一狩り行って遅れたので初投稿です。
それやこれやあって、日暮れまで自主トレした後は食堂へ向かうことにした。
この頃になると自主トレを終えたりチームでのトレーニングを終えたり――場合によってはトレーニングの合間だったり――した生徒たちで賑わっている。
あちゃあ。こりゃ早めに行かないと席なくなるぞ。
「あ、春のお惣菜フェアだって」
「そんなのやってるんだ……」
テイオーが示した先、食堂の掲示板に確かにそんな手作りポスターが貼られている。
食べなきゃ(使命感)
もうずーっと……ほんとず――――っと食べてない日本食。それも春の季節もの! アフリカ料理も美味しかったけど、やっぱり文字通り魂のふるさと日本の料理がどれほど恋しかったことか。四季折々の旬があるっていいよね……ほんと……。あ、いや待ってほしい。やっぱり寒暖差激しいのはちょっと勘弁。
「春の山菜がメインだって。山菜かぁ。ボク苦いの苦手だなぁ」
「まあまあ。タケノコならそんな苦くないと思うよ?」
「そうだねー……あれ、アフリカってタケノコあるの?」
「あるよー」
アフリカにも竹はある。どっちかって言うと資源利用されるから食用にはあまりされないけど。
その中でタケノコを欲しがってたぼくは少数派で、周りからはちょくちょく奇異なものを見る目で見られていた。
好きなんだけどなぁ、タケノコ。
「ボクは春野菜カレーにしよっかな」
「じゃあぼくは……あれ、おひたし無いや」
珍しいから食べてみたかったんだけど……たんぽぽの若葉のおひたし。無念である。
「同じのと、あとお惣菜つまんでいこうかな。テイオー、ぼくが先に席取ってこようか?」
「いいの? じゃあ後でボクが代わるよ!」
「ありがとー」
空いてる席があればいいなーと思いウマ混みを抜けていくと、他の人の食事の様子が目に入る。
横目でそれを見ていく中で、ふとグラスワンダー先輩のお皿に大量のおひたしが載ってることに気がついた。
あなただったのか。タンポポを絶滅させたのは。
……仕方ないかグラス先輩だし。*1
・・・≠・・・
ぼくの同室の相手について語らねばなるまい。
全領域対応型スーパーオールラウンダーことハッピーミーク。彼女は既に専属トレーナーがついている超エリートウマ娘である。
そんな彼女は今、部屋でぼくの私物の木彫りのマスクを着用していた。
「何やってんの」
「……被ってると落ち着きますね」
「ちょっと分かる……」
こういう仮面は祭事でちょいちょい被っていたので少しアフリカ感が出て落ち着く。
日本は魂の実家だけどあっちもまた実家である。感覚的にこう、どっちの雰囲気も時々は味わいたい。
「トレーナーさんとの練習ってどう?」
「……どうというのは?」
「楽しいとかキツいとか」
「……トレーナーは優しいですよ。……トレーニングについては、まだ基礎ばかりだから……何とも」
「そっかー……」
とはいえ、トレーナーがついているということはそれだけちゃんとした論理に基づいたトレーニングを受けられているということだ。
問題があるとするなら、ミークのその才能だろうか。彼女は他のウマ娘と比べてもある意味厄介な才能を持つ。
というのは、あらゆる距離、あらゆる環境に即適応できるのだ。芝もダートも短距離も長距離も。
脚質までは流石に先行や差しが主だけど、ただこれ、とんでもないトレーナー泣かせの才能だと思う。何せどこに出場させてもいいということはどこにも特化できないということになるのだから。
ウマ娘は基本的に特定の距離、特定の作戦に特化して鍛えることが多い。バ場の特性も重要で、芝で力を発揮できないと思っていたらダートで才能を開花させるようなウマ娘もいたりする。一方でミークはなんでもでき「すぎる」。トレーナーさんがどういう方向に進ませればいいかを選ぶことが難しくなるわけだ。結果、レースに出た時になんとも言い難い器用貧乏な仕上がりになってしまう。
……しかし逆に言えばこれ、その欠点を克服すると器用貧乏から器用万能という怪物に化けるということでもある。
早い内に才能を見出すことができれば、その分を基礎練習に充てることでデビューまでの間に強固な土台を構築することができる。
そう考えると早い内にミークを見出したトレーナー――多分桐生院さん――は相当な慧眼ではないかと思う。前世では色々とネタにされてたけど。
「ぼくも早くトレーナーさんに教わりたいなぁ……そういえばミークはどういう経緯でトレーナーさんがついたの?」
「……普通に選抜レースに出ましたよ?」
「やっぱそうかぁ」
別に何も悪いこと無いんだけど、例えば選択肢として選抜レース外でのスカウトなどがあったりするのかな、と少し思っていた。
けれど、そもそも実力が分かってもないのにスカウトするなんてことはまずありえない。当然何かしらの機会が必要になるだろう。でなければ、元々知り合いだとか、つながりがあるか。
やっぱり選抜は必須か。まあ、ぼく自身はこの学園にパイプも何も無いし、それが当然なのだけど。
「頑張らないとなぁ。絶対勝たないといけないわけじゃないけど、勝ったほうが心証はいいし」
