スカリエッティから、新たなレリックの情報を受けたサーシェスは、ミッドチルダ南部に措かれている時空管理局の駐屯地に向かっていた。
ここの駐屯地はミッドチルダでも辺境の地、または陸の孤島と言われる“アルトセイエム地方”にある。
「ったくよ……本当に何もねェな。ここはよォ……」
サーシェスは変わらない景色に飽々しているのか、口から愚痴がこぼれていた。
「まあ、良いか……俺のイナクトもめでたく“アグリッサ”に進化したからな……」
彼のデバイス“イナクト”はストレージ型でありながら、戦いの経験を積むことで、自ら進化する特殊なモノだった。
また、スカリエッティはこのような事も言っていた。
『キミのデバイスは経験値だけではなく、強大な魔力を取り込む事でも成長する。』と……
スカリエッティの言葉どおり、機動六課との初戦でかなりの経験値を得た“イナクト”は次の段階である“アグリッサ”装備型へと成長した。
『アグリッサ』とは、第五次太陽光紛争時にAEUが開発したモビルアーマーで『バディクラフト』の一種である。
機首部分に『プラズマキャノン』を1門搭載、下部には『プラズマフィールド発信器』を内蔵したEカーボン製のクローを備える。
また、イナクトと合体されることで運用されるアグリッサは大型の姿となる。
こちらの世界でも全高が有に3mを超えており、配色も初めの群青色から朱色に変わっていた。
これは、プラズマフィールドの使用によるイナクトやサーシェスへの影響を避ける為である。
「あそこか……さて久しぶりのアグリッサ、ゾクゾクするぜェェッ!!!!」
目的地を視界に捕らえたサーシェスは、レリックを求め駐屯地を強襲した。
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場所は変わり、“なのは、フェイト、シグナム、ヴィータ”の四人は一路アルトセイエム地方へ向かっていた。
スターズ、ライトニングの分隊長と副隊長をそれぞれ務める四人は、駐屯地から緊急連絡を受けた六課の部隊長のはやての命令により出動していたのだ。
「フェイトちゃん!待って!」
フェイトは他の三人より少し先を飛んでいる。
「テスタロッサ!先行し過ぎだ。エリオやキャロの事は解るが、少し落ち着け!」
「そうだぞ!お前が怪我したら元も子もねぇからな!」
「分かってる!分かってるけど、私はアイツを許せない!ソニックムーヴ!」
『了解。ソニックムーヴ……』
フェイトは、さらにスピードを上げた。
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駐屯地を襲撃したサーシェスは、アグリッサの性能を楽しむかのように殺戮の限りを尽くしていた。
実働部隊はもちろん、オペレーターなどの非戦闘員まで手に掛ける始末だった。
一人の女性局員が黒いケースを抱き抱え一心不乱に走っている。
「はあはあ……早く、早く逃げないと……!アイツに捕まったら、間違いなく殺させる!」
駐屯地の周囲は鬱蒼とした森に囲まれている。
そこまで逃げきれば、生き残れるかもしれないと彼女は思った。
しかし、その小さな希望は容易く打ち砕かれる。
彼女の前にサーシェスが立ちはだかったのだ。
「どこ行くんだ?お嬢ちゃん……俺は言ったよな?ここにいるヤツは皆殺しだとよ……」
サーシェスの凶行を目の当たりにした恐怖心からか、女性局員はその場に尻もちを突き口をパクパクさせていた。
全身から冷や汗が吹き出る。
「いや……た、助けて……」
「ダメだ……」
「何でもするから……だから!命だけは助けて!」
必死になって命乞いをする女性局員。
「はあ、仕方ねェな……それ、レリックだろ。渡せ……」
「そうしたら、助けてくれるんですね!分かりました!」
絶望の中に再び見えた希望の光、何の戸惑いもなく命が助かるのならと、女性局員はレリックの入ったケースをサーシェスに差し出した。
そのケースを大型クローで使い器用に取るサーシェス。
「特別だぞ。行け……」
「あ、ありがとうございます……!」
女性局員が立ち上がって走ろうとした時だった。
「何てなぁッ……!」
彼女はバランスを崩し、激しく転ぶ。
「つぅ………」
左足に何とも言えない違和感があると感じた彼女は、おもむろに自身の左足に目をやった。
「へ?あ、足が……無い?」
一瞬、訳の分からなかった彼女だったが、すぐに例えようのない激痛が襲う。
「足がァァァァ!私の足がァァァァァァッ!!!!」
痛みと混乱で発狂する女性局員……
彼女が走ろうとした時、サーシェスは大型クローを彼女の左足目掛けて振り抜いていたのだ。
振り抜いたクローは見事に命中、左足を切り払った。
切られた足の膝から下はどこかへ飛んでいき分からない。
「ど、どうして……ッ!!?レリックを渡したから助けてくれるじゃなかったのッ!」
「るッセー!どちらにしろ、その傷じゃ助からねェよ……!」
アグリッサから伸びる大型のクローが瀕死の彼女を取り囲む。
「な、何をする気?」
「まあ……ちょっとした実験(あそび)だよ。お前はアグリッサのプラズマフィールドにどれくらい耐えられるかなァッ!」
次の瞬間、彼女の身体に激烈な電撃が浴びせられる。
「ギャアァァァァァァァァァーッ!!!!」
青白い電撃が彼女の着ている服を皮膚を肉体を焼きつくす。
「どうだ?俺のアグリッサから発せられるプラズマフィールドの味はァッ!!!!そのやわ肌焼かれて逝っちまいなァッ!」
身体を焼かれ、死を待つだけの彼女が最後の力を振り絞り言葉を発する。
「ククク……アンタは報いを受ける……」
「ああ?何だと?」
「アンタは死ぬの……今日ここでェッ!!!!!」
「馬鹿かッ!!?俺は死なねえよッ!」
女性局員は空を指差し、ニヤリと笑い絶命した。
「チ、やっと死んだか……思いの外にしつこかったな。そう言えばこの女、なぜ空を指差して……しかも笑ってやがる……」
サーシェスは刺された指の先を見る。
「貴様ァァァァァァッ!!!!」
そこには、バルディッシュをハーケンフォームに変えたフェイトがサーシェスに突撃してくるところだった。
「なるほど、そう言うことかァッ!!!!」
サーシェスは空に舞い上がる。
「今度は金髪のお嬢ちゃんが相手かッ!!!!」
サーシェスの持つリニアライフルの先に展開されたカーボンブレードとフェイトのバルディッシュが激しくぶつかり、スパークを上げた。
次回に続く。