サーシェスのカーボンブレードとフェイトのバルディッシュがぶつかり合い激しいスパークが走る。
「久しぶりだなぁッ!金髪のお嬢ちゃん!」
「何てことを……!許さない!」
二人は一度間合いを取る。
フェイトは周囲を見て改めて思った。
この惨状は地獄そのものだと……
局員をはじめ、その場にいた民間人までも全て殺されていた。
「貴様……これだけの事をしてどうも思わないのか?」
「別に何とも思わねェな。俺は人間の原始的欲求に従っているだけだからな……」
サーシェスの表情は正確には分からないが、フェイトはすぐに彼の表情が予想できた。
サーシェスは絶対に笑っている。と……
「歪んでいる。貴様の歪み!この私が断ち切る!」
フェイトがバルディッシュを構える。
「おもしれェッ!!!!掛かって来い!」
二人が再びぶつかり合った。
****************************************************************************************************
フェイトがサーシェスと交戦を始めて2分後、なのは達三人が現場に到着した。
「なんてことだ……」
「それにスゲェ臭いだ。」
広がる惨状に言葉を無くすシグナムと、人間を含めた色々なモノが焼ける臭いに不快感を露にするヴィータ。
「フェイトちゃん!」
その中で、サーシェスとフェイトの戦う姿をいち早く見つけるなのは。
「このままじゃ、フェイトちゃんもヤツに殺されちゃう!二人も行くよ!」
「了解だ……」
「おうよ!任せろ!」
シグナムはレーヴァテインをヴィータはグラーフアイゼン、なのははレイジングハートを構えた。
『フォトンブラスター……魔力エネルギーチャージ。』
「高町なのは!中距離火砲支援!行きまーーす!!!!」
次の瞬間、レイジングハートから桜色に輝く凄まじい砲撃魔法が発射された。
****************************************************************************************************
「テメェ、俺が歪んでいると言ったなァッ!俺を見るテメェの目も相当歪んでいるぞ!エェッ!同じ穴のムジナがァァッ!!!!」
「違う私は、貴様とは違う!」
「何を抜かした事を言っている!この間は年端も行かねェガキを戦場に引っ張り出していたじゃねェか!!?」
フェイトはサーシェスの言葉を聞いて、先日負傷したエリオと急性ストレス障害となったキャロの事が脳裏浮かんだ。
それによって彼女の動きが一瞬止まってしまう。
サーシェスは、フェイトが見せた一瞬の隙を見逃さなかった。
「馬鹿が!戦いの途中で動きを止めるヤツがどこにいる!」
「しまった!」
アグリッサの大型クローがフェイトを凪ぎ払う。
「キャッ!」
フェイトは咄嗟にバルディッシュで、サーシェスの攻撃を防ぐが体勢を大きく崩されてしまった。
「貰ったァァッ!!!!‼」
再びサーシェスがクローを振るう。
フェイトは死を覚悟した。
しかし、サーシェスのクローは突如として空を走った桜色の光で破壊されてしまう。
「今のはッ!!?」
「なのは!それにシグナムとヴィータも!」
二人が同時に砲撃魔法を放ったなのはの方を見た。
「チッ!新手かッ!」
「大丈夫ッ!!?フェイトちゃん!」
「うん、何とか……これで、後が無くなった!いい加減に観念しろ!」
フェイト達四人に囲まれ、万事休すのサーシェス。
先程までの激しい戦闘が嘘のように静まる。
時間が止まったように誰も動かない。
「さて、どうしたものか……アグリッサの性能でこの人数相手はさすがに骨が折れる。」
サーシェスは考えていた。
この危機的状況を打破する手立てを……
そして、スカリエッティの言葉を思い出す。
「そう言えば、旦那が言っていたな……強大な魔力を取り込む事でさらに強力なモノになれるって……」
サーシェスは持っていたレリックのケースを開けた。
中には赤く光る結晶体が入っている。
「何をする気だッ!」
「まさか、それをここで暴走させるつもりッ!!?」
「やめろォッ!!!!それがどんなに危険なモノか分かってんのか!!!!」
「知ってるよ。クライアントから色々聞いてるからな……」
「クライアント?貴様は誰かに雇われているというのか?」
「おっと、口を滑らせてしまったぜ……まあ、良いか。テメェ達は死ぬんだからよ!」
