Assault Lily〜御使いの妹   作:ラッファ

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第98話

 

突然の突撃とネスト討伐作戦の開始

何も知らされていない海漓達まで暴れてしまったら元も子もない。

思う事は多々あれど必要なのは場を把握する事。申し訳ないが突撃した者達には状況を把握する為の時間稼ぎ要員として計算。

各地で戦闘音が鳴り響き本格的な戦闘が始まっている

 

「(混乱してるけど‥まず最初にやらなきゃいけない事は‥)」

 

集まってきた隊の仲間達、皆もこの状況に混乱している。

それもその筈。今に至るまで神庭を守り抜く為に動いてきた筈がいつの間にかネストを攻め落とす戦いが始まったのだ

話が違う、となるのは当たり前。

隊の者も大事だが一つだけ気になる事があり、通信機にて連絡を入れる

 

『藤乃さん!聞こえてますか!?』

 

気がかりは鈴夢の確保に向かった藤乃、灯莉、紅巴の3名。鈴夢はともかく3人は鈴夢の確保が目的で有りネストの討伐作戦を知らされていなかった可能性もある。

 

『ちゃんと聞こえてますよ〜』

 

『(通信は生きてる。妨害は無し)鈴夢ちゃんはどうなりました?』

 

通信障害を引き起こすヒュージの出現がない事は確定。これにより作戦変更ついて連絡が出来なかったという言い訳は不可能となる。

そして、本来の目的である鈴夢の身柄はどうなったのか。抑えたのか、抑えられなかったのか。後者ならばネスト討伐など行っている場合ではない。目的を果たしていないのだ、そんな中でまた別な作戦を行うなど言語道断‥そう考えていたが

 

『無事に捕獲しましたよ、本当はもっとお話したいのですが‥丁度ネストに向かっている最中です。長話は出来ません』

 

無事に身柄を抑えられたようだ。彼女達は後から追いかけてきた本隊と合流。今はネストに向かっている最中。

通信機越しに戦闘音は聞こえないが先を急いでおり、長々と話せないというのも納得だ

 

『煽ったリリィをどうするのか、それだけ確認取ってもらえます?

私が言うと喧嘩なりそうなんで』

 

海漓も分かっている。長々と話すつもりは全くないが、煽り、出撃させたリリィをどうするつもりなのか?それだけは聞いておきたい。藤乃に頼んだのは当事者に聞けば間違いなく怒号を飛ばす自信が海漓には有るからだ

 

『ちょっと待ってくださいね』

 

通信機越しではあるが藤乃とのやり取りがうっすらと聞こえてくる。多少オブラートに包んでいるが基本的には海漓の問いをそのまま伝えている。

 

『迫りくる状況に対し臨機応変に対応してもらう‥だそうです

神庭のリリィはヤワじゃない、今の皆なら乗り切れる。そうですよ』

 

『(マジ?死人出ても知らないぞ‥)‥そうですか』

 

通信機越しにわずかに聞こえた声色から最初は秋日、次は叶星であると海漓は把握する。こんな状況でも自主性に拘り指揮を取らない。大半がネスト戦は疎かグンタイアリとの戦いを経験しておらず、出鱈目に戦えば死者が出る事は子供でも分かることだ

彼女の反応を聞いた藤乃は声のトーンを落とす

 

『‥海漓ちゃん、色々とお願い出来ますか?厳しい状況になる事は分かっていますが‥?』

 

『‥煽った連中は知りませんよ。ソッチについたんですから

ヒュージに関しては何とかします‥ただ‥全滅は避けますが、無傷とは行きませんよ』

 

ヒュージに関しては全て任せろ、とはならないが自分達の出来る範囲で対応するのは構わない。だが姫歌の煽りを受け出撃したリリィの安全までは保証出来ない事は告げる。彼女達は姫歌達についたのだ。それにより起きた事への責任は当然彼女達が取るべき。

無論、頼まれたからには最低限の援護は行い、全滅やそれに近い被害は避けるが無傷での生還や死者0人は確約できない事は告げさせて貰う

 

『それでも構いません。ネストも近いの失礼しますね。』

 

全てのリリィを守れ、死人を出すな。そんな事まで求められないのは十分承知している。色々な要素が重なっているとは言え藤乃達は防衛作戦を妨害した側

率いる海漓から最低限の援護を匂わせる発言をしただけでも感謝しなければならないのだ

 

「例の子、確保できたの?」

 

「はい。確保出来たそうです。その事だけでもガーデンに報告しましょう」

 

通信を終えると穂が鈴夢の確保の有無を聞いてきたので、それは終えたと告げる

そして、海漓はガーデンにその事を報告。今の彼女達はネストを攻めることで頭が一杯、鈴夢の報告などしていないことは容易に想像出来るからだ

 

「でもこれどうするの?かなりマズくない?」

 

「もう目茶苦茶だよね」

 

寧々、砂鳥の2人は改めて目茶苦茶だと言う。経験が薄くただ海漓達についていく事で必死だった彼女達も急変した状況に危機感を募らせている。

それも味方によって引き起こされたのだから尚の事だ

 

