Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第24話

百合ヶ丘グリーンフェアから数日後、グランエプレのメンバーは合同合宿の為百合ヶ丘女学院へとやってきていた

 

荷物の受け取り等々を済ませ校門前で合宿相手である一柳隊と顔合わせ

 

一柳隊とは隊長に一年生の一柳梨璃(ひとつやなぎ りり)、副隊長に二年生、白井夢結(しらい ゆゆ)を据えた今年設立されたレギオンであり

楓・J・ヌーベル、二川ニ水(ふたがわ ふみ)郭神林(クォ シェンリン)王雨嘉(ワン ユージア)、安藤鶴紗、ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス、吉村・Thi・梅の9人で構成されている

二年生は夢結と梅の二人で残りは一年生

下級生が多いという部分だけを考えると神庭と同じような構成である

 

そんな彼女達と自己紹介…と言っても百合ヶ丘グリーンフェアに参加してなかった海漓だけなのだが

 

その名を聞いた一柳隊メンバーの反応に差はあれど共通するのは初めて聞いたという事実

詳しい話は合宿場所である海岸線に向かいながらする事にする

 

「それにしても驚きました…天葉様に妹がいたなんて…お姉様はご存知でした?」

 

「いえ…私も初めて聞いたわ」

 

そう言ったのは梨璃と夢結

彼女達もまた姉妹契約を結んでいる

それを聞いた海漓は

 

「(ガチで私を居ない扱いしてやがったのか…いや分かってたけど実際に聞くとなぁ…)」

 

想定していたとは言え実際に聞くと心に来るものがあるのも事実

リリィで有るかどうかはともかく海漓の存在そのものを姉が隠していた事を知って無反応で居ろというのが酷である

するとそれを聞いていた少女、ニ水は意外な反応を示す

 

「海漓さんが天葉様の妹だって知ったのは私も初めてですが

私、海漓さんの事自体は知っていましたよ?」

 

「え、何で?」

 

ニ水は当たり前のように言うが海漓は当然疑問に感じる

海漓が中等部時代を過ごしたガーデンと言うのは当時は弱小扱いであり鎌倉内で観た場合だとメルクリウスや百合ヶ丘には多くの怪物リリィがいる

その中で海漓を知っている理由は何なのか

 

そんな彼女の疑問など把握せず二水はスラスラと話す

 

「私、リリィオタクなので

中等部から活躍していた海漓さんの事も当然チェックしていました!」

 

「そりゃどうも。」

 

海漓は呆れながらそう言う

百合ヶ丘所属ともなれば大体は同格のガーデンのリリィにしか目を向けないものだと海漓は思っているので彼女のようにガーデンの規模問わず把握しているなど珍しいと考えていたのだ

 

 

そんなやり取りをしている後に海岸線に到着

楓の号令と共に合同合宿が開始される

一年生がやるのは基礎的な事を中心に、上級生は戦術理解を深めるためのシュミレーション…なのだが

 

「(いや、それはうちだと司令塔の定盛ちゃんがやらなきゃダメなやつでは?)」

 

上級生と下級生に別れて行っているのだが下級生のやるメニューは体力メニューを中心とした基礎的な事を中心に組まれており、メニューに差は有れど神庭でも行っている事だ

叶星と高嶺が司令塔を努めているのであればこれでも問題は無いがグランエプレの司令塔は姫歌である

ならば彼女こそ、そのシュミレーションを受けるべきだと海漓は考えているし、それを本来ならば叶星達が伝える必要があるのだ

 

さらに言うとこれが合同訓練だけならまだ分かるがヒュージの対処と言う目的が有り、出現した時の事を考えると基礎も大事だがシュミレーションやお互いの連携の確認等やる事が山ほどある

勿論、これが百合ヶ丘流の訓練前のウォーミングアップと言う可能性もある

百合ヶ丘ではウォーミングアップをやるのは一年生だけで上級生はアップをせずに即訓練を行うのが常識なのであろうか?

 

「(その打ち合わせをするために叶星さん達が…あれ?)」

 

と、ここで違和感

来校時、叶星と高嶺は先に百合ヶ丘内へと入っていった

目的は百合ヶ丘への挨拶の他に隊長と練習時の打ち合わせだと思っていたが隊長の梨璃はまっさきに自分達を出迎え

二人と出てきたのは副隊長の夢結と楓では無かったか?

 

「(…いや、まさかコイツ…メニューノータッチ?いや、まさか…隊長だぞ?)」

 

グランエプレの訓練メニューは上級生が組みつつメンバーの意見を纏めながら組み上げる形

一柳隊がどのような方式を取っているかは分からないが隊長がメニューに関わっていないなどあり得るだろうか?

海漓の中等部時代を思い返してもなんらかの段階で隊長の耳には入っていた

 

事前に伝えていたから梨璃は迎えに来た…という可能性もあるが先程の反応からして初めて聞いたようなニュアンスだ

 

海漓は丁度近くにいた梨璃に聞く

 

「…このメニューって一柳隊が普段アップでやってるやつ?」

 

「普段とは違いますね

今やってるのは、お姉様と楓さんが新しく組んでるメニューだと思います

…私このあたりは良く分からないので…後でお姉様に聞いてみますか?」

 

「ん、んー、後で直接聞くから大丈夫」

 

まさかの予感的中である

楓の実績と実力を考えるとリリィに合ったメニューの作成など簡単に行えるだろう

しかしそれを隊長が把握していないのはないどうなのだろう?

