Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第28話

二水の提案を受け、切通しを進んで行く

目的の場所までは少々距離があるようだ

交流も兼ねて各々が会話を重ねている光景も所々で見られる

 

どの位の距離を進んだだろうか

歩みを進めた先に見えたのは一軒の大きなロッジ

 

「(これを商店街として保有?

こりゃ只のロッジじゃないぞ…まさか皆気づいてない?)」

 

海漓はそう思う

二水が言うにはこのロッジは百合ヶ丘商店街の保有しているロッジであり、普段は自治体が定期的にキャンプを行う際に使用しているのだとか

そして以前参加したグリーンフェアのお礼を兼ねて無料で使用する許可をくれたらしい

 

たかがロッジと思うかもしれないがこれだけの大人数が宿泊しても問題無く外見もそこまで古びてはいない

激戦区である鎌倉で民間人が呑気にキャンプなど簡単にやれるはずがない

 

 

これはあくまでも海漓の予想に過ぎないがこのロッジは非常時の際の避難場所、もしくは臨時の作戦本部としての役割も兼ねている施設であり貸出主も実は正体を明かしていないが、百合ヶ丘の生徒の保護者もしくは防衛軍の関係者と言う可能性だ

恐らくだが百合ヶ丘のリリィも定期的にここを使っているのかもしれない

 

「(流石百合ヶ丘、こういう支援はされて当たり前…か羨ましいね)」

 

百合ヶ丘だからこそある支援だろう

海漓の古巣など該当地域の治安も決して良いとは言えない

海漓達も中等部時代は言葉を悪くすれば用心棒紛いの事を良くやらされたものだ

周りの支援も勿論あったが百合ヶ丘程ではない

 

「皆、待ってたわよ〜」

 

そう言いロッジの前に居たのはメガネをかけた一人のリリィ

 

「百由様!いらっしゃってたんですか!」

 

「えぇ、今回の作戦本部長も兼ねているからね」

 

梨璃が驚いたように言う

先程も楓の話で名前の出ていた人物

作戦本部長と言っていたが彼女は一柳隊のメンバーでは無いのだろうか?

するとミリアムが

 

「グリーンフェアの時にお主はおらんかったな

二年の真島 百由(ましま もゆ)様、優秀なアーセナルじゃ

作戦本部長等と偉そうな事を言っておるが自称だから気にせんで良いぞ」

 

そんな事を言う

一柳隊では無いということも追加していた

ガーデン側からの増援もしくはサポート的な立ち位置だそうだ。

 

「とにかく作戦本部長からのミッションを発令するわ」

 

そう言い言葉を続ける

 

「皆で美味しい食事を用意する事

これが最初のミッションよ」

 

そう説明する

ミッションと言ってはいるが交流を深める目的もあるのだろう

班もリリィ全員の性格等を分析しガーデンを問わず配置、各々がその役割をこなすというものだ

 

ちなみに海漓はベッドメイキング等ロッジ内での準備を行う班だ

 

これだけの人数が居れば準備の他に設備の確認等も出来る…のだが

 

「おーい、定盛ちゃ…あれ、居ない?

灯莉ちゃんも…居ない…何で?」

 

こういう所ではまっさきに散策を行うであろう灯莉の声が一切聞こえない

不思議に思い海漓は探すが姫歌共々どこにも居ない

 

 

ロッジには海漓一人だけ

ベッドメイキングだけなら一人でも十分に可能な為黙々と作業を行う

 

 

暫くすると瑤がロッジに入ってくる

 

「調理班の所にベッドメイキングのメンバーが来てたからもしかして、って思ったけど…一人でやってるの?」

 

「えぇ、まぁ。

一人でも十分やれるので」

 

そう答えながらも黙々と作業を行う

 

調理班の所に行ったと言うがそもそも、姫歌が先に外に出たのか、灯莉を止めるために出ていったのかは分からない

先程性格等を分析、と言っていたがその分析間違ってないか?と言いたくなる

それとも脱走を想定した布陣を組んか…のどちらかである

 

すると瑤は

 

「手伝おうか?

