Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第38話

それは唐突だった

萩窪各地に突如ヒュージが大量に出現

グランエプレと一柳隊の神琳、雨嘉、二水も現場に向かう

 

本来ならば2レギオン+かけつけた神庭のリリィでヒュージの討伐と市民の避難を手分けして行うのがセオリー…なのだが

 

「(自然と戦力外の私達…一応ココ、私達のホームなんだけど)」

 

神琳の出した指示は雨嘉と高嶺がヒュージを抑え一年生は市民の避難経路の確保

二水が情報収集を行うというものだ

 

百合ヶ丘のリリィの言うことだから簡単に受け入れたのかもしれないが、海漓としては面白くはない

別に百合ヶ丘のリリィが嫌いとかそう言う次元の話ではなく、自分達のホームであくまでも客人の一柳隊が我が物顔で現場を仕切り同学年の自分達を戦力外と取られても仕方のない扱いをする事だ

確かに自分達の実力は百合ヶ丘のリリィや高嶺の足元にも及ばないのは事実。

だが神庭で過ごしている分萩窪に詳しいのは自分達だという自負はある

自分達が無理なら高嶺でも良い、一言方針の確認などはするべきだと思う。

 

仮に、萩窪に詳しいグランエプレに住人の避難を任せると言うのならば高嶺もそこに加えるべきだし、数を削り避難が終わるまでの時間稼ぐ方針ならばレアスキルや戦闘スタイルを考慮するなら自分や姫歌の方が適任だと考える

 

 

ちなみに生徒会長の秋日は生徒会防衛隊のメンバーと共に今この瞬間も情報収集と萩窪の防衛に向けて動いてくれている

 

「(でも、絶対これ良くないと思うんだよなぁ…あくまでも合同であって私達、一柳隊傘下のバックアップ隊じゃ無いんだけど…)」

 

海漓はそう思う

他の面々は軽く考えているかも知れないが自分達はトップレギオン

にもかかわらずこういう非常時に指示や情報収集を百合ヶ丘に全て任せて自分達は言われるがままにしか動けないとなるとグランエプレは百合ヶ丘の下部組織と思われても仕方がないし、今まで何をやってたのかと言う話になる

更に言うならこのままだと自分達は百合ヶ丘の下部組織となってしまうと海漓は考える

確かにお互いのガーデンの規模とリリィの質を考えれば一柳隊が上で自分達が下になるのは仕方の無いこと。

 

それでも思う所はあるのだ

 

自分達は神庭のトップレギオン

同盟を組んだらいつも以上に自分たちは戦力外扱いをされ、このままだと都合のいいバックアップ要因に成り下がるのだが、他の面々はどう考えているのだろう?

 

 

「(それとも百合ヶ丘は最初から私達とヘルヴォルを一柳隊のバックアップ部隊として運用するつもりだった…?

新潟で前例は作っちゃったわけだし、一柳隊の隊長は超がつくほど政治関係には無知、一葉もこういう駆け引きや探り合いは苦手なタイプ

ウチは百合ヶ丘が声をかけたって事で姫歌ちゃん達は浮かれてるし高嶺さんや叶星さんは百合ヶ丘を持ち上げる始末…少しはこの状況疑って欲しいんだけどな)」

 

 

そうこうしている内に二水から現在の状況が伝えられる

新宿都庁での謎の爆発とそれに伴うエリアディフェンスの崩壊

今回のヒュージの大量出現もそれによるものであり各地でリリィが応戦しているとの事だ

 

 

自分達も避難誘導が終わり次第新宿へと向かう

 

 

 

 

その頃、神庭の生徒会室では秋日が出撃の準備をしている所だ

 

そこには残りのメンバーもおり、一人が秋日に対して問う

百合ヶ丘からの増援、それこそアールヴヘイムを筆頭とした主力レギオンが来ないのか?

