突如現れたメイルストロム相手に前進する海漓と林乎
ある程度まで距離を詰めた所で海漓が指示を出す
「その辺りでクルッジを射撃モードに切り替えて攻撃して下さい
あくまでも気を引く程度で構いませんので」
林乎の使うCHARMはヒヒイロカネ製のクルッジ、海漓も以前使用した事のある機体の為機体の性能は全て把握している
『貴方達の居る地点でギガント級の反応が出た他、周囲のリリィから通報が入っていますがどういう事ですか?』
『どうもこうも、その通りですよ
メイルストロム、アレが出てきました』
足止めしてる最中、ガーデンより通信が入る。タイミングは最悪だがこれによりメイルストロムが通信妨害を引き起こす能力を持っていないことが判明したのは収穫だ
『市民の避難は終わりましたか?』
触手による攻撃を避けユーバーザインを用いて姿、気配を消した後に建物の陰に隠れた所で状況を確認する
『護衛のリリィ、防衛軍、及びヒヒイロカネの私設レギオンより市民の避難が完了したとの報告を受けています』
市民の避難が終わっていないという最悪の状況は回避できた。これにより今荻窪にいる人間はリリィ、軍、私設レギオンとガーデンの関係者に限られる
『ギガント級出現に伴っての配置は‥特にないんですよね?』
『はい。配置はリリィの皆さんに任せる形を取っています』
『(ほんとにさぁ‥)』
ならばギガント級の出現に伴いある程度リリィの配置には自由が効くのだが肝心な配置はリリィ任せ。秋日の言うように全て自主制に委ねるという事になり海漓は呆れるしかない
他の名門ならともかくネストやギガント級相手の経験が乏しい神庭で自主制などやっても動けるはずがない‥予想では有るがその場に棒立ちか
『増援が必要であれば‥向かわせますが?』
『増援は要らないです‥一つ確認なんですがこの場合私達はメイルストロムの討伐を行って良いんですよね?』
『勿論です。‥貴方方にメイルストロムの盗伐を命じます』
『分かりました(よし、言質は取った)
一つだけ私のお願いを聞いて欲しいんですけど‥良いですか?』
半ば他人事ではあるがガーデンから正式にメイルストロムを討てという指示も出た
下手に増援など送られても連携不足による被害の拡大以前に、血気盛んなリリィが下手に突撃する事でこの後の自分達が放つ魔弾に巻き込む可能性が大きい為却下、その代わりに1つだけ要求する
『‥それは構いませんが‥それだけで良いんですか?』
『えぇ、一字一句間違えること無く確実に伝えて下さい。』
『分かりました‥確実に伝えます』
それと同時に通信を切る
あえて姿を現し、距離を詰めた所で射撃戦を仕掛ける‥が、それとほぼ同時だった
「‥ここで来た!!」
例のマギ干渉が行われる、海漓はインビジブルワンを用いて全速力で後退、干渉から逃れられる位置まで距離を取る
「近づきすぎではなくって!?」
「
海漓が射撃を行ったのは林乎がいる位置よりも更に前、高速移動系のサブスキルを持っているとは言え干渉の影響を林乎よりも受けるリスクを抱えたうえでの行動ではあるが彼女の使用する機体、その子機の形状を考えるならばそれも仕方の無い事
形としては片手持ちの拳銃、つまりトリグラフに近い形をしており機体自体が中近距離用‥射撃も行えるがクルッジやアステリオン、クリューサーオールに比べると射程が短い
射撃を行うにしても距離を詰める必要があるのだ‥そしてこれにも狙いが有る
「あのヒュージ、ある程度接近されるかダメージの蓄積で干渉を打ってきますね」
「其の為にわざと?」
「えぇ。‥まぁ前回の事もあるので最終確認に近いですけど」
以前の経験を踏まえた上での最終確認。
何をきっかけに発動するのか、だけでも把握出来ればそれだけで大分戦いやすくなる
リリィに過度な接近を許す、もしくは甚大なダメージを受けた際に干渉を起こす事でリリィを引き離し自身の回復やノインヴェルト戦術を妨害するのがメイルストロムの行動パターン
姿を消した際に自身を狙わず、姿を見せた際にマギの干渉だ‥恐らくは視覚によりリリィを察知しているのだろう
「それで、姿消してまで何をしていましたの?」
「他地区の状況確認と‥少しは大人達にも働いてもらおうかと思いまして」
「‥はい?」
彼女が言い終わるのとほぼ同時
ガーデンの司令部より校長名義での指示が出る‥普段ならば出現と迎撃のみだが今回ばかりは違っていた
