Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

64 / 107
第64話

メイルストロムを撃破し、後は帰るだけ…

ガンシップに乗り込み、全員が一度御台場まで戻る

御台場到着後は全員がガンシップから降り、船田姉妹はそのまま校舎内へ

椛はガンシップの整備士と打ち合わせ

 

姫歌達は楪から椛の話を聞かされている

 

「(取り返しても油断したらまた奪われる…か)」

 

そんな中海漓は別の事を考える

実はあの地域は少し前まで陥落地域となっていた

そこを解放したのが姉達が所属していたレギオン

世間で言うところの初代アールヴヘイムだ、ちなみに今のアールヴヘイムは二代目

初代アールヴヘイムは姉以外にも夢結や梅も所属していた

その活躍は伝説レベルであり数々の逸話がある

 

房総半島解放作戦もその中の一つであり、そのせいもあり現地の住民、リリィは彼女達を神格化している

ここまでならば良い話…なのだが、問題はその後

本当ならば二度と奪われないようにしないといけなかったのにこの有様

特型とスモール級の群れに対応しきれず、外征がなければ再びヒュージに奪われかねない状況になった

 

「(優雅さよりもやる事が有るだろうに…全く)」

 

羽衣女学園、百合ヶ丘と同様にリリィに優雅さを求めるガーデンらしいが

優雅さ求めた結果ヒュージから守れないのでは意味がないと言うのは彼女の考え

まぁ、こんな事考えるから野蛮とか言われるのだろうが、そう言う校風で育ったのだから仕方がない

 

「(楪さんの話も参考にはなるんだけど…あの三人は真に受けるからなぁ)」

 

他に気になると言えば御台場到着後に三人に対し楪が話す椛の話題

何も間違って居ないのだ、おかしな所は何もない

努力は報われるから君達も頑張ってという趣旨の話だ

 

問題なのは三人がそれを全て真に受ける事

勿論努力も大切だ、だが彼女達の場合努力以前に戦場ではふざけない、ヒュージ相手に油断しないという初歩的な事からやらなければならないのだ

 

「…努力する前に戦場で舐めた事しない事から始める必要あると思うんだよなぁ、私…」 

 

「なら言えば良いじゃない。」 

 

呟きに対して槿は反応する

分かってるならやれと言わんばかりの言葉だ

だが、海漓まで今の今まで大人しくしてたのも理由はある

 

「優しくしても効果ないなら相模式でやった方が良いですかね…?

でもアレって入学前からウチはこういう風にやるぞって分からせた上でやるから効果ある訳で

あのレベルだと最悪体に叩き込んででも駄目なことだって分からせる必要ある訳で…」

 

別に思う所が無かった訳ではない

だが神庭の出撃するからには覚悟を問う方針と相模の方式では相性が良くない

今の自分は神庭のリリィだ、相模女子のリリィではない

ならば神庭のやり方で接するのが筋だ

 

「海漓が思うやり方で体に叩き込む以外に方法無い訳?」

 

「うーん…有りますけど

それはそれで揉めそうな…」

 

代案を求めるが、それはそれで微妙なやり方

 

「何よ」

 

「あの三人を無罪放免にした上で、叶星さんを徹底的に締め上げる所を見せて、ペナルティも全部叶星さんにやらせるんです

…でもこれやるなら生徒会と教導官の協力も必要ですし…」

 

「それ高嶺が黙ってないし下手したらグランエプレ崩壊案件でしょ、却下

…そんな風になる前に何とかならなかったの?」

 

こちらも却下

この場合後輩がやっても全く意味は無いし、むしろ叶星への無礼になるのでやるならば生徒会長の秋日、もしくは教導官の協力が必要不可欠

頼めばやってくれそうな気はするが自分達の問題解決に巻き込むのは気が引ける

叶星を締め上げたら高嶺が反発しそうな気もするが高嶺だって主犯の一人だ

ついでに責任を感じてもらう

 

