キタサトガチャに敗北したので初投稿です。
選抜レース。
それはまだトレーナーがついていないウマ娘にとって最も重要なアピールの場である。
トゥインクルシリーズに参戦するにはチームへの加入か専属トレーナーがつくことが条件として挙げられるけど、レースに出走するのはぼくらのような新入生だけじゃない。
運悪くトレーナーさんに声をかけてもらえなかったウマ娘、何らかの原因でデビュー前にトレーナーさんが離れることになってしまった――たいていは引き継ぎはするだろうけど――ウマ娘や編入生、あとは
最後のは滅多にないけど、別に一定の年齢になったら必ず参加しないといけないという規則は無い(年齢の上限はあるだろうけど)。それも一種の戦略だと思う。既にクラシック三冠を制しているナリタブライアン先輩の姉であるビワハヤヒデ先輩が、テイオーたちの一年後にトゥインクルシリーズに参入するというケースだってあるのだし問題ない。たぶん。……いやぼくのいる世界だとどうなるかわかんないけど。
……ともかく、そういうわけでぼくらも一ヶ月ほど学生生活と並行してトレーニングを行い、選抜レースの日を迎えたわけだけれども。
『芝2000、選抜第3レースの出走者をお知らせします。一番、サバンナストライプ、二番、ツインターボ。三番、トウカイテイオー。四番、ウオッカ。五番、メジロマックイーン。六番、マヤノトップガン。以上です』
「オイオイオイオイオイオイ」
なんだコレ地獄かね?
出走表考えた人ちょっと表出てきてくれない? 我シマウマぞ? ロバ娘ぞ? どうやってこの包囲網突破せえと言うねん。圧で死ぬわ。
「そろそろ出走ね。ストライプの本気の走り、最初に走った時から見てないからちょっと楽し……ストライプ? 今にも死にそうな顔色になってるけど大丈夫……?」
「っょぃ。勝てない」
「もう心が折れてる!?」
「交代しようよスカーレットぉ……」
「まあそう言うなら……オホン。いやダメよ流石に。呼ばれたからにはちゃんと行かないと……」
ウオッカが出るならスカーレットに振ればいけるかと思ったんだけど流石にダメか。
今回は特に、ウオッカから突っかかっていってないから、対抗意識を刺激されてもいないし。
「ほら、早く行かないと皆に迷惑かかっちゃうわよ」
「はいママ……」
「ママじゃないわよ」
面倒見が良いからつい……。
まあ実際、これで変にゴネて迷惑をかけてしまうのも本意じゃない。重くなる気分と裏腹に軽い脚でコースに向かうと、皆は――ウオッカを除き――集まっているようだった。
ウオッカは多分「ちょっと遅れてきたほうがカッコいいだろ?」とかそんな感じの理由でよそでしっかり準備運動してるな、これは……。
「おっそいぞストライプー!!」
「そんなに遅くなくない? ……ないよね?」
「ええ、まだ十分時間はありますわ」
ターボ師匠はせっかちだからなぁ。
「準備うんどーてつだって!!」
「はいよー」
前屈や軽いストレッチ、二人じゃないとできない準備運動をした後は、二人でコースの外をアップのために軽く――と言いつつ40kmは出てるけど――走りにいく。
気持ちとは関係なく脚が動く。その間、周りを見ていると……客席はすごいことになっていた。
テイオーは会長がやり遂げた無敗の三冠という偉業に憧れ、自分自身もそうありたいと願い日々努力を続けている天才だ。たびたび無敗の三冠という言葉を口にしているのは自らの退路を断つためという意味合いもあり、デビュー前の、それも入学直後であるにも関わらず実力は学内でよく知られており、トレーナーたちも目を光らせている。
マックイーンはメジロ家の秘蔵っ子で、入学前からステイヤーとしての才能を期待されてきたこれまた注目を浴びている才媛。ウオッカは態度にこそ難があるけど、行動原理には一本の芯が通っているかのようにわかりやすい。大口に違わないだけの実力も備えている。
マヤノはまだ走りを見せる機会が少ないから知る人ぞ知るというところだけど、いざその時が来たら異次元の理解力と脚質は多くのトレーナーを魅了するだろう。ターボ師匠だってネタ枠とか思われがちだけど、重賞を制覇できる実力がある時点で上澄みも上澄みだ。あの破滅逃げスタイルもうまくやれば格上すらハメられる可能性を秘めている。
対してぼく。
サバンナストライプ、シマウマ。
ちなみに第三回JWCでギンシャリボーイが連覇していると明言されているので正史ではあのレース勝ててない。
