Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第48話

神庭でのやり取りなど知らない海漓は葵や増援としてやってきた藤乃と共に前線で戦った

 

「海漓ちゃん、ヒュージは早いもの勝ちでいいかしら?」

 

「え、えぇ。」

 

「では数を稼がせてもらいます」

 

藤乃を筆頭とした神庭からの増援の働きは非常に大きく、最初から参加していたメンバーの負担も軽減され、効率よくヒュージが倒されていく

特に藤乃の働きは大きい

マギと体力が十分な事もあるだろうが、凄まじい速さでヒュージを倒していくのだ

 

しかし気になる事もある

 

「(藤乃さんってあんなに数多くのヒュージ倒すことに執着するタイプだったっけ?)」

 

藤乃はヒュージを倒すのは当たり前として、数よりも倒し方にも変なこだわりがあるタイプ

少なくとも数をひたすら稼いで行くタイプではない

 

何かあったのだろうか?

速攻…というよりまるで競争と言わんばかりの倒し方

誰か競う相手でもいるのかと思ってしまう

変わり者としても有名な藤乃だ

また何か突拍子もない思いつきをしたのだろうと思ってしまう

 

「(まぁ藤乃さん達に頼りっぱなしになるつもりは無いけど)」

 

救援に来た藤乃達に全て任せるつもりはない

競う…と言う訳ではないが海漓もペースを上げていく

増援が来たから自分は手を抜くなどと言う事はしない

 

その後もヒュージをひたすら倒し続ける

その途中、ルドビコやエレンスゲのリリィも増援として到着し海漓達は一度後退する

その途中気になった事が会ったとしたら

 

「(あの紫のアステリオン…使うリリィってあんな幼かったか?

写真でみたときはもう少し大人びてた印象あったけど…)」

 

ルドビコ女学院からの増援として現れたリリィの一人が持っていた紫のアステリオン

色だけなら珍しくはない…があの機体は量産ではなく特注品

形状が量産型とは微妙に違うのだ

中等部時代に量産型と特注品の見分け方や特徴というのは教わっていた

アステリオンに限らずヒヒイロカネ製は全てである

 

所有者とはあった事も話した事も無いが顔だけならば写真で見たことがある

大人びていた印象を持ったのだが、今合ったリリィとは違う

卒業と同時に引き継いだのか、それともそういう事があって引き継いだのかは分からない

知るつもりも無い為この話はここで終わり…ただ、あの機体はかなり高性能だとは聞いていた

今の所有者がCHARMを使いこなせているのか、それとも機体に救われているのか…は気になる所

 

増援に来たルドビコのリリィからの視線を感じるが振り返る必要もない

今は撤退する

生きていれば再び戦場で出会えるのだから

 

そんな事がありつつも海漓達は後退してきた

すぐにでも休憩したいがその前にやる事がある

 

「忙しい所、すいません。

ここ以外の被害状況はどうなってますか?」

 

彼女はすぐ近くにいた防衛軍の隊員に状況を尋ねる

夜明け前の戦闘開始前に自分達と会話をした隊員だ

 

「都庁近郊から現れたヒュージは君達の働きのお陰で侵攻は抑えられている

…が、都内に発生した複数のケイブ…これに関しては各ガーデンで対処してもらっている。被害はかなり抑えられていると聞いているな」

 

それを聞き安堵

どうやら自分達が戦った意味は少しはあったらしい

防衛軍や司令部にやってもらったけど意味が無かった等と言われた時にはどうしようと思っていた

そんな事を言うのは名門ガーデンの連中だけで十分だ。

都内に発生したケイブや現れたヒュージに関してはもう各自対処してもらうしかない

 

「ただ一つ気になる事が

特型の対処を命じられたレギオンがどのような動きをするのか…我々はまだ知らされてなく、果たしてこの場で彼女達を待ってていいのか」

 

「海漓ちゃん達の現在地や都庁周辺のデータは司令部を通じて伝わっているのでは?

現に私達神庭のリリィはそれらの情報を元に増援に駆けつけましたよ?」

 

隊員の言葉に藤乃や神庭のリリィは疑問に思う

勘でここに来た訳ではない

萩窪を出発し新宿に到着した際、司令部から海漓達のいる場所を教えられ、それを頼りに駆けつけたのだ

合同レギオンも同じ

周辺のヒュージは倒したし今もなおルドビコやエレンスゲのリリィが戦っている

その場所さえ教えればいいだけ

 

なのだが

 

「あー、これいつものやつかも…

この非常時でもやっちゃった?」

 

「ありえるッスね…んーこれならあおいんを早めに切り上げさせて合同レギオンに合流させた方が良かったッスかね?」

 

彼女と舞弓だけは何が起きたのかを把握する

防衛軍の隊員や藤乃達、それに葵も良く分かってはいなさそうだ

 

「どういう事?」

 

「この戦闘は実質的に百合ヶ丘が取り仕切ってるんでしょ?