「不幸中の幸いは後ろは協力者達が抑えてくれている‥放水車も刺さっているな」

 

「用意しておいて良かったね」

 

自分達の背後にもケイブ、そしてグンタイアリが現れたが予め配置したリリィや防衛軍、私設レギオンに加えガーデン戻る筈だった一部のリリィ達がその場に残り加勢、更に用意した放水車が大活躍。

 

「幻覚にすら引っかかるんだし実物ならもっとでしょ」

 

「‥いつ‥試した‥の?」

 

「まぁ、ちょっとね」

 

資料の片隅に 記載されている事だがグンタイアリは水が苦手であり避ける傾向がある事から向かってきた個体や足元に放水、動きが鈍った所に軍の兵器やCHARMの火力を叩き込んでいく戦法を取り戦い優位に進めている

今現れている個体もその弱点を持っていることは以前、それこそ鈴夢の件の直前に海漓が幻覚で確認済み。マギを用いているとは言え幻覚ですら引っかかるのだ‥本物の水が通用しない訳が無い

ちなみに校内で高圧洗浄機を用意させたのもそれが理由。とにかく相手の動きを鈍らせ攻撃する隙を生み出させるための手段だ。

 

「とりあえず私達も戦線を上げましょう

そのうえで隊を分けて馬鹿な連中を援護していきましょう」

 

「‥助ける‥の?‥」

 

「数が減ったら巡り巡って私達の負担が増えるだけ

納得出来ないかもしれないけど‥今は割り切って。

皆さんも、お願いします」

 

思う所は多々ある。それは海漓に限らず隊の皆や協力してくれた者達でもそう。だが今は協力は無理でも援護して生き残って貰わなければ巡り巡って自分達の負担が増える

 

「(バカやらかした影響をこれ以上後輩達に与える訳にも行かないし‥)」

 

数が減ればその分の埋め合わせは誰かが行わなければならず、ガーデンという制度上新たに人を用意出来る時期は限られている

そんな中で荻窪を守らなければいけないのだから当然防衛隊である自分達も今以上の負担を強いられ、最悪の場合は戦力を確保するためと言う多義名分の元、下の世代にしわ寄せが行きかねない。上級生としては何としても避けなければならない

 

「(自主性で暴れた以上‥他校の支援もそうやすやすと受けられないとは思うしけど‥多分)」

 

ルドビコ女学院のように他校の駐留という手も神庭では厳しい。自分達は本来の約束を無視して勝手に暴れ戦力を消耗させたのだ。無論その責任は神庭が背負う事になる筈だが、上級生の繋がり、グランエプレとしても同盟の件が有る。神庭というよりもグランエプレへの支援としての名目なら受けられるのかもしれない

 

「隊を分けますね

陣形ベースに、3班。左右中央に分けて行きましょう」

 

いつまでも黙っている訳には行かない

隊を分けて事態への対処を行わなければならない

自分達が普段使っている陣形を土台に左右、中央で分散だ

左右はそれぞれ4名づつ中央は5名。

ポジションを考えても丁度いい形となる

 

「東西と中央で切り込みます

ラージまでは互いに援護しながら処理しつつギガント級の動きに注目してください」

 

グンタイアリは今までどおりの対処

ラージ級も連携で倒せる筈。後はギガント級だ、表立った動きは無いが今後どうなるかは分からない

怯える必要は無いが慎重にいかなければならない

それぞれに分かれ、対応に向かうがその前に言わなければならない事もある

 

「前に出ていった連中は指示なしの自主制尊重で動いています‥なので深入りや無理に後ろに下げても反発を招く恐れが有ります」

 

最後に注意事項だ。突撃したリリィは作戦もなく自主性の元好き勝手動いている。下手に干渉したり下がるように訴えても反発を招く可能性がある事を告げる‥いや、反発必須だろう。従ってくれるのならば海漓達と共に戦ってくれたのだから

 

「え??何?煽ったのに結局自主制任せなの?」

 

煽った人物が姫歌である事は皆が知っている。結弦は焚き付けたにも関わらず放置した事に驚くを通り越し呆れ返っている

 

「みたいですよ。上も承認した訳ですしビックリですよね」

 

「なら煽らないでよ‥何なの」

 

そこは海漓も同意だ。そして止めない叶星、秋日、教導官にも驚かされる

焚き付ければ何もせずとも勝てると思ってるあたりやはりエリートなのだろう。海漓とは違う。何もしないなら煽るな、結弦の言うとおりである

 

「話を続けますね。無茶苦茶にやってると思うので、退路を確保しつつ加勢はタイミング見計らう形でお願いします

負傷者が居るなら後退させつつ‥勝手に逃げた子が居るなら‥ヒュージを引き継いで貰えると嬉しいです」

 

話を続ける。ほぼ乱戦状態の中に無闇に突っ込めば此方に被害が生じてしまう。退路を確保しながらになるが加勢はタイミングを伺いながら慎重に

負傷者がいるならば戦前から離脱させ、考えたくは無いが逃亡者が出たならば残ったヒュージを相手にするように告げる‥ミイラ取りがミイラにならないように注意してもらう為、それこそ臨機応変な対応となる