「この状況でか?笑っちまうよ……」
「お前……一番チビのくせに口だけはデカイんだな?」
「テメェ、アタシが一番嫌いな言葉を言ったな!ぶっ潰す!」
「ぶっ潰す……面白い事をほざくじゃねェか。この姿を見ても同じ事が言えるのか?」
そう言って、サーシェスは自身の胸元にレリックを押し付けた。
吸い込まれるようにレリックはサーシェスと同化する。
次の瞬間、サーシェスが苦しみだした。
レリックを自身と同化させるとは、相当な苦痛なんだろう。
この世のモノとは言えない、声を上げている。
「ち、チカラが……チカラが溢れてくるゥゥッ!!!!」
レリックを取り込んだサーシェスの身体を眩いばかりの光が包み込んだ。
「嫌な感じがする……フェイト!一気にヤツを仕留めるぞ!」
シグナムが剣型デバイスを自身の手にする鞘に納める。
「了解!シグナム!バルディッシュ!モード、ライオットザンバー!」
フェイトのバルディッシュは金色の刃を持つ一振りの大剣と変化した。
「ヴィータちゃん!私たちも行くよ!」
「おう!アイゼン!フォルム・ツヴァイ!」
ヴィータのハンマー型デバイスが変化する。
打撃部分に鋭利な突起物が着き、その反対側にはロケットブースターが展開した。
ブースターで加速してからの一撃必殺を狙っているようだ。
「レイジングハート!バスターモード!」
なのはのレイジングハートも杖型から砲撃型へ変形する。
「紫電一閃!」
シグナムはカートリッジをリロードすると、魔力を炎熱変換させ刀身に付与、サーシェスへ縦一文字の斬撃を繰り出した。
「雷光一閃!プラズマザンバー・ブレイカー!」
フェイトは高速の儀式魔法によって雷を発生させ、そのエネルギーをザンバーフォームの刀身に蓄積させたうえで、彼女自身とバルディッシュ・アサルトのカートリッジ全弾の魔力を重ね合わせ、雷光を伴った強力な砲撃として放つ。
「ラケーテン・ハンマーーァァッ!!!!」
ヴィータはサーシェスの装甲を一撃で撃ち抜くため、変形させたグラーフアイゼンの後方の噴射口から魔力を噴出させ、彼女はハンマー投げのように高速回転しながら対象に肉薄した。
「ディバイン・バスターーァァッ!!!!」
なのはは自身の主砲である砲撃魔法を放つ。
膨大な魔力を直接目標に向けて放出するという、シンプルながら高威力、長射程の攻撃魔法である。
四人は渾身の一撃をサーシェスに放った。
それぞれの攻撃魔法は全て直撃、大爆発を起こす。
凄まじい轟音と舞い上がる爆煙……
「やった!」
なのはは勝利を確信した。
彼女と目の合ったフェイトも頷く
煙が晴れるとシグナムとヴィータが姿を表す。
「やったね!ヴィータちゃん!」
「………………………………」
なのはがヴィータに声を掛けるが、彼女からの返事はない。
「?どうしたんだろう?」
「シグナムもどうしたの?」
フェイトもシグナムに声を掛けるが、ヴィータ同様に返事が返ってこなかった。
「残念だったな?ヤられたのは俺じゃなくて……」
「その声はッ!!?」
「まさか……ッ!」
「応よ!そのまさかさッ!!!!」
姿を現したのは、無傷のサーシェスだった。
四人攻撃が直撃する瞬間、サーシェスは接近したシグナムとヴィータを捕まえると二人を楯にして、なのはとフェイトの砲撃魔法から身を守ったのだ。
非殺傷とは威力は絶大……
シグナムとヴィータは、魔力ダメージにより意識がない。
「そんな……」
「あり得ない……」
希望を打ち砕かれ、絶望に染まる二人の瞳……
「それに、その姿……」
そう、煙の中から現れたサーシェスは先程までの“アグリッサ”の姿では無かった。
オレンジ基調の装甲色、頭部はV字アンテナに赤く光るセンサーアイ、左腕部には小型の砲が一門、右肩には一振りの巨大な実体剣がマウントされており、両腰には大型のスカートアーマー、背中からは深紅の粒子が翼のように出ていた。
「手に入れたぞ。ガンダムのチカラ……待ち望んだチカラだァッ!!!!」
「ガンダム……」
「あれが……」
「さて、第2ラウンドと行こうか!」
サーシェスはツヴァイになったことにより、出力が上がり、それに伴い上がった腕力でシグナムとヴィータを残っている二人に投げつける。
「シグナム!」
「ヴィータちゃん!」
飛んで来た二人をなのはとフェイトはかろうじて受け止めた。
その隙に巨大な実体剣……“GNバスターソード”を構えたサーシェスが二人目掛けて突っ込んできた。
「次はこっちの番だァァァッ!!!!」
次回に続く。