全員が無理でもせめて数人だけなら無理か、と

 

「残念ながらそれは無理ね

彼女達は百合ヶ丘、いえ、人類の切り札、この程度じゃ来ないわよ」

 

その答えに対し異議を唱える

百合ヶ丘の基準だと外征には基本的に3レギオンを派遣する方針

今回の一柳隊が防衛構想会議の参加だけでなく東京への外征も兼ねているのだから残り2つのレギオンが来なければ百合ヶ丘の理論は破綻する

仮に主力レギオンでなくとも百合ヶ丘内で一柳隊と友好関係を結んでいるレギオンが駆けつけてこなければおかしい

 

すると秋日は

 

「条件は満たしているわ

一柳隊外征時に置ける随行レギオン2枠はエレンスゲのヘルヴォル、そして神庭のグランエプレよ」

 

彼女はそう告げさらに

 

 

「新潟の北閥で味を占めたんでしょう

百合ヶ丘が戦力を出さなくてもいざとなれば東京のガーデンから残りの枠を用意すれば良いっていう風に、ね

一柳隊なら格下ガーデンのヘルヴォルとグランエプレで十分っていう判断になるわね」

 

 

このように言う

今年行われた新潟奪還戦はまさに伝説の戦いとなった

詳細はここでは語らないがその作戦に参加したのは百合ヶ丘からはアールヴヘイムのみ

外征、しかもアルトラ級が絡んでいるにも関わらず1枠

そしてその新潟に御台場トップレギオンであるヘオロットセインツ、そしてロネスネスが新潟に派遣された

新潟の奪還の成功でココの動きはあまり話題にはならなかったが百合ヶ丘から1枠しか派遣しなかったと言う事に疑問視するリリィも多く御台場側は派遣はあくまでも御台場独自の判断と言っているが秋日を筆答に近隣ガーデンの上層部は百合ヶ丘が1枠しか送らなかった事で戦力が足りないと考えた新潟側から御台場に何らかの働き掛けがあったと読んでいる

 

ちなみに、秋日は海漓に新潟の人選をどう思うか?と聞いたことがある

鎌倉で過ごし、百合ヶ丘を外からみたリリィとして

 

『アイツの立場を使えばウチやシエルリント、桜ノ杜は厳しくてもメルクリウスから1・2枠は確実に引っ張ってこれましたよ。

それがなくいきなり御台場からって事は多分、新潟側からの御台場への要請です。

まぁ、メルクリウスじゃないのは百合ヶ丘への配慮ですね

格付けで負けたガーデンを呼ぶってなって機嫌損ねてアールヴヘイムの派遣を取り下げられたり、アールヴヘイムの生え抜きがやる気無くしても嫌でしょうし

百合ヶ丘のプライドの高さはガチですし

まぁ、私がこんなひねくれてる性格を考慮しても流石に引くレベルですよ…

そんなことだから甲州撤退戦で…あ、いえ、今のは忘れてください』

 

海漓は鎌倉の事情と百合ヶ丘以外のガーデンの規模と実力を判断

更には政治的な配慮もあったと考えている

まぁそんな見方をしてしまうのは自分がひねくれているからかも知れないと自虐もしていたが

 

そして重要なのはそんな事情よりも百合ヶ丘が1枠しか用意しなくても残り2枠は他所の地域から用意したという前例を作ってしまったこと

勿論北閥におけるアールヴヘイムとセインツ、ロネスネスの共闘と自分達は同等に語れないが、今後一柳隊だけでなく百合ヶ丘のレギオンが外征すると考えた時に百合ヶ丘から規定数用意しなくても東京や近隣地域から用意するという判断の理由が出来たことだ

確かに時と場合によってはそういう事があっても良いのかもしれないが、それを前提に自分達のレギオンを使わないというのは違うのではないかと考えるリリィもいる

神庭だと海漓や秋日、ちなみに海漓の古巣のリリィも同様の考えだったりする

 

「とにかく、来ないレギオンを当てにしても仕方がないわ

私達は私達に出来る事をやりましょう

 

そう言い自分達も出撃の用意をする

市民の避難も順調に進み、ヒュージの討伐を行うだけという報告を受ける

 

「緊急事態よ、出撃できるリリィはほぼ全員出撃させて

過去に防衛隊の増援を経験した者は私達の所

後、近隣ガーデンの被害状況もこちらに回して」

 

秋日は神庭の長として的確に指示をしていく

東京都内、どこも似たような状況だろう

こうして戦闘が各地で行われていくのだった

 

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