 

「大型は?当初通り?」

 

「そうなりますね

ラージはもしかしたら突撃組が仕留める可能性も考えられます

そうなれば成立の為の支援に徹してください」

 

ここからは更に詳細に詰めていく

当初の予定通り大型に関しては原則自分達で対応。しかしラージ級は5人制で撃破可能な為もしかしたら突撃したリリィ達が仕掛ける可能性もある為、下手な介入は避け、成功させる為の援護に徹する

ギガント級は自分達と相模女子が仕留める方向で考えている

「なら先にギガント級を魔弾の射手使って倒したら駄目かな?射程内まで突っ込むことになるけど‥放置したままは厳しいと思うけど‥」

 

「付近に味方が居ないことを確認してから‥ですね。

戦ってないだけで近くに突撃した連中が居ないと言い切れない以上は撃てません」

 

ならば隊を分けず魔弾の射手の射程まで前進、ギガント級を先に仕留めては?と言う意見もあるがこれも厳しい

その理由は戦闘は始まってなくとも周囲の物陰に味方が隠れている可能性があり、味方を巻き込む可能性がある為だ。ドローンや衛星の死角になるような場所に潜まれていては手の出しようが無い。

捜索、退避を呼びかけている最中にギガント級が動き出すリスクもある

 

「うわっ、マジで余計な事してるやつじゃん」

 

この一言に尽きてしまう。事前に何らかの通達があれば自分達の方針も伝えたり準備が出来たものを勝手に始め、勝手に暴れられては自分達の動きばかりが制限されてしまう。

 

「起きた事は仕方ないです。

一先ずこの方針で行きましょう。」

文句を言って状況が変わるならばすきなだけ言う、しかし変わるどころか悪化の一途をたどるならば動かなければならない。

彼女の一言で隊は散開し、行動を開始する

 

『遊糸さん。私達少しだけ戦線を上げます』

 

『わかったわ。こっちも上げるところ』

 

どうやら考えは同じ。彼女達も戦線を上げ突撃していったリリィ達を支援するようだ

自分達は前に進んでいく、道中のグンタイアリはAZの3人がなぎ倒していく

3人は地上を駆け抜け、海漓と玲菜は屋上を移動。

「ラージ級!接敵するよ!!」

 

祥枝の言葉と同時、爆発音が鳴り響く

戦闘が始まったのだろう

海漓も急ぎ現場に向かう

 

「あれは?始めて見るな‥特型か?」

 

「いえ、アイツ鎌倉府で頻繁に出る個体です。けどなんでここに?」

 

玲菜からすれば初めて見る個体でありいわゆる特型の可能性を疑うが、海漓からすれば見覚えのある個体‥いや、ありすぎる個体だ

鎌倉府では頻繁に現れるタイプであり相模原も例外ではない

攻撃手段として飛翔体を放つのが最大の特徴で、なおかつ放った飛翔体はリリィを追尾する力が備わっている。

 

「負傷者2人だけですか!?」

 

林乎と楊美の背後には負傷したであろうリリィが2人。そう、2人なのだ

仮に5人編成だった場合残り3名は何処に行ったのか。既に捕食されたか、救援を呼びに行ったのか、行方が気になっていたのだが

 

「そうだよー、この子たちだけ」

 

ここに居たのは2人だけである事を楊美が告げる。付近にいるのは自分達だけ。本当に目茶苦茶で編成も何もなし、闇雲に動いていた事が明らかになってしまう

 

「あーっもう、しつこいコレ!」

 

「(初見で全弾回避してるし対応してる‥凄いなこの人)っと‥援護しますよ」

 

そんな中でも祥枝は一人でラージを相手に立ち回る。東京育ちの祥枝とて初見の個体で攻撃方法も初見の筈だ‥にも関わらず飛んでくる飛翔体を全て回避。なんなら飛翔体を一度CHARMに付着させヒュージの身体に叩きつけ起爆、ダメージを与えるという攻略法の一つを実践しているのだ。そして爆風も彼女の持つサブスキルの一つ聖域転換にて防ぎダメージを最小限に抑える徹底ぶり

後ろに飛び体勢を立て直している最中に第2、第3派の飛翔体が迫るがそれを海漓はトリグラフにて全て叩き落とす

 

「おっ、サンキュー隊長」

 

「あれ?コイツ見たことあります?」

 

「無いよ?‥そこで怪我してる子からアレの話と爆発するって言うのは聞き出したから‥通用するかなーと思ってさ」

 

軽く言うが実際はとんでもない事を言っている。完全初見な中で特徴と攻撃手段を聞き出し、短時間で対応、攻略法すら見出す始末だ‥こういうタイプは数の多さ、変速的な動きにも対応すれば文字通り単独で沈める事が出来る

 

「手伝いますよ。祥枝さんは突っ込んで下さい」

 

「良いけど‥アレどうすんの?」

 

「私が対処しますよ」

 

「任せた」

 

「玲菜さん、林乎さん楊美ちゃんは怪我人を連れて後退!安全圏‥は無理かもしれませんがラージ級から引き離してください」

 

