「えぇ。」
その話は一乙もとある筋で聞いたことがある。海漓の言う教官の事も知ってはいるがその事を伝える気はない
一乙も名前は聞いたことがあるが関わったことはなく、それこそお姉様の上の世代で、彼女曰く指導力は認めるけどそれはそれとして嫌いだと聞かされていた
曰く自身の装飾品や素行に関してうるさすぎるのだとか
途中、一乙の奢りで簡単な夕食を済ませガーデンに戻るのであった
本編の感覚が空きすぎてるから生存報告兼ねて閑話を投稿
海漓のインタビュー
本編はもうすぐ上げます