Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第54話

いよいよ防衛構想会議の日がやってきた

場所はルドビコ女学院

この日の為にルドビコ女学院が中心となり近隣のヒュージを掃討したようで今の所ヒュージによる被害はないという

 

グランエプレ、ヘルヴォル、一柳隊

その他多くのレギオンがこの場に集まってきている

 

「おーい!海漓!!」

 

「久しぶりー!!」

 

そう言いながらこっちにやってきたのは一葉と恋花

すると

 

「もう風邪は大丈夫なの?」

 

「いつの話?とっくに治ってるよ」

 

かなり前の温泉を風邪で欠席した事を未だに心配していたらしい

 

「良かった。あの時も皆心配してたから…最後まで合流出来なかったりその…扱いの事もあったから」

 

温泉だけでなく、新宿事変では離脱した後最後まで合流出来なかった事や彼女達とは別のルートを使う事を選択した事、そして極め付きは海漓達の活躍が無かった事にされた事への負い目もあったようだ

 

「あの後私らクエレブレに相当煽られたからね…

『勝たせる為に徹夜で戦ってた同胞を踏み台にして名声を得るってどんな気持ち?』って」

 

そんなこと言うのは恋花

遠い目をする辺りエレンスゲ内で色々あった事は分かる

言うとしたら蒔菜か優珂だろう

あの扱いには思う所が多々あるようだ。

 

「まぁ、これに関しては私等に非があるから何も言えなかったけど…

後、海漓ちゃん聞いた?その、御台場の話?」

 

「アイツらがエレンスゲに来たってやつですよね

何か特型やら何やらで大変だったって聞きましたよ」

 

恋花の問に彼女は答える

アレはいつだったか

新宿事変が解決して少し立った時、東京に姉の天野天葉と番匠谷 依奈(ばんしょうや えな)の2名がやってきたと言う

その際、御台場に現れた特型ヒュージをヘルヴォル、一柳隊と共に対処したと一時期話題になった

 

「まぁ、それはそれで大変だったんだけどね…

最後は瑤と天葉さんが少し揉めたけど」

 

「瑤さんがアイツと?

お互い人とトラブル起こすタイプには思えないんですけど…」

 

その辺りは当事者間でどうにかする事だ

海漓が口を出すべきことではない

とは言え瑤がトラブルを起こしたことは意外だった

彼女は人と揉めるようなタイプでは無かったと思うのだが…

 

「海漓ちゃんの事だよ

会いに行かなくて良いのか?って聞いたんだけど『神庭に用事は無いから』って言った事に少し怒ってさ

まぁ、理由は分かるし、瑤も十分に分かってる。でも…ね」

 

「まぁ、仕方ないですよ。

隊長は自分のレギオンの事を第一に考えなきゃいけませんし」

 

なる程、妹に会いに行かない事、無視するような事が彼女の琴線に触れたようだ

とはいえ、姉の考えも分かる。

姉はレギオンを率いる隊長であり百合ヶ丘では江川楠美の姉でもある

直接あった事は無いが世間の話や紅巴から聞いた話を踏まえると相当精神面に問題があり、姉に依存するタイプの人間らしい

自分と会った事が耳に入った事による悪影響を考慮するならば関わらないのが最善の策になる

隊長はレギオンメンバーの事を踏まえ行動しなければならないし、それが自身にとって大切な人ならば尚更だ

自身の立場など様々な事情もある

うかつな行動は出来ないのだ。

 

百合ヶ丘における疑似姉妹契約(シュッツエンゲル)制度はガーデン内でマンツーマンの指導をする上で便宜を図る為の制度と言う訳ではない

百合ヶ丘でシュッツエンゲルの契約をするとそれは文字通り生涯契約になると言う

姉をシュッツエンゲル、妹をシルトと呼ばれていたはずだ

 

 

天野天葉にとって江川楠美はそれ程までに大切な人と言う事だ

ちなみに姉は百合ヶ丘では(シルト)でもある。

三年生の槇 若菜(まき わかな)というリリィと姉妹契約を結んでおり、江川楠美との契約も合わせ世間では最も美しいノルンとも言われている

 