『先程出現した特型ギガント級は現在防衛隊が対処中。尚味方への被害防止の観点から他のリリィは戦闘区域外で待機』
『ガーデンに待機している相模女子特戦隊含めたリリィは現状を維持。』
『他の動ける者は周囲の警戒、及び負傷者を回収しガーデンに帰還して下さい』
この通信を聞いたリリィの対応は様々、突然の通信内容に動揺するもガーデンの命令だ無視する訳にもいかず各々が行動を開始
「ガーデンが指示を?確か神庭の校長にそのような能力は‥まさか貴方が?」
「えぇ。下手打たれたら大変なんで校長名義でやってくれと頼みました(本当なら校長か秋日さんがやる事なんだけど‥)」
今の内容は全て先程の通信で彼女が校長名義で出すように頼んだ指示だ。
これは越権行為にも等しい。本来ならば校長や教導官、最悪は生徒会長の秋日が速やかに防衛隊とコンタクトを取り状況を把握し指示を出のがセオリーしかし双方が全て現場のリリィに任せ臨機応変に対応の方針を打ち出している状況であり、文字通りリリィに好きに動かれると防衛隊としては不安要素が増えてしまう。其の為彼女は校長名義でリリィに指示を出すよう依頼したのだ
本当なら海漓の指示で動かせば良いが今の彼女には神庭のリリィを好きに動かせる権限を持ち合わせていない為、そうするしか無かったのだ。校内で影響力を持たないリリィの言葉など届くはずもない
極端な話、同学年で見ても隊長の海漓と副隊長の姫歌なら姫歌の言葉に耳を傾ける者が多い‥その次元の話だ
そんな現状でもリリィに動いてほしいため彼女は何の躊躇いもなく他者の力と権力を借りたのだ
『隊長、今の何!?校長先生に運用知識なんて無かったと思うけど!?』
『‥後で説明します!
それより準備終わりましたか!?』
生え抜きのリリィならばガーデンの教導官に非常時におけるリリィの指揮運用能力が無い事などとっくにバレている‥所が特型ギガント級が現れたタイミングで突然ガーデンが指示を出してきたのだ‥本来ならば何事かと動揺する
『大丈夫だよ!このまま起動させれば良いの!?』
『はい!』
祥枝よりレギオンが揃い、魔弾の射手の準備が終わったことが告げられる
「林乎さん、下がりますよ」
「えぇ、ですが攻撃をやめたらメイルストロム移動するのでは?」
「そこは抜かりありません‥見ててください!」
彼女が告げたその瞬間だった
突如として地中から巨大な鎖が計4本メイルストロムを包囲するかのように現れ、直ぐ様雁字搦めに縛りつけたのだ
ヒュージも突然の光景に何が起きたのか分からず脱出しようともがくが現れた鎖はかなりの強度を誇っておりビクともしない。
「アレは‥!?」
「ユーバーザインで生み出した鎖ですよ‥鎖に縛られた感覚ってのを叩きつけるとああいう事も出来ます」
ユーバーザインによって生み出された幻の鎖をメイルストロムに巻き付けただけ。ものすごく簡単な仕掛け
だがリリィのマギによって生み出された
動きを止めている内に自分達もレギオンの元に合流‥したのだが
「狙うって言っても何処狙うさ?胴体?」
魔弾の射手の準備を行いながら結弦が問いかける‥訓練ならば只の的を狙えば良いが今回は動かないと言ってもヒュージだ。体の部位を伝えても皆がピンポイントで同じ場所を狙うとなると難しい所があり、それは海漓だってわかっている
「私はアレ維持しなきゃならないんで‥祥枝さん、魔弾の射手を起動させた状態でとりあえず銃口を向けて下さい」
本番ではどうやるか‥本来ならば海漓が示すのが一番だが彼女はメイルストロムを縛っている幻覚の鎖を維持しなければならない為、この後の作業は祥枝にお願いする
「起動させて‥うわっ、なんか出て来た」
彼女はCHARM、クリューサーオールを射撃モードに切り替え指示に従うと同時、銃口から青い点線状のレーザーがヒュージに向かって放たれる
「そのポイントレーザーを今回は胴体に当てて下さい!」
彼女の指示通り先ずは祥枝がメイルストロムの胴体に当てる
この段階ではまだヒュージに対してダメージは入っていない。あくまでも当てているだけ
だがこれで何処を狙えば良いか、全員が目視出来る状況になる
「祥枝さんはそのまま、私、林乎さん、玲奈さん以外の9人は続いて下さい!」
幻覚を維持しなければならない海漓、消耗した林乎、索敵の玲奈を除いたたの面々も後に続きポイントレーザーを祥枝を同じ位置に向け照射。
当たっているかどうか、ズレたならば即修正‥実際に目視で確認し確実に1箇所にまとまる
「そのままトリガーを引いて下さい!
!