「だって難易度に差があっても多くの戦い乗り越えて

合同レギオン後は新宿事変ですよ

戦場で遊ぶな、ヒュージ相手に油断するなって言われなくても分からなきゃ駄目じゃないですか

ここまでアホだとは思ってないですよ。」

 

「ま、まぁ…そうね」

 

戦場で遊ぶな、手を抜くな等本来ならば言われなくても自覚しなければならない事

入学から今に至るまで様々な戦いを経験したのだからリリィとして日々を過ごす中で自覚しなければならない事だ

実力とか精神面以前の話である

 

ガーデンは関係ないし言い訳にもならない

そんな風に思っていたからこそ今まで大人しくしていたが一向に改善されない今となっては失態だと認めるしかない

 

 

「先の方法だって意図はあります

前者は殴られたら痛いけどヒュージの攻撃はもっと痛いのでふざけた事するなと言う事を分からせる

後者は自分達の馬鹿な行動のせいで迷惑を被る人がいるっていうのを分からせる為ですね」

 

勿論意図だってある

殴られたら当然痛いが精々痣が出来る程度だがヒュージの攻撃などまともに喰らえば痣では済まない

マギや制服の機能があるとはいえ万能ではなのだから

殴られた時とは非ではない痛みが襲ってくる

 

自分達が馬鹿な行動をしたせいで迷惑を被る者がいるし、そのせいで余計な被害が出る可能性も十分にある

後者は他者への被害を自覚させる為の行為だ

 

「御台場はしないんですか?

強い戦士を目指すって聞いてますし相模よりエッグい事してる気がするんですけど」

 

気になる事もある

御台場はリリィを戦士として育成している

強い戦士を育てる為という理由で相模よりも過激な事をしている事は十分に想像できる

言葉にはしないが椛、楪、槿が異端で純みたいなタイプが大多数を占める事も十分ありえる

今思えば叶星と高嶺も戦士だ…思い違いかもしれないが感覚的には純に近い所があるとさえ感じた

 

「御台場はスパルタ指導するけどその手の肉体的、精神的な苦痛は与えないわよ

相模女子、そんな指導ばっかなの?」

 

「いや、これはもう劇薬ですよ

どうしようもなくなったときの最終手段です、特に前者は

後者は…まぁたまーにありましたよ」

 

どうやら違うようだ

たがこれも日常的ではない

何度も言うが相模女子でそんな事をする馬鹿なリリィなどいない

ペナルティの前には教導官や上級生からのお話だってあるのだ

それらの段階を経た上での行為という事は忘れてはならない

 

後者はそれこそ兵士を育てる相模独自かもしれない

集団行動の重要性以外に上に立つ者の自覚を促すと言う面もある

『弱いから』『ふざけた事する奴の責任を負わなきゃいけないんだ』

と言う無責任極まりない思考を持たせない為

上に立つものにだって自覚は必要だ

 

「…今回は黙ってたけど、私の前でふざけたことしたら…御台場式でやってあげるわ

相模式が成立してるのって姉妹契約や似た制度が無いってのも大きいんじゃない?」

 

槿も思う所はあったのだろう

次があるかは分からないが槿の前でふざけたら相応の対応はされそうだ

相模女子方式の背景には百合ヶ丘のような特定リリィとの間で結ぶ姉妹関係制度やそれに似た制度が無い事もある、と指摘するが

 

「別にあったとしても変わりませんよ

上級生を姉様とか姐さんとか呼び合ってたり同期間で深い仲のリリィだっていましたけど、やらかしたら素直に指導不足受け入れてましたよ、裏ではキレてましたけど」

 

そこは関係無いと言い切る

中等部の時点で上下や同期でその手の仲は居たがやらかした時のペナルティは差別なく行うし受け入れていた

 

『ちゃんとやってるってのあの教官め!!』 

 

上級生がペナルティ受けたときの反応の一例

 

『あの上級生、自分に相手いないからって妬んでんじゃねーよ、バカが!!』

 

同期間の時は上級生に言われた時のリアクションの一例だ

 

