Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第22話

幼稚園のボランティア活動を終え数日たったとある日、海漓は叶星に連れられて校内を歩いていた

 

まぁ、こうなる原因に心当たりが無いわけでは無いので特に不安にも思っていないのだが、それでもレギオンの隊長である叶星と二人で行動と言うのは慣れないものである

 

すると叶星は

 

「多分こうなった原因に心当たりはあると思うけれど…特に不安になる必要は無いわ

会場には専門の教導官や校長先生。

私も立ち会うし、最大限の配慮はするから安心してね」

 

「えぇ、まぁ。にしても随分と人手を割くんですね

医務室かどっかで測定員一人がサクッとやるとばかり思ってましたよ」

 

心当たりがあるとは言えここまで大掛かりにやるとは思ってなかったのも事実

空いた時間にガーデンで調べるだけだと思っていたのだがガーデンの教導官とレギオンの隊長が立ち会うとは思わなかったのだ

それを叶星も察したのであろう苦笑いしつつ彼女に告げる

 

「該当する原因が原因なだけにガーデン側も正しく把握しておきたいって判断なんだと思うわ

将来的な事も考えると…ね?」

 

「まぁその手の才能ある子は入学してから目覚めても百合ヶ丘に速攻で強奪されるのが目に見えてると思いますけどね。金と権力に物言わせて才能ある子を見つけるのもぶち抜くのも得意ですから

私達みたいに他所からの転校生って見ても余程のことがない限り手放さないと思いますし…

あ、神庭が悪いとかじゃなくて相手が悪すぎるって意味ですからね?」

 

海漓は冷静にそう答える

彼女をきっかけに今後ガーデン側の教育カリキュラムが発展し新入生の覚醒や転入生を受け入れる体制を作る事自体何も問題が無いのだが、鎌倉にある百合ヶ丘のように才能あるリリィが世界中から集まっているガーデンも所有者の把握と勧誘に力を入れており神庭に入ってくる可能性の低さを指摘する

まぁ、彼女の古巣にはその手放された例外もいる事を追記しておく

 

「まぁ、言いたい事は分かるわ」

 

叶星も心当たりがあるのであろう

苦笑いしながらではあるが言ってる事を受け入れる

そんな雑談を行いながら歩いていると目的地である訓練場へと到着する

 

そこには複数の教導官とガーデンの校長が設備の前で待っていた

 

「急に呼び出して申し訳ない

早速だけれど先ずはスキラー数値の測定から行ってもらうわ」

 

ガーデンの教導官がそう言うと同時に海漓は専門の機材を身に着けていく

スキラー数値とはマギをどれぐらい扱う事が出来るかを数値化したもの

リリィになるにはこれが50以上が必要でありここがリリィになれるかのボーダーラインである

ちなみにこの数値、本人の成長で上昇する事も確認されており健康診断の時に測定されていたりする

 

「(…これ暇なんだよなー。レアスキルならともなく…)」

 

不快感よりも暇という理由で早く終わってほしいと考えていると

 

「入学前の数値よりも若干伸びて…ますよね??」

 

「えぇ。」

 

教導官と校長が画面に現れた数値を見て素直な感想を言う

現れた数値は89

世間一般ではスキラー数値が85を超えると優秀なリリィで有ると言われており彼女の力の高さが伺える

 

「天野さん、次はいよいよ本題です

…準備は良いですか?」

 

「いつでも…いや、ちょっと待ってもらえます?」

 

教導官の言葉に海漓が驚く

海漓の正面には叶星が笑顔で立っているのだ

なぜか使用CHARMであるクラウ・ソラスを構えて

 

「どうしたの?」

 

「いや、こういうのって普通は模擬ヒュージで検証するもんじゃないです?」

 

「海漓ちゃん相手に模擬ヒュージだとスキルかどうか調べる前に終わっちゃうじゃない。

後輩の成長の確認とこれからのメニュー考えるためにもここは私が…ね?」

 

そう話しているうちに訓練室には海漓と叶星の二人だけ

付近には測定の為の機材が設置されているのが分かる

教導官達は別室でモニタリングをするようだ

手際の良さを考えると既定路線だったのだろう

古巣では時折こういうのもあったし初めてでは無い

海漓もトリグラフを構える

 

「神庭でもやるとは思いませんでしたよ。」

 

「基本はしない方針だけど今回は例外よ

ルールとしてはレアスキルのユーバーザインの使用は無し。今回の目的を意識して戦う事

後は、特に何もないわ。…本気を出して頂戴」

 

そう言うと叶星の纏う雰囲気が変わる

普段の隊長としての面というよりは一人の戦士としての風貌にも見える

 

「(先輩とやるこの手の訓練はいつやっても手を抜けないよな…抜いたらヤラれる)…じゃぁ、行きますよ!!」

 

「…!!」

 

海漓の発言とともに銃口から模擬弾が叶星に目掛けて放たれる

こうして測定を兼ねた模擬戦が幕を開ける

 

「(相変わらず速い!)」

 

開幕と同時に迫りくる弾丸

間近で見てはいるが相対してみて改めて彼女の射撃能力には驚かされる

少しでも気を抜けば開幕直後に被弾し終わっていたレベルだ。

迫り来る弾丸を叶星はすぐに回避し海漓に切りかかる 

 

本来ならばユーバーザインを使い気配を消すのだが今回は無し

意識を集中し、あの時と同じ現象を起こそうとする

のだが、それを待つ程、叶星は甘くはない

 

「あっぶ…な!」

 

