「はぁ〜今日は疲れたわ」
「訓練の最中に出撃してそこからの授業ですからね。とは言え被害がなくて良かったです」
その日の放課後、全ての授業を終えた生徒は寮に戻ったり自主練をおこなったりと皆が自由に過ごす
「あーちゃん、さっきのヒュージ大きさどのくらいだったっけ10定盛位?」
「10だと大きい、5定盛位じゃない?」
「あー、5定盛位か、そうだよね」
灯莉は今朝戦闘したヒュージを描いているが大きさが思い出せないのか、海漓に聞く。同じ美術科同士通じるものがあるのか、大きさを正確に伝える。
もっともその会話にツッコミが入るのであるが
「ちょっと!待ちなさいよ、何よ5定盛って!?海漓も悪乗りしないで!」
「定盛は定盛だよ☆何言ってるの?」
「あー、もぅ!!」
自身を定盛と呼ばれるのであれば何時もの切り返しができるが訳の分からない単位として使うのだからそれも出来ない、非常にツッコミを入れたいのにツッコミ切れないジレンマ
そんな風に賑やかに過ごしていると上級生の叶星と高嶺が寮に戻ってくる
その後、高嶺がお茶会を提案し皆が賛同した為お茶菓子等を準備してお茶会が始まる
用意された紅茶はとても美味であり灯莉はかなりのペースで飲んでいく
紅茶を飲みながら雑談をしていると唐突に姫歌が
「そういえばさ、海漓ずっと気になってたんだけどさ」
「ん?どうしたの?」
「何で鎌倉のガーデンに行かずにこっち来た訳?」
姫歌はそう問う
実はこれは一年生だけでなく上級生でも隠れて話題になっていた事である
彼女の姉の知名度を考えれば鎌倉のガーデンに行くのが当然と思われており一種の謎と言われていたのだ
すると海漓はなんの気にもせずに
「んー、ちょっと鎌倉にいるのが窮屈になってきて…ね。鎌倉内で進学ってのも考えたけど特別ここだっていう魅力も感じられなくてね」
その発言に5人が驚く
鎌倉と言えば激戦区とも言われており世界的名門と言われる百合ヶ丘女学院を筆頭とした5大ガーデンがあり、中等部卒業と同時にガーデンを変えるパターンは珍しくないが、府内のガーデンには魅力が無いと言い切ったのは意外だったのだ
ましてや彼女の姉を考えれば百合ヶ丘を目指していてもおかしくは無いと思われるのかもしれないが
すると高嶺が
「そうなると中等部卒業と同時に鎌倉外のガーデンに進学する事を初めから希望してたってこと?」
「そうですね。年々鎌倉で過ごすのは私にとっては窮屈だったので。色々あってここに決めました」
「多くのガーデンからここを選んでくれて私達と出会えたんだもの、その縁に感謝しなくちゃいけないわね」
高嶺はそう言いながら微笑む
鎌倉だけでなく多くのガーデンから神庭を選びそしてグランエプレに入る確率など相当に低い
人の縁や繋がりを感じる瞬間でもあった
「あ、後私からも良いですか?」
「良いよー何でも聞いて」
「その、天葉様とは仲が良くないんですか?その…呼び方が…悪いと言うか…」
そしてもう一つ地雷になるかもしれない話題を紅巴が踏抜く。
彼女は自らの姉を呼ぶときにあの人や下手すればアイツと言っており仲が悪い、もしくは敵視していると思われているのであろう。
すると海漓は何をおかしな事を聞いているのかというふうに告げる。
「他人が言うならともかく妹が姉を雑に呼んだらおかしいのかな?口が悪いって言うならわかるけど…」
「えっ」
その声色に怒りや憎しみ等は無い
単順な興味なのだ。口が悪くなるのは自覚しているがそれでもこの質問をされる事が彼女に取っては本当に分からないのだ
「人によっては“お姉ちゃん”“姉さん”“お姉様”“姉様”って呼ぶ人がいるかも知れないけど別に決まりがある訳じゃないでしょ?そりゃ公でアイツ呼びしたら流石に不味いけど…何で皆は私達が仲悪いって聞くのかな?まぁ二人でいる所を見てないからそう言われても仕方がないのかな?」
そう言いながら腕を組み首を傾げる
たまにでてしまう口の悪さを指摘されるならばまだ分かるのだが呼び方そのものでマイナスな感情を想像される理由が本当にわからないのだ
ニュアンスも憎しみなどを込めずサラッと言っているつもりなのに想像されるのだから本気で悩む
すると灯莉と姫歌も
「僕もそう思ってたんだ〜あーちゃんがどう呼ぼうがあーちゃん次第なのになんで皆は悪い風にとるんだろう?」
「確かに言われてみればそうよね。姉妹なんだもの呼び方なんて自由よね。公に言ったら流石に怒られそうだけど普段は問題無いわ。そういう呼び方してる子確かにいるし。」
逆にその言葉を聞いた叶星、高嶺、紅巴は気付かされる
これもまた姉妹の形の一つなのだと
特に叶星や高嶺が思い浮かべるのは自身が中等部まで通っていた、御台場女学校に所属している一組の姉妹
他人への接し方や中等部時代の出来事を考慮しても妹が姉をアイツ呼ばわりした所は覚えている限りでは1度たりとも見てないないし姉妹仲はとても良かったと言うのは共通の認識である
そんな姉妹を見ているからこそ海漓が姉をアイツ呼びしているのだから不仲だと思っても仕方のない事だ
「それじゃぁ海漓ちゃんは天葉さんにマイナス感情は無いのね?」
叶星は彼女にそう尋ねる
「勿論。とは言え私が中等部入ってからは声すら禄に聞けてないですし近況を知る手段は皆と同じ様にニュースや百合ヶ丘の広報ですけどね。
何なら百合ヶ丘にある疑似姉妹制度って言うんでしたっけ?
アイツから見たお姉さん?と今年契約結んだ妹?の方が私よりも過ごした時間も知ってる事も多いと思いますね。
あ、近年ではって意味ですよ
ちなみに、お二人は会った事は?」
「私も高嶺ちゃんも会った事は無いわ。」
「凄いリリィってのは聞いているんだけれどね。お姉さんとはご縁が無かったみたい」
二人はそう言いながら微笑む
一年生の時には何度が大きな戦闘に参加しその戦場に百合ヶ丘の生徒もいたのが居たのは上級生のリリィ
同学年のリリィとは出会えていないのだ
そして話を聞いていた紅巴はというと
「(このネタは何というか深入りしては駄目な気がしてきました…触れるのはもうやめましょう)」
実は彼女、リリィ同士のゴシップネタに特化したリリィオタクであり、特にリリィ同士の関係性などに強く関心があるのだが、その彼女をもってしても百合ヶ丘にいる海漓の姉である天野天葉関連のネタは深入りするのをやめようと決心させる
身の危険というより仲間である海漓への配慮と言う面の方が強い
その後は普通に雑談を行い、時間も過ぎて行くのだが、せっかくなので夕食とお泊り会もしてはどうかと高嶺が提案し、夕食とお泊まり会が行われ、夜は夜で様々な事があったのがそれはまた後の話。
一部変更しました。