臨時の拠点で簡単な手当を受けた後、防衛軍の隊員からCHARMを渡される
とは言っても正式なCHARMではなく都に常時配備されているリリィであるならば誰でも使える非常用の第一世代CHARM、しかも近接専用の、だ。
これは簡易的なダミーコアと呼ばれるものが装備されており従来のCHARMのような面倒な手続きが無く使用出来る
起動時間や威力に違いがあるが、ないよりはマシ
神庭に来てからも数回だが触った事はある
本来ならば正式に使用出来るCHARMの方が良いのだが、この状況だ
何処のガーデンにも他校のリリィに渡す為の予備のCHARMは無いと言う
こればかりは仕方の無いことだ
そして、防衛軍の隊員から一枚の紙が手渡される
「それと、こちらに記されているのが非常用CHARMが配備されている建物や車両の一覧です
誰かに使用されている為全てにある…とは言い切れませんが…」
「場所が分かるだけでも十分ありがたいです」
海漓はそう言いありがたく受け取る
それを見ていた舞弓は
「行くッスか?」
「勿論」
そう言うと二人は防衛軍の方に挨拶を済ませ、戦線へと復帰する
幸いな事に通信は繋がっており、神庭からグランエプレが一柳隊、ヘルヴォルと合流し、特型を追跡していると教えられる
「揃いも揃って突撃突撃って…ヘルヴォルと一柳隊は消耗してないのか…」
海漓はボヤく
ヒュージを追うのは当然だ
しかし、今回は状況が違う
全員、連戦で消耗しており、さらにあの特型を相手に出来る余裕があるのだろうか
外征してきているレギオンや都内のリリィだって沢山いる
状況によっては彼女達を頼るのも手である
すると舞弓は
「まぁ無理してでも倒しておきたいっていう考えはわかるッス。
人数だけ見たら十分可能…でもマギリフレクターどうやって越すッスかね?…」
「それ、私も気になってる
マギリフレクターでマギ使わせて自発までのインターバルの間にもう一撃叩き込むにしろ今の私達じゃ消耗しすぎて倒しきれない気がするんだよね…奥の手になりうるB型なんて誰も持ってないだろうし」
追跡したい気持ちも分かる
知能を持ち、進化するヒュージなどここで倒さなきゃ面倒な事になるなど分かりきっている
が、どうやって倒すのだろう
先程目撃した通り、マギリフレクターを使えるヒュージだ
これにより一度は確実にノインヴェルト戦術が防がれる事が決まっている
次発まで時間があるためもう一度ノインヴェルト戦術を行うのがベストかもしれないが消耗している中で発動する攻撃で果たして倒し切れるのだろうか?
そんな疑問を持ち、自分達の頭では具体的な対策が浮かばないまま歩みを進める
方向的に新宿都庁がある方に自分達は向かっているらしい
すると途中で葵と合流する
付近には多くのリリィがいる
制服からして都内のガーデンに通うリリィだ
「あおいん!無事だったッスね」
「当然、海漓さん、そのCHARM…」
「都の非常用CHARMを…ね
流石に正式な機体はこの状況じゃどこも渡せないらしくて…」
「本当なら貴方とはゆっくりと話をしたいけれど、今はそんな状況じゃない…
皆はこの先に向かったよ
私は一旦離脱してこの辺りでリリィの支援をしてたところ」
葵はそう言いながら付近を見る
制服はバラバラであり即席の部隊で有ることがわかる