そういうメタ的な情報抜きで考えると、ぼくが学園で本気で走ったのは模擬レースの一度きり。こっちに目を向けるトレーナーさんはいないだろう。
いっそ尻尾回しに回して困惑させたろ。
「あ、ストライプとダブルジェット」
「ツインターボ!!」
「ふたりとも、今日はよろしくね~☆」
「お手柔らかにどうぞぉ」
走っているうちに、先にアップを始めていたテイオーとマヤノに追いついた。今日のマヤノはやる気十分なようで、目もしっかり開いている。
「あれあれ、ストライプなんかやる気無さそーだね?」
「ついこないだ『テイオーとは本気でやり合わない』って言ったばっかりでコレだもの……」
「そんな細かいこと気にしなくていいのに」
細かいことかぁ。
細かいことかなぁ。
テイオーがそう捉えるならいいか。
「ねえねえストライプちゃん」
「何だいマヤノ」
「ストライプちゃんだとちょっと長いから縮めていい? ストちゃんとかそのくらいに」
「なんかストライキしてるみたいでちょっと嫌だなぁ……」
「じゃあサバちゃん?」
「魚だコレ」
頭の中でシマUMAが「鯖じゃねえ!!」と吠えて生魚を投げつけてくるのが
「じゃあちょっと変形してサブちゃ――」
「それはマジでヤバい」
「ぶーぶー。文句ばっかり!」
「テイオー、何かいい案無い?」
「ストライプだからトラちゃん?」
「……まあそれでいいか」
「いいんだ」
他よりマシな気がする。
虎だ。虎だ。今からぼくは虎になるのだ。
こう、縞模様仲間だしいっかなって。
「ストライプは……トラだった……!?」
「ぎゃおぅ」
「そのシマ模様もトラだったから……!?」
「もしやぼくはトラ……?」
「自分を見失わないで」
自分自身が何者なのかを見失いながらもアップを終えてゲート前に戻ってくる。
途中、マヤノが何か思いついたようにこちらに視線を寄越してきてたけど、どうやら何かが「わかった」らしい。こういう時のマヤノは怖い。
ただ……。
(――そう簡単に負ける気は無いよ)
重い気分が、奥から生じる闘志に押し流されていく。
あまり走りたくないなと思っていたのは負ける可能性が高いからだ。けど、いざ走るとなると負けるかもなんて泣き言は吹き飛んだ。ただ、勝ちたいという衝動だけが心のなかで燃え上がり光を灯す。
「お? またストライプの尻尾回ってる!」
「くっ」
ダメだ、この尻尾完全に感情と連動してる。気付いたらまたちょっと恥ずかしくなってきた。
「気にするようなことかぁ?」
「ウオッカ……」
「ちょっと変かもしれねえけど、そこも含めてストライプはそれが走りやすいんだろ? じゃあ気にしねえで走って、結果で黙らせてやればいいんだよ」
「……そうだね」
こういう時、走りに対して真摯なためか、ウオッカはいやにカッコいいことを言う。シチュエーションに対する回答が完璧だ。
背も高いし、ウオッカに憧れる女子が量産されるんじゃないかな……中身知らなければだけど……。
絶対今「カッコいいこと言ってやったぜオレ……!」とか考えてるよ。口元ニヤけてるし。
「あの……皆さん、そろそろゲートに入った方がよろしいのではないですか?」
「そうだった」
結局、ぼくらはマックイーンに指摘されてようやくゲートにいそいそと入り始めた。
感想、評価等ありがとうございます。
おおむね進路については決定したので今回でアンケートは締め切らせていただきます。
ご協力ありがとうございました。
ストライプをどこのチームorトレーナーさんに突っ込んだ方がいいでしょうか
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スピカ(アニメ要素多)
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カノープス
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シリウス(アプリ要素多)
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桐生院ちゃん任せた
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モブトレさん
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オリジナルチーム(混沌)