エレンスゲや御台場、イルマにメルクリウスと似たような制度を導入する所は多いがそれら全てが生涯契約になるかどうかは海漓は知らない

神庭は…どうだっただろう…今はいい

調べればいいだけかも知れないが興味が無いのだ。

 

海漓を知らなければその関係は尊いのかも知れないが海漓を知っている人物からすれば実の妹放っておいて何してんの?と思う人物もいるだろう

あの紅巴でさえ姉絡みの姉妹関係は深入りするのを避けているようにも見える

 

「天葉様も申し訳なさそうにはしてたから海漓に対して思う所はきっと有ると思うよ」

 

一葉もそう伝える

二人で話す機会もあったのだが、海漓の事を話すときは何処か申し訳なさそうにしていたという

海漓からすれば何か言いたい事があるなら会いに来て直接言えと行ってやりたいが、まぁ良いだろう、とりあえず。

 

海漓はそんな風に周りを見渡す

辺りには会議に参加する為に大勢のリリィがやってきており、それに興奮する人物もいる

 

その後、一葉と恋花は会議と会議後に行われる合同訓練の打ち合わせの為ルドビコの校舎へと入っていく

自分もやる事は特に無いため、先に会議の行われるラウンジへと向かうことにする

 

そうしている内に時間が経過しいよいよ防衛構想会議が始まる

今回の会議の議長を務めるのは藤田 槿(ふじた あさがお)

御台場女学校のリリィであり、ロネスネスの司令塔も務める優秀なリリィだ

 

そんな彼女がこの会議を取り仕切る

やはり新宿の現状の説明が最初になる

 

先の新宿事変で討伐したはずのエヴォルヴの幼体が都内各地に出現

いずれギガント級にまで成長する可能性を秘めた事を考えると非常に脅威である

 

「この状況に対し風紀委員会が関東支部が提案する方針は2つ

1つ、各ガーデンに定められた固定守備範囲外への外征許可の緩和を始めたとした連携強化

非常時における臨時司令部の設置や新宿事変において被害の縮小に大きく貢献したガーデンを問わず結成された有志連合のような連携体制の設立も検討

後者に対しては設立時の人員以外にも各ガーデン間の派閥や対立等、考慮すべき事情があるかもしれないが有事の際には適切な支援や連携を行う事とする」

 

「(外征許可の緩和…よく百合ヶ丘飲んだな…あそこクッソ煩いのに)」

 

彼女の発言に対し海漓が気になったのはこの部分

東京都内であれば自由に移動して良いため何を今更となるかもしれないが、実はこれ東京独自のルール

鎌倉は同じ府内であったとしても守備範囲から出る際には外征宣言をする必要がある

別に外征宣言しないで外征してもペナルティは無いが非難はされる

最たる例はエレンスゲ。ヘルヴォルとバシャンドレ以外のレギオンはよく外征宣言なしの外征を行う。

これは万が一の事態際のガーデンからの増援や救助体制を維持する為と一般的に言われているが実質は自分達の獲物をよそに取られたくない為の言い分だ

特に煩いのが百合ヶ丘と桜ノ杜。

そのような行いに対しては自分達には何も影響がない時も強く非難している

 

 

そんなガーデンもあるにも関わらずこの話が出るなどどういうつもりかと疑うのも無理は無い…もしくは

 

「(認める代わりに主力は出さないとか言った?なら一柳隊が来てるのも納得行くし新宿の時に増援が無かったのも納得出来るけど)」

 

この話題がいつ出たのか…それは彼女の知る所ではないが成立の際に何らかの条件を突きつけた可能性は大いにある

そもそもの話だ

自分達やヘルヴォルはトップレギオン以前に東京のリリィだから会議への参加資格は有ってもおかしくはないが、一柳隊に関しては本当に謎だった

会議や事態の解決には主力や担当するレギオンを派遣するのがセオリーだし百合ヶ丘の方針を考えても外征時には他のレギオンも来なければおかしい

新宿事変だって本来は防衛構想会議の日だ。あの時既に外征の件が決まっていたのならば自分達の合同レギオンや合宿を経ての会議の参加も納得だ。

外征3レギオンの条件も満たせる

 