怪我人が居なければ防衛隊の5名で連携し倒せば良いが、怪我人がいる為それは不可能

先ずは怪我人をラージ級から引き離さなければならない

鎌倉で戦闘経験のある海漓、短時間で対応した祥枝の2名でラージ級を抑え残りの3名で負傷した者を後退させる方法を取る

 

「じゃあ‥行くよ!!」

 

祥枝が目配せを行いラージ級に再度突撃、同時に祥枝目掛け飛翔体が放たれる‥それを海漓はトリグラフで撃破する‥のではない

 

「弾が勿体ないんでね!」

 

全ての飛翔体を自らの視界に収め、直後に己のレアスキル、ユーバーザインを飛翔体に向けて発動する

 

「えっ!?」

 

祥枝に向かっていた物が突如軌道を変えラージ級へと向かい始める

 

コレ(飛翔体)で足元狙います!上に上がってください」

 

「わ、分かった」

 

彼女の指示通り祥枝はラージ級の上、へと昇り着地とほぼ同時に飛翔体が足元へと着弾しラージ級の身体が大きく揺れる。がその揺れの中でも祥枝は振り落とされないようバランスを取りながら移動し時折クリューサーオールの剣先を突き刺しヒビを入れる

 

「隊長、これネスト戦だし武器の使用制限って基本無いよね!?」

 

「そうなりますね‥どうしました?」

 

「次で決める、アレ(飛翔体)の対処任せた!」

 

そう言うと祥枝は後退、CHARMを射撃形態へと変形させ銃口をラージ級に向ける。ラージ級は再度飛翔体を放つが海漓は先程と同様に飛翔体の軌道を変え、ラージ級へと向かわせ、爆発によるダメージを与える

その直後だった

 

「ひっさしぶりに‥ぶちかます!!」

 

その言葉と同時に放たれた通常よりも太い光線がラージ級を貫く

貫き終わると同時に崩れ落ち、マギを宿していたであろう体の部位から色が消える

 

「今の、高出力砲ですよね‥搭載されてたんですか」

 

その光景、いやラージ級を一撃で葬れる武装に見覚えがあった。彼女の使うCHARMはヒヒイロカネ製のクリューサーオール。相模女子の経営母体であり中等部まで所属していた海漓も機体の性能や搭載できる武装については一通り学んでいる。

そして今の一撃の正体は機体に搭載された高出力砲であり、その威力の高さ故ガーデンの審査等が厳格に定められている代物だ

 

「まぁねー。一応搭載の許可はおりてるしルド女で使い方も学んできたから」

 

祥枝も十分承知している。ガーデンから搭載の許可は得ているし崩壊前のルドビコ女学院の訓練に参加、使い方もしっかりと学んできている

 

「私こそ聞きたいけど今のアレ何?」

 

「あー、狙い変えさせたんです

あの飛翔体はラージ級が操るんじゃなくて一つ一つがスモール級みたいなものです」

 

物凄く簡単に言うならば放たれた飛翔体に海漓がハッキングを仕掛け狙いを別な物に変えさせた、種を明かせばどうだってことはない

 

「えっ?そうなの?」

 

「はい。撃てっていう指示はラージ級でしょうけど後は飛翔体の判断ですよ

操れるなら自分に当たる前に自爆させますって」

 

放つのはラージ級、射出し身体から離れれば後は飛翔体が受けた命に沿い動いているだけ。仮に全ての飛翔体をラージ級が操っていた自分に向かってきた時点で自爆させる筈だ。

そんな事を話している内に3人も再度合流、周囲の掃討及び飛び出していった者への援護を行う

 

「何処も酷い有様ですわね‥目茶苦茶ですわ」

 

「これ後で叩かれる奴じゃないの?」

 

ヒュージを斬り伏せ前に進みながら、煽られ突撃していった味方を援護、負傷者を離脱させながらぼやく林乎と祥枝、建物の被害はもとよりとにかく怪我人が多い。

更に言うならグンタイアリに包囲され、此方が助けに行かなければ特攻寸前なんて光景を何度見たことが

 

「後に荻窪の惨劇なんて言われたりして‥」

 

単に襲撃の規模が大きかった、では言い逃れが出来ないレベルになりつつある。それ故に惨劇なんて揶揄されてもおかしくないと言ってしまう楊美。生え抜きとしても、自校がここまで酷い被害を出す光景に言葉を失ってしまう。

 

「「笑えないって、「笑えませんわ」」

 

AZ3名はスモール及びミドルを斬り伏せながら率直な感想を漏らす。数の多さは何より突撃したリリィ達はバラバラで負傷者多数で間に合わなければ最悪の事態寸前という状況も当たり前

かつての日の出町の惨劇の二の舞がココ(荻窪)でも起きる寸前

ギリギリで留まれているのは防衛隊と相模女子の協力があってこそ。この場では玲菜の鷹の目による索敵に加えこんな状況でもドローンや衛星で戦場を把握し連絡を入れてくれる防衛軍や私設レギオンの協力も大きい

 

「っ!?動いた‥!」

 

「ここでか‥!」

 

