スーパーロボット大戦Y   作:やまもとやま

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15話 使徒の力

 戦いの準備は整った。

 ミサトは斬り込み役の弾幕機の発射を指示した。

 

「弾幕機発射しました」

「さて、いよいよね」

 

 ミサトは最終確認のために、甲児に連絡を入れた。

 

「甲児君、いよいよよ。準備はオッケー?」

「ああ、今の集中力ならどんなやつにも負ける気がしねえ。任せてくれ」

 

 甲児は集中していた。鋭い視線をモニター上の使徒に向けていた。

 

「くどいよだけど、もう一度確認するわね。エリア17、A-3に入ったら、弾幕機より790フィート低空から使徒に接近、あとは敵のパターンによって柔軟に対応してもらうことになるわ。使徒が直接狙ってくる場合は、地上にシールドを張り巡らせているからそこに降りて。そうでない場合は弾幕機で出来るだけ引き付けるから、低空から飛び込んでちょうだい」

「了解」

 

 甲児は頭の中でシミュレーションをしながら、出撃の時を待った。

 

「マジンガーZ発射カウントダウン入ります」

 

 マヤの合図でカウントダウンが始まった。

 

「5、4、3、2、1」

 

 カウントダウンが到達すると、ミサトはマジンガーZの発射を告げた。

 

 すると、ジェットスクランダーが火を吹いた。マジンガーZは発射台を高速で移動して、上空へと射出された。

 モニターを見ていたシンジはまっすぐとマジンガーZを追いかけた。シンジにできることは応援することぐらいだった。

 

 マジンガーZはまっすぐと使徒のほうに向かって飛んで行った。

 

 戦いは一瞬で決まる。作戦予定時間は45秒。

 この短い間にすべてが決まる。

 

 作戦はいたってシンプル。マジンガーZで使徒に接近。至近距離からブレストファイヤーによって使徒を殲滅する。

 

 シンプルだが、簡単ではない。

 使徒はかなり強力な光速に近い攻撃手段を持つ。

 直撃すると、マジンガーと言えども大破する可能性があると指摘されている。

 敵の攻撃をかいくぐるためには、おとりの無人機で目くらましをするか、敵の攻撃を回避するか、シールドで守るしかない。

 

 エリア17にはいくつものシールドが配置されている。

 シールドは大きなビルのようにそびえており、太陽フレアの放射にも耐えるとされている。

 そのシールドの物陰に隠れれば、使徒の攻撃を防ぐことができる。

 

 あとは、シールドを利用しながら使徒に接近する。

 簡単そうに見えて難しいオペレートだった。

 しかし、経験豊富な甲児にとっては、難なくこなせることだった。

 

 マジンガーZは使徒の索敵範囲内に入った。

 

 甲児は使徒が目視できるところまでやってきた。

 甲児の目はいい。地上の豆粒のような使徒を発見することができた。

 

「おいでなすったな。おれのマジンガーと一戦交えるってんなら、命の保障はしないぜ」

 

 甲児は使徒を目視しながら、モニター上の使徒にも目を向けていた。

 使徒の動きから、使徒が標的にしている物体を予測することができる。

 使徒はおとりの弾幕機のほうを見ていた。

 

 弾幕機は使徒に近づくなり、バルカン砲の準備に入った。

 しかし、使徒はそれよりも早く攻撃に移った。

 

 使徒の目が点滅したかと思うと、次の瞬間には、弾幕機が大破した。

 間近で見ると、より理不尽な攻撃だった。

 

「なんだありゃ、ピカ、ドンじゃねえか」

 

 光ってドカン。まさに、甲児が言うようにピカ、ドンだった。

 しかし、甲児は冷静に見ていた。

 

「ミサトさんの情報によると、攻撃後、エネルギー充填に18秒かかるって話だったな。なら、おとりが機能してくれたら何とかなるぜ」

 

 マジンガーZの囮には2機の無人機がついている。次の無人機が18秒後に撃ち落されるとすれば、次の18秒までにはケリをつけることができた。

 甲児はその18秒に集中した。

 

 甲児の読み通り、使徒は18秒の充填後、無人弾幕機に破壊光線を繰り出した。

 おとりはこれにより大破。しかし、これにより18秒の時間の猶予ができた。

 

「オッケー。11秒でケリをつけるぜ」

 

 甲児は11秒でケリをつけることができるという自信を持って、マジンガーZを急降下させた。

 あまり速度を出し過ぎると、使徒近辺に着陸できない。しかし、減速が早いと、時間以内に間に合わない。

 

 甲児は絶妙なタイミングで着陸態勢に入った。

 使徒はマジンガーZを捉えていたが、充填の時間の間は攻撃できなかった。

 

