Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第86話

 

初出撃を決めた翌日の午後、早速出番が来た。午前中は何事も無く授業が進み、昼休みに入る少し前にヒュージ出現の警報が鳴り響く

 

「ここで来る!?空気読めよ」

 

人間の都合など知ったことでは無いと言わんばかりの出現。分かりきっている事ではあるが昼休み前に出てこられては少しは空気を読めと思うリリィが大半だ。

準備を終えた者から出撃、指定された現場へと向う‥が担当地区に関しては付近をパトロールしていたリリィが少なかった事が仇となり市民の非難が完了していない。

 

「避難が終わってないなんて‥どうしよう!?」

 

「直ぐに助けなきゃ!!」

 

経験を積んだとはいえ逃げ遅れた市民がいる状況というのは中々に慣れないもの。紗鳥、寧々のように高等部からリリィになった者ならば尚更だ

 

「さーて、どうするの隊長?」

 

祥枝は自身を試すように言う。非常時にどのような決断をするのか、知りたいのだろう。

昨日の約束通り秋日と藤乃の2人が様子見に来る‥筈だったのだが

 

「ありゃ、鈴夢ちゃんも?」

 

秋日にくっつく形で鈴夢も来ていたのだ。秋日と藤乃しか来ないと思っていた海漓からすれば驚いてしまう

 

「私達は見学‥と思ったけれど状況が状況

貴方達への増援も兼ねさせてもらうわ。好きに使って頂戴」

 

「そうですか‥なら充分に使わせて貰います(逆も出来るんだけど‥まぁいっか)」

 

ガーデンのトップである秋日に指示を出す事に違和感を覚えつつも言う事を聞いてくれるならばそれはそれで有り難い話ではある

逆と言うのは秋日はガーデンの生徒会長。その立場、権限を使えば自分達が秋日の指示の元で動く事も可能であり、それだけの権力が彼女には有るのだ。

 

「何か要求はありますか?」

 

「‥特に無いわよ。」

 

「(マジか‥やりやすいけど‥)」

 

最高責任者の望みがあるならばその通りに動き、指揮するのが当たり前。だがそれも無いという事で今回は完全に自由だ

初陣なのだから采配で介入や何の要求も無かったことに驚きつつもすぐに切り替える

 

「市民の避難誘導とヒュージの撃破を同時に行います」

 

理由はともあれ生徒会の増援という嬉しい誤算があった中で市民の避難誘導とヒュージの迎撃を同時にこなす指示を出す

 

「AZ陣と藤乃さんは先行して地上のヒュージを撃破

TZ陣は味方のサポートと市民の避難誘導を最優先に行動。鈴夢ちゃんもこっち」

 

先ずはグループ分け。AZが先行し現れたヒュージを優先的に撃破、市民への攻撃を食い止め、逃げる時間を作りとにかく現場から離れさせる必要がある

海漓含めたTZは市民の避難誘導及び、周辺のヒュージの撃破

 

「BZ陣と秋日さんは市民の誘導先になる安全地帯を確保しつつ防衛に専念」

 

最後にBZ。市民の避難先でもある安全地帯の確保と防衛だ。避難先が定まっていなければ誘導も何も無い。ヒュージが守りを突破し市民を避難先まで追いかけてくる可能性、避難先付近への急なケイブの発生に対応する為の護衛も兼ねている

 

「皆、必ず格闘戦でヒュージを撃破。地上で射撃は行わない事

射撃する場合は建物の上や電柱の上からね!」

 

「地上では射撃禁止なの!?何で!?」

 

「‥市民を殺すリスクがあるから!」

 

当たり前の話だ。市民は何の力も持たない生身の人間。自分達が使うCHARMは剣であり銃。生身の人間が弾丸を交わすなど不可能だ。更に言うと今現在、危機に晒されている市民はお行儀よく避難などしてこない。路地裏から急に飛び出してくるなんてことが普通に起こる。

CHARMに搭載されている機器の類で認識出来るのはマギを用いるヒュージとリリィのみ。マギを持たない市民は認識出来ない。そんな状況の中、地上で何の躊躇いもなく平然と射撃を行えば逃げて来た市民を誤って‥という展開になりかねない

 

「そろそろ‥か。作戦開始!!」

 

説明しながら移動していると現場に到着。想定通り、市民の避難も進まず現場は混乱している

 

「よーし先陣は貰った!!行くよ!!」

 

先陣をきるのは祥枝。その後を他のAZが追従する形だ。

 

「安全地帯の確保‥指定されている臨時の避難先で良いか?」

 

「お願いします。」

 

玲奈が薫、八千代の2名を引き連れ移動。秋日、鈴夢も追従指定されている臨時の避難先の安全確保へと向う

 

「射撃が得意な者は上に!」

 

その言葉と同時に絵麗奈と穂は住宅の屋上へ。海漓、鈴夢、紗鳥、寧々の4名は地上に残る

 

「あれ?海漓も射撃得意じゃなかった?