戦場というのは常に動き続ける。しかも悪い方向に。今まで動かなかったギガント級ヒュージと付随するラージ級やグンタイアリの群れがガーデンに向かってゆっくりと歩き出す。

 

「隊長!ギガント級が!!」

 

「わかってます」

 

グンタイアリやラージ級はともかくギガント級は本当に不味い。ギガント級に対し有効打を持っているのは自分達と相模女子のみ。ギガント級1体だけならまだしも2体‥周囲のヒュージを片付けるにしても手がたりない‥

突撃したリリィも負傷者多数、彼女達だけで見たら崩壊寸前だ

 

「突撃してった連中は特殊弾を持ってました?」

 

この場でギガント級を仕留める手段は2つ、ノインヴェルト戦術、もしくは魔弾の射手の使用だ。後者は味方を巻き込む可能性を考慮し使用不可、自然と前者の選択になる‥が自分達では行うことが出来ない。そうなると自分達以外のものにやってもらう必要が有るのだが果たして弾を持っているのか‥それだけが気になっていた

 

「特殊弾?‥あー、持ってた子も居たと思うよ

使う前にボコボコにされちゃったみたいだけど」

 

負傷者から直接聞いた祥枝は素直に答える。持ってはいたが使う前に負傷してしまうというまさに宝の持ち腐れ状態‥そんな味方がそれなりにいたと把握している

 

「‥在校生も最後までやるのは無理でも安全圏でパス回すぐらいは出来ますよね?」

 

「え?‥あー、うん。出来ると思うけど‥どうするの?」

 

最後まで‥つまり9人制の実行だが、これはほぼ不可能‥現状出来るのはグランエプレのみ。しかし、安全圏でマギスフィアのパスを行うくらいならば可能な筈だ。しかし、そんな事を聞いてどうするのかと問う

 

「ちょっと力を借りようかなと思いまして」

 

「私たちで決めないの?」

 

「はい。アレ2体で終わりとは思えないんで‥私達はまだ温存かなと。その分、別な大仕事がありますけど」

 

「?」

 

策はあるがかなり大掛かりな事をする必要があり、当初から協力してくれているリリィの他に軍や私設レギオン、そして相模女子の協力も必要となる。その為各陣営に海漓より連絡を入れ協力を依頼

 

『まさか他でもない海漓がこの東京でソレをやるなんてね‥巡り合わせって奴かしら?』

 

詳細を聞いた遊糸は半ば意外だと言わんばかりの反応を示す。確かに有効な手ではあるが、まさか海漓がこの東京の地で行なうとは思ってもいなかったのだ

 

『別に、使える物は使うだけです

東京で生み出された名前だって言うだけで似た事は相模でもやってたじゃないですか‥言い方は全く違いますけど』

 

言いたい事は分かる。使えば後々面倒くさい事を言い出す連中もいるだろう‥たがこの非常時だ。手段を選ぶ余裕は無い。

 

『言えてるわ』

 

『それと一つだけお願いがありまして』

 

使える物は使うのが相模女子のやり方。道具であれ戦術であれ、その方針は揺るがない。

 

『何よ?高く付くわよ?』

 

『分かってます。遊糸さんの他に葵さんにも‥ちょーっと力を貸してほしいなって』

 

『‥あぁ、そういう事。』

 

協力に加えもう一つ頼みたい事がある

今回は遊糸の指揮以上に葵のとある力が必要なのだ。遊糸も大体の予想は出来る‥個人名を上げ、力を求めるとなれば目的は一つのみ。

 

『(私だって手元に葵みたいなのが居なくて海漓の所に居たら頼んでたし)』

 

遊糸も力のある指揮官だ。後輩の考える事などお見通し。遊糸自身海漓と同じ立場、状況ならば迷いなく要請する

彼女の思いを余所に海漓は軍と私設レギオン、そしてガーデンへと通信を入れ、自分達より前に味方がいないかの確認を取る‥ドローンに衛星、センサー、生きている機器全てを使用した結果誰もいない事が判明する。

 

『防衛隊、相模女子は射撃で迫り来るヒュージを牽制しつつ後退してください』

 

『ヒュージとの距離を保つ事

そして協力してくれる皆さんはノインヴェルト戦術開始‥倒す為に必要なマギを貯めてください

落ち着いて、ゆっくり、確実にお願いします』

 

行動開始だ。先ずは防衛隊、相模女子を地上と屋上に配置、迫りくるヒュージを射撃で撃破しながら‥後退させる

近づけすぎず、離れ過ぎず適切な距離をたもたせ、自分達の背後に居る協力者のリリィの中から計18人(9人のグループ×2)人でノインヴェルト戦術を実行‥パス回しによるマギのチャージを指示。

落ち着き、慎重に、パスを回すように依頼する

 

『溜まったら私が指示を出すまでマギスフィアを保持してその場で待機。

良いですか待機ですからね!間違っても前進しないでくださいよ!!』

 

あくまでも待機、前進するなと言う指示を出す‥が

 

「‥ノインヴェルトって前に出る戦術だよね?何で後退?」

 

「さぁ?」

 

