戦慄の宇宙(そら)の果て   作:亜空@UZUHA

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第7章 未来への戦い編
紅の光


「ザフトの対抗策については正直言って予測がつかないけど、地球軍は補給を済ませて再攻撃を仕掛けると思う」

 

 グレイスのコックピットで、機器の操作をしながら言った。

 

≪ええ、そうね≫

 

 この通信は、全艦のブリッジと、全てのMSのコックピットと繋がっている。

 マリューがこれに同意した。

 

「次の狙いは、おそらくプラント……」

≪そうだろうな≫

 

 今度はバルトフェルトが。

 

「正確な時間はわからないけど、月から補給部隊が出ているとすると、私たちが今から向かって間に合うかどうか、ギリギリのラインだと思う」

≪そのつもりでいるのが妥当でしょうな≫

 

 そしてキサカも。

 

「とりあえずは、『地球軍の核攻撃阻止』を目的に全速力でプラントへ向かいましょう」

 

 最後に、三艦の艦長たちがナナの言葉にうなずいた。

 

 

 

 やがて三艦はプラント周辺宙域にたどり着いた。

 すぐにMS全機に発進命令が下される。

 

「ナナ・イズミ、グレイス、発進します」

 

 冷静に。とにかく、できることを……。

 言い聞かせ、ナナはグレイスを発進させた。

 すぐにザフトと地球軍が交戦している宙域を黙視する。

 そして、プラントに向かう地球軍の……。

 

「核攻撃部隊を補足……」

 

 一度だけ、奥歯を強く噛みしめた。

 憎しみ、怒り、悲しみ……それら全てを呑み込んででも、冷静に動かねばならなかった。

 

「キラ、アスラン。サポートするから、とにかく核を撃ち落として」

≪了解!≫

≪わかった!≫

 

 エターナルから発進したフリーダムとジャスティスが、ミーティアを装備した。

 そのまま加速し、核攻撃部隊へ向かう。

 数は定かでない。

 が、ミーティアの砲数でなければ間に合わないことだけはわかっている。

 

 フリーダムとジャスティスは、最初の攻撃を開始した。

 一気に撃ち落とされる核。

 呪わしい光の華がいくつも、宙に咲いた。

 突然の介入行動に、宙域は一瞬戸惑いを見せた。

 だがすぐに、あの三機のMSが行動に移る。

 

「こっちは任せて!」

 

 グレイスを再加速させ、ジャスティスに向かって来た青いMS(=カラミティ)をけん制する。

 さらに、脇をすり抜けてフリーダムに襲いかかる黒いMS(=レイダー)に、後ろからビームを打ち込む。

 

(もう、あなたたちの動きにはいい加減対応しとかないとね……!)

 

 額に汗が滲んだ。

 が、口の端を無理やり吊り上げた。

 続いて、緑のMS(=フォビドゥン)の足を止める。

 その時だった。

 突然、宙域に異変が起こる。

 

「な、なんで……?」

 

 コックピットのレーダーは、異常な動きを示している。

 ザフト側が一斉に撤退を始めたのだ。

 

≪ヤキン・ドゥーエ後方に、巨大な物体が出現……!!≫

 

 ミリアリアから通信が入った。

 

「え……?」

 

 グレイスをザフト軍宇宙要塞『ヤキン・ドゥーエ』の方へ向けようとした。

 が、突然一機のMSが急接近して来てそれを遮った。

 

「なっ……」

 

 よける間も、抗う間も与えられず、グレイスはそのMSに腕を取られ、そのまま引っ張られる。

 急加速で身体が前のめりになった。

 体制が悪く、反撃もできない。

 

「ちょっ……」

 

 振り切ろうとした、その時……。

 突然、巨大物体から紅の光が放たれた。

 

「……っ……?!」

 

 息を呑んだ。

 まがまがしいその光は、射線上の全ての物を破壊した。

 『撃った』のではない。『破壊』したのだ。

 まさに、今まで自分が居たその場所も……。

 それは一瞬の出来事だった。

 戦闘宙域を駆け抜けた閃光は、艦もMSもMAも飲み込んで、粉々に破壊した。

 

「あ、あれは……」

 

 声が喉に張り付いた。

 にもかかわらず、言葉がこぼれ出る。

 

「なに……? 今の……」

 

 動揺を口に出さなければ、意識が飛んでしまいそうだった。

 

「なんなの……?」

 

 恐怖、疑問、怒り……。

 操縦桿を握る手が震えていた。

 モニターには、瓦礫と化したモノたちを茫然と見つめるフリーダムとジャスティス、それに、ストライクとバスターが映っている。

 

「みんな……」

 

 とにかく、皆は無事だった。

 とにかく……それだけは……。

 それに、

 

「デュエル……?」

 

 自分が間一髪で、アレを避けられたことも。

 

「イザー……ク……?」

 

 それは紛れもなく、傍らにたたずむMS、デュエルのおかげだった。

 あれに乗っているのは、確か『イザーク』という名の……、アスランとディアッカの仲間だったはず。

 

(どうして……)

 

 またひとつ、疑問が沸いた。

 だが、

 

「ありがとう、イザーク」

 

 回線をデュエルに合わせ、そう礼を言う。

 声はもう、震えてはいなかった。

 

≪……くそっ……≫

 

 彼は一瞬、名を呼ばれたことに驚いたようだった。

 が、それをすぐに憤りに変え、その場を離れて行った。

 憤り……。

 ザフトの攻撃に、ザフトである彼が、それを感じていた……?

 

「イザーク……」

 

 ディアッカから聞かされたその名を呟き、一度、強く目を閉じる。

 そして、改めてモニターを見る。

 その全てが未だ、混乱を映し出していた。

 

「ひとまず撤退を……!」

 

 各艦のブリッジへ通信を入れながら、ナナは操縦桿を握りなおした。

 その手ももう、震えてなどいなかった。

 

 

 

 

 

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