彼女を圧倒的に信頼しているからこそ全てを任せている可能性もあるので一概にどう、と言うことも出来ないのだが

 

 

合宿に来る前に姫歌達は同い年が百合ヶ丘で隊長を努めているのだから負けられない…と意気込んでいたがあって間もないが彼女達は負けているのであろうか?とも思う

勿論、百合ヶ丘レギオンで隊長を務めるのだ

実力を隠している…もしくは何か特別な才能を秘めている可能性は大いにある為油断は出来ない

 

 

 

 

そんな考えを持ちながらも時間は進み、ノインヴェルト戦術の講義を行う…のだが

その途中で金切り音のような声が響く

 

「ヒュージ出現…

練習は一時中断ね」

 

叶星がそう言う

スモール級かつ数もそんなに居ないが油断できる相手ではない

 

「皆、準備は良い?

グランエプレ、出撃!」

 

「一柳隊も出撃です!!」

 

叶星、梨璃の二人も出撃の号令をかける

その瞬間、両レギオンともにフォーメーションを組む!

そして先制攻撃と言わんばかりの攻撃を行ったのは一柳隊では無く海漓である

 

「スモールとは言え先手必勝!!」

 

そう言いトリグラフを抜き素早く射撃を叩き込む

この流れ、グランエプレではお決まりの光景ではある…のだが

 

「見慣れてる私達ならともかく初めて見たらそんな反応よね…分かるわ」

 

「なんかあーちゃん、また速くなってない?」

 

姫歌と灯莉の言うとおり、一柳隊は全員があっけに取られている

向こうも先制攻撃を行う事を考えていたと思うがその彼女達が攻撃を行うよりも速くに攻撃が開始されたのだ

驚くのも無理は無いだろう

 

「…って感心してる場合じゃないわ

私達も行くわよ!!」

 

そういつまでも感心しても居られない

ヒュージはまだいるのだ

一柳隊は既に戦闘を開始している

出遅れる訳には行かない

 

グランエプレもそれぞれ配置に付き、戦闘を始める…のだが

 

「海漓ちゃん、スキル…使わないんですか?」

 

紅巴はそう尋ねる

いつもならこの後は海漓がレアスキルを使いヒュージを撹乱するかレアスキルとサブスキルを併用し自身も前に出るのだが今回は前に出ずあくまでも支援を行っているのだ

 

「あー、スキル?

今回はやめとくよ数もいないし何より…」

 

「?」

 

「百合ヶ丘の目の前で使ったら不味いでしょ

下手しなくても私、撃たれる」

 

「あっ、そ、そうですね…」

 

海漓の答えに紅巴は心当たりがあるのであろう

納得したような表情を浮かべる

グランエプレで当たり前に使っている海漓のレアスキルだが百合ヶ丘のリリィが居る前では発動する訳には行かない

文字通り初見で海漓のレアスキルに対応するのはほぼ不可能なのである

 

 

戦闘が終わり、一旦休憩となる

その途中、楓は

 

「(一年生3名の実力は把握出来ましたが…海漓さんだけはまだ把握出来ませんわね…この後の訓練で…)」

 

この後の訓練の事を頭に思い浮かべる。

以前と今回でグランエプレの実力はほぼ把握しているのだが海漓の戦闘を見るのは今回が初めて

実力を把握しておきたかったのだが、その戦闘で力を抑えられてしまってはこの後の訓練に不安を残す

少々手荒にやる必要が出てきたかもしれない

 

「楓、この後なんだけど…

ちょーっと揉んであげようと思うんだけど…良いか?」

 

声をかけてきたのは梅

先の戦闘を見て思うところがあるのだろう

それは海漓ではなくグランエプレ全体を差しているのを付け足しておく

 

「はい。お願いしようと思っていたところです。」

 

楓もそれに同意する

この後の訓練は彼女が適任なのは明白

梅が相手なら海漓も本気を出すであろう

一柳隊のメンバーには伝えていないが彼女が本気を出していた時のデータはとある人物に頼んで入手済み

勿論、鎌倉を離れ、神庭に進学し力をつけているが何も知らないよりはマシなのも事実

 

楓がこの後の予定を考えていると丁度休憩が終わる

それと同時に始まるのは次の訓練だ

 

「さて、ここからは梅様がヒュージ役です」

 

そう言い梅がCHARMを構えて横に立つ

疑問に思う者、内容を察知する者様々である

 

すると叶星が

 

「なるほど。皆、配置に付いて

気を引き締めてね」

 

数名混乱しているが、叶星に言われ配置につく

勿論、海漓もその一人だが

 

「(どうすっかなぁ…ノインヴェルトって言うならレアスキル…使うか?)」

 

この後どう立ち回るかを頭の中で考える

普段どおりやるか…ある程度は隠すか

そう考えていると高嶺が海漓のそばまでやってくると耳元で

 

「…折角の機会だし、試してみたら?

サブスキルの精度を測るには丁度いい相手よ

レアスキルは…状況をみて発動すれば良いわ」

 

「…なるほど、良いですね、ソレ」

 

海漓も小さく笑みを浮かべる

開始寸前に話しているのだが、幸いな事に二人の会話は聞かれてはいない

 

「おーい、どうしたー?」

 

「何でもないわ

ただの打ち合わせよ。」

 

梅が気になり高嶺に声をかけるが高嶺は何ともないように告げる

 

 

お互いの思惑が交差しながらも合宿はスタートする




ちょっと駆け足気味だけど前半終了
ノインヴェルトの解説は次回に
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