普通ならば疑問もしくは海漓の采配ミスを疑われてしまう。ノインヴェルト戦術というのはヒュージに接近しマギインテンシティを利用し素早くマギを溜め放つ技‥離れた安全地帯でパスのみを行わせるなど言語道断、場合によっては舐めていると言われても仕方がないほどの暴挙だ

 

「(練度低いし‥そんな中でさせても‥ミスるだけ)」

 

指示を出した理由がある。先に上げたマギインテンシティの利用や素早いパスはそれを行えるだけの練度があって始めて成立するもの。神庭はつい最近まで5人制が基本で9人はグランエプレのみ。他は素人当然の状態。そんな中で実行して下さいなど言えるわけがないし出来るわけがない

 

「(この状況で前進させてマギインテンシティ使わせるのは楽と言えば楽だけど‥リスクは避ける)」

 

ここは更地ではなく住宅地、ヒュージが迫ろうが建物の陰に隠れ死角を突きながら移動し徐々に前進しながらパス周しをする事は海漓や相模女子のリリィならば容易だし何なら更地でやるよりも数倍楽で容易だが神庭のリリィが同じように出来るか分からないというのも今回の策を選んだ理由だ

 

「防衛隊も私の合図で拡散弾幕を使いますので心とマギの準備はしておいて下さいね」

 

「「「了解」」」

 

屋上からの射撃でヒュージを牽制しつつゆっくりと後退‥グンタイアリの数は削れているがラージ級、ギガント級への手応えはなし。ゆっくりでは有るが前進を許す

当然ラージ級やギガント級もただ歩くだけではない‥特に2体のギガント級のが防衛隊、相模女子に対し熱戦を放ってくる為回避しながらの行動となる

無論、ギガント級の攻撃ゆえ回避するのも一苦労、下手に直撃すればあっという間に消滅だが

 

「これ丸焼きってか痛みを感じるまもなく消え去るレベルの奴やんけ!!」

 

「ギガントの一撃ッスよ!当たり前ッス!!」

 

相模女子は魅夢、舞弓筆頭に騒ぎながらも攻撃を回避

 

「流石ギガント級、火力も桁違い!!」

 

「当たり前でしょう!!」

 

「下がって、下がって!!」

ギガント級に対峙している相模女子、防衛隊共に放たれる熱戦に対し完璧に回避を行っている

それもリリィ達はギガント級からの攻撃が放たれる前には攻撃を停止、回避行動へと移っており、まるで知っているかのような振る舞いを行っている

そのような芸当が成立する理由はたった一つ

 

『敵の攻撃が止まります!!皆さん攻撃を再開してください!!』

 

「‥本当に止まった!?」

 

「これが‥石川葵の‥‥」

 

石川葵、彼女が扱うレアスキルはファンタズム‥その効果は簡潔に言い表すならば未来予知。

海漓が葵に頼んだのはギガント級の攻撃のタイミングを予知、言葉による伝達だ‥彼女もサブスキルである虹の軌跡を保持しているが精度はオリジナルと比較すれば劣ってしまう

実の所、海漓もヒュージの放つ殺気から攻撃のタイミングを察知すると言う芸当も可能ではあるが

指揮官として味方の指揮を取りつつ、ノインヴェルト戦術の進捗状況を把握し、そのうえでギガント級2体の攻撃を察知し、全員に伝えるというのは無理

使える物は使う‥では無いが葵の力を使わせて貰ったのだ

 

『マギスフィア、どんな感じです?』

 

『あと少し!!』

 

通信機越しではあるがマギスフィアをパスする際に生じる独特な金属音とパスを回すリリィの声が聞こえてくる

 

「ギガント級の攻撃停止と共にTZ.BZ陣は攻撃を再開!同時に拡散弾幕の使用準備!!

AZ陣は次の指示を待ってください」

 

放たれる攻撃を回避しながら海漓は次の一手を指示する

 

『マギが溜まったら一人は私の所、もう一人は相模女子の元に移動してください

相模側に行く子は到着後遊糸さんの指示に従うように!』

 

マギを溜め終えたら一人は自分達、もう一人は相模女子の元に行くように伝える。彼女達を待つ間も戦闘音が絶え間なく鳴り響く。

 

「おーい、持ってきたよー!!」

 

「待ってた!」

 

海漓の元にマギスフィアを持ってきたのは同じ絵画科のリリィ。ヒュージの体液や煤で汚れているが表だった傷は無い。相模女子の元にもリリィがたどり着いている

 

「(そろそろ行くか、その前に)」

 

準備は万端。指示を出す。

 

『AZ陣、攻撃を停止してTZのラインまで後退。

TZ.BZは拡散弾幕の使用をお願いします!』

 

先ずはAZ陣を後退させ射線を確保、それと同時に拡散弾幕を使用。ここまで当初と同じ、これでグンタイアリを筆頭としたギガント級に付随するヒュージを一層。

しかしこれではギガント級を倒す事も、致命傷を入れる事も出来ない。更に言うなら仕留め損ねたラージ級も存在しているが全身穴だらけ、血液も絶えず流れ出ており放っておけば命を落とすレベルだ

 

