Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第50話

海漓と藤乃は都庁に向かって走る

ヒュージがあちこちにいるのだ

戦闘になるのは当たり前…なのだが二人はヒュージとの戦闘を避けている

それは

 

「便利ですわね、ユーバーザイン」

 

「こう言う行動向けですからね

まぁテスタメント使いがいないんで二人の気配消すにはこうするしかないんですけど」

 

海漓が自身のレアスキル、ユーバーザインを発動し気配そのものを消しているのだ

本来ならば自身しか対象にならないのだが藤乃の気配も消えている

その理由は、海漓と藤乃が手を繋いでいるから

一部のレアスキルはリリィ同士の接触により範囲の拡大や合成が効率的に行える

ちなみに海漓の場合接触しなくても藤乃の気配を消すことは可能なのだが藤乃からの謎の要求により手を繋ぐことを選んだ

手を繋いでからやたらと藤乃の機嫌がいい気もするが気にしない

 

それよりも気になる事もある

 

「希少スキルの発動による特型の撃破…百合ヶ丘、いくらなんでも無警戒すぎます…よね?」

 

「えぇ。ここが新宿と言う事を考えるならば尚更

海漓ちゃんは、合宿から一柳隊と行動していましたが彼女にそのような傾向は?」

 

「一切無いですね

発動する素振りすらなかったです」

 

先の蒔菜の話

移動中に藤乃が生徒会に問い合わせた

すると帰ってきたのは衝撃の事実

彼女の言っていた事は本当である

そのスキルの名はラプラス

所有者は一柳隊で隊長を務める梨璃である

作戦会議を見届けた教導官の話だとそのスキルの発動に全てを賭ける方向の作戦を建てたと言う

それが特型ヒュージの使うマギリフレクターを突破する唯一の手段だと結論付けた上で、だ。

 

勿論現場ではリスクが高すぎるとの反発を、主に会議場に着いた葵が何重にもオブラートに包みながらも言ったという。

だが最終的には楓の説得と自身も合同レギオンに助っ人として合流する事で何とか作戦実行に移すことになったという

 

「海漓ちゃんは鎌倉時代にラプラスの話を聞いた事は?」

 

「相模ですよ?情報で言うなら神庭と変わりません

御台場やメルクリウスみたいな百合ヶ丘と友好的関係を結んでる上層のガーデンならもしかしたらラプラスに関する情報や研究データの共有が有るかもしれませんね」

 

藤乃の問に海漓は答える

ラプラスは未知のスキルと言われているが実際の所少しだけ違う

レアスキルの一つにカリスマと呼ばれるスキルが有るのだが、実はカリスマはサブスキル

つまり海漓が所持するサブスキルの一つである虹の軌跡と同じ扱いであり、ラプラスがレアスキルなのではないかと言う理論だ

海漓が知っているのはそこまで

上層のガーデンならばより深い研究や情報があるのかもしれないが彼女にはそれを知るすべは無い

 

「百合ヶ丘は良いかも知れないけど…ラプラスの件が本当なら今後を考えると隠し通さなきゃいけない重要機密レベル…本当に何考えてんだ」 

 

なぜラプラスが機密なのかと言うとそれは以前にも話題になったゲヘナが関係している

ゲヘナにも様々な派閥があり中には人体実験などを平然と行う派閥もある

ここ、新宿を守備範囲とするルドビコもそちらの派閥と呼ばれておりそんな地域でラプラスの発動を行うというのだ

百合ヶ丘は良い、反ゲヘナ派閥の筆頭でありそのような魔の手からリリィを守る手段が有るのだから

だが他所は違う、ルドビコやそういう過激な派閥に所属するガーデンにもリリィはいる

過激派閥がカリスマ持ちに対し今後非道な扱いを行う可能性は十分にある。

それを考慮したら少なくとも新宿で使おうなどと言う考えは浮かばない

確かにルドビコの崩壊以降、百合ヶ丘も多くのリリィを派遣したがルドビコが百合ヶ丘を筆頭とした反ゲヘナの人員を大量に受け入れ反ゲヘナ派閥に鞍替えしたと言う話は聞こえてこない

百合ヶ丘のリリィならば徹底した反ゲヘナ教育はされる筈

さらにその場にはエレンスゲの教導官もいたならば尚更警戒しなければならない

自分達の行いがゲヘナに過激な行いのきっかけを生むと考えられなかったのだろうか

 

海漓の場合、生まれが横浜で中等部を中立派閥に属する相模女子で過ごしてきた事もありゲヘナを否定も肯定もしない

自分達にとって使えるならばゲヘナのデータも使って来たし過激な行いから得たと思われるデータは使えないとして切り捨ててきた

そういう見分け方も様々なデータと関わることで身につけてきたし必要とあれば実験にも参加した。

相当危ない橋を渡ってきたという自覚はあるがそうしなければ自分は早々にモルモットだ。

神庭も中立派だ。そういうノウハウはあるだろう

特に生徒会は目を光らせている

グランエプレは見分ける以前にその手の資料は見せない方針を叶星と高嶺は取っているし、裏側を話してすらいない

 

だからこそ無警戒すぎると言ったのだ

自分達は安全だという謎の確信がありその後の影響を全く考えていない

本当にゲヘナを悪の組織であり百合ヶ丘の敵として教育するならば付け入る隙など1ミリも与えてはいけない…と思うのは海漓だけだろうか

彼女にしてみれば百合ヶ丘に限らずヘルヴォルも同様だし、そんなヘルヴォル相手になんの警戒も一葉に対して忠告もせずに付き合いを続け、理解を示す所か方針を支持をする叶星達も十分間抜けなのだが

