二週間が経ち、今日は防衛構想会議が行われる日、この後一柳隊のリリィが来校し、グランエプレが校内を案内する事になっているのだが、海漓は少し遅れて合流した
理由としては今までの指導を纏めた報告書の提出
この二週間の中等部の久瑠美への指導でやった事の纏めのレポートの作成に時間がかかっていた
なんとか纏め上げ、教導官に提出したが時間的にもう一柳隊が来ている頃
ヒュージの出現もあったようだがそちらは既に対処したらしい
海漓は急いでメンバーの元へと向かう
時間を考えるとレギオンの控え室にいるはずだ
「ゴメン、遅れ…あれ?なんか少なくない?」
海漓が控え室に入るとそこには高嶺と神琳、紅巴、二水が椅子に座っていた
灯莉、姫歌、後は一柳隊からは雨嘉がいるはずだがどこにも見当たらない
紅巴と二水は意気投合したのか随分と盛り上がっている
「雨嘉さんは姫歌さんのお部屋に遊びに行ったわ」
「定盛ちゃん達の部屋?何か珍しいものありましたっけ?」
「部屋に誘ったのは灯莉さんよ
見せたいものがあるって言っていたわ」
高嶺はそう答える
姫歌と灯莉は同じ部屋であり彼女達の部屋は個性的をこれでもかと詰め込んだ部屋になっている
雨嘉は彼女達の部屋に向かったというがあの光景についてこれるのだろうか?
そんな風に考えていると
「海漓さん、少し聞きたいことが」
「ん?」
「貴方の戦い方は誰かを参考にしたのですか?」
そのように聞いてきたのは神琳
先の合宿ではサポートチームとして共に戦ったリリィとして戦法に興味を持ったのだろう
もしくは姉とは全く違うスタイルに疑問を感じたのか
「参考って言うか…自分に出来る事を増やしてったらこうなったってだけ」
「できる事…ですか?」
「中等部入って適正とか色々探ってく中で、ね
後は教導官に『お前は天野天葉にはなれない』ってはっきり言われてさ」
「はっきりと言われたんですね
何か感じたりしました?」
「いや、正論だよなって
あの戦い方は恵まれた身体能力とマギ保有量が前提になってるんだし、私じゃ無理だよなって…ね
なら、自分に出来る事を増やしてそれを磨いていこうってなった結果が今の私」
神琳はそんな風に問う
だが、海漓はそれはわかっていた事だし言われた時もそれは変わらない為特に反抗などはしなかった
勿論、ショックは受けなかったし、幼少期から間近で見てきていた事で薄々解っていたことを再度言われたにすぎない
「貴方を見て来て分かったことだけど結構、割り切りが出来るタイプなのね
言われても納得できない事だってあるでしょう?」
「無理な事は無理なんで、なれない姿を追いかけて命落とすぐらいなら出来る事磨いて生き残る事が大事じゃないですか
今の私なら多少は真似できるかもしれませんが…やっぱ劣化コピー止まりですよ」
高嶺もそのように言うが海漓のスタンスは変わらない
どう頑張ったってできない事はある
先も言ったように姉の動きなど完璧にできる訳がない
そんな事に余計な時間を使うぐらいならば自分だけのスタイルを作るほうが有意義なのだから
その結果が今の海漓の戦闘スタイルだ
「他者を追わず己の道を突き進む、と言う事ですか…強い方なんですね」
「そう?まぁ、ある意味上を目指すのを諦めた奴って言われそうな気がするけど…ガーデンもそんな目が出ない事をするリリィを置いといてくれるほど優しい環境でも無かったし」
普通ならばそれが挫折に繋がる事もあるが海漓は違う。それを受け入れ先に進んだのだ
神琳はそれに対し称賛するが彼女としてはそれが当たり前、いや、そうするしか無かったとも言える
百合ヶ丘のような環境ならば仮に挫折しても誰かが寄り添い立ち直れるのかもしれないが海漓のいた所はそんな余裕は無い
『ヒュージは落ちこぼれのお前達が強くなるのを待ってはくれない』
『ヒュージと戦いたいのならば強くなれ』
校風とは別に教導官がよく口にしていた事
常に強くなる事、戦う事を求められる為、立ち止まってしまえばそれこそ戦力外通告
そうならない為にも現実を受け入れるしか無かったのだ
「いえいえ、常に己を過小評価し誰かの影に怯えるリリィも多い事を考えたら貴方は立派ですよ
…少しは見習って欲しいです」
「ん?心当たりあるの?」
「えぇ、まぁ。」
神琳は誰かを思い浮かべているような発言をするが生憎海漓ではそれは分からない
だが、発言から察するに親しい人物である事は想像出来る
「教導官は海漓さんならそう言えば挫折せずに現実受け入れて強くなるって分かってたって事よね?」
「悩んでる暇あるなら訓練しろって言う教導官からのありがたーい助言ですよ」
そう言い古巣の教導官をフォローする
確かに口は悪いし素行も決して良いとは言えないがいざという時にはフォローはしてくれるし海漓達は相当助けられた
優しいとは言えないが教導官として見るならば優秀な部類だ
というか彼女の古巣、リリィとしては優秀だが素行が悪いリリィが多いので教導官もそう言うタイプが多いのだ
「私と叶星は御台場だし貴方達は鎌倉で中等部時代を別々なガーデンで過ごしたのにこうして共闘するなんて、不思議な事もあるわ」
話を聞き、高嶺はそんなふうに言う
確かにその通りだろう
「(私にとっちゃ楓・J・ヌーベルと郭神琳の二人が同じレギオンにいる事自体不思議な事なんだけど、言わないでおくか)」
ココに来なければ御台場のリリィと関わることなんて無かったのでその通りなのだが、海漓にしてみれば楓と神琳が同じレギオンにいる事自体不思議な事なのだ
人間関係は良くわからないが中等部の事を考えれば共闘するにしても勧誘時には気を使うと思うが、わりかし神琳も割り切っているタイプなのだろうか?
百合ヶ丘はわりかしそういう事に敏感なリリィが多くトラブルやガーデン内の政治争いも絶えないと聞いた事もあるので余計に、だ。
まぁ海漓にしても楓と神琳。
後は梅と夢結という本人の知らない所で因縁があるリリィと関わる事になるなどつい最近まで考えてすらいなかったのはここだけの話である
東京編、開始です