小型を増援に任せ、二人は叶星達に合流する
足止めは出来たものの致命打を与える事が出来ず膠着状態に入っていたようだ
「…やっぱり戦力を分けて勝てる相手じゃないわね
フォーメーションを組みましょう」
今までの状況を踏まえて叶星はメンバーにそう告げる
さらに
「作戦を説明するわ
但し戦況に応じてフレシキブルに動く事」
「(配置を固定しないって事か…)」
叶星の説明に海漓はそんな感想を持つ
レギオンで行う戦闘ではいくつかの手段があるがその中でも大事なのはフォーメーションである
今回のような強いヒュージとやる場合にはどのようなフォーメーションを組んで戦うのかによって勝敗が決まる
大雑把になってしまうが、フォーメーションを固定しながら戦うのか叶星のように戦況に応じて臨機応変に対応する可変フォーメーションかに分かれる
特に後者の場合強豪ガーデンの中でもトップレギオンクラスが導入している事もあり言い方が悪いかもしれないが神庭がこれを導入しているのは意外な事である。
ちなみに海漓が鎌倉時代経験しているのはフォーメーションを固定する前者のパターン
可変式は東京に来て初めて経験することになる
「配置を説明するわね
中央に紅巴ちゃんを配置するわ
全員のサポートをお願い
高嶺ちゃんと灯莉ちゃんで紅巴ちゃんの両端をお願い
姫歌ちゃんは前線でヒュージの動きを捉えて頂戴
最後は海漓ちゃんだけど、一旦紅巴ちゃんの背後で皆の援護をお願いするわ」
「えっ!?」
「海漓ちゃんを後方配置ですか?」
叶星の一言に姫歌と紅巴が驚く
無理も無い彼女達から見れば海璃はどう見ても最前線で戦うタイプ
それにも関わらず後方に置くなど実質的な戦力外ではないか?
口には出さないがそう思ったのだろう
しかしそこに待ったをかけたのは高嶺であった
「海漓さんは戦力外なんかじゃないわ。むしろとても難しいポジションを任せる…そうでしょう、叶星?」
「えぇ。基本は後方で皆の援護をお願い
但し、私達の死角を突いて背後に回られた時は海漓ちゃんにはそのまま前線で対応をしてもらうわ。」
「後衛をやりながら状況によっては前衛として立ち回れって事か…わかりました。」
状況に応じてフレシキブルに動く
それを最も求められているのは海漓で有るのかもしれない
口には出さずとも高嶺や灯莉が動いた時にはそこの穴埋めもやらなくてはならないのだから
全員配置についたのとほぼ同時にヒュージが動き出す
アステリオンを射撃モードに変形させ
全体の支援に入る
「(片方は灯莉ちゃんの真上…あっちは高嶺さんもいるし対応出来るからもう片方を牽制
連射した結果誤射の可能性…無い!なら撃つ!)」
狙撃…というよりも得意な早撃ちで相手の動きを封じ前衛の攻撃を支援する
のだが、他のメンバーにはその攻撃が異様に映っているのだ
「海漓、あのヒュージの動きを完璧に捉えてる!?」
「っていうかヒュージの方から弾丸に当たりに行ってるよ〜」
彼女の放つ弾丸は一切の狂い無くヒュージに向かって飛んでいき動きを妨害、もしくは直撃している
単発だけならば射撃の腕が良い…と言う風に説明がつくが彼女が行っているのは連射。
数撃ちゃ当たるでは無く撃った分だけ当たる現状は見るリリィに取ってみれば異様にも映る
しかしそんな事を言われている海漓だがそんな事は気にせず…というより気にする余裕も無い為援護を継続
「(これ以上は叶星様の邪魔に…なる?なるよね…なら)」
こうしている間にも叶星はヒュージに近接戦闘を仕掛けているためタイミングを誤ると誤射につながってしまう
誤射と援護の境界ギリギリを攻めた射撃を行っているのだ
すると途中、姫歌が
「叶星様、高嶺様達が抑えてた奴戻って来ます!」
高嶺達が抑えていたヒュージが叶星に向かって来ていることを姫歌がレアスキルを使い察知
対応に当たるのだが
