合宿を終え神庭に帰ってきたグランエプレの面々
2週間後に一柳隊の来校と防衛構想会議が控えているが、その間にも授業や訓練、ヒュージが現れれば出撃しなければならないのでやる事は多い
この日も授業が行われ、今はお昼休み
レギオンで食事をする者、仲のいいリリィ同士で食事をする者様々だ
灯莉は授業が終わると同時に教室を飛び出す
間違いなく姫歌や紅巴達の元へと向かっている
海漓も普段ならば彼女達と合流する…のだが
「天野さーん、この後暇?」
「良かったら一緒にお昼どう?」
クラスメイトに誘われる
海漓としても断る理由も無いので彼女達と合流し学食へと向かう
各自注文を終え、席につく
すると一人が唐突に
「そういえば知ってる?
二週間後のイルマとの定期交流会、延期になったって」
彼女の言うイルマとは東京御三家の一角を担うイルマ女子美術高校の事でありガーデンとして実力は勿論、美術分野の名門校
同じ芸術系のガーデンである神庭とも定期的な交流を行っている
派閥としては親GEHENA派ではあるが穏健派として知られておりマギの回復などの研究を行っていると言われている
「延期?なんだってまた」
「なんでもガーデンの主力レギオンが外征するかもしれないって話が出てきて、その間ガーデンの守りが薄くなるからだって。
そんな時にヒュージの襲来で他校のリリィに万が一の事があったらいけないからって」
「二週間後って…確か定期的な会議がなかった?
ほら、グランエプレが参加するやつ」
「う、うん。」
イルマとの交流会の延期の理由を話すがその理由が理由なだけに疑問に思う
勿論ガーデンの状況により交流会が延期になる事は珍しくないが、時期と理由を考えると不思議に思う
二週間後は東京都防衛構想会議の開催日
その日に合わせて主力レギオンを外征させるなどあり得るのだろうか
勿論、一刻を争う状況で会議など気にしてられないという場合もある為一概におかしいとは言い切れない
「私は頭良くないし、名門ガーデンの考えなんて分からないけど都の今後を決める大事な会議なのに御三家が揃わないで大丈夫なのかな?
ただでさえルドビコが駄目になってるのに…」
「御三家なんて言うぐらいだから基本は足並み揃えなきゃ駄目なんだけどね」
クラスメイトの問に海漓はそう言い放つ
海漓は御三家のリリィとは個人的な繋がりを持ってはいない
中等部時の過ごしたガーデンも当時は名門とはかけ離れていた
ガーデン間の事情など知る事は出来ない
そんな事を考えながらも雑談は続く
話題は課題の進み具合や休みの予定
気楽そうに見えるが、ヒュージとの戦いは命がけ
明日には誰かが命を落としているかもしれない状況だからこそ、あえて予定を立てるリリィも多いという
そうしている間に昼休みが終わり午後の授業を終え放課後になる
放課後はレギオンでの行動…なのだがその前にグランエプレの担当教導官から海漓だけ呼び出される
そうして別室に案内される
教導官と海漓の二人だけだ
何かやらかしただろうか…?
そんな風に考えていると
「あ、そんなに力まないで
別に悪い話じゃないの
座って座って」
そう言い椅子に座る
すると彼女は
「実は貴方に質問があってね
貴方、後輩指導とかやってみるつもりはない?」
そんな風に彼女はいう
説明はさらに続く
「実はある中等部のリリィを1人グランエプレで短期的でもいいから見て欲しいっていう話が中等部から上がってきてね」
毎年この時期には中等部のリリィを高等部で指導して欲しいと言う話が出てくるという
そういう推薦を受けたリリィを生徒会やグランエプレ、他にも指導に適していると判断した生徒で分担して面倒を見るのだという
目的は高等部の雰囲気に慣れてもらうということと、指導をきっかけにもう1.2段階レベルアップをしてもらうためだと言う
「なる程、グランエプレからは私を推薦したいと…そりゃ嬉しいですけど良いんですか、私で?
他にやりたいリリィ居ると思いますけど?」
海漓はそう聞く
ガーデンのやりたい事や目的は理解できるし断る理由はない
だが海漓はグランエプレでなんの役職にもついていない
サブリーダーの姫歌を送り込んだほうが良いのではないか?