 その間に、マジンガーは使徒に対してゼロ距離を取った。

 オペレーション室では、ミサトらがマジンガーの戦いを見守っていた。

 

「頼むわよ、甲児君」

 

 ミサトは甲児にすべてを託していた。もし、マジンガーZが倒されると後がなくなる。保険の無い一発勝負だった。

 

「いくぜ。食らいやがれ、必殺のブレストファイヤー!」

 

 甲児は叫びながら、ブレストファイヤーのトリガーを入れた。

 マジンガーZの胸元が輝くと、超高温の熱波が繰り出された。

 

 ブレストファイヤーは光子力を用いた超エネルギーにより繰り出される火炎である。

 光子力研究所の最高傑作であり、その威力は原子爆弾より強い。

 

 ブレストファイヤーから生み出される熱量は、摂氏30万度にもなる。

 本来なら、すべての金属が昇華する。しかし、超合金Zはこの熱量をシャットアウトすることができる。しかし、その熱量を耐えることができる時間は約7秒であり、それ以上の攻撃をするには冷却が必須となる。

 7秒間にすべてがかかった。

 

 ブレストファイヤーは使徒を捉えた。

 使徒は業火に包まれた。周囲の酸素が一瞬で消え失せるすさまじい火炎。

 周囲の金属が一気に空気中に掻き消えた。どす黒い煙に包まれた。

 

「オッケー。これに耐えられる金属はそうそうないはず」

 

 ミサトは半ば勝利を確信した。

 ATフィールドを打ち抜いて、使徒はあとかたもなく昇華したはず。

 

 だが……。

 

「うわっ」

 

 甲児は突然強い衝撃を受けた。

 使徒の破壊光線がマジンガーZを捉え、マジンガーZは爆風に包まれた。

 その爆風でジェットスクランダーが破損した。

 

 甲児はすぐに破損状況を確認した。

 とりあえず、コックピットは無事、動力部も損傷が見られなかった。しかし、超合金Zの大部分が剥がれ落ちるほどのダメージだった。二度目の攻撃を受けるとまずかった。

 甲児は焦りを覚えながらも、きちんと時間を把握していた。

 

「まずいぜ、あと7秒後に追撃が来る。何とか逃げねえと」

 

 甲児は何とか使徒から離れようとしたが、ジェットスクランダーが破損していた。逃げるには足で走るしかなかった。

 

「間に合え!」

 

 マジンガーZは滑り込むようにして盾の物陰に飛び込んだ。

 直後、使徒の攻撃。

 

 破壊光線がシールドを大破した。攻撃は防いでくれたが、シールドは一撃で使い物にならなくなった。

 シールドが大破し、マジンガーZの姿が再び、むき出しになった。

 

 使徒はまっすぐとマジンガーZを見据えていた。

 これまで、進行を邪魔するものだけを攻撃していた使徒だったが、パターンが変化したらしく、まっすぐとマジンガーZを対象に攻撃を仕掛けようとした。

 

「まずいわ」

 

 ミサトも焦っていた。使徒の装甲にダメージが見られるものの、使徒の動きが停止していない。使徒はブレストファイヤーの攻撃に耐えたようであった。

 

「甲児君、後退! シールドに隠れて」

「お、おう」

 

 強気の甲児も防戦に回るほかなかった。

 

「囮を出して。急いで。アッシマーもオートパイロットに切り替え、急いで」

 

 ミサトは急いで指示を出した。

 しかし、おそらく間に合わない。

 

 ミサトは詰めの甘さを後悔した。最悪の事態を想定して囮をもう少し多く用意しておくべきだったと思った。

 いや、誰がこうなることを予想できたか。ブレストファイヤーをもろに受けて耐えるなどと誰も予想できない。

 

 ミサトはボスに連絡を入れた。

 

「おや、ついに俺様の出番か?」

「マジンガーZがピンチなの。急いで救助に向かってくれる?」

「なにー、甲児のやつ、しくじったのか?」

「無人機を送るまでに8分以上かかっちゃうわ。このままじゃ間に合わない」

「ならば、俺様が行くしかねえな。任せろ、1分以内に駆け付けてやるわさ」

 

 ボスはボロットの操縦桿を力強く引っ張った。

 

「ボロット発進! 行くだわさ!」

 

 ボロットはロボットとは思えないほどの速足で駆け出した。

 ボロットは柔軟性の高い足腰を持っている。小さくて軽いゆえに、人のように駆け出すことができる。

 その身軽さが功を奏して、本当に1分でマジンガーZのもとに駆け付けることができた。

 

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