レールウェイでの戦闘のあと、レリックを奪取に成功し撤退したサーシェスは、スカリエッティのラボに戻って来た。
「旦那。お望みの品だ……」
サーシェスはスカリエッティにレリックの入ったケースを差し出す。
「まずはご苦労だったね、サーシェス君。早速だが中身を確かめさせて貰うよ。」
スカリエッティはサーシェスからケースを受け取りロックを解除する。
開けたケースの中には真っ赤に光り輝く拳大の宝石が入っていた。
「おお、美しい……確かに私の求めていた物だ……」
スカリエッティはレリックに見取れている。
「なぁ、旦那。本当にそんな石ころ一つに世界を変えれるだけの力があるのか?」
「ええ、そうですよ……これぞ古代人の生み出した叡智の結晶!幸先の良い滑り出しだね。さすがはその道のプロといったところですね、サーシェス君。」
「ふん!旦那も買いかぶり過ぎだぜ。」
「それで、次はどうするつもりなんだい?」
スカリエッティの質問にサーシェスは空間モニターをいじりながら答える。
「さて、どうしたもんか。レリックの収集は退屈過ぎてかなわん。もっとスリルが欲しい。」
「なら、追加の依頼をしよう。彼女たちを生け捕りにして欲しい。」
スカリエッティの後ろにある大型モニターには、先ほどレールウェイでサーシェスが交戦した女性魔導師たちの姿が映っていた。
「コイツらは、さっき……」
「ええ、そうです。この三人ともう一人を加えた四人を生け捕りにして欲しいのです。」
モニターにクローズアップされたのは、金色の長髪に黒基調の服を着た女性、青髪の快活そうな少女、紫色の長髪に楚々とした容姿で心優しそうな若い女性、そして赤毛の少年だった。
「この四人は以前、私が建てた理論をもとに別の違法組織やそれに加担する科学者などが造り出した人間です。」
「ほう、興味深い……」
「金色の髪の魔導師と赤毛の少年は“プロジェクトF.A.T.E”呼ばれる生命操作技術で生み出された記憶転写型のクローンです。」
「凄げぇな……姿形だけじゃなく、記憶までコピー出来ちまうなんて……」
「まあ、あくまでも記憶だけですが……この技術を用いて生み出された人間は記憶は受け継がれても魔力資質、性格、利き手等が異なるなどクローン元の人間と全く同じになるわけではないんです。欠陥だらけですよ……」
「そうなのか……それであとの二人は?」
「彼女たちは“戦闘機人”と呼ばれるサイボーグみたいなモノだよ。私の娘たちとは何度か会ったことはあるだろう?」
「ああ、あのお嬢ちゃんたちか?」
「そう、彼女たちも同じ戦闘機人……この二人は、私の構築した理論のもと、別の組織が娘たちよりも先に完成させた初期ロットだ。」
「そう言えば、戦闘機人のお嬢ちゃん達は顔立ちがどことなくにているな……」
「二人は基となった素体が同じ人物だからね、姉妹みたいなモノだよ……」
「了解だ。レリックの収集と平行して、そのお嬢ちゃん達をここへ連れて来てやるよ。」
「ふ……頼もしい限りだ。彼女たちの詳しい情報は、娘のウーノから教えて貰うといい。」
「オーライだ。旦那……」
スカリエッティと一通り話しをしたサーシェスは、彼のもとを去って行った。
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三日後……
機動六課の部隊長“八神はやて”、分隊長“フェイト・テスタロッサ・ハラオウン”、“高町なのは”の三人は、一昨日に行われた戦闘の説明とそれに関する責任の有無を時空管理局地上本部の上層部から問われ、本部で査問会が受ける事となった。
「本日、君たちをこの場へ召喚したのは他でもない……一昨日、東部山岳地帯のレールウェイで行われたレリックを巡っての戦闘についてだ。」
「君たち機動六課は、午前11時42分に出動要請を受け、その6分後にヴァイス・グランセニック軍曹の操縦するヘリで出動した。間違いないないかね?」
「そうです。間違いありません。」
六課を代表して、はやてが応える。
「当時の状況を説明をします。私たちは、午前11時42分に聖王教会より出動しました。」
「20分後に現場である東部山岳地帯上空に到着。テスタロッサ執務官と私、高町なのは一尉は制空権を確保するために先行しました。レールウェイでのレリック確保は、私が訓練している新人四人に任せました。」
「そこだよ。私が問いたいのは……なぜ、レリックの確保という大役を訓練校上がりの新米に任せたのかね?そういった事は君たち隊長の仕事ではないのか?」
「そうですが……私たちには上空の飛行型ガジェットの掃討があります!」
「そうです!それに!レリック確保に向かったフォワードの子達は、高町隊長の指導のもと毎日厳しい訓練をしています!」
フェイトもすかさず、なのはのフォローに入る。