しかし周囲にはヒュージがいない事を考えると即席ながらも十分に連携がとれ実力者も揃っている事が伺える
ここは彼女達に任せて自分は都庁に向かうべきか…そんな風に考えていると通信機から司令部の指示が伝えられる
その内容は都庁に現れた特型ヒュージは一柳隊、ヘルヴォル、グランエプレの3レギオンで対処しろとの事
それを聞いた付近のリリィはざわめく
彼女達も3レギオンの消耗具合は目撃しており、あの状態で特型の討伐など無理だと悟ったのだ
しかも司令部からの指示が出たという事はあの獲物は3レギオンで相手をするという事
仮に失敗した場合自分達は手が出せ無いことが確定したのだ
獲物の横取りなどくだらない事かもしれないしそんなの気にしてられないのだが、百合ヶ丘はこの手の命令に横槍を入れられるのを酷く嫌う
横取りしようものなら後から何を言われるか分からない
仮に横槍を入れたとして自分たちに負傷者や犠牲者が出た場合、それ見た事かと暫く言われ続ける
それは海漓も知っている
その直後、この付近にもケイブが発生
大量のスモール級ヒュージが現れる
「さくっと片付けるか
コイツら通したら都庁で戦ってる連中がヤバそうだ」
海漓はそう言いCHARMを構える
この群れを無視して都庁に行く事は不可能
レアスキルを使えば突破出来るがそれだとこの場にいるリリィに押し付ける事と同じ
そんな事をやるような性格ではない
舞弓、葵も同じく
「そんな間に合せで無茶して…やられてもしらないッスよ」
「スモール相手に遅れを取るかってーの」
「でも、本当に無理はしないでよ」
舞弓と葵は海漓を心配する
「皆、来たよ!!」
誰かの声と同時に戦闘開始
作戦もフォーメーションも何もない
眼の前のヒュージを倒すだけの戦い
気をつけるのはリリィへの誤射だけである
「さて…あんまり乗り気はしないけど、これが一番確実だしな」
海漓はそう呟くとすぐさまレアスキルを発動
そして、すぐさま高速移動
音を消し、気配を消し、殺気を消す
そしてヒュージの群れの背後に回り込むと同時に
「…まず1」
後ろから貫き、すぐさま抜く
手応えはある、
ヒュージの悲鳴に付近のヒュージもそちらを振り向く
数は3体
「2、3、4」
気づかせはしない
すぐさま踏み込み素早く仕留める
これで2体 残り2
倒れたヒュージの死体を利用し、飛び上がり一閃
3体目 残り1体
後は薙ぎ払う
この間も気配を消す
ヒュージにしてみれば姿の見えない何かにいきなり殺されたようなものだ
それはリリィも同じ
ヒュージが姿の見えない相手に突然倒される光景はある意味で恐怖を抱かせる
いまこの瞬間も海漓は姿を消しながら相手の背後を取り、CHARMを突き刺し、切り払う
数が増えるに連れ、ヒュージも混乱する
それを周りのリリィが逃す事なく仕留めていく
海漓はサブスキルを発動し流れ弾に当たらないように気をつけつつ一度後退
CHARMが破損したためだ
ここで一旦、ユーバーザインを解除
防衛軍の隊員から貰った資料を思い出し、CHARMを取りに行こうとする…が
「予備のCHARMだよね
はい!!」
一人のリリィがそう言いながら手渡す
そうは言うがこのリリィのCHARMも摩耗している
「これ、貴方が使うために確保したんじゃないの?