確かに海漓もヘルヴォルの面々とは交流があるがそれでもある程度の線引きをしているし一葉には忠告もして来た

馬鹿正直に付き合うほど彼女は善人ではない

 

「ゲヘナを甘く見てるといつか痛い目見るぞ

一柳隊もヘルヴォルも叶星さん達も…」

 

「神庭だからこそ知る事もありますが決して気の抜けない組織、ですからね、

 

一柳隊は本当に不味くなれば百合ヶ丘が総出で守るだろうがヘルヴォルと自分達は本当に危ない

ヘルヴォルは言わずもがなグランエプレも純粋すぎる、こちらが危険性を言った所で聞く耳すら持たないだろう

敵対しても受け入れてもいけない

本当に中立的な視点から落ち着いて見定めなければ気付かぬうちに呑み込まれる

そういう組織だ

藤乃もそれは分かっている

 

話はあるが、それよりも先ずは都庁だ

ラプラスで何が起こるのか

 

それを確かめるためにも先ずは都庁へと急ぐ

勿論道中ヒュージと遭遇するのだが

 

「邪魔だ…どけ!!」

 

「道を開けてもらいます」

 

二人共速攻で切り伏せ先に進む

そうして都庁に到着する頃には戦いは終盤を迎えていた

そこで見たのは

 

「大量のマギに髪の色の変化…あれがラプラスの効果?

未知のスキルの割には…地味っすね」

 

「マギを渡すだけならレジスタやブレイブでも良かったのでは?髪の色の変化…神宿りも混ざっている?いや、でも…」

 

何らかの力で大量のマギの発生…あれがラプラスの効果なのだろう

そしてそれに伴いマギの発生源にいた梨璃の髪の色が桃色から薄い紫色へと変化する

そのマギの影響か、周辺の合同レギオンのリリィのマギも回復し、これからノインヴェルト戦術を行う

さて、ここで海漓達が取った行動は援護としてあの場に駆け付ける…ではない

物陰に隠れ、付近を警戒しながら様子を伺う事、だ。

 

「さて、じっくり観察しましょう。」

 

「参加しないのですか?

せっかくここまで駆けつけてきたのに?」

 

「私達が来た事で向こうが舞い上がって陣形をぶっ壊す可能性があります

あの場に私達は必要ないです。」

 

藤乃の疑問に彼女は応える

これが敗北の危機ならばそんな事も言ってられないが、今は違う

それこそ未知数のラプラスやノインヴェルト戦術を行っている最中

そんな中に自分達が乱入し精神状態を乱させるわけにはいかない

 

「それに勝ちを確信した時や勝った直後が一番危ないんです

生き残ったヒュージの騙し打ちを始めとしたイレギュラーから味方を守る必要がありますし、万が一失敗した時には離脱させる…もしくは戦闘を引き継がなきゃ溜めですから」

 

こちらも大きな理由

特型というボスを倒したから全て解決、皆助かってハッピーエンドとはならないのが戦場だ

ノインヴェルト直後は疲労や安心感から油断しがち

特にラプラス等という未知数のレアスキルから生まれたマギを受けた事への反動も考慮しなくてはならない

失敗した時のバックアップも当然

そこまでしろとの命令は受けて無いがそれこそリリィ独自の判断に基づいての行動と言うやつである

 

「せっかく来てくれた藤乃さんには申し訳ないですけど今回の私達は裏方です

私はともかくウチを代表するエースの貴方に裏方させるのもどうかと思いますが、百合ヶ丘絡んだ今回ばかりは諦めてください」

 

「突然のルート変更といい海漓ちゃん、もしかしてこういう扱いを昔から…?」

 

「私は、というより相模が、ですね

外征とか守備範囲の戦闘ならともかく百合ヶ丘が絡んだら名門以外のガーデンは基本こんな扱いです

後は…前もって言っておきますけどこの騒動が終わった後の扱い、驚いたらだめですからね」

 

彼女は藤乃に忠告する

藤乃は間違いなく強い

だからこそ扱いに関しては海漓が相模時代にガーデン単位でされた扱いは受けていない。

ついてきてくれた先輩に対しこの後の事も考えると見せたくはない光景、知りたくなかった扱いを受けさせるのは

、はっきり言って申し訳ない

自分についてきた事でこの後受けるであろう扱いに怒って今後相手にされなくなったりしてもおかしくはないレベルだ

 

そんな事を話している内に戦闘が終わる

最後は合同レギオン全員でパスを繋いだマギスフィアを各レギオン隊長の3名で協力する形でのフィニッシュショットを叩き込み特型を撃破した形だ

 

幸運な事に特型ヒュージを撃破した後、これといったイレギュラーな事は起きなかったのは幸運だ

その後は安全を確認した防衛軍によって合同レギオンメンバーは回収

都内各地に展開していたリリィも順次ガーデンへと帰還しこの騒動は幕を閉じるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この騒動は新宿エリアディフェンス崩壊事変とも呼ばれ大きな話題となる

そして、その解決に大きく携わったのは特型ヒュージエヴォルブを撃破した合同レギオン

一柳隊9名

ヘルヴォル5名

 

そして

 

グランエプレ5名の計19名の活躍が大きかったと報じられることになる

 

 

それを見た海漓は一言

 

「やっぱりね」

 

こう言い残したと言う

怒りも悲しみもナク、分かりきった事、当たり前のような、つまらなさそうな表情だったとルームメイトの薫は後に話していた

 




Q海漓、一葉に警告したの?
Aこの小説の29話(鎌倉での合宿編)の時点で警告してた模様

なお新章
最後は駆け足に成りつつも新宿編終わり
皆が仲良く主役になれるほど甘くないのが世の中
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