Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第47話

時は少し遡る

神庭の生徒会室では3名のリリィ

生徒会長の本間秋日を筆頭に生徒会の石塚藤乃、塩崎鈴夢が緊急で会議を開いていた

 

新宿のエリアディフェンス崩壊をきっかけとした騒動は収まる事はなく深夜になっても状況は変わらない

そんな中での合同レギオンの敗北と時間稼ぎを目的とした有志連合による攻撃作戦

萩窪に出現したヒュージは生徒会防衛隊を筆頭としたリリィの活躍により一先ずは撃退出来たが被害状況の確認も終わっていない。

そんな中での新宿の状況

そんな新宿の状況は流石の秋日でも処理できない程の情報量である

 

「海漓さんは有志連合に参加

グランエプレ5名は防衛軍からの報告だと無事らしいけど、音信不通…そうなると戦線にも復帰していないわね

藤乃、叶星か高嶺と連絡ついた?」

 

「駄目ですわ。反応なし

念の為一年生の持つ通信機にもガーデン側から呼びかけてみたけど応答はないそうです」

 

秋日の質問に藤乃は答える

報告があった後、秋日は直ぐに藤乃に対し上級生の叶星か高嶺に連絡を取り状況の報告をするように指示を出したのだが、どういう訳か全く反応がない

神庭の教導官も一年生の持つ通信機に連絡を入れたが反応がない

繋がらないのではなく応答が無い

つまり全員通信機が手元に無いことを意味している

戦闘中にそんな事になるのはあり得ないため自然とグランエプレの5名は戦線に復帰していないという事になる

 

海漓は作戦中であるため、余計な連絡を入れる事になり、それは躊躇われるのであえて外した

 

「(私達はどう動くべき…グランエプレを新宿から撤退させる?

でも代わりは?)」

 

秋日は悩む

グランエプレが機能停止しているならばすぐにでも撤退させるべき

しかし、その穴を埋めようにもグランエプレと同等のレギオンなど神庭には無い

自分達を新宿に生徒会防衛隊を派遣してしまえば萩窪に穴が開く

そんな事を考えていると藤乃が急に

 

「わたくし、今から海漓ちゃんになります。」

 

「はい?」

 

「えっ?」

 

そんな訳のわからない事を言い出す

藤乃、少し、いやかなり変わっているリリィなのだが今回もまた突拍子の無い事を言い出す

 

「『リリィとは品格では無く結果が全て』それが海漓ちゃんの本質です

わたくしも今から新宿に行って結果を出してきます」

 

「ちょっと、待ちなさい。神庭は?萩窪の防衛はどうするの!?」

 

流石に秋日もそれは止める

藤乃は生徒会防衛隊の一員だ。その任務は萩窪を守る事

防衛隊の正規の人数自体藤乃含め3人とレギオンとは言えない人数であり、有事の際は有志の実力者に助っ人として入ってもらっているのだ

そんな中で藤乃が抜ければ残るのは秋日と鈴夢だけ

二人とも強いが、抜けることにより負担が増える事は流石の藤乃でも分かっている

 

しかし、藤乃は止まらない

 

「ここに引きこもって萩窪を守っていたって騒動の根本を叩かなければ意味がありません

御三家が使い物にならない現状ではむしろジリ貧です。」

 

そのように告げる

そして、その考えは秋日には心当たりがあった

 

「それも、海漓さんならそう考えるって事?」

 

「はい。

お二人共否定するかもしれませんが、貴方達二人は似ています

違いがあるとすればここに来たタイミング、それだけです。」

 

その考え方は海漓の思考ではないかと指摘し藤乃は肯定し、

さらに言葉を続ける

彼女の言葉を聞けばきっと、秋日も海漓も否定するかもしれないが、二人の思考は似たところがある

幼少期から神庭で学び多くのリリィを見てきた藤乃にしてみれば二人の違いなど中等部から神庭に居たか、居ないかの違いだけである。

レギオンがグランエプレと生徒会防衛隊と別なのだって秋日も内心それに気づいているから春先の段階で彼女を生徒会に誘わず、非常時の助っ人と言う立場にしたと藤乃は考える

 

「神庭の未来を考えたなら海漓ちゃんをこんな所で失うわけには行きません

勿論、彼女の悪評を広める訳にも。」

 

さらに彼女は続ける

海漓の実力ならば命を落とすという事は考えにくいがそれでも万が一と言う事はある

それに藤乃も何だかんだ海漓の事を気に入っている。

神庭の為にも彼女には生き残ってもらう必要があるし、仮に生き残ったとしても黒い噂のあるリリィとして過ごさせる訳にも行かない

残りのグランエプレは?と思うかもしれんが現状で最も命の危機に晒されているのは海漓だ。彼女を優先するのは悪い事ではない

 