再びベストなタイミングで海漓からの援護攻撃
味方への誤射を避けるため直撃ではなく牽制目的の弾丸が飛んでくる
「どんな反応速度よ!?っていうか姫歌の指示よりも前に狙いつけてるでしょ!?」
「いくら海漓ちゃんが早撃ち得意とは言えアステリオンで出来る速度じゃないです…!」
海漓が早撃ちが得意な事は全員が把握しているがそれは本来の使用機体であるトリグラフでの話
あれならば可能ではあるが今使っているのはアステリオン
いくら連射性能を高めたとは言え限度がある
にも関わらずこの一切の狂いが無い正確な援護射撃
CHARMの性能とかけ離れた行動に一年生全員は戸惑う
が、二年生には心当たりがある
「(ユーバーザインが発現しているにも関わらず未来予知にも見えるあの行動…海漓ちゃん、貴方まさか!?)」
「(この時期にこの現象…まだまだ底が見えないわね…もしかして、まだ実力を隠してる?)」
海漓のレアスキルはユーバーザイン
これはガーデンでも正式に確認されており叶星達にも共有されている、揺るぎない事実である
だがリリィが持てるのはレアスキルだけでは無い
上級生二人はその続きの話をするのはもっと後と計算していたがこのタイミングでの出来事は想定外
これが御台場や百合ヶ丘、メルクリウスなど強豪ガーデンなら話は変わるがここは神庭
もしかしたら縁のない話とも考えていた可能性なのだ
ましてやそれが、ここでは見られる事の無いと思っていた能力ならば驚きも倍となる
だがここで驚いている場合ではない
叶星は次の手を打つ
「紅巴ちゃん、テスタメントで私のサポートをお願い
後、海漓ちゃん貴方に見えてる景色を私にも伝える事はできる?」
「そんな鮮明には伝わりませんよ?」
「十分よ」
その言葉と同時に紅巴はテスタメントを発動
それに合わせ叶星は自身のレアスキルであるレジスタを発動
テスタメントのおかげで効果範囲が広がっているためこの場の全員が恩恵を受けることが出来る
「(こう、分かりやすくイメージを伝言ゲームみたく伝える感じで…んーと、こう?)叶星様、どうです!?」
感覚にすると何とも言い表す事が出来ないがとにかく簡潔に、分かりやすく叶星に伝わるように考え意識を集中
「…ッ!ありがとう海漓ちゃん、よく見えてるわ。
高嶺ちゃん!」
「えぇ、分かってるわ!!」
叶星と高嶺の二人は仕上げとばかりに2体のヒュージ目掛けて突撃する
従来ならば息のあったコンビネーションで仕留めに行くか今日は違う
叶星が先行し、高嶺が追従する形
だが少し前とは違い無茶な行動では無い
ヒュージも彼女達を迎え撃つが叶星はそこに攻撃が来る事を予測していたかのように回避
高嶺も続く
「(このタイミングなら同時に行けるのね…分かったわ)高嶺ちゃん、私に合わせて!」
「勿論よ」
その言葉と同時に2体のヒュージを同時に撃破する
2体とも粉々に砕け散っており、今度こそ倒せた事を確信する
「(まだ
他の一年生はヒュージを倒せた事を喜んでいるが海漓は冷静に振り返る
技量に差がある為一概に言えないが一年生が倒しているのは小型のみ
たがレギオンでフォーメーションを組み対ヒュージ戦闘を行えたのは大きな進歩
時期と
「あーちゃん?」
「海漓ちゃん、どうかしました?」
そんな事を海漓は考えていたのだが紅巴達にはどこかおかしく見えていたのかも知れない
まぁ、一言も話さずに立っていたら不審に見えるのも当然である
「へっ?あ、ゴメン。ぼーっとしてた
」
「結構マギ使ってたし疲れたんじゃないの?少し休んでたら??」
「大丈夫、大丈夫
やることやって、サクッとお遊戯会の準備終わらせないと」
そう言いメンバー全員で戦闘の事後処理を行う
ちなみに戦闘のあった翌日には幼稚園で無事にお遊戯会が行われた事を追記しておく
後1話投稿して次からはラスバレ編の予定です