Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

51 / 107
第51話

さて、事件から数日経過したが都内は慌ただしい

事件の調査などはこれから

自分達も報告書の作成等やる事は多い

海漓も何事も無く日々を過ごしていた。この日は一年生が集まって雑談…なのだが

 

「海漓ちゃんはどうしてそんな冷静なんですか!?」

 

「何か慌てるようなことあったっけ」

 

「あの扱いよ、何で冷静なの?

居なかった扱いされたのよ!!」

 

紅巴と姫歌の怒っている原因がわかった

どうやら事件後の扱いに憤慨しているようだ

 

「あー。でもそれってそんな怒る事?

よくある事じゃないの?」

 

「よ、良くある事って…そんな!」

 

「名門ガーデンの活躍が大々的に報じられて、それ以外は無かった事になるなんてよくある話だよ

別に今回の新宿に限った話じゃない」

 

彼女はそう告げる

今こうしている間にも世界ではヒュージとの戦闘が行われているが、その全てを今回のように大々的に報じているかと言うと否になる

報じられるのは名門と呼ばれるガーデンに所属するリリィが大規模な戦いで活躍した時だけ

他は些細な事として取り扱われる

百合ヶ丘にメルクリウス、都内だと御三家がその代表例だ

更に極端な話をすると相模女子がギガント級を倒すのと百合ヶ丘が倒すのではギガント級が同じ強さであっても百合ヶ丘が大々的に報じられる

 

そういう光景を海漓は相模の中等部時代に嫌と言う程見てきたし味わってきた

今更やられた所で本当に何も感じないのだ

嫌なら名門に行って活躍するか大きな戦いで名門のリリィ以上に活躍し注目されれば良いだけの話

 

「(まぁ私の場合はそれだけじゃ無い気もするけど…そっちは証拠がないから。)」

 

ただ彼女の場合事情が少し違う気もする

確かに扱いに差こそあれここまで話題にならないのはおかしい

彼女があの天野天葉の妹と言う事を考えれば合同レギオンでなくとも注目はされるはず

そうならないのは、天野天葉の妹である事実が世間に広まる事が不味いと考える人間がいるのだろう

例えば精神的に不安定な人物の耳に自身の事が入る事への悪影響を懸念し大人達が関係各所に報道を抑えるようにお願いした可能性…とか

これに関してはこれといった証拠もなく彼女の憶測でしかない

だが中等部の時の出来事や一柳隊と初めて出会った時のリアクションを見る限り百合ヶ丘内で何らかの情報操作が行われている可能性は高い

自校の才能あるリリィと他校の才能の無いリリィなら前者を守る為に動くのは当たり前の話

 

別に大人達に限った事ではない

リリィ同士でも同じだ。

自校のリリィに危害を加えるなら容赦しないという姿勢は全員が持っている。特に百合ヶ丘の場合、そうなれば実力的に留まらず社会的に抹殺出来る力を持つリリィが多い。

百合ヶ丘の発言一つ、選択肢一つ間違えれば、海漓だって即抹殺だ

リリィである以上ヒュージとの戦闘で命を落とすのは覚悟しているが、こんな言い掛かりみたいな理由で命は落としたくない

 

「海漓は有志連合に参加した時からこうなるのが分かってたのに最後までこっちに来なかったって事!?」

 

「まぁね。有志連合だって結局は時間稼ぎ。

東京の連中は分からないけど会議の為に外征してきて戦闘に参加したレギオン…特に遊糸さんと曾根ちゃんはこうなるって分かってたと思うよ…確実にね」

 

姫歌の言葉にもそう言い返す

東京のリリィはともかく外征してきたリリィも扱いの差には覚悟していたはずだ

特に幼稚舎や中等部からリリィになった者は尚更

高等部からリリィなった者ならともかくそれ以前からリリィだった者が扱いの差に騒ごうものなら「何今更騒いでんの?」と言われるレベルで常識

 

「みんな嫌じゃなかったのかな?」

 

「別に世間に認められたりチヤホヤされる為にリリィやってる訳じゃないからね。

勿論そう言う目的の子も中にはいる…けど結局は生き残ってガーデンから報酬貰えればいいかってなるリリィが大半だよ」

 

灯莉の言葉にそう言い返す

リリィが活躍すると世間は褒め称えるしそう言うのを目的にする人物もいるし心当たりがありすぎる

でもそれがメインかと言われると微妙だしそれよりもガーデンからヒュージの討伐や今回の騒動の活躍を認められて報酬を貰いたいと考えるリリィが大半だ

確かに報道での扱いは悪かったが、それはあくまでも報道の話

海漓も報酬はしっかりと受け取った

相模時代よりも貰った金額が少なかったが仕方ない

流石に大手CHARMメーカーが背後にいる相模とそうでない神庭を比較するのは酷だ

 

「海漓ちゃんは?」

 

「後者。私も英雄視とかアイドル扱いは別に。

貰えるもの貰えればそれで良いかなって

レギオンの皆でアイドルリリィやるのは楽しいけど大手の雑誌の表紙とかモデルみたいな事はしたくないよ。(まぁ、人に見せられるような綺麗な体じゃないし…ね)」

 

紅巴への回答。これも本音だ

活躍して英雄視されたりそれがきっかけで専門雑誌などの表紙や本職顔負けのモデル活動やりたくはないし世間で言うアイドル扱いされるのなんて嫌すぎる

姫歌達とアイドルリリィとしてガーデン主催の行事に参加するのは楽しいので構わないがそれを外に持ち出すかと言われと嫌だったりする

まぁ人様に見せられるような綺麗で立派な体なんてしてないのもあるのだが

 

