よっしゃ!! 次はエルコンドルパサーいったろ!! マイルAだからスピードだけあげればいけるだろ!!
日本ダービー「やぁ」
んぎぃぃぃぃぃぃいいいいぃいぃぃぃぃ!!(無事死亡
暗闇のチーム・アース部室。そこにはモブ娘ともう一人のウマ娘が居心地が悪そうに座っている。
そして突如明かりがつく。
そこにはシンボリルドルフが腕を組んで立っていた。
モブ娘が突っ込む前にシンボリルドルフは口を開く。
「諸君、私はレースが好きだ」
シンボリルドルフは腕組みをとくと言葉を続ける。
「諸君、私はレースが好きだ。私はレースが大好きだ。芝が好きだ。ダートが好きだ。短距離が好きだ。マイルが好きだ。中距離が好きだ。長距離が好きだ」
開かれたシンボリルドルフの瞳には狂気が宿っていた。
「札幌競バ場で、函館競バ場で、福島競バ場で、中山競バ場で、東京競バ場で、新潟競バ場で、中京競バ場で、京都競バ場で、阪神競バ場で、小倉競バ場で、帯広競バ場で、門別競バ場で、盛岡競バ場で、水沢競バ場で、浦和競バ場で、船橋競バ場で、大井競バ場で、川崎競バ場で、金沢競バ場で、笠松競バ場で、名古屋競バ場で、姫路競バ場で、園田競バ場で、高知競バ場で、佐賀競バ場で、この地上で行われるレースが大好きだ」
そしてシンボリルドルフは両手を広げる。
「並んだスターティンゲートからウマ娘が一斉にスタートするのが好きだ。逃げウマがスタートに失敗してバ群に沈んだ時など心が踊る。最終コーナーからぶち抜いて差し切るのが好きだ。トップ争いをしていたウマ娘達を纏めてぶち抜いて驚愕の表情を浮かべられた時など胸がすくような気持ちだった。ウマ娘達がレース中にも互いに牽制しあうのも好きだ。こちらの思惑に見事にはまって思い通りになった時など感動すら覚える。勝利主義者のウマ娘達を纏めて敗北者にさせた時などもうたまらない。見苦しく言い訳を叫ぶさまを見るのも最高だ。哀れな弱者達が一発に賭けてレースに挑み、その望みを木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。大穴にレースを滅茶苦茶にされるのが好きだ。必死に勝ちをとりに行っても大穴に競り負けた時はとてもとても悲しいものだ。他のウマ娘達が結託してバ群に封じ込まれるのは屈辱の極みだ」
そこまで言い切るとシンボリルドルフはさらに声を高める。
「諸君、私はレースを……地獄のようなレースを望んでいる!! 諸君、私に付き従うチーム・アースの諸君。君たちはいったい何を望んでいる? 更なるレースを望むか? 情け容赦のない糞のようなレースを望むか? 全身全霊の限りを尽くし三千世界のウマ娘と争うような嵐のようなレースを望むか?」
その問いにモブ娘が答える前に周囲から声が上がる。
『レース!! レース!! レース!!』
「よろしいならばレースだ!! 我々は満身の力を込めて今まさにスタートする第一歩だ。だが、この殿堂入りというレースからの追放を受けた我々にはただのレースではもはや足りない!!」
シンボリルドルフの演説は止まらない。
「大レースを!! 一心不乱の大レースを!! 我らはわずか数バにすぎない。だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。ならば我らは諸君と私で誰にも負けないチームとなる。我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう。髪の毛を掴みレース場へと引きずりだし眼を開かせて思い出させよう。連中に恐怖の味を思い出させてやる。連中に我々のバ蹄を思い出させてやる。天と地のはざまには凡バの哲学では通用しないことを思い出させてやる。たった数バのウマ娘で世界を燃やし尽くしてやる」
そこまで言うとチーム・アースの部室に一つの光がともる。それを指さしてシンボリルドルフは続ける。
「そうだ、あれが待ちに望んだレース場の光だ。私は諸君らを約束通りに連れて帰ったぞ。あの懐かしの戦場へ、あの懐かしの戦場へ」
『会長殿!! 会長!! 皇帝!! 皇帝殿!! 皇帝生徒会長殿!!』
そしてシンボリルドルフは邪悪に笑う。
「さぁ、諸君」
そして両手を広げ、狂気のこもった瞳でシンボリルドルフは笑いながら口を開く。
「地獄を作るぞ」
「作らないでください」
無駄に長い前置きが終わったと判断したモブ娘は問答無用で部室のライトをつける。そしてシンボリルドルフの演説に絶叫している声が入っているカセットテープも止める。
