IS インフィニット・ストラトス~アスヘノツバサ~ 作:蔵陸奥
ISは設定がすごく好みでなにか自分好みにできないかと考えていました。
それでも兵器だし、何か殺伐とした様相もあるはず、とACVDの影響で、鉄火場にあこがれてしまった欲張りな自分が見たいと思い、妄想した結果です。
ところどころ暴走する可能性があると思いますが、もしよろしければ目を通してみてください。
批判は随時募集しています。
…一番古い思い出は何だったろうか。
――幼馴染とともに行った夏祭りか?
――緊張した面持ちで挑んだ小学校の入学式だろうか?
…今はそんなことどうでもいい。
――生き残りたい――
ただそれだけの毎日。それをどれだけ繰り返しただろうか?
日付の感覚はすでになく、コンクリートの壁と蛍光灯の光しか見えない簡素な部屋の中でおよそ食事と言えない栄養補給を行って、また戦って…その繰り返し。
今いる場所は?――おそらく違法な研究所。
どうしてそんなところに?――人攫いの、勘違い。おそらく人質として攫うつもりだったのではないか?もはやどうでもいいことだ。
なぜ『生き残りたい』なの?――それを説明するには…とりあえず現状の説明をしなければならないだろう。
現状、僕は戦っている。生身で?そんな無謀はできない。時はいわゆる近未来。人間の強化外骨格…パワードスーツのようなものとして生まれた『
しかしその兵器は主流になることはなかった。ある欠陥のせいだ。
まずひとつ、その兵器は生産できる数が限られている。主だった動力源が限られているから。
そしてもう一つ。そのもう一つが重要なのだ。その兵器は、『女性』しか扱えないのだ。
それのなにが関わってくるのか。それは僕が男性であり、なおかつその兵器を動かしていることなのだ。
…先ほど述べた利点のほとんどは機能していない。通常の3割程度だろうか。そんな欠陥を抱えたまま戦っているのだ。それは必死にもなる。
…戦っている理由にはなっていないな。ここの研究所はデータを集めている。しかも方法は質より量だ。…よい成績を残せなければ、やられる。待っているのは廃棄処分という名の墓場。運良く生き残っても、待っているのは薬漬け。簡単な依存性のあるものであるのならまだいい。中には麻薬漬けにされて理性を失ったものもいた。新薬と称して廃人となったものもいた。
『
つまり、生き残りたいとは、こんな地獄から抜け出したくてもその方法がわからない僕の嘆きなのだ。きっと今、僕の目は光を失っている。希望が見出せない。
だがそんな僕にも希望を見つけ出せたのだ。
――欲しいのなら、求めるのであれば、くれてやる。
手始めにテスト中、相手を片付けたあと、監視を撃った。欠陥があるとはいえさすがの超兵器。生身の人間には十分脅威になりえる。
そのままコンクリートの通路を進んでいく。搬入口も兼ねているのか、ISでも十分通れる大きさがあった。…帰りたいと泣いていた、すべてに絶望したやつは一時の温もりを求めた。その時は満足していたのだろうか?後になって自分を傷つけて、死を求めていた。だから引き金を引いた。
――達成感なんてあるわけない。何も感じない。救ったことへの自尊心も、安心感も罪悪感もない。目障りなものを一つつぶしただけ。
ようやく対応が始まったのか、障害が目の前に現れた。彼女は気が強かった。進んで間違っていると訴えた強い心の持ち主だった。ここにいる自分たちモルモットの心の支えだった。…真っ先にたたき折られたが。
モルモットの目の前でショーが行われ彼女の心は蹂躙された。儚く?それならまだ救いはあった。蹂躙だ。土足で湧水を泥水に変えたような蹂躙。その模様は僕らの心を折るには十分だった。蹂躙され、怯える少女に行われたのはある種、救いだったのだろうか。おそらく純度の高い麻薬を使用したのだろう。…惨劇の後とは思えない明るい表情で僕らを励ました。その眼はぎらついていた。いつだったか、授業で行われた薬物の危険性を訴えるもので見たことある眼だった。