流石に自分を優先したほうが…」
そう告げる
普段ならば有り難く受け取るが今は違う
自分の身は自分で守る事が求められる
下手な情けは自分を殺す事を意味する
すると眼の前のリリィは
「まだ他にもCHARMが配備されてるから私はそっちから持ってくるよ
ここから近いから大丈夫」
都内のリリィだ
今年から東京に来た海漓よりも場所には詳しい
ならば遠慮なく使わせてもらう
軽く振り、手に馴染ませたらまた先の作業の繰り返し
それはまるで、いや、暗殺者の動きそのものだ
ユーバーザインの…いや海漓の本領発揮とも言える
更に言うならサブスキルにも覚醒している
精度はかなり向上している
これをやらず前に出て戦うのはこの動きをやる必要が今までなかっただけ
そう言う場面がきたら躊躇わずにやっただろう
ヒュージを倒し続けるが数名のリリィは違和感を覚える
「何か…手応えなさすぎッスよね
前には出てくるけどこっちを倒すような動きをしてこないっていうか…」
「うん…ケイブから出てくるのはスモール級だけ
ミドルもラージも無し…どういう事?」
舞弓、葵は特にそう
こういう激戦を経験しているしケイブから現れたヒュージが現れるだけと言う事が無い事も熟知している
そうしていると、異変が起きる
都庁のある方向から突然咆哮が聞こえて来るではないか
「…殺気!?」
海漓が感じるのは明確な殺気
それも確実にこちらに向かって、だ
そして、自分達の置かれた状況をすぐさま分析
ヒュージに押し込まれてはいないが逆に前に出てもいない
悪く言えばこの場所にリリィが固定されている、と言うこと
「皆、散って!!なるべく広範囲に」
葵はすぐさま全員にここから散るように、それもバラバラに、だ
「急げ!!遅れたら死ぬぞ!!」
海漓もそれに賛同、付近のリリィに退避を促す
葵のレアスキルを考えればこの後に何が起きるのかが視えたのだろう
海漓や舞弓も置かれた状況から何が起きるのかを察し、付近のリリィも只事では無いと感じすぐさま散らばる
それと同時だった
自分達が戦闘を行っていたまさにこの場所に都庁のある方角からの砲撃とも言える威力のある攻撃が撃ち込まれる
それは近くにいたスモール級もお構いないし吹き飛ばしていく
リリィの悲鳴が響く
マギを使った防御が間に合った者、間に合わなかった者
間に合ったとしても飛ばされてきた瓦礫などがあたった者、様々だ
「スモール級を目印代わりに使った砲撃…味方すら巻き込むこのやり方…
やったのはあの特型か…!!」
海漓は直撃は避けれたが飛んできた瓦礫が直撃し負傷、所々出血もしている
だが致命傷にはなっていないし体の感覚的に骨折や内臓にダメージもない
戦闘続行は可能だ…だが
「いったた…都庁の本隊じゃなくてこっちにブチ込みっすか…なんだってまた…」
「多分、丁度私達を見下ろせる位置にいるんじゃないかな
都庁で戦ってる一柳隊達はまだ視界に入ってないんだと思う」
舞弓も負傷しているが軽傷
葵は無傷…流石だと言える
だが周りは無事ではないリリィも多い
悲鳴や助けを求める声があちこちから聞こえる
「ここから撤退した方が良いと思うんだけど、どうかな?
仮に2射目、3射目があったとしてまたここに撃ち込まれたら全滅もあり得ると思うんだ…
幸いな事にスモール級は吹きとばしてくれたしチャンスだと思うんだよね」
海漓はそう二人に提案する
別に彼女が取り仕切る…なんて事をするつもりは全く無いが、現状だと何か提案しないと前に進めない
「そうッスね…流石にこの場に留まるのは危険ッス
あおいんはどうするッスか?」
「撤退しよう
それに東京のリリィがそう言う判断をしたなら私達はそれに従うべき
それがガーデンから与えられた会議に参加する条件だったし
それに、その判断は適切だと私も思うから」
「とりあえず付近のリリィにも伝えて来るッス」
舞弓、葵もそれに同意
直ぐに撤退へと移る
周囲のリリィの状態も確認しながら動ける者は率先して負傷者の回収、及び退路の確保をしながら撤退していく
途中背後から爆発音も聞こえるが無視
気にかけて動きを止めるような余裕は無い
そうして拠点まで撤退し、防衛軍は負傷者を度合いに別けて治療所へと搬送する
そこで聞かされたのは都庁での敗北と一柳隊、ヘルヴォル、グランエプレは別の所から駆けつけた松永遊糸率いる後続部隊が速やかに回収し、同じように拠点へと搬送されたとの事だ
新章が近いためペースアップ気味
ユーバーザインって普通に強いと思うんすよね(公式ツイ曰くノインヴェルト戦術では扱い難しい模様)
海漓の受難
マギリフレクター無警戒で打ち込んだフィニッシュを当てるためにトリグラフ破損
後続隊でスモールと戦ってたら攻撃をぶち込まれる
なおこの後の話でブチギレ案件が出る模様()