海漓と瑤の二人は残りの面々の到着を待ちつつ付近のヒュージを片付けて行く
が、海漓はその中で一つ気になる事がある
「(特型ヒュージ、一向に仕掛けてこない…どういう事?)」
付近に現れたヒュージはこちらに攻撃を仕掛けてきているが特型は動く気配すら見せない
まるでこちらの動きを伺っているかのよう
その分付近のヒュージが仕掛けてきているが見方を変えればこちらを消耗させるために動いているとも取れる
個体差によって違いはあるもののここまで大人しいタイプを海漓は今まで見た事がない
特にここは激戦区である鎌倉、凶暴なヒュージも多く出現する地域という事を考えれば異常な光景だ
仕掛けるタイミングを伺っているのか、それとも何か大技を放つつもりなのか
ヒュージの狙いが分からないのが非常に不気味である
そうしていると
「瑤!海漓ちゃん、無事!?」
「やっと、追いついた…ってもう始まってる!?」
そう言いながら恋花と姫歌
少し遅れて神琳と紅巴もやってくる
当初の予定よりも早く戦闘が始まってしまっているがこれは間違いなく二人の進軍が早かった影響だ
その分想定している以上のヒュージを撃退しているので文句を言えないのも事実
むしろサポートチームとしての仕事を全うしているとも言える
「お二人は一度安全圏まで後退し下さい」
神琳は瑤と海漓の二人にそう告げる
遠目でしか見ていないが二人共マギと体力をかなり消耗している事が伺える
自分達の役割は特型ではなく周囲のヒュージの掃討
こちらが有利なこのタイミングで一度二人を休ませる事を彼女は選択する
二人抜けることにはなってしまうがそれでもまだ十分に戦うだけの戦力は残っている
それを理解したからこそ海漓と瑤は一度後退する
途中、海漓は瑤に
「すいませんね、付き合ってもらっちゃって。
マギ、大丈夫ですか?」
一言謝る
自身は得意分野とはいえそれに瑤を付き合わせてしまったのだ
お互いに負傷してないが無理をさせてしまったのだ
心配して当然だ
「うん、平気
さっきといい、今といい、そういう立ち回りが凄い上手…」
「まぁ中等部の時に散々鍛えられましたからね…」
しかし瑤は大丈夫だという
むしろ間近で見て海漓の上手さに感心している
このやり方に関しては海漓が中等部の時からそうできるように鍛えられて来た事なので本人は当然の様にこなしている
まぁ中等部時代の教導官や先輩達の有り難い指導のおかげとも言えるのだが…
物陰に隠れつつ一休みしている内に一柳隊とアタックチームが到着するのが見える
予定よりも少し遅いが作戦に影響はなさそうだ
「あ、来ましたね
これだと特型の討伐は向こうの手柄かぁ…残念」
「うん…えっ?
もしかして特型も倒すつつもりだった?」
「はい。いつまでも来ないメンバーを待って戦闘を無駄に長引かせるぐらいならこのメンバーで仕留めたほうが早いでしょうし、サポートって言ってますけど人数はここが多いですからね、出来なくは無いでしょう
それで文句言ってきたって早く来なかったそっちが悪いで押し通せますよ」
海漓はそう告げる
自分達が特型を倒す事は作戦に含まれていないが戦況というのは常に変化するし想定外な出来事も発生して当たり前
こちらの動きも早かったのかもしれないがそれを考えた行動というのもして欲しいし逆を言えばサポートチームの戦力、特に神庭とエレンスゲのリリィを過少評価しているのではないかとも思う
エレンスゲは分からないがこちらは叶星と高嶺はともかく一年生を不安要素扱いされていても不思議ではない
百合ヶ丘の面々がどう考えているか、は海漓には分からないが少なくとも彼女ならばそう言う選択肢を取るというだけの話
その間にもサポートチームは一柳隊、アタックチームと合流しヒュージに対し攻撃を仕掛ける
アタックチームの連携も上手く行っているようだ
「私は戻るけど海漓ちゃんはどうする?
