【完結】ステラのまほう/百武照攻略実況   作:兼六園

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STAGE 1-9

 第1巻完結、俺たちのゲーム制作はこれからだ! なゲームの実況プレイはーじまーるよー。

 

 前回は修羅場を経てゲームを作り上げたところで終わりましたね。今回はイベント会場で渾身の作品を販売するところから再開です。

 

 曲を6つも作り上げた歌夜は夕方まで爆睡してるので今回の出番はありません。

 そんなわけでイベント会場の現場にやってきました。しかし早速ですがハプニングが発生、体調を崩した椎奈が会場を目の前にして帰宅する事態になってしまいます。

 

 ──まあ、これは椎奈の策略なんですがね。彼女は面倒事があると都合よく体調を崩す特殊能力を持っているのでした。

 

 んだらば椎奈から荷物を受け取り、三人でイベントへ。椎奈こと部長から賜った荷物には、たまちゃんに装備させられるウサ耳カチューシャと、主人公くんが装備できるファッションアイテムがランダムで一つ入っています。

 

 ブースの設営を済ませたらたまちゃんにカチューシャを装備させ、燎原くんもアイテムガチャをしましょう。何が出るかな、何が出るかな。

 デデデデンデンデデデデン(ライオン)

 

 

 ──はい。なんというか、マイアミでホットラインしてそうな鶏のマスクが入ってました。無駄にリアルなのが怖すぎるっピ! 

 

 ……大抵のファッションアイテムは見た目が変化する際に反応も変わるので、ゾンビマスクとかだと普通に引かれるのですが……たまちゃんとあやめの反応がんにゃぴ、あんまり変わらないのでレアリティで言えばノーマルですかね。

 

 ちなみに最高レア扱い出来るアイテムは犬耳か猫耳のカチューシャですね。隠し補正で好感度上昇の数値が1.2倍される凄いやつです。

 

 では鳥類と化した燎原くんをセンターに据えてイベント開催。彼はホームページもねぇ! ポスターもねぇ! なクソ雑魚ブースの良き客寄せパンダとなってくれることでしょう。鶏なのに。

 

 途中、例のテマワリ先生の新作を求めて現れた裕美音が人混みに呑まれていったり、知人にゲームを配りにあやめが離脱するので素人二人で頑張ることになりますが、NPCたちは我々をチラチラ見てくるだけで寄っては来ません。

 冷やかしかァ!? お前らさっき俺が着替えてたときチラチラ見てただルルォオ!? 

 

 

 人が寄ってこないなんて……何かがあったに違いない……! とすっとぼけていると、ようやく客が一人やってきましたね。

 一部くださいとのことで、ついでにスケブを頼まれました。いえ……キャラを描いたのはたまちゃんなので……と横にキラーパス。

 

 暫くしたら取りに来ると去っていくので、以降の客の対応は燎原くんがやります。

 

 すると一人の社会人っぽい格好の女性がやってきますが、この人は社会人のコスプレをした百武照です。後輩が上手くやれているかの確認をしに来たのでしょうが……いやあその……あなたアレですね、スーツが絶望的に似合ってない。

 

 まあ彼女が百武照なのはプレイヤーしか知らないので、恐らく燎原くんもどっかで見たことあるような雰囲気しか感じ取れていないかと。

 

 などと言っていると、イベントも終わりの時。交換で9部、売れたのが4部、そのうち一つが裕美音が買った分なので売上で言えば微妙なところさんですが……素人の集まりでこれなら十分でしょう。といったところで今回はここまで。

 

 次回、Chapter2突入。お楽しみに。

 

 

 

 

 

 ──自作のゲームを知り合いに売り込みに行った関さんがブースから離れて数分。

 ようやく売れた1部のついでにスケブを頼まれたたまが、俺の顔……頭を見ながら一言。

 

「ねえ、りょーくん」

「なんだ」

「それ、ちゃんと見えてる?」

「ああ……意外と視界は良好だ」

 

 部長から(たまわ)ったウサギの耳を模したカチューシャを着けているたまとは裏腹に、俺が使っているのは、嫌にリアルな鶏のマスク。

 顔全体を覆うもちゃんと周りが見える辺り、見た目に反していい素材なのかもしれない。

 

「なんかちょっと怖いよ……」

「そうか?」

「なんだか呪われてそう」

 

 リアルさが恐怖を掻き立てるのか、たまは俺の顔を見ようとしない。ふと、いたずら心が湧いて、俺はマスクを外す素振りを見せた。

 

「──っ、と、取れない……!」

「えっ!? だ、大丈夫!?」

「……冗談だ」

 

 さしものたまでも少しばかりイラついたのか、脇腹を指でつつかれる。

 

「む──っ!!」

「いた……くはないな、悪かったよ」

「……りょーくんも冗談とか言うんだね」

「わりと言うだろう」

「そうかなぁ」

 

 疑心暗鬼のたまに、俺は返す。

 

「……ほら、緊張解けただろ」

「──へっ?」

「スケブを頼まれて嬉しい、でもまだ自信がない。そんなところか」

「……あう」

 

 図星を突かれてシュンとするたま。俺は雑に頭を掻き乱すように撫で回して続ける。

 

「それを頼んだ人もたまの絵を好きだと言ってくれただろう。俺も『絵が上手い』と言われるより、『この絵柄が好きだ』と言ってくれる方がずっと嬉しい。昔、たまが俺の絵を褒めたときもそう言ってくれたから続けてるんだぞ」

 

「……うん、そうだよね」

 

 たまは何か得心が行ったように雰囲気を和らげると、スケブを描く作業を続ける。

 その傍らでやって来た別のお客様に対応しているとき──眼前のビジネスマンのような女性に、妙な既視感を抱いた。

 

「……あの、どこかでお会いしましたか」

「────いやあ、どうかな。私は鳥類のお友だちは居ないからわかんないなぁ」

「居たら驚きですよ。すみません、最近会った誰かと雰囲気が似ていたので」

 

 会釈──今の俺ではくちばしで机を突くような動きになるが──をして、女性から料金を受け取りお釣りを返す。暫くして戻ってきた関さんが俺の顔を見てぎょっとしつつ、ブースに座る俺たちは終了の放送を耳にした。

 

「交換で9部、買ってくれたのが4部……うち1部は身内贔屓としても、まあ……上場だな」

「そうですね。俺もたまも、いい経験ができたと思いますよ、関さん」

 