そう考えているのだが
「他の教導官とも協議した結果よ
やりたい…ではなくやれるリリィは貴方しかいないという結論に至ったわ
一年生の3名は精神的に幼い部分が見られるしそんな子達に中等部のリリィは任せられない
そうなると色々な経験を積んで今に至る天野さんこそグランエプレの代表に相応しいっていうね」
そう告げる言葉に海漓は驚く
協議ということは彼女達の日常生活をこちらが考える以上に教導官は観察していたという事になる
自主性という一見すると緩い校風のガーデンのリリィのスペックや意識の高さには神庭に入学した時から海漓は驚いていたが、常に見られているということを他の上級生は優しく教えていたのかもしれない
でなけれな緩い校風のガーデンで今まで生き残れるはずもないし犠牲者の数は多くなっているからだ
姫歌達三人は才能はあるし実力だって低くないのは海漓も分かっている…が教導官の言うとおり精神的に幼い部分はかなり目立つ
こればかりは本人達よりも綺麗な事しか周りで起こらず最終的にハッピーエンドで終わる事が続いていたのが大きい
だが、今後どうなるか分からないし綺麗で美しい光景しかしらない彼女達が中等部のリリィを指導するのは危険と判断されても不思議ではない
上級生二人の名が出ないのは負担の大きさと後はガーデン内での影響力の高さを考えてそもそもやらせるつもりは無かったのだろうと海漓は判断する
「そこまで言われて断る理由は無いですけど…どんな子なんです」
海漓がそう尋ねると彼女は書類を見せる
そこにはプロフィールと公開できる範囲での成績が記されていた
「ふむふむ、中等部からココでリリィになった子、成績は優秀ですね
素行面も悪くない、」
資料を見終わると海漓は一つ大きくいきを吐くと
「結構優秀な子ですね。
エリートを見るのは中々に大変なんですが良いでしょう
で、いつからです?」
彼女はそう尋ねる
二週間後には会議もあるし、自分の訓練もある事を考えると余り時間がない
やるならば早い方がいいため確認をすると教導官は何処かと連絡を取っている
「あ、今生徒会室からこっちに来るそうよ」
「今!?え?来てたんです?」
「えぇ。貴方なら話を持っていけば断らないだろうし、二週間後の防衛構想会議や普段の自分の訓練もあるから始めるなら早い方がいいだろうって生徒会の皆が」
「んなっ!?」
ルドビコの時や文化祭での手伝い等々でこちらの性格を把握されていたらしい
そうするとドアをノックする音が聞こえる
「良いわよ、入ってらっしゃい」
「は、はい!失礼します!!」
元気のいい声が聞こえる
まぁ多少の緊張もあるのかもしれない
「神庭女子中等部3年、
短い間ですがよろしくお願いします!!」
「よろしく」
そう言い二人は握手
すると教導官は席を外す
暫く雑談してもよし、この後訓練しても良しと言うことだけ告げる
二人は席に付き、暫く沈黙する時間が流れるが、先に海漓が口を開く
「久瑠美ちゃんで良いか
とりあえず時間も勿体無いし訓練場行こうか
話は歩きながらでも」
「はい!分かりました海漓様!」
それを聞き彼女は元気よく笑顔で告げる
会議室を後にし訓練場に向かいながら二人は話をする
「中等部側や先に会った生徒会の連中からこれを重点的にやって来てほしいとか、久瑠美ちゃんがこの機会にやりたい事って何かあるの?」
「あ、いえ特にそういう話は無かったです
やりたい事は色々ありすぎて何からお願いしていいのか分からなくて…」
「オッケ」
事情は大体把握した
こちらがこの子を潰すような事さえしなければ本当に何をしても構わないし全て海漓に任せるということだろう
「生徒会から聞いてると思うけど
中等部からリリィやってるとはいえ私も今年から編入してるから神庭の高等部が中等部にどんな事やるかは分からないから多分古巣のやり方をベースに神庭や君に合った風にアレンジしながらもやっていくと思う、それでも良い?」
任せるとはいえ確認しなければならない事もある
彼女は神庭しか知らないリリィ
海漓のやり方に疑問や反発を抱くかもしれない
それを分かっているからこそ事前に確認をする
無理ならば断れば良いのだ
しかし、彼女は
「それも分かっています
でも中等部の先生も秋日会長や防衛隊の皆さんも刺激を受けてこいって言ってました
過激な方法でも私ついていくんで!!」
「流石に前いた所のノリをここではやらないよ…」
自分を鬼教官か何かと勘違いしているのだろうか
古巣ならやったかもしれないがここではそれは通じない、それは海漓がよく分かっている
どうすれば良いのかは試行錯誤しながらやっていく事になる
こうして中等部のリリィとの指導と四苦八苦する日々が始まったのである
神庭上層部の考えを補足
一年三名→才能はあるし実力も向上してるけど精神的に幼いし中等部相手にちゃんと指導できるか不安だしそもそもちゃんと指導できるか不安だから除外
二年二名→ファン多いしガーデンからの要請とはいえ個人を面倒見たら色々やばい事になりそうだから除外
海漓→経験豊富だし上手くやってくれそう
というか、ヤレ
こんな感じですね