上行かなくて良いの?」

 

「まぁ、地上に居た方が良いかなって

今日はコレで出撃だし」

 

自身の使うグラーシーザを見せる。近接型の機体を使うのだ。ならばそのような立ち回りに適した場所で戦うだけ

 

「ここは私と鈴夢ちゃんが先行するから2人はついてきて」

 

自身と鈴夢が先陣を務め後ろを紗鳥、寧々に追従させる

入り組んだ路地裏を移動していると、分かれ道から複数の市民が飛び出してくる

 

「市民の後ろからスモール2!」

 

「私が仕留める!紗鳥ちゃんは市民を守れる位置に」

 

即座に寧々が鷹の目を発動、何が起きてるのかを把握し伝える

海漓はサブスキルを活かした高速移動を行い市民に迫るスモール級へと向う

紗鳥は他のヒュージへの攻撃に備える形に

 

右手は斧、左手は剣の形をしたグラーシーザを用い迫るスモールを素早く撃破

少女としての華麗さ美しさなど微塵も感じさせない動作。正面のスモール級斧を用いて上から下へと切り下ろし、素早く左にステップを踏んだ後に今度は左手の剣にて右から左へと素早く一閃

爆発はせずとも切り裂かれた事により付近にはヒュージ独得の青い血液が飛び散る

 

助けられた市民の一人は幼い子供。リリィに助けられ安心したからなのか、戦場のど真ん中にも関わらず紗鳥に握手を求めるような行為を行っている

 

「あのさ!今お姉ちゃん達忙しいからそういうの止めてもらっていいかな?」

 

「す、すいません!うちの子が」

 

少し強めの口調で注意、一刻を争う故に子供だろうと容赦はしない。母親と思われる女性も子供が不味いことをしたと認識したのだろう軽く拳骨をし、自身の元へと引っ張る

 

「上にもリリィはいますし、避難先にも配置していますが油断しないで下さい。かなりの数がいるみたいなので」

 

事務的に告げ早く行けと言わんばかりに対応しその場を離脱させる

 

「不味く無い今の?」

 

「戦闘中にヘラヘラする方がヤバいでしょ。市民は逃げてもらわなきゃいけないし」

 

現在進行系でヒュージと命のやり取りを行っているのだヒーロー気分で市民と話せるほど余裕を持てる彼女ではない。器用なリリィならばここが戦場であるという事を忘れさせる事も出来るが生憎と彼女は起用ではないし、相模女子出身と言うことも有る

寧ろ今のは温い。

『死にたくなかったら死ぬ気で走れ!』位は普通に言っていたのだ

 

無駄話を早々に切り上げ次の行動に移る。現れるヒュージへの対処と逃げ遅れた市民の避難誘導。体感としては7対3でヒュージへの対処が多い。

AZ陣営も頑張ってくれているが数の多さと住宅地特有の入り組んだ道により突破、住宅を破壊しながら現れる個体もいるため市民よりも建物への被害は出てしまっている

 

「(行儀の悪いのが居るのは何処も同じか‥)」

 

ヒュージの危険性を理解し走って逃げる者は勿論いるが戦闘中であるにも関わらず握手を求めたり、酷いのは取材記者でもないのに逃げながら動画や写真を撮る者もいる

 

「作戦中なのこっちは!!はっきり言って邪魔!!早く逃げろってんだよ!!」

 

「ひえっ‥」

 

その手の行為は見かけ次第強い口調、怒鳴る形で指摘する海漓。褒められた手段ではないが一刻を争う中だ、市民には余計な事をせずとっとと逃げて欲しいのが本音だ。市民に気を取られ紗鳥や寧々の活動に支障が生まれ、気を取られたせいで市民諸共ヒュージによって殺される可能性も有るのだ。