事前の会議で何らかの取り引きがあったのかもしれないし、外征条件が緩和されるならわざわざ主力を派遣しなくても良いと言う判断をしたのかもしれない

 

有志連合に触れたのは意外だった

本来の命令ならばともかく本当に有志で構成されたもの

マスコミ程の扱いとまでは行かなくともこの会議では無視、もしくは触れて来ないと思っていた

適切な支援と連携を会議で提案という事は今後も結成される事を見越した上での判断だろう

 

「2つ目。実質的に崩壊に至ったルドビコ女学院

新宿を含めた西東京の防衛」

 

そう告げる

現状のルドビコはリリィよりも教導官の大半が死亡し機能停止状態

それを踏まえルドビコを支援しようというのだ

 

途中から槿の口調が砕けより分かりやすく伝えられる

こちらが彼女本来の性格のようだ

 

その後告げられたのはルドビコ女学院に対し3レギオンを増援として派遣する事

 

「派遣するレギオンの候補なんだけれど

神庭女子藝術高校 グランエプレ

百合ヶ丘女学院 一柳隊

エレンスゲ女学院 ヘルヴォルを考えてる」

 

その言葉にグランエプレの面々は驚く

まさか自分達が選ばれるなんて、と

そして、ヘルヴォルが選ばれた事で会場がざわめく

騒ぎを耳に入れつつ海漓は少し違う視点を持つ

 

「(当事者を送り込む事で都への協力をしつつ、ちゃっかり主力を温存

…東京の騒ぎを囮にして主力を総動員する大規模作戦でも計画してる?それとも百合ヶ丘は東京を重要視してない?仮にも首都なのに…?

面倒事は他所に押し付けるってのもあるんだろうけど)」

 

当事者の派遣で協力すると見せかけ、百合ヶ丘は主力の外征レギオンを温存した形となる

そうする理由など一つしか思い浮かばない

百合ヶ丘にとって重要視している地域への大規模な反抗作戦の計画だ

何時、何処に仕掛けるのか、までは分からない。自分は百合ヶ丘の関係者ではないから

だがこの位の理由しか百合ヶ丘が頑なに主力レギオンの派遣を渋る理由がないのだ

 

「(新潟も駄目で東京もコレ…百合ヶ丘は何処を重要視してる?

甲州、静岡…後は関西方面を?)」

 

 

新潟も百合ヶ丘出さずに御台場から派遣

東京も扱いとしては低め

百合ヶ丘はあの巨大戦力を何処に回すつもりなのか全く分からない

因縁と重要度を考えるならば甲州と静岡は確定

だがこの2つは相模女子を筆頭に鎌倉の他のガーデンも重要視している

東北方面は話を聞かないため関西方面を重要視しているのか?

全く分からない

 

後は考え方

誰かがやるんだから自分達は関係ないという思考だろう

 

「(イルマや御台場からの派遣は無し…こっちも外征を見据えて…か

雑用押し付けてくれるよ…全く)」

 

そして、この派遣にイルマと御台場がないあたり自分らも外征をするつもりなのだろう

自分達は名門の引き立て役や都合のいい雑用係じゃないのだが…と思ってしまう

 

そんな風に考えていると会議が終わる

ヘルヴォルの参加には意見が多々あったが上手くまとめ、最後に槿が皆の士気を上げるような言葉を告げ会議を終わらせる

 

「この後は合同訓練だったね」

 

「そうよ!ひめかが目立つチャンスなんだから」

 

会議が終わりそれで解散と言う訳ではない

その後には参加ガーデン全員参加の合同訓練がある

ルドビコ女学院の自己紹介を兼ねた模擬ヒュージとの戦闘

その後に全リリィ参加の訓練が控えている

全て終わったあとにはルドビコとの交流会も企画されていたはず

 

 

 

この日はまだ始まったばかりである

 

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