なら多分私らの事とか集めたデータとか無視してるよ、多分」

 

葵の問に海漓は答える

舞弓がそこに補足する

 

「百合ヶ丘って基本的に他所のデータとか信用しないッスよ

あおいんの出身のメルクリウスとかグランの上級生の出身の御台場を経由ならともかく相女や神庭の話なんて聞くわけもないし

騒動の場所も新宿…信憑性とかルドビコのお膝下って考えたら信用はされないッスよ」

 

そのように伝える

これに関しては実は裏でよく言われていること

百合ヶ丘は世界的名門校なのは事実だがそのせいか、他所の集めた情報は一切信用しないという素振りをよく見せる

海漓も中等部時代に百合ヶ丘のそういう話は聞いた事がある

名門のプライドと言うやつだろう

さらに今回の場合、場所が新宿というのも良くはない

百合ヶ丘を陥れるためと勝手な想像をされた可能性も十分ある

 

「私や曾根ちゃんも中等部からリリィやってるとはいえ、百合ヶ丘の連中に聞き入れられるほどの実績は無いから…

私なんてグランエプレですら話聞き入れてくれない事多いし…

聞き入れるとしたら、葵さんや実績ある遊糸さんで何とかって感じじゃない?」

 

「あおいんが確実ッスよ…ってか海ちゃんマジでどんな扱い受けてるッスか?

中等部からの生え抜き組や上級生は皆言ってるッスよ

御台場組の上級生はともかく経験者じゃなくて素人にサブリーダーやらせたり只の便利屋みたいにさせられてたり…何かあったッスか?」

 

「まぁ、高度な政治的理由って奴

中々に大変なんだ、ウチ」

 

海漓はそんなふうにぼやく

言ってて悲しくなるが結局は実績重視

確かに海漓も中等部で実績と経験をつんだがどうしても百合ヶ丘や御台場と比較すると大きく劣る

いや、何個かは誇れるのもあるのだが中々に言いにくい事もあり知ってる者は限られている

結局力のないやつの話など誰も聞いてはくれないのだ

 

舞弓の話も事実

相模の面々も海漓の事は気にかけており、グランエプレの情報も集めて入るのだが海漓の現状は不満や疑問でしかない

最後の一言を聞く限りグランエプレも相当に大変なんだろうと魔弓は思う

 

そんな雑談はさておき肝心なのは自分達の行いが無駄になりかけているという事

ならばやる事は一つだ

 

「と、言う訳で葵さん、もし良かったら合同レギオンの連中をここまで連れてきて欲しいなー、なんて

いる場所は…司令部に聞けば分かる…と、思うし」

 

「えっ?いや、それは…うん。大丈夫」

 

海漓の話に葵は同意する

中々に信じられない部分も多いが、仮にそれが事実なら本当に自分達は無駄な事をした事になる

それは避けたいのも事実

葵は防衛軍の隊員と何かを打ち合わせその場を離脱

海漓達は一度休憩を取ることにする

 

とは言っても完全に休む事は出来ず戦況を耐えず把握する

何か有ればすぐに動かなければならないからだ

魔弓は一度遊糸と連絡を取りたいと言いその場を離れる

すると海漓の隣に藤乃がやってくる

 

「海漓ちゃんは、グランエプレが嫌ですか?」

 

ストレートに聞いてくる

先の話を聞いたらそう取られても仕方がないだろうが

 

「嫌…というかやり難いですよね

価値観もフォーメーションも合わないですし。まぁそれでも折り合いつけて頑張ってますけど

ちょっと厳しいかなと思う事も増えてきたり」

 

まぁこればかりは嘘もつけない

レギオンの雰囲気は嫌いではないが、少し真剣味が足りないと思う事は多い

神庭の校風を否定するつもりもないし古巣のように軍隊形式でやれとも言わないがメリハリはつけてほしい

レギオンとしての戦い方もはっきり言って文句しかない

一度叶星、高嶺と話した時にそんな話題もなったが何重にもオブラートに包ませてもらった

本音で言っていいならばリアルファイト上等で言いたい事を言うだろう

 

フォーメーションやレギオンとしての作戦ならば助っ人として入った数は少ないが秋日の方がやりやすいとはっきり言える

するとそれを聞いた藤乃は何かを考える

そして、

 

「海漓ちゃん、休憩が終わったら戦線に復帰すると思うんですが

その時に一つ私のお願いを聞いてもらっても?」

 

「お願いですか?構いませんけど」

 

藤乃の頼みを海漓は受け入れる

戦いも終盤、だがこの頼みが彼女にとって大きな転機ともなるのであった。

 

 

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