斬撃を海漓は後方に下がりつつ回避、切り返しに弾丸を放つ

今度の狙いも届かないばかりか叶星はCHARMで弾丸を弾き、そのまま突進

 

「同じ手で来るつもり?」

 

「まさか」

 

その発言とともに叶星は接近戦を仕掛けに行くが海漓は左手の子機のみブレードモードに変形させ迎え撃つ

 

「(あの時と同じ…動きを予測するように、そして私がどうすればいいのか)」

 

意識を向ける

彼女の動きだけでなくこれからの自身の立ち回り

浮かび上がるのはいくつかの光景とその為の条件

その結果どうなり、更にその次はどうするのか…までは当然見えるはずがないが、選択肢が見えるのならば手はある

 

「この後は…どうするの?片手じゃ私は止められないわよ?」

 

「止めるつもりなんてありませんよ」

 

そう言うと海漓は右手の親機を射撃モードで構え叶星に向けて放つ

 

「この距離で射撃!?」

 

「射撃を近距離でやったら駄目なんて決まりは…無いですよ?」

 

そう言い弾丸を放つ

狙うのは左の脇腹、流石にこの状況で顔面や腹部の中心を狙うのは危険なのだから当然といえば当然である

この至近距離である、並のリリィならば脇腹といえど直撃するのだが、叶星はそうは行かない

とっさの判断で彼女の左側へ飛び被弾を避ける

しかし、これは海漓には視えていた

 

「まだまだ!!」

 

「…ッ!」

 

そして、このタイミングを逃す海漓では無い

飛んだ直後に今度は左の子機側から弾丸が飛んでくるが叶星は素早く体制を低くすると足払いで彼女の体制を崩しにかかる

 

「そう来ますか!」

 

しかし海漓をこれを余裕を持ち回避

低い体制の叶星に対し本来ならばトリグラフをパルチザンモードへと変形させ一気に決めに行くのだが

 

「(あ、ここで決めるのは無理っぽい)」

 

先の容量で足払いまでは予測出来た

が、その後までは予測は無理

ここからは海漓の判断になるがこれは彼女の経験から無理と判断

叶星程のリリィがこのような分かりやすい隙になるような動きをするはずが無いのだ

その予想は的中するパルチザンモードに変形させたのと同時に低い体制から先のお返しとばかりにクラウソラスを射撃モードへと移行させ待ち構えていたのだ

 

「ヒヒイロカネの最新鋭機のトリグラフ。その性能は把握してるわ。

そのモードになるとどうしても子機側と違って親機側には変形の時間にロスがある事も…ね?

変形の時間で言うなら…私のクラウソラスの方が速いわ」

 

「流石です。勝ち急いで安易に行かなくてよかった…

これはヒヒイロカネに要望出しておくかなぁもうちょっと変形のロスタイム減らしてくれって…でもこれ以上は無理そうだし…ならビームサーベル的なのに…」

 

こればかりはお互いに自身の経験と技量により起きた結果

どちらかの経験と技量が劣っていればここで勝敗がついていたのは事実

仮に海漓が射撃を続行していても叶星ならば体制を立て直し距離を取った状態で仕切り直しになるだけである

 

そして今回の目的は勝敗を付けることではない

この短い間でも十分成果は得られている

 

「とは言えさっきまでのあの動き…これは測定次第だけどほぼ確定…かな」

 

「もう少しやれば更に詳細なデータ取れましたかね?」

 

「流石にあれ以上は駄目よ。

明日以降に影響がでるわ」

 

そうして二人が話し終わると同時に測定が終わったのか教導官が二人を呼び出す

 

「戦闘時の海漓さんの動きとその際のその他諸々をこちらで用意したデータと照らし合わせた結果…サブスキルの発現を確認しました

間違いなく虹の軌跡ですね」

 

サブスキル、それはレアスキルを100とするはらばその出力は70%程になってしまうがレアスキルと違い複数保有する事のできる能力だ

レアスキルに対応するようにサブスキルは存在しているが海漓が目覚めたサブスキルはその中でも特に希少なレアスキルであるファンタズムに対応するサブスキルである

 

「サブスキルの充実は私にとっての最大の課題だったけど…初手で虹の軌跡引けるのって中々に幸先いいですよ、コレ」

 

そう言い海漓は喜ぶ

レアスキルには様々効果を持つものが存在するが、ユーバーザインは有効なスキル…ではあるのだが海漓の戦闘スタイルとはミスマッチ気味であり、戦闘技能の補助という意味を含めてもサブスキルの充実が最重要課題であったのだ

 

その後は簡単な話をして解散となる

退出した後に叶星と海漓は

 

「今後はユーバーザインと虹の軌跡を安定化させつつ、新たなサブスキルの獲得を目指すって感じかな?」

 

「そうですねー。

機動力と火力の底上げは狙っていきたいです…支援や防御は…後回しにしても…?」

 

そう言い海漓は思い悩む

すると叶星は

 

「そうなるとインビジブルワンやAwakeningが次の狙い目かしら?

 

「それは確実に欲しいですね」

 

「それじゃあ今後はその2つの獲得を視野にいれた訓練も取り入れていきましょうか」

 

叶星は海漓にそう言う

その後はレギオン全員でのミーティングを行いその日を終える

 

 

 

その後も様々な出来事で多くの経験を積むのはまた別の話

そして数カ月が立った後、レギオンにとって最大の出来事が発生するのである。

 




プロフィール更新

氏名     天野海漓
スキラー数値 89
レアスキル  ユーバーザイン  
サブスキル  虹の軌跡 ←NEW!
       ???
       ???
       ???
使用CHARM   トリグラフ アステリオン
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