翌日、静まり返った真夜中の砂漠で、アークエンジェルはまたもザフトの攻撃を受けた。
「砂漠の虎」の異名のとおり、彼の軍はバクゥと戦闘用ヘリを使ってアークエンジェルを翻弄した。
ストライクも出動したが、地の利と数で勝るバクゥに劣勢を強いられていた。
そこへ、アークエンジェルとストライクを援護するものが現れた。
この地にキャンプをはるレジスタンス「明けの砂漠」であった。
彼らは自立主義で、ザフトにも地球軍にも与さない組織である。
が、彼らの武器はザフトを攻撃し、ストライクを救った。
そして予め仕掛けておいた地雷原にて、バクゥ隊を撃滅させた。
「どういうことだ……?」
「レジスタンスが……オレたちの味方をしてくれたのか……?」
アークエンジェル艦内も異様な雰囲気につつまれた。
ストライクとレジスタンスの武装ジープが集まる夜明けの砂丘が、双方の対話の場になった。
アークエンジェルからはマリュー・ラミアス艦長と、ムウ・ラ・フラガ少佐が降りた。
ゲート口では、二人が装着した無線機からの音声をキャッチするイヤホンをつけたクルーが、銃を構えて待機する。
罠……ともとれないわけではなかった。
が、レジスタンスのリーダー、サイーブは尖った態度を保ちながらも、落ち着いた態度で警戒を解くように言った。
彼の後ろでしかめ面をする金髪の子供をいぶかしがりながら、マリューはストライクから降りるよう、キラに言う。
レジスタンスの面々が見守る中、キラはゆっくりと砂に降り立った。
地球軍の新型MSを操縦していたのが「子供」だったことに、口々に驚きの声をあげるレジスタンスの人間。
そんな中、金髪の子供がヘルメットをとったキラに向かって突然走り出した。
「お前っ……!!!」
そしていきなり殴りかかる。
それを片手で受け止めたキラは、その金髪の子がヘリオポリス崩壊の時に一緒だった子供だということを思い出す。
「君は……」
「何でお前がこんなものに乗っているんだ!!」
捕まれた腕を逆に振り上げ、金髪の子はキラの頬を裏手で殴った。
腰の銃に手をやるフラガ。
が、レジスタンスのひとりにけん制される。
その時。
「やめなさい、カガリ」
その場を収める声がした。
「えっ…………?」
カガリと呼ばれた金髪の「少女」は、声の主の姿を見て叫ぶ。
「……ナナっ……?!」
そして涙を浮かべて駆け寄った。
「ナナ!! 生きてたのか!!」
「あなたも……、無事でよかった」
唖然として見守る周囲をよそに、ナナとカガリは再会を喜び合った。
マリューとフラガのみならず、レジスタンスの者たちも互いに顔を見合わせる。
「カガリとキラが知り合いだったなんてね」
しがみつくカガリの頭を撫ぜながらキラに言うと、
「へ、ヘリオポリスで……会ったんだ」
「救命ボートに押し込まれた……」
キラはまだ戸惑ったように答え、カガリはバツが悪そうに呟いた。
「そっか……このコを避難させてくれたのはキラだったんだ。ありがと」
ナナは顔色の悪いまま、静かに笑った。
「き、君たちは……?」
躊躇いがちに尋ねるキラ。周囲も答えを待った。
カガリが何故か彼を睨むのをよそに、ナナは平然と答えた。
「古くからの友達なの。ヘリオポリスではぐれちゃって」
「それよりっ……ナナはなんで地球軍の軍服なんかっ……!!」
するとカガリは突然、先ほどの怒りを甦らせた。
「お前も! 何であんなものに乗っている!!」
さらにキラを振り向いて、再び叫ぶ。
「私……X-101グレイスに乗ってるの」
そのカガリに、ナナはまた静かに告げた。
「えっ…………?!」
驚愕の表情を浮かべたカガリに追い討ちをかけるように、ナナはさらに言った。
「今はグレイスのパイロットとして、あの艦に乗っている」
カガリはついに、言葉を失った。