こっちは火起こし終わって暇なんだ」

 

「うーん、ならお願いしますね」

 

暇ならば手伝ってもらおう

そう考え二人で作業を行う

 

「神庭はどう?楽しい?」

 

「えぇ。楽しく過ごしてますよ」

 

「なら良かった。」

 

その言葉に瑤はどこか安堵する

海漓の事を知っているからこそ気にかけていたのだろう

 

「所で…天野天葉からは何か連絡あった?」

 

本題、と言わんばかりに彼女はとある話題を出す

まぁ瑤としてもここからが本題だろう

 

「いえ、特に何も

中等部の頃すらまともに連絡取れなかった上で

さらにこうなったんです…ガーデン卒業まで無理だと思いますよ」

 

海漓はそう答える

ここ数年まともに顔を見ていないし話すらしていない

お互い携帯電話を持っているが連絡先すら知らないのだ

まぁ中等部ならいざ知らず今の天葉には姉も妹もおり

そんな状況で海漓がまともに会えるわけもないと思っている

下手したらこの先ずっとそうなる事も海漓は覚悟しているのはここだけの話

 

「この時期の唐突な合宿

となるとやっぱり狙いは千香瑠…?」

 

その言葉を聞き瑤はこの後起こるであろう展開を予測できたのだろう 

彼女を気に入っているのは天葉と同じアールヴヘイムのリリィ

更にその扱いについてアールヴヘイムのリリィがネットでエレンスゲに対し異議を称えているのだ

行動を起こさない訳がない

 

瑤としては本命は海漓、千香瑠はその次であってほしいと願っていたのである

お互いリリィをやっていていつ命を落とすか分からない

ならばせめてレギオンは違えど同じガーデンで仲良く過ごしてほしいと彼女は強く願っていた

 

瑤の願いは分からずとも百合ヶ丘がエレンスゲに声をかけた理由なら海漓も何となくだが予想出来ていた

 

政治的に対立しているガーデンのリリィを百合ヶ丘が招き入れる理由などそれしかないだから

 

「タイミングは分からないですけどこの合宿が一段落したらアプローチ、来ると思いますよ

何なら千香瑠さんの様子は一柳隊を通して百合ヶ丘上層部やそれこそアールヴヘイムに報告されてもおかしくないかと」

 

「だよね…

でも今回の合宿でそれこそ貴方の事も百合ヶ丘の耳に入るんじゃ」

 

「それなんですよね…」

 

瑤や恋花は一葉から聞いた話ではあるが海漓が神庭に来た本当の理由を知っている

だからこそこの後海漓の身に起きるかもしれない事を危惧しているのだ

 

「アイツの妹ってメンタルかなりヤバイって話だし私きっかけでまたメンタルぶっ壊れたとかなったら大問題っすよ…仮にそうなったらアールヴヘイムから報復とかされますかね?」

 

海漓はそう話す

世間から認識されている百合ヶ丘においての天野天葉の妹は精神面が不安定であり天葉に依存しきっていると言う話もある

そんな中で海漓と天葉が会おうものなら精神的な不調に陥るかもしれない

たかが精神と言われるかもしれないがリリィと言えど10代の少女

精神面でのダメージは周りが思う以上に深刻でありそれはそのままリリィとしての能力にすら関わる部分でもある

 

故意ではなくともそのような事になってしまえば原因を作った海漓に対し報復とも言える措置が来てもおかしくは無いと思っている

 

「今回の合宿に誘った以上百合ヶ丘からのフォロー位は期待しても良いと…思う

仮に貴方がそうなった時に天野天葉が貴方を庇わなかったら少なくとも私は軽蔑する」

 

その可能性を瑤も考えていない訳ではない

だがそうなったとしても姉ならば海漓を守れと考えている

 

「リリィならば常に最悪の事態を考えて行動すべし…とは言え今は対ヒュージの事に専念です

その後の事は終わってから考えましょう」

 

「そのとおり…かもね」

 

そんなふうに話をていると紅巴が準備が全て終わった事を告げにやってくる

こちらも作業が終わったので丁度良いタイミング

 

 

二人が外に出ると夕食の準備を終えこちらを待っていた

夕食はカレーとバーベキューと言うこれまた定番のメニュー

味も問題なく非常に楽しい時間になった

 

合宿の夜はこれからである




海漓が何故古巣を離れ神庭にいるのか
それはもう少し先の話

見方を変えれば納得の行く内容にしています

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