それが原因で亡くなったり大怪我をしたリリィを見て、耳にもしてきたのだ。自身の指揮するレギオンではそのような事を起こさせるわけには行かない、そんな思いがある

 

鈴夢は驚いているがそんな事に構ってはいられない

 

「ちょっと‥何‥アレ?」

 

「ん?」

 

寧々が指を差した先、そこには何も無い‥いや、何もなかったと思っていたこの瞬間までは

 

「地面からヒュージが湧き出て来てる!?」

 

何も無い道路だったはずだ。しかし目の前には水のように地面が揺らぎヒュージが湧き出ているではないか。

新たに現れたのかスモールが群となり溜まっている

 

「市民は‥近づいてきてる?」

 

「いや、誰もいないよ」

 

「紗鳥ちゃん、寧々ちゃん、私と鈴夢ちゃんで群れを蹴散らすから2人は屋上に上がって出現元を攻撃して!!」

 

すぐさま海漓は指示を出す。

ヒュージの出現元、もしもアレがケイブならば早々に破壊する必要が有るが現れたヒュージも倒さなければ市民の元へと向かってしまう

 

一人対複数戦に慣れている海漓が前に出てヒュージを殲滅、2人は屋上に上がって貰いケイブもどきの破壊を指示

ヒュージを蹴散らせばその分破壊も楽になる事は容易に相続出来る

 

「こちら天野より展開しているリリィへ!

ヒュージは地中から湧き出ている可能性有り、出現元を捜索、発見次第破壊して下さい!!」

 

情報を共有する事も忘れず、速やかにレギオンの面々+生徒会に通信を入れる

 

「ケイブの反応なんて無かったのに‥どうして!?」

 

「故障!?でもヒュージの反応はあるから‥」

 

「想定外だったってだけでしょ!」

 

寧々、紗鳥は動揺するが、海漓は割り切る。単に地中からヒュージが湧き出てくる事を想定していなかっただけ

彼女は専門家ではない為、技知識は乏しいがヒュージの進化が人類の技術を上回った事だけは確か。それだけなのだ

 

「切り替えて‥っと」

 

右手に斧、左手に剣という2つのCHARMを構え彼女はヒュージに突撃する。捨て身の特攻ではない。がそれは海漓だけ、鈴夢の突撃は被弾覚悟の特攻とも受け取られかねない行動を取っている。

 

「蹴散らすだけ!!」

 

例えば、相対する場所が何も無い更地で、スモールと言えど万を越すならば無謀と言わざるを得ない。姉や名門に通う上澄みのリリィならばともかく海漓では絶対に無理だ

 

だが、ここは違う。確かにヒュージの数は多いが場所は住宅街。左右には住宅があり、現れたヒュージも住宅の間を通る道路の範囲内で群れを形成しているのだ。数だって100も居ない。そして、ここに居るのは海漓一人ではない

 

「市民の避難は終わり!絵麗奈と到着した防衛軍の人に頼んでこのあたりを封鎖したから誰も入ってこないよ!」

 

「助かります!」

 

市民の避難を終えた穂が援護に駆けつけてくれた

出現したヒュージの群へと突撃する海漓

地面を滑るようにインビジルワンを用いた高速移動し、接近しながら右手の斧、左手の件を器用に使い、一体、また一体と確実に切り裂く

そして、ただ移動するだけではない

 

「何か残像出てない!?何やってるの!?」

 

「ユーバー使ったただの子供騙しですよ」

 

穂は驚くが特別な事は何もしていない

ユーバーザインを用いて自身の背後に追従する形の残像を生成しているのだ。

勿論、残像のように見せる為に故意にある程度体が透けている状態の分身を生成、背後に追従させているのだ。

ヒュージは面白いほどに引っかかり動きを止め、突進や爪を用いた攻撃を外す為、隙も生じる

生じた隙を逃さず自身の攻撃を叩き込む、対応出来ない所は穂が援護射撃で埋める形

 

「なーにやってんだか‥!」

 

攻撃の最中に鈴夢に目を向けるとヒュージへの体当たりすらよけようとしていなかった為、迫るヒュージ目掛け親機の刃を射出。突き刺した後に壁に叩きつける。叩きつけられても尚息があるようだが、ゆっくりと近づき子機でトドメと言わんばかりに切り裂く

 

「あ、あの‥私は‥大丈夫ですから‥」

 