加えて二松さんはレジスタ発動、マギを全てCHARMスペック向上に回して!」
「‥分かった‥!」
彼女の声を合図に皆が一斉にトリガーを引き、同時に薫はレジスタを発動、味方のCHARMスペックを向上させる。
本来のレジスタにはCHARMスペックの向上やマギの供給に加え俯瞰視野の獲得、パスコースをテレパスで味方に伝える能力やマギスフィアを保護する為のシールドを作成といった能力も含まれているが魔弾の射手では後半3つは使う必要ない為、それらの使用に必要なマギも全てCHARMスペックの向上に回す
其の為従来のノインヴェルト戦術時におけるレジスタの運用に比べ火力面だけならば魔弾の射手の方が圧倒的に上回る形となる
レジスタの変則運用による恩恵を受けた中で放たれる強力な10本のレーザー。
先に放たれたポイントレーザーにより既に標準が定められているため放たれたレーザーは目標目掛け向かっていく
直撃と同時に海漓は幻覚を解除
後は貫くだけ‥なのだが
「‥えっ?マジ!?」
本来ならば収束したレーザーが徐々に装甲を貫き最終的にヒュージを撃破‥のはずだったのだが
「ギガント級の胴体がバターみたく溶けてったんですけどぉ!?」
収束したレーザーはあっという間にヒュージの装甲を貫通、まるでバターを溶かすかの如くレーザーはメイルストロムの体を貫通、更に貫かれた傷口を中心にメイルストロム全体が眩い光を放ちながらひび割れ、倒れ込んでいく
「ぜ、全員後退!急いで!!」
この後に何が起こるのか、ほぼ全員が分かっているので疑うこと無く即後退
メイルストロムが地面に崩れ落ちて間もなく大爆発が起こる
「障壁作成、ガラスやら何やらで余計な怪我しないでよー!」
爆発により生じた爆風や吹き飛んでくる残骸から身を守るためにも距離を取りつつ地面に着地し祥枝の指示の有無に限らずマギの障壁で身を守る。これは爆発の振動により割れた住宅のガラスや崩れ落ちる塀から実を守るためだ
「うわー‥メイルストロムいた辺りの住宅全部吹っ飛んでるや」
「すっご‥」
結弦や穂が爆風が収まると同時無事な電柱や住宅の屋根に登り爆心地を確認
メイルストロム付近の住宅は完璧に吹き飛んでしまい、その周辺の住宅も半壊である事が確認出来る
ギガント級を倒した事による達成感や歓喜の声以上に防衛隊は魔弾の射手の凄まじさを目の当たりに驚愕するしかない
爆心地付近では火災も確認されたがそれは軍と消防、後はヒヒイロカネの私設レギオンで対応するとの連絡も受けた為海漓は彼等の到着を確認し後を任託しガーデンへ帰還
ギガント級を討伐したレギオンに拍手喝采‥なんて事にはならない
校内では今までとは比にならないヒュージの襲撃や特型ギガント級の出現に伴い大半のリリィが動揺しており校内は不穏な空気が漂っていた
「まぁ、そうなるよね‥」
だがこの状況は海漓からすれば想定内
何故ならこういう場面でガーデンを纏め士気を高めなければならない人物が自主性の下に何もしない方針を取ることを知ってしまったから
不穏な空気はそのままリリィの士気の低下と消耗の速さに直結する
不幸中の幸いなのは防衛隊に関しては海漓の指揮の元で特型ギガント級を退け戦いを乗り切れたことで士気が下がっていない事
現在は機体の整備や体のケアに努めて貰っている
この後も放置を続けるならば敗北どころか下手をすれば全滅も覚悟しなければならない
幾ら防衛隊や相模女子、軍や私設レギオンが戦ったとしても数が知れている
やはりガーデンとしての機能を維持して貰う必要があるのだ
「(もう1回秋日さんに話、してみようか?)」
自分が動いてどうなるかは分からない。だが何もしないよりは何かした方が良い‥と思っていたのだが
「見つけた、ここにいたんだ」
「春音さん‥どうしました?」
突如、春音がこちらに向かって駆けてくる。戦闘終わりでケアをしていたはず
まさか、何かトラブルが起きたのか。
そう思い身構えたのだが
「実はちょっと話を聞いて上げて欲しくてさ
おーい、こっちこっち」
手招きすると、1人の赤い制服を来たリリィが彼女の元へと向かってくる
「‥疲れてる所申し訳ないのだけれど‥少し時間をくれないかしら?」
「貴方は‥!
お久しぶりですね。ご無事で何よりです」
目の前に現れたのは海漓にとっても見覚えのある1人の上級生
とある出来事がきっかけで下手をすれば自分やグランエプレを恨んでいてもおかしくない人物が現れたのだ
Qポイントレーザーis何?
Aマ◯ラ◯の光線級がビーム撃つ前にぶつけてる奴