そんな気高い彼女は今や薬漬け。トラウマを消したくて薬を求めて、トラウマを植え付けられて…それを繰り返した結果。モデルのように美しかった彼女の面影はなく、蒼白な容貌。キレイなブロンドは今や見る影もなくボサボサでみすぼらしい。なのに異様に眼はぎらついていた。そこだけは活気があった。
ともに支えあおうとした彼女は今や敵、すぐそばで腰を抜かしていた兵士をつかんで前に押し出す。射撃体勢に入っていた彼女との間に障害を作った。その障害の胸の部分を狙って撃つ。大口径の火器は花火のように兵士の胸を弾けさせ、血飛沫を作り、目くらましとなる。
前に駆け出す。と言っても3割ほどしか出せてない僕の状態では到底、全力全壊、理性が壊れた繰り人形の彼女には勝てないだろう。防御に移らせるように手持ちのライフルを彼女の顔に向かって放つ。マズルの閃光、火花。放たれた弾丸は彼女の顔に向かう。そのまま頭を…砕けなかった。
これがISが重宝される理由だ。シールドバリアによる搭乗者保護機能。無敵のシールドは理性のない彼女と最高に最悪な相性となっていた。銃撃に怯みも、迷いもせずシールドバリアで受け、間髪なく反撃をしてくる。僕は腕の装甲で防御する。
今まで僕が3割と言っていた理由はこれだ。女性のみしか動かせない兵器をなぜか動かせる。しかしシールドバリアはほとんど機能していないし、動きも鈍い。…これはバグだ。メンテナンスモードでしか動かせないそれは単なるパワーアシストの機能しかない。それでも生き延びた。生き延びようと、誓った仲間を殺し、踏みにじり。多くの少女の嘆きを踏み台にしてでも生き残りたかった。
――もう、その理由は思い出せない。大切だったはずのそれは、霧のように掻き消えてしまった。
お互いボロボロになった。いくつか直撃をもらって出血箇所多数。肉弾戦も行ったため骨が“いって”しまった個所もある。倒れている彼女を踏みつけ、銃口を向ける。狂った笑みを浮かべた顔は変わることはない。…引き金が引けない。引かなければ死ぬのはこっちだ。死にたくない。でも殺せない。そんなもの許されるはずがないのに…
不意に彼女の腕が上がり始める。反射的に指が引き金を絞る。放たれる弾丸。弾ける頭蓋。鉄と火薬と煙の臭いがさらに濃厚になる。狂った笑みなのになぜか柔和に見えてしまった。
――生きて
そんな風に聞こえたような気がした。何かが弾けた。自分の中でタガが外れたような気がした。獣のように咆哮し、手あたり次第撃ち続ける。撃ち返そうとしている奴はもちろん、逃げようとしていたり、両手をあげ、降伏の意図を表していたりしてもだ。
とにかく目に見えるもの全てを撃ち、排除していった。満身創痍だった体でも意外に動く。とにかく撃った。殺した。排除した。こんな目に合わせたやつらを、すべてを、邪魔だと。憎しみをもって。
壁にもたれかかり、ようやく腰を落ち着けたときには、もう廃墟じゃないかといわんばかりの研究所があった。もう何も残っていない。近くにISの反応を検知しながら瞼を閉じる。一瞬懐かしいような声が聞こえたような気がしたが…もうわからない。誰の声であり、どういった意味なのかも。ただ、一つだけ朦朧とした意識でもはっきりとわかったものがある。
「………ラ?」
ソラ、と聞こえたような気がした。…ああ、そうだ。僕の名前は、宮野 空だったっけ。
というわけで、プロローグとなります。
正直思うんです。原作である程度流れができているのなら、その時登場しなかった人物の動き、考え。そうしたものを活かしていけないかなと。
そういうおもいで続けようと思います。