「上層部の皆さんもご存じでしょう。高町隊長は“エース・オブ・エース”です。その彼女の教導に着いてくるフォワードの子達のチカラは確かです!」
「八神二佐。キミと高町教導官、テスタロッサ執務官は昔からの友人だと聞いているが………」
「何がおっしゃりたいのですか……?」
はやては上官の一人を睨み付けた。
「い、いや……」
上官は、はやての出すプレッシャーに言葉を詰まらせる。
「私自身、私用と公用は使い分けているつもりです!」
「八神部隊長、言葉を慎みたまえ……」
「申し訳ございません。」
上官の静止に、はやては冷静さを取り戻した。
「ともあれ、君たち機動六課は後に現れたイレギュラーによってレリックの確保に失敗……あろう事か、そのイレギュラーに奪取されるとは……」
「さらに新人の四人は上官である君たちの命令を無視……独断でイレギュラーと交戦し、“スバル・ナカジマ”と“エリオ・モンディアル”の二名が負傷……」
「なんたる様だ。この件に関する処分は追って通告する。今回の査問会はこれで終了する。君たちは六課に戻りたまえ……」
上層部の面々は退席し、会議室から出ていった。
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査問会から解放されたはやて等三人は六課へ帰るために地上本部のメインロビーを歩いている。
「マジでムカツクわ~!あのオッサンたち……」
はやては査問会に対する不満をなのはとフェイトにぶつけた。
「まあまあ、はやてちゃん……」
「仕方ないよ……官僚って言うのは頭が硬いからね。」
「フェイトちゃん、結構辛口やな~」
「ハッ!そ、そんな事ないよ……////」
「ニャハハハ………」
三人はメインロビーを抜けて外に出た。
外は生憎の雨だった。
「雨や……」
「ここに来る前までは晴れていたのに……」
「ツイてないなぁ……」
「お迎えを呼ぶしかないね……」
フェイトが迎えを呼ぼうとしたその時、クラクションが鳴る。
彼女たちがそちらを向くと、車が一台来て三人の前で止まった。
車の助手席側の窓が開き、運転席から男が顔を覗かせる。
「良ければ、私が送りますよ?」
その男はなんとサーシェスだった。
査問会の情報をスカリエッティから聞いていた彼は、この日のために無精髭などを剃り、黒いスーツを着て、髪を後でまとめ清潔感まで出していた。
「え?」
「今、迎えを呼ぼうとしたのでしょう?」
「ええ、そうですが……悪いですよ。」
なのははサーシェスからの誘いを断ろうとする。
「大丈夫です。私はこの後、特段予定はないので……さあ。」
「まあ、良いやないか。せっかくの申し出や。断ったりしたら、それこそ悪いわ~失礼しますぅ。」
後部座席にはやてとなのはが乗り込み、助手席にはフェイトが座った。
「安全のためにシートベルトはお願いしますね。では、行きますね……」
三人を乗せた車は、六課に向けてゆっくりと動き出した。
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「いや~私も運が良い。こんなにも美しい女性たちと一緒にドライブが出来るとは……」
「お言葉がお上手なんですね。」
“美しい”と聞いて嫌な気を起こす女性はいない。
その例に漏れず、三人もまんざらでもない様子だ。
「そう言えば、アナタのお名前を聞いていませんでしたね。私はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン……時空管理局、古代遺物管理部機動六課で法務担当官兼ライトニング分隊長をしています。」
「私は高町なのはです。教導官を兼務しながら、スターズ分隊長をしています。」
「私は八神はやてです。階級は二等陸佐、彼女たちの直属の上官で機動六課の課長及び総部隊長をしてますぅ。どうぞ、よろしゅうお願いしますね。」
「私は“ゲイリー・ビアッジ”です。民間協力者として、首都防空第四戦隊に所属してます。」
サーシェスは前の世界で使っていた偽名とを使い挨拶をする。
その後、四人は六課に着くまで話しをした。
「おや、到着したみたいですね……楽しい時間は過ぎるのが早い。本当に残念でなりません。」
「全くです。」
サーシェスは六課の玄関前に車を着ける。
「どうぞ、着きましたよ。」
「ありがとうございます。」
「助かりました。」
三人は、それぞれサーシェスにお礼を言い車から降りる。
「今日は久しぶりに楽しかった……また、時間がある時にゆっくりとお茶でもしましょう。」
「そうですね。ありがとうございました、ビアッジさん。」
「では、また……」
サーシェスは三人のもとから去って行く。
「ククク……やっぱり良い女だ。次に会うの平和ボケした茶の席なんなかじゃねぇ。理性と狂気が入り交じる血生臭い戦場だ。楽しみにしてな……」
次回に続く。