「……ふぁいとー」
「おー」
「……もごもご」
「仮面取ったら?」
「……おちつくので」
そっかぁ……。
でもぼくの私物だしそろそろ返してくれてもいいんじゃないかなぁ……。
・・・≠・・・
「ということで選抜レースに向けてマスクトレーニングをしようかと」
「マスクってそういう木彫りのやつじゃないと思うんですよネイチャさんは」
「うおおおーっカッコいい何それ!?」
「家から持ってきたマスクだよ」
翌日、マスクを着用してきたぼくに最初に向けられたのは奇異の視線だった。
当然である。いくらぼくでもそれを理解できないとは言わない。木彫りのマスクなんて着けてきたら怪しすぎて何してるんだこいつとしか思えなくなる。
しかしとりあえず手近なところにあったマスクというのはこのくらいしか無かったりするのだった。
ちなみに本来のマスクトレーニングというのは、それ専用の低酸素マスクというものが市販されているのでそちらを使うものである。
じゃあ何をしているかと言うと、なんというかミーク以外の皆はどういう反応を示すだろうと好奇心がうずいたというか。
そっかぁ……気にいる子は少ないかぁ……でもターボ師匠が気に入ってくれてるし……うん、まあいいか!
「ターボにはこれを進呈しよう」
「ストライプさんや、何で複数持ってるのあなた」
「ありがとうストライプ!」
「ターボも気軽に受け取らないの。ていうかこれ手彫り?」
「うん、ぼくが作った」
「そんな手間のかかったもの気軽に渡さないの! ていうか器用だなぁ!?」
「地元にはもっと工芸品みたいなの作る人いたよ」
「それは本当の工芸品じゃないかなぁ……」
「そっちは三千円くらいで売るよ」
「売るんだ……」
ぼくの手彫りはウマ娘パワーで彫った雑なのだからいいけど、そっちは他に販路もある売り物だからね。
インテリアとして買うひともいるからちょっとした収入になるし、お友達価格にはするけど無償というのはちょっと……。
「で、トレーニングだけど。専用のマスク着けなさいな。購買にもあったよ?」
「お金が無いんだ」
「おぉう……」
実家からの仕送りはあるけど、あっちのお給料と通貨のレートを加味するとそこのとこちょっと余裕がない。全寮制で三食出るから余計な出費こそ減らせるのだけど、今後のことを考えると数百円すら惜しい。こちとら月のお小遣いほんの二千円やぞ。
「だからマスク」
コーホー。
「それはやめなさい」
「あぁぅ」
取り上げられた。悲しい。
……いやネイチャも被るんかい。
「早くレースに出たいなら募集かけてるチームに入るのが近道かもね。気質が合うかわかんないけど」
「そうだねぇ。準備もあるし、もうちょっと先の話になるけど。考えてみるね」
「頑張れストライプ!」
「頑張るよ~」
チーム……チームか。
早急にレースに出たいと言うのなら、たしかにそれが最速だ。問題はチームという枠組みの中に入ると、どうしてもそこにしがらみが生じてくるので自由に動けなくなることか。わかりやすく極端な例で言うと、「チームのエースが三冠路線に進むからお前は回避してくれ」ということがありうるわけだ。
トレーナーとしての実利にチームの名誉、それに運営。そういった面から見ると仕方ないことではある。必要さえあればバチバチにメンバー同士がやりあうことも厭わないスピカやカノープスは少数派だ。
ぼくは回避してくれと言われれば構わないと思ってるけど、賞金を逃すというのはやっぱり惜しい。いっそどこぞのステイゴ……キンイロリョテイめいたシルバーコレクターでも目指すか? と思ったけど、やる前から負けにいくのは趣味じゃないと
じゃあやっぱり勝ちたいし、できるならあまりそういうしがらみが無い方がいい。
もっとも、専属トレーナーにしても、リスクはつきものではあるのだけどね。
メイクデビューでファン人数1000人超えたからとりあえずでホープフルステークス走らせて玉砕させてしまったトレーナーは残れ。
ぼくも残る。
Q.なんでストライプは自己評価が低いの?
A.他人への評価が基本高すぎるので相対的な問題
ストライプをどこのチームorトレーナーさんに突っ込んだ方がいいでしょうか
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スピカ(アニメ要素多)
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カノープス
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シリウス(アプリ要素多)
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桐生院ちゃん任せた
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モブトレさん
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オリジナルチーム(混沌)