「う~む、ノリが悪いなモブ娘くんは」
「もうちょっと私達のノリに合わせろよなぁ」
「残念ながら私は正気なんで」
シンボリルドルフとゴールドシップの言葉にモブ娘は断言する。
「というか急に呼び出したと思ったらなんなんですが。見てください、会長達の奇行に慣れていないナイスネイチャさんなんか完全に引いているじゃないですか」
「あはは……」
モブ娘の言葉にモブ娘以外の唯一のオーディエンスであった自称:平凡ウマ娘であるナイスネイチャは苦笑いである。
それに不思議そうに首を傾げたのは脳筋ビワハヤヒデであった。
「君たちは今の演説が何を意味しているのかをまさか理解できていないのか?」
「ははは、それはないだろう、ハヤヒデ。こんなにわかりやすいのに」
「そうだぜ!! これで理解できないようだったら脳の病院をお勧めするぜ!!」
「脳の病院が必要なのはあなたたちのほうですね」
モブ娘の突っ込みにHAHAHAとアメリカンに笑うシンボリルドルフとゴールドシップ。
「でも少し迂遠だったんじゃないかしらぁ」
「むぅ、クリークもそう言うか。ならば単刀直入に言おう!!」
そしてシンボリルドルフは手をナイスネイチャに差し出しながら爽やかな笑みを浮かべる。
「ナイスネイチャくん!! 我々のチームに入らないか!!」
「「……は?」」
シンボリルドルフの言葉に間抜けな声を出してしまうモブ娘とナイスネイチャ。
「君のその秘められた力……我々チーム・アースでこそ光り輝くものだ!!」
ナイスネイチャはすでにデビューしているウマ娘だ。当然のようにすでにトレーナーもついている。
モブ娘の『マル秘:ウマ娘データブック』によればナイスネイチャとトレーナーの絆は強い。それは強くなれるからと言って簡単に移籍するような関係性ではない。
ナイスネイチャも戸惑いながら、しかし力強く口を開く。
「それはできないよ。トレーナーは私のことを信じてくれてる。平凡な私が本気で一番になれるって信じてくれている。あのテイオーにも勝てるって言ってくれている」
そして真剣な眼差しでシンボリルドルフを射抜くナイスネイチャ。
「私を信じてくれているトレーナーさんを私は裏切れない。だから……ごめんなさい。移籍はできません」
モブ娘は軽く腰を浮かせる。ナイスネイチャの言葉に感動したからだ。これを聞いたうえで無理矢理にでも移籍させるような真似をすればモブ娘はゴールドシップ直伝のドロップキックをシンボリルドルフの顔面に叩き込む所存だ。
しかし、キチガイ達はモブ娘の想像の上をいく。
「「「「ブラボー……ブラボー……おー、ブラーボー!!」」」」
「「……ええ」」
ルドルフ達は涙ながらに拍手している。その反応にモブ娘とナイスネイチャは思わず引いた。
そんな反応を無視してシンボリルドルフは口を開く。
「素晴らしい……ナイスネイチャくんの信頼とトレーナーの信頼……まさしく断金之交……これには孫策と周瑜も嫉妬せざるえないだろう……基本的に私達のトレーナーは人間性がゴミクズだからそのような関係が羨ましくなるな」
「あらぁ? 二人っきりの時はトレーナーにルナちゃん呼びさせているには誰かしらぁ?」
「ははは、ウマの秘密を暴露するのはよくないなクリーク。これでは私も君が日に日に作っている『ライスちゃんを依存させる方法』の存在を暴露せずにおれないな」
シンボリルドルフとスーパークリークがメンチの斬り合いが始まった。
「え~と、それじゃあ!! 私はこの辺で!!」
「ハヤヒデ」
「確保ぉ!!」
「ひゃぁ!?」
それを見て速攻で逃げだそうとしたナイスネイチャを速攻でビワハヤヒデが確保する。
モブ娘は焦って立ち上がりながら先輩達の凶行に文句を言う。
「ちょ、ちょっと!! ナイスネイチャさんとトレーナーさんの関係性に感動してチーム移籍は諦める流れでは!?」
「「「「それはそれ。これはこれ」」」」
「「最悪だ!?」」
モブ娘
最終的に自分が犠牲になってナイスネイチャを逃がした
ナイスネイチャ
チーム・アースにめをつけられた哀れなウマ娘。担当トレーナーとの信頼関係高し
チーム・アースの皆様
チーム移籍に『無理矢理』や『強制』という選択肢を持つ最悪な存在
シンボリルドルフの演説
ヘルシングの少佐の改変です。最近みなくなりましたなぁ。
そんな感じでナイスネイチャ編でした。
ナイスネイチャ編なのにまったく喋っていないナイスネイチャ。他の面々がキャラが濃すぎるねんな。
もうそろそろ諸悪の根源であるチーム・アースのトレーナーも出したいところ