「うん。知ってる。足の傷もそうだし、所々制服が破けてるのに何も無いってのはそういう事でしょう?」

 

彼女の制服にはいくつもの切り傷があるにも関わらず出血は見られず綺麗な色白の肌が所々見えるだけ、もしくは現在進行系で傷が塞がっている状態だ

別に彼女のような我が身を顧みない戦闘を行うリリィは珍しい事ではない。相模女子にもそう言うリリィは多くいた。その中でもとある能力を持つリリィならば良くやる行為だ。

 

「頭と心臓にダメージが入りそうな攻撃は避けなよ。その力があったとしても‥洒落にならないし死ぬよ、普通に」

 

彼女を筆頭に能力を持つ者でも命を落とす事は普通に有り得ること

 

「止めないんですね‥」

 

「別にそこまでの権限ないからね、私

まぁ、受けた痛みが消えるわけじゃないし失った血液だって戻らない。ソレを覚悟してるなら続ければ良いんじゃない?‥まぁ、近い内に確実に死ぬか味方を殺しても良いなら‥だけど」

 

鈴夢の保護者でもなければ姉でもない。更に冷たい言い方をするならば自身のレギオンの仲間でもない。戦い方そのものに口をだす権限など何も無いのだ

彼女の力にも欠点は多くある。痛みは残るし血液だって戻りはしない。ダメージは確実に残るのだ。そして蓄積されれば当然動きは鈍り更にダメージを受ける負のスパイラル。そんな事を続ければ遠くない内に確実に死ぬと素直に忠告する

 

「(‥多分これ不適切だよな‥普通なら優しいかい言葉をかけるんだろうけど)」

 

やり方とはしては不適切、発言としても不正解だ。正しい行いは彼女を庇護対象として接し、我が身を楯にしてでも守り優しく包み込むような温かさで接する事だ。それを分かってはいても不適切で不正解な行動と発言をしてしまうのが天野海漓という人間だ

 

「棒立ちしない。次が来る!」

 

「は、はい!」

 

本人がどう考えているのか、秋日達がどうしたいか。それは分からない。だが原状で海漓の目の届く範囲にいるならば無駄死にしそうな行為は止めるし忠告する。それだけなのだ

 

2人の攻撃で数を減らし出現元をはっきりとさせれば後は簡単

紗鳥、寧々の2人が屋上から集中砲火を浴びせるだけ

 

「一旦下がるか‥」

 

従来のケイブと違い地面に対し高火力を叩き込むため爆発音と同時に土煙が大量に巻き上がる。海漓と鈴夢も跳躍、建物の上へと上がる

しばらくした後に爆発によって生じた土煙が晴れると、周囲にヒュージはおらず、攻撃により派手に破壊された道路だけがその場に存在している

 

ヒュージの反応は無くとも万が一に備え海漓達は再度地上に降りてヒュージの撃ち漏らしが無いか路地の隙間等を組まなく散策。AZ組もほぼ同じタイミングでケイブと思わしき存在を破壊、ヒュージの殲滅を終えたという連絡が入る

 

各班に分かれ確認後、住宅街から少し離れた大通りでレギオンの面々と生徒会組が合流する

「鈴夢、大丈夫!?」

 

秋日は鈴夢の状態を見た瞬間に慌てて彼女に駆け寄る。

 

「ちょっと‥何があったの?」

 

「いやーこっちも結構な激戦だったので。」

 

嘘は言っていない。激戦だったのは事実だ

 

「グランエプレの活動もあるし無茶させないで欲しかったのだけれども?」

 

「ほんと、申し訳ないです。

私も神庭の隊長としては初陣なのでそこまで気が回らなかったです」

 

半分本音、半分嘘。初陣、様々な状況への備え、紗鳥と寧々のフォロー諸々などやる事はあった。しかし鈴夢へのフォローを忘れていたわけではない

彼女だってトップレギオンの一員だ。口には出さないが初心者と鈴夢では初心者のフォローが最優先だ。

皆の前で鈴夢を非難する事を言わないのは海漓なりの思いやりでもある

 

その後は生徒会と分かれ解散

念には念を、で海漓達でもう一度周囲を警戒を行い帰還する

その後ガーデンで反省会、とは行かず海漓は案の定呼び出された

 

「さっきのとは別案件よ

市民に罵声飛ばしたっていうクレームが大量にガーデンに入っているのだけれど、どう言う事かしら?」

 

「別に、邪魔を邪魔って言う事の何が問題なんですか?」

 

生徒会室には生徒会の他にグランエプレの面々も揃っており、その大半が海漓に対し非難するような視線を向けている

庇うのは唯一人、

 

「そんな切り捨てるような言い方は良く有りませんよ?