「呼び方もなんか引っかかるけど…まぁ良いわ

椛も戻って来たしそろそろお開きね」

 

今の発言に引っかかる所もあったようたまが椛が戻って来た為、お開き

つまり自分達も駐在先であるルドビコ女学院に帰る事になる

  

「そうみたいですね

…後は気になったことが一つ」

 

そう言いながら校舎の方を指さす

その先には二人のリリィ

 

「さっきからこっちをガン見してる子、無視してよかったんすかね」

 

そのうちの茶髪で小柄なリリィが明らかにこちらをガン見している

横のショートヘアの子は恐る恐るという様子だ

 

『いつまで仲良く話してるの!?ねぇ!?』

 

『お、抑えて…』

 

「気にしないで。

今度紹介するわ」

 

気にするなと言うのだから、問題は無いのだろう

その後、ガンシップに乗り込みグランエプレの面々はルドビコ女学院に戻る

ガンシップから全員が降りるのを確認すると叶星は

 

「皆、今日はお疲れ様

疲れたと思うし解散しましょう

ゆっくり休んでね」

 

「(何もないのか…)」

 

そう告げ解散させる

別行動をさせた事の説明も無ければ、油断し純へのフォローを招いた姫歌と紅巴への注意も何もない

説教とはいかずとも一言二言はあっても良いはずだ

 

確かに疲労回復も大切だが簡単なミーティングすらも行わないのはどうか、とも思うが

 

「(やっぱり高嶺さん無茶してたんだろ)」

 

高嶺の回復が優先だろう

分からなくもないが、それでも、思う所はある

そうして数日が経過したある日の事

 

世田谷区域へのヒュージの対応に一柳隊と合同で行うことが告げられる

ヘルヴォルは別のヒュージ対応の為不在

ルドビコ女学院の他のリリィもその他のヒュージへの対応で忙しいらしい

 

だが

 

「すいません、その出撃拒否させてもらいます」

 

「えっ」

 

海漓はその出撃は拒否する事を伝える

御台場の時のように悩む素振りなど一切見せずに即答だ

 

「ど、どうしたのよ海漓、出撃拒否なんて」

 

姫歌も当然驚く

彼女が出撃拒否を選択する所を見た事が無いのだから当り前だ

なんだかんだ出撃し、戦場に出れば凄まじい勢いでヒュージを倒す人物がこのタイミングで出撃拒否などするわけが無いと思っていた

 

「別に。この戦場には命をかける価値なんて無いって判断したから、選択した

それだけ」

 

「それだけって…そんなの理由に」 

 

姫歌は尚も食い下がってくるが

 

「分かったわ。

出撃選択制は神庭のリリィ全員に与えられた権利

それが海漓ちゃんの意思なら止める事はできないわ」

 

それは叶星が止める

選択制を否定する事は誰にも出来ない

普段からサボってるならばそんなの認められないと一喝出来るかもしれないが、彼女は出れば凄まじい勢いでヒュージを倒し続けてきた

普段から真面目にやる人物の要求ならば飲むしかない

ただでさえ望んでいると思われるTZへの転向や司令塔の希望を自分達の都合で我慢させているのだ

一つぐらい本人の要求を聞いたってバチは当たらない

ましてやソレはガーデンによって認められた正当な権利でもあるなら尚更

…上級生の隠し事を把握されている以上ここで彼女の選択を却下すれば今後自分達が出撃拒否をした際に揉めることにも繋がりかねないという判断もあったのかもしれない

 

 

 

「一柳隊の皆にはコンディション不良で出られないって伝えておくから…

命をかけられるって思ったら出撃してね」

 

叶星はそう伝えると他の面々を連れて出撃していく

 

「部屋で寝てるなんて選択肢も無いし

…パトロールでも行くか」

 

 

海漓が拒否したのはあくまでも一柳隊との戦場だけ

やる気が無いなんてことはあり得ない

準備をすると周辺地域へのパトロールには向かうのだった

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。