まだ休んでる?」
「私も合流しますよ
まぁほぼ戦力外だと思いますけど」
瑤と海漓はそんなやり取りをしながら
戦線へと復帰する
走りながら戦況を見ていた二人はある事に気がつく
「グランエプレがノインヴェルト戦術を?
ノインヴェルトをやるのは一柳隊の筈…なにか聞いてた?」
「いえ、何も
朝の作戦でも何も言われてないですし、一柳隊にトラブルでもあったんすかね?」
二人の視線の先では姫歌が丁度ノインヴェルト戦術の為の特殊弾を発射したのが見える
事前の会議ではノインヴェルト戦術で特型ヒュージを仕留めるのは一柳隊の作戦と聞かされていたにも関わらず、だ
海漓はノインヴェルト戦術をしないつもりでここまで来たのに突然このような事をされては驚くのも無理はない
考えたくはないが海漓以外の面々にはこれが事前に通達されていたのだろうか?
グランエプレがイレギュラーなだけで東京では御三家以外のガーデンはノインヴェルト戦術は5人で行う方針の為、海漓がいなくても成立はする
今は高嶺がマギスフィアを保持し叶星へパスをするタイミングを伺っているようだ
特型ヒュージもそれを警戒しており、パスを通すのは簡単な事ではない
が、近くにいた一葉達がパスを通せるように援護を行い、高嶺は叶星へパスを行う
そのままヒュージへフィニッシュショットを放つ
本来ならば間違いなく成功、の筈なのだが
「や、やったわ…!」
「(あ、駄目だコレ)」
姫歌は成功を確信するが海漓は逆に失敗を確信する
理由を説明するのも難しいが俗に言うフラグを立ててしまった気がするのだ
そして、悪い事にその予感は的中
特型ヒュージには傷一つついていない
他の面々は動揺しているしが海漓にはそれ以上に気になってしまう事があったし
「(紅巴ちゃん、その位置は…!)」
自身のスキルでもその予測が視えてしまえばほぼ事実なのだろう
その数秒後、特型はヒュージへと攻撃を仕掛ける
一部のリリィはそれに気がついており、高嶺がフォローに回ろうとしている
「くっそ、間に合え…!」
海漓もトリグラフの子機側から弾丸をヒュージに向けて発射
その弾丸はヒュージに当たり、僅かに攻撃が逸れる
後は高嶺が紅巴を抱える等の方法で離脱すれば良いだけ…なのだが
「…嘘、被弾した!?…直撃は避けてるけど」
海漓の弾丸は狙い通りヒュージの攻撃を僅かにだが逸らすことに成功した
高嶺のレアスキルや本人の技量ならば紅巴を抱えながら回避、もしくは自身のCHARMで攻撃を切り払いし、防御する事が出来るはず
高嶺の事情を考慮しても被弾する理由が分からない
彼女の事情はあくまでも戦闘継続時間に関する事であって技量ではない
そうしている間にも高嶺をフォローかたちで楓と夢結が間に入る
叶星と紅巴は高嶺を心配している様子も見て取れる
灯莉、姫歌も同じく、ヘルヴォルや一柳隊も程度に差こそあれ高嶺の被弾にショックを受けている
冷静に状況を見ているのは海漓だけであろう
「(この場で動揺していないのは私だけ、か…仲間の被弾とか見慣れたから…だろうけど)」
他の面々は分からないが海漓は中等部時代に味方の被弾など嫌というほどみさせられてきたし、どの位のダメージになっているかも判断できてしまう程だ
その影響なのか味方の被弾に関してはそこまで動揺しないし、動揺するなと教え込まれてきた
その感覚がおかしいと言う事も本人は理解しているが、こればかりは経験してきたものだから仕方がない
海漓は叶星達のもとへと合流する
戦いもいよいよ終盤戦へと向かう
公式ツイで色々と設定が増えたりラスバレ二章で時系列と世界間が、ん!?となってるこの頃
矛盾が出ないように書いていくつもりです