海漓ちゃんには海漓ちゃんなりの言い分だってあるでしょうし、教えて頂けませんか?」

 

藤乃は優しく、問いかけるように海漓に尋ねるが、やはり場合によっては庇え無いと言う警告はする

 

「はぁ‥。逃げないでリリィに握手求めたり盗撮紛いの行為してたらそりゃ怒ります

あの時は命がけの戦闘中ですよ?

言葉だって荒くなりますって」

 

これに関して海漓は引くつもりはない。相手が秋日や藤乃であっても譲れない事はある。今後はやめます、怒りません、笑顔で対応しますなどと言ってしまえば市民と戦うリリィの命に関わる話になってしまう

 

「移籍や采配に関しては私からは何も言わないけど海漓ちゃんは逃げ惑う人達を罵倒したかったの?」

 

「普通に逃げてる人に罵倒なんてしてませんよ私

無法者に罵倒しただけです。ヒュージに殺されるよりかはマシじゃないです?」

 

「皆に嫌な思いさせるのは良くないよ。僕達はリリィなんだから」

 

「そうですよ!不安な人達に怒鳴りつけるなんて絶対に良くないです!!」

 

「ヘラヘラやって何かあってからじゃ遅いんだけど?」

 

罵倒とか嫌な思いとかそう言う次元の話をしているわけでは無い

一刻を争う時に余計な事などせずに逃げろ、そうしなければ市民、リリィともに危ないのは明白で、罵倒してでも市民にはその場から離れてもらわなければならない、それだけの話なのだ

余りにも見当違いな事を言われれば反撃の一つだってしたくもなる

 

「何かって、何よ?

私達リリィは皆を笑顔にする為に戦ってるのよ?」

 

「‥その位は自分で考えなよ」

 

そういう何かを見聞きしてきた海漓との違いだ。後は落ちこぼれだからと過剰に叩かれてきたことの有無、違いは色々とある。挙げればキリがない

 

「‥これで2年連続。私は見た事がないんだけれど‥本当にいるの?」

 

神庭というガーデンで海漓以外にもやった人物がいるとは驚きだ。

秋日も遭遇していないあたり運の良いタイプなのかもしれない

 

「去年といい今回と良い嘘を言うメリットが有りません。ただここは相模女子でもないのでそう言う時の言葉遣いは少しだけ優しくしてくれると助かります」

 

その後、海漓は生徒会室を後にすると祥枝が壁によりかかりながらそこにいた

 

「お説教されちゃった?どんまーい」

 

海漓を見かけて清々しい笑顔でこちらにやってくる

 

「そこまで言われてないですよ」

 

「ふーん。まっ、罵倒ならそんなもんだよね」

 

「やった事が有るんですか?」

 

「去年だね。レアスキル発動中に逃げない市民がいてさ。殺気飛ばして『目障りよ』て言っただけ」

 

「目の前に人物が!?」

 

まさかの副隊長が犯人。というケース

道理で笑顔で向かって来るわけだと半ば呆れてしまう

 

「戦闘中だし、怒るよ

まぁ、日頃からサインとか握手するリリィいるから空気読めなかったんだとおもうけど」

 

「あー、相模は無かったけど他は名が知れると結構あるって聞きますね、それ」

 

相模女子としても、海漓個人としても遭遇したことはないが戦闘の無い日常生活でサイン諸々をねだられることがあるのだ。姉は気前良くやっているというのも聞いたことがある

 

「うん。私らの代なら秋日、藤乃、叶星、高嶺辺りはあるんじゃないかな」

 

「祥枝さんは?」

 

「基本断ってたし、その一件があってからはゼロ

まっ、別に良いけどね。そっちは?」

 

「荒くれに求めたいと思います?

私は良識派ですからね?」

 

ガラの悪いリリィ、落ちこぼれという扱いであってもそう言う時には役に立つものだ。下らない事をやらずに済む

 

 

リリィにとっての脅威はマギ絡みだけではない事を共有出来る人物が同じレギオン、校風の違うガーデンにいたのは不幸中の幸いなのかもしれない

 

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