「うわああん」
団長室には涙目のクレーとその様子を両腕を腰に当て、むっとした顔で見ているジンがいる。
「泣いても私は許さない」
「うう……」
真面目なジンは善悪が付いていない子供相手でも容赦はしない。
悪いことは悪いこと、どんな相手でも平等に説く。
騎士団員であったら、怒鳴っていることを柔らかい口調で語りかけているだけ、優しさはあるのだが、幼いクレーにはそれが分かっていなかった。
泣き止んだクレーはつぶらな瞳でジンを見つめる。
アンバーやガイアならこれで見逃すだろうが、彼らの長であるジンには効かなかった。
「どうして呼び出されたのか、言ってみろ」
「……川のお魚を、爆弾で、ドカーンっ」
「ドカーンして?」
「して……、清泉町にいるおじさんおばさんをびっくりさせちゃった」
「分かっているなら、どうしてドカーンさせたんだ?」
「お魚、いっぱい泳いでいて……、美味しそうだったからっ!!」
クレーは笑顔でジンに犯行の理由を告白する。
反省する素振りを見せているだけだな。
クレーの様子を見て、ジンは額に手を当て、ため息をついた。
ジンがため息をついたのは、この様子だとクレーはまた同じことを繰り返す、と呆れたからだ。
「クレー、お魚の獲り方法は?」
「爆弾でドカーン!」
「違う! 釣り竿か網を使え!」
「え~」
ジンの指導にクレーは不機嫌な表情をした。
ジンは何度も魚を捕まえる方法をクレーに教えている。指導という名目でクレーと釣りをしたり、引き網漁をしていた。
何度もクレーに”指導”しているため、本格的に釣り具を買おうか悩んでいる。ジンは趣味としてやろうとしている自分の気持ちを律するために咳ばらいをし、平静を整えた。
「不満があるのか」
「目の前にお魚がいっぱーいいるのに。釣れないんだもん」
「それはだな、竿の動かし方と餌の付け方に――」
「じーみー!」
ジンの解説にクレーが茶々を入れた。
その横やりに対して、ジンの良心の糸がプッツンと切れた。
ジンは「クレー!」と語気荒めに名前を呼んでしまった。はっとしたジンは怯えているクレーに「すまん」と謝る。
「……爆弾をここに置きなさい」
「え~、なんで~」
「置きなさい」
ジンに鋭い視線を向けられ、クレーは文句を飲み込んだ。
子供でもジンが怒っていると理解できたのだ。
クレーはジンの指示に素直に従った。
「反省室いってきます」
項垂れたクレーは力ない声で、ジンに言った。
書き始めました!
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次話、反省室での出来事を書いてゆきます。
お楽しみに!