叶星の元に集まるグランエプレとヘルヴォルの面々
これから特型ヒュージに総攻撃を仕掛ける
とは言え敵の攻撃も激しくなっているのも事実、簡単な事ではない。
「(そりゃ厳しいけどこれだけの人数がいるし配置をミスらなきゃ普通に出来るよね…)」
しかし、そんな状況でも海漓はわりかし落ち着いていた
ここには神庭とエレンスゲのトップレギオンが揃っており実力もある
アタックとサポートで役割は違っているがここで編成を組み直しアプローチを仕掛ける事も可能だと考えている
求められるのは特型ヒュージに対しどのようにアプローチを仕掛けるのか、だ。
海漓も作戦の提案をしたい…が彼女は司令塔でも無ければサブリーダーでもない
ここでは只の前衛を務めるリリィ
話を聞く事しか出来ない
そうしている間にも作戦は決まる…が
「(そうなりますか…)」
海漓にしてみれば当たり前過ぎというよりもう呆れるしか無い
アタックチームの一葉、藍、叶星、高嶺が近接するからそれ以外の面々は支援するという案
付いて来て、とは言ったもののやる事は従来の作戦を引き継ぐだけ
アタック側は良いかもしれないがサポート側は一柳隊のメンバーが抜けているため本来ならばフォーメーションを組み直して攻撃、ぐらいの事はやってほしかったりする
更に海漓は一つの事に気がつく
「(一葉はそっち側、なる程なる程
…つまり一葉レベルが信用するためのボーダーラインって言う事かな?)」
チーム分けだから、と言うわけではない
少なくとも戦闘面に関しては自分達よりも一葉を信頼しているような仕草を見せる事がよくある
隊長同士通じるものがあるのか、それとも自分達よりも一葉を信用しているのか
今回に限らず隊長が自分のレギオンを放っておいて他所のリリィを信用する事やチームとしての連携を放置気味な事に関しては思う所があるが海漓は口を出す権限もないので静観するしかないのも事実
「(叶星さん達、弱い奴と組んだり実力を合わせたりしたら私まで弱くなるっていう思考だったりする…?まぁ御台場出身だしあり得そうだけど…)」
このレギオンの秘密を未だに打ち明けなかったり非常時を除き、学年の垣根を超えた連携を避けながら一葉や一柳隊との連携は受け入れる彼女達の行動に海漓は一つの疑念を抱く
御台場に限らず才能あるリリィが多く集まり戦力が豊富なガーデンのリリィが持ちがちな思考とも言える
百合ヶ丘にも程度の差こそあれ似たような思考を持つリリィは多くいるし海漓の古巣にも似たような思考を持つリリィはいた
この作戦にしても信頼できるのがアタックチームでサポートチームのメンバーは実力が劣る不安要素
だからフォーメーションを変更するという対応が出来ない、という解釈も出来る
とはいえ、考え事をし続けるわけにもいかない
こうしている間にも特型ヒュージとの戦闘は行われている
サポートチームは的確にアタックチームの支援を行っていく
そのおかげもあってか、特型ヒュージから生えていた4本の羽のような物を叶星達が破壊、その後は一柳隊がノインヴェルト戦術を行い無事に特型ヒュージに向けて放とうとする、が特型ヒュージも一柳隊の保持するマギスフィアの危険性に勘づいたのだろう、動き出し妨害を仕掛けようとする…のだが
「あ、パスコースが…!」
「(仕方ないな…ユーバーザイン、発動!)」
ここで海漓は余計なお世話と言われるかもしれないが自身のレアスキルを発動する
ユーバーザイン、超感覚とも言われるレアスキルで自身の気配を隠したり操るレアスキルなのだがそれ以外にも幻覚を生み出したりする事も出来る
それを応用すると、だ
特型ヒュージは突然動きを止め何もなかったかのようにその場に棒立ちになる
「い、一体何が…?」
「二水、今の内にパスを回すのじゃ!」
一柳隊は海漓がユーバーザインを発動した事に気が付かないがヒュージの生み出した隙を逃す訳がない
「(ヒュージからは何も無い更地と仲間に囲まれてる光景が見えてるからね)」
海漓が行ったのはヒュージのみを対象に強力な幻覚を見せる事
対象を固定するとコントロールが大変になるのだがそこは腕の見せどころ
特型ヒュージからは先程までの光景は全て見間違いで周囲には小型ヒュージを筆頭としたヒュージしか見えていない
いや、そのような幻覚を見せている
本当ならば紅巴の力も借りて逆に一柳隊だけでなくヘルヴォル、グランエプレの全員の姿と気配を消したり、強力な幻覚を作り出し撹乱したかった…のだがこれを行ってしまうと一柳隊がユーバーザインの幻覚に騙されパスを失敗する可能性があるためこちらは行わなかった
後は紅巴の消耗も考慮して、だ
ちなみに楽なのは後者だったりする
何が起きているのか分からずともこの機を逃す一柳隊出はない
徐々にパスを回していき、最後は夢結と梨璃の二人でフィニッシュショットを放ち、今度こそ特型ヒュージの撃破に成功する
特型の撃破に喜ぶレギオンの面々
マギや体力の消耗も激しくその場に座り込む者も多い
「海漓ちゃん、お疲れ!
いやー、大立ち回りだったね」
そう言いながら声をかけてきたのは恋花
「ボスは向こうが持っていくんです。
雑魚位は狩っておかないと私達来た意味ないですから」
そう答える
すると恋花は
「あれだけ突撃して被弾なし
一葉にも見習ってほしいよ」
「一葉、使用CHARMや戦法考えたら前出たら駄目なタイプですよ…
ヘルヴォルになって戦法変えました?」
彼女の言い分に海漓は状況を察する
一葉のレアスキル、使用CHARM、戦法を考えたら海漓のように前に出て複数相手に有利に立ち回るなどほぼ不可能
どちらかと言うと彼女はヒュージ相手に1対1の格闘で押し切る方が向いている
「多分中等部のままだよ
なのに無謀な突撃しちゃってさ…」
恋花は呆れながらそういう
その表情からヘルヴォルも色々あった事が分かる
「中等部の時に共闘した時は私を筆頭に前出るの多くてエレンスゲ組の一葉は突撃してなかったからなぁ…突撃したいなら言ってくれれば良かったのに」
海漓はそう言いながら昔を思い出す
すると恋花は
「海漓ちゃん達の代は良く分からないけど、私達の同期や今の3年にヤバイの多くいるしあそこに一葉というかエレンスゲは混ざれないでしょ
"雷帝"についてこられるリリィがエレンスゲにいるとは思えないよ」
そんな事を言う
「死ぬ気で食らいついていけば大丈夫ですって
私はそうしました」
海漓はそれに対し簡単に言い放つ
「中等部の時に付いてった海漓ちゃん達の代も中々にバグってるの!」
そんな事を言う
その後は一柳隊に合理し、キャンプを行っている場所に戻るのであった