『通常攻撃が可能な者はギガント級の顔面付近に射撃を叩き込んで下さい!。

仕留め損ねたラージ級は後です』

 

倒し損ねたラージ級は無視、通常攻撃が可能な者でギガント級に攻撃。反撃の隙を与えない事に加え、射線を上向かせ自分達の進路も確保する

海漓はユーバーザインを発動、自身と味方の姿と気配を消し移動を開始する

素の状態ではマギスフィアに勘付かれ総攻撃を食らうリスクがあるからだ

 

「ロングショットになるけど‥いける?」

 

若干距離を詰めていくがそれでもまだギガント級とは距離がある。何せ先程、彼女がAZを全員後退させたせいで前衛が居ない状態なのだ。

 

「やってみる 」

 

「じゃあ私の合図と同時ね」

 

建物の陰に身を隠しその時を伺う

攻撃を受けながらもギガント級が反撃の態勢を整え味方に向け熱戦を放とうとするまさにその時だった

 

「今っ!!」

 

彼女の掛け声と同時に放たれるマギスフィア。ギガント級からしたら文字どうり唐突に現れた一撃に対応出来る筈もなく直撃、大爆発を起こす

相模女子は葵のフォローでノインヴェルト戦術を成功に導いたようで彼女達が担当していたギガント級も無事に撃破される

 

海漓は呆然とする味方を抱え素早く離脱、爆発に巻き込まれないようにする

防衛隊の居る位置まで後退する海漓達

 

「これで2体撃破‥だけど」

 

「まだ終わらないよねぇ‥」

 

本来ならばギガント級を倒し歓喜に沸くが次と言わんばかりにネストより大量のグンタイアリが出現した事が防衛軍より告げられる

 

「ま、まだ‥くるの‥」

 

「流石に無理だってこんなの!!」

 

防衛隊だけでない、協力者からも悲鳴が上がる。倒しても倒してもきりがない、何より機体も体力も限界が近づいている‥補給を受けようにも現在のガーデンや補給地点は運び込まれた負傷者の対応に追われている。自分達の補給を優先と言った所で通るかどうか分からない

 

「(どうする‥!)」

 

ネスト討伐作戦が行われている以上、グランエプレがネストを破壊しない事には終わらない。持ち堪えろと言われてもヒュージ以外外的要因の連続で実現もかなり厳しくなってきた。

しかし、自分は指揮官だ。隊を率いる者として、何より協力を持ちかけた者として諦める事も特攻する事、させる事も許されない

 

【リリィの強さとは力よりも生きる意志】最後まで生きる為、生き残る為に足掻き、足掻かせなければならない

 

そんな時だった

 

「ねぇ、あれ見て!」

 

「ん?」

 

声のした方角に目を向けると複数のリリィの陰、機器にも相応の反応が出ている。彼女達の反応に目をくれず直ぐ様展開‥十数名はガーデンへ

他はヒュージの元へと駆け抜けていく

その正体は司令部からの通信、または目の当たりにしたリリィから歓喜の声と共に告げられる

 

「御台場だ!御台場が来てくれた!!」

 

そう、現れたのは東京御三家、御台場女学校のリリィ。しかも、だ

 

「トップレギオン全部だって!!」

 

「奇跡だよ!!」

 

ヘオロットセインツ、ロネスネス、ゴーストガード。御台場を代表するトップレギオン全てが参戦したのだ。この場に居ない校内のリリィ含め皆が光景を疑い、安堵の声を上げる。

彼女達が来たからには勝てる‥現に物凄い速さで隊を展開しグンタイアリを殲滅している

 

「助かったって事で‥良いのかな?隊長?」

 

絶対絶命が一転、御台場女学校の増援により状況が大きく変わる。祥枝含め防衛隊も安堵の表情を浮かべる‥海漓以外は

 

「(助かったけど‥隊の展開が早すぎないか?」

 

顎に手を当て何かを考える

確かに助かった、それは事実だ。感謝しなければならない

しかし、早すぎるのだ‥到着では無くレギオンの展開が、恐ろしい程に

 

「おーい、隊長ー?」

 

「えっ、あぁ。

全員、御台場の邪魔にならないように

後は体力だけでも回復させてください」

 

指示らしい指示とは言えないが全員に御台場の邪魔をするなと言う指示を出す。足を引っ張ろうものなら何を言われるか分からない

言い方は悪いが、ここからの敵は全て御台場に押し付ける算段でいる。その隙に自分達は休憩し少しでも体力を取り戻し、落ち着く時間を与える

 

「ちょっと、これどういう事?」

 

そんな中で遊糸に率いられ相模女子のリリィも自分達の元へとやってくる。そして遊糸は海漓を連れ他の者と距離を取る

 

「さぁ?私にもさっぱり‥ですけど」

 

「えぇ。状況把握も無しにこの展開‥早すぎるわ」

 

海漓と遊糸、2人の見解はほぼ一致。

御台場の展開が恐ろしい程に早い、早すぎるのだ

 

「おかしい‥ですよね?