「…分かったわ。藤乃の新宿外征を許可します。

海漓さん達有志連合の支援を行う事。

後は過去に外征経験のある2年生数名なら連れて行って構わないわ」

 

それは秋日も考えていたこと

生徒会長としても一人のリリィとしても海漓一人を悪役にする訳には行かない

それに藤乃だって素行はともかく生徒会の肩書のあるリリィだ

万が一の時には役に立つ…筈だ

 

「ありがとうございますー

お土産も持って帰ってきますので」

 

「頭の痛くなる報告を持って帰ってくるのは止めてほしいわね」

 

藤乃は笑顔で生徒会室を後にする

海漓もそうだが、藤乃が外征先でやらかさないことを秋日は切に願う

 

そして、出ていった藤乃を見送った秋日と鈴夢

鈴夢は秋日に尋ねる。

 

「良かったんですか…藤乃様を外征させて」

 

「本当は良くないんだけど…まぁ仕方がないわ

流石にこのまま黙って指くわえて見てる事も出来なかったから」

 

秋日もこれが良くない事は分かっている

だが現状、外征先で海漓以外誰も戦っていない中でガーデンとして何もしないという判断をするほど秋日は非情ではない

 

「お二人は…確かに似ている…かもしれません」

 

「どんな所が似ているって思うの?」

 

「勝利を目指す事…後は…戦ってる時の雰囲気…でしょうか

他のグランエプレの皆さんとは少し…いや、かなり違います

私も海漓さんのように…なれたなら…」

 

「鈴夢は鈴夢らしく振る舞えばいい。

海漓さんになろうとする必要はないの」

 

鈴夢から見た海漓の評価を秋日は受け止める

悪い評価をしていなかったのは何よりだ

レギオンは違えど仲違いなどして欲しくはない

その上で彼女らしくあれば良いと助言を行う

 

「これで、有志連合の方は大丈夫…の筈

夜明けと共に教導官が一人新宿へと向かう手筈になっている

そうよね?」

 

「はい…新宿の状況確認とグランエプレの安否確認も兼ねて…ですが

エレンスゲからもヘルヴォルを担当している教導官を派遣すると先程神庭に対して連絡がありました…」

 

 

そんな話をした後に二人はすぐに切り替える

まだまだやる事はあるのだ。

この状況を受けて神庭、エレンスゲの2校は教導官を派遣する事を決定

状況と意思の確認が主だ。もしかしたらガーデンとしての意思を伝える場合もあるだろう

だが、肝心の一校の名が出て来ない

 

「百合ヶ丘は?あそこは教導官認可制…私達以上に教導官に責任があるし、派遣する必要があるはずよ」

 

「百合ヶ丘は…何も…現場に一任と言うことでしょうか?」

 

「(都の司令部に百合ヶ丘の関係者がいるの?いや、それにしても無責任すぎる…リリィの権限が他校に比べてかなり強いってのは噂で聞いた事があるけれど…それは知識と経験が豊富なトップレギオンだけと思っていた。一般のレギオンもそうなっているって事?)」

 

百合ヶ丘は支援はするが静観の姿勢をとるようだ

秋日は不審に思う

百合ヶ丘のような強豪ガーデンのレギオンは、ガーデンが主導するのではなくリリィが自由にメンバーを選び、それを教導官が許可するという形を取る。

百合ヶ丘の体制は分からないが、一柳隊も例にもれず許可をした教導官がいるはずだ

理事長や理事長代行、学年主任、クラスの担任

誰が許可をしたのかは分からないが、必ずいる

どのレギオンもそれは同じ

遠方ならば仕方がないが鎌倉から東京など戦闘を回避しながら来れる距離

 

今年結成されたばかりのレギオンが対処する事態と言う事も考えれば来てもおかしくはないのだ

噂だが百合ヶ丘は他のガーデンと比べリリィの権限がかなり強く、ほぼ全てリリィだけで決める事があるらしいが、それはトップレギオンだけと思っていた

今年結成された一柳隊もそれらと同じ扱いをされていると言う事はガーデンから相応の信頼を得ているという事になる

 

確かにメンバーを考えれば強力なのだが、それだけでトップレギオンと同等の扱いを受けるのだろうか?

一柳隊は百合ヶ丘のトップレギオンとして認められる条件をまだ満たしていない筈だ

条件が緩和されたという話も聞こえてこない

 

 

「秋日様?」

 

「いえ、何でもないわ。

まだ動きが無いとはいえ戦闘はまだ続く訳だし鈴夢も気を抜かないで。」

 

 

ここで考えても仕方がない

まずは神庭として萩窪を守る事が先決なのだから

 




番外編的なやつを1話だけ

そろそろ新宿編に片をつけたい
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