これは世間一般のリリィとズレた感性なのかもしれない。

しかし海漓はそう思っている。それだけだ

 

「本当に後味悪い終わり方になったわね…

それに、海漓はその、一柳隊の皆に」

 

「野蛮人、道を踏み外した、考えを拗らせた哀れなリリィとか言ってたんでしょ?」

 

「ちょ、灯莉、海漓に話したの!?」

 

「何も言ってないよー」

 

「大丈夫、それ。エリート様がクエレブレみたいな戦法とるレギオンやガーデンによく言う言葉だから

私ら相模だって散々言われたし

批判する時の定型文だから…もう少し洒落の聞いた言葉を身に付けてほしいよね」

 

そう、これらの批判は戦果至上主義のような事を行う時に言う言葉

リリィに品格を求め戦いでは派手で華麗に美しくあるべきと定義している者たちしてみたらクエレブレのようなリリィなど恥

言いたい放題何でも言ってくる

口汚く罵るリリィもいる…のだが聞いてる方は怒りを通り越して呆れるし、なんなら定型文みたいな事しか行ってこない為聞き飽きる

自分達を罵ったり怒らせたりしたいならもう少しセンスのある文言を使えと逆に笑ってたリリィも居た

 

「洒落の聞いた言葉で批判ってどんなのよ…」

 

「相模の友達は良く『あまり見ない斬新な戦い方』『避難場所に出来るシェルター向きの土地を用意するのが得意そうな連中』位のセンスは見せてって言ってたよ」

 

海漓はそんな事をふと思い出す

舞弓以外にも相模には友人はいる。その中の一人が言っていた言葉を思い出す

口汚く人を罵るような事はしないが言葉回しが独特だった事を思い出す

出身は関西方面と記憶している

 

「ではその子が逆に品格を求めるリリィやガーデンには何て言って批判してたんですか」

 

「『リリィとモデルを兼任出来る位綺麗でスタイルの良い子が多くて羨ましい』『随分と色んな物溜め込んでるみたいだしそろそろ保管場所無いでしょ?分け前を下々に恵んでくれ』『校舎の外もゴミ一つ、シミ一つ無いなんて品格を求める所は外も中も綺麗で美しい』『ヒュージは人間の品格の良し悪しを理解してくれるなんて新発見を何でいつまでも発表しないんだ』今は私が皆にも伝わるように言い直したけど、こんな感じ。」

 

自分達への悪口や罵倒をする人物にそんな言葉を笑顔で言っていた

言われた方は意味が分からんと混乱していた光景も思い出す

この言葉も海漓が分かるように言い直したが実際だと方言も混ざっており初見で意味を理解するのはほぼ不可能

 

「ではその方の口調そのまま再現したら?」

 

以外にも紅巴が食いついてきた

リリィに関心を持つ人物だ、興味を持ったのかもしれない

 

「えーっ、と、最初だと『名門さんはリリィ以外にモデルさんやれる位にベッピンさんが多くて羨ましい限りやなぁ

どうしたらそんな風になれるんやろ?』『限られた敷地に随分と色んな物や資料溜め込んではるやろ?掃除したら要らないものあるかもしれへんし、ウチラが安く引き取るで』『敷地の外にゴミ一つ、カベにも汚れ一つ無いなんて品格を求めはる所は校舎も綺麗ですなぁ。なんか掃除する人とか宿っとるん?腕がいい人いるなら紹介してな』『ヒュージさんが何を考えてるか分からんからウチら毎日命かけて必死こいて戦ってんのや。品格の良し悪し判断して品格が良いと弱くなる特性があるって分かってんなら早よマスコミ使って発表せーや。そしたら世の中のリリィみんなオタクらみたいになったるわ』だね」

 

「それ悪口なのー?

よくわかんなーい」

 

「何個か褒めてない?」

 

「私も始めは良く分からんかったけど意味が分かるとあーってなってた

友達とかガーデンの仲間に対してはそう言う事を言わないけど喧嘩すると今みたいな言葉が多くなる」

 

灯莉、姫歌はそれを聞き、それは悪口や批判なのかと疑問を呈する。

海漓もそれが分からず聞いた時は混乱していたが意味が分かると納得した

出身地ではよくある言い回しらしい

自分もそういう言い回しを聞き、混乱したがその時はあるリリィが素直に意味を教えてくれた

友人や仲間には優しい人物であったりする

 

先の言葉のいつくかはまさに名門と呼ばれるガーデンやリリィへの非難であり皮肉だ

 

「海漓ちゃんのお友達…あってみたいです

色んな話も聞けそうですし」

 

「癖も個性も強いし荒くれたのも多いけど…まぁいい連中ばっかだよ」

 

そんな事を言いながらこの日は雑談しその後久しぶりの一年生だけで自主練を行いこの日は終わる

 

少しずつ、ほんの少しずつだか日常を取り戻しつつあるのだった

 

 




海漓の友人2が姉を評価すると
「昔はしりまへんけど、今は白百合の美しい毒にやられてもーたな。」
「リリィの間限定の姉妹ごっこ遊びならともかく百合ヶ丘さんのは文字通りの生涯契約や
本当に妹として迎え入れるんならまずは今からでも海漓の所に菓子折り持って妹と一緒に合いに行くのが常識ちゃいますか」

こんな感じ?
公式ツイで出た百合ヶ丘のシュッツエンゲルが生涯契約はわりかしやばだろと思ってみたり(ウエディングイベ?あれは、うん。)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。