幾ら御三家、トップエリートだとしてもこんな動きが出来るとは思えません」

 

「そうね。こんなの私でも無理よ」

 

御三家、トップエリートだともしてもあり得ないレベルでの展開だ。このレベルの速さは遊糸でも不可能だ。それは腕の良し悪し、才能の有無の話ではない

 

「これ、騙されてました?」

 

「もしくは末端(在校生)や|部外者《相模女子、防衛軍、ヒヒイロカネ私設レギオン》に伝えず(上層部、グランエプレ)だけで決めてたか‥のどちらかね」

 

騙されていた、もしくはこの展開は既に既定路線であり末端や部外者には伏せたで発令された作戦であるかのどちらかだ、真相は分からない、だが確かめる術はある

 

『校内、どんな感じ?』

 

『聞いて!御台場のコーストガードが助けに来てくれたんだ!!』

 

通信越しに歓喜の声を上げる絵画科の委員長。東京の者ならば当たり前の反応だ。

 

『そっか、その人達って今何してる?』

 

『今?グンタイアリを押し返してるよ。凄いよね、私らやることなくなっちゃった‥あーでも』

 

当たり前と言えば当たり前の事。校内や校舎付近に現れたグンタイアリを蹴散らしており、在校生はやる事がなくなり見学状態。彼女も屋上でコーストガードの戦いを見学するくらいしかやる事がない。だからこそだろう、感じた違和感を話す

 

『でも?』

 

『校内に戦力を配置してたことや校門閉たり高圧洗浄機で妨害してた事には驚いてたかも』

 

そうコーストガードが駆けつけた際、意気揚々と名乗りを上げ加勢したのだが校内に非常時の戦力を残していた事や侵入を防ぐ為に校門を閉じる、グンタイアリの弱点を突いた妨害策を取っていた事に驚いていたのだ。

 

『他は?例えば‥秋日さんが居ないことやグランエプレがいない事に驚いてたり何処に言ったか聞かれたりした?』

 

ならばと言わんばかりに他に無かったかと具体例を上げながら尋ねる

 

『どっちも無かったと思うよ。』

 

どちらも無かったのだ。本当に加勢しそく戦闘突入、何かを確認などする間もなければ伝令を校内に向かわせている様子もなかった

 

『分かった。油断しないでね』

 

向こうも戦闘中。話もそこそこに通信を切り上げる

 

「どう?」

 

「連中、120%知ってましたね

知らないの私達と遊糸さん、軍に私設レギオンですね」

 

今の会話から察するに駆けつけた御台場女学校は全員、こうなる事を知っていた‥そうでなければおかしい事が余りにも多いのだ。

知らされていないのは神庭側のみ‥もしかしたらグランエプレは知っていた可能性があるが確かめる術がない

 

「それほぼ全員って言うんだけど?」

 

「そうなるとあの突撃も意味変わってくるんですよね

想定外だったのは鈴夢ちゃんの件と私達の防衛陣形ですかね? 」

 

グランエプレ、御台場共に鈴夢の脱走と海漓達の決起は間違いなく想定外

だがガーデン全戦力を投入しての突撃は間違いなく御台場も把握しているのだ‥決行時刻だって叶星ならば御台場側に伝える術を持っている

姫歌が煽ったのは彼女に花を持たせるためか、向いていると思ったからかそれは分からない

 

「でしょうね‥怪文書は分からないけどこの作戦、間違いなく御台場も絡んでるわね‥セインツがいるって事は公式作戦って事でしょうし」

 

「流石名門を率いる人。優しそうに見えて強かであり腹黒いって事ですね

綺麗な花には毒が有るって奴ですよ」

 

「証拠が無いから私達がなんか言ったって難癖で流せるものね」

 

怪文書の配布は分からない。がヘオロットセインツが来ているということは間違い無く生徒会が許可したという事。隊を率いる椛は御台場の生徒会長なのだから

房総半島で出会っただけであるがあの時は優しい人物という認識であったが彼女はその評価を変えなければならない。優しさの裏に厳しさではなく黒さを兼ね備えたもの。

この件について抗議した所で今までのはあくまでも遊糸や海漓の知識と経験に基づいた解釈でありそれを裏付ける物的証拠は無い、彼女達の立場を考えれば格下が噛み付いて通うものならば【折角助けに来てやったのに下らない難癖つけるならもうお前達の事助けないぞ?】と此方(神庭)を脅せば良いだけだ

 

「身構えつつ、御台場の戦いを見学しましょうかね」

 

まだ戦闘中は終わっていない。警戒を解くことは無いが後から御台場の戦いを見学する事を決める海漓

無論、彼女の見解は大きな誤解であるのだが状況から招いたのもまた事実なのである

 

 




椛そんな腹黒なん?
→違う。だけど状況が悪すぎて誤解を招いた

何がおかしいの?
→この後本編でも触れるけど、そもそも神庭や生徒会の当初の目的は何だった?そして槿と秋日の肩書は何?グランエプレは神庭の何?

何で海漓と遊糸は気づけた?
→2人に限らず力のある指揮官なら間違いなく気付く
逆に自分達が増援に駆けつけた時に御台場と同じスピードで展開する為に必要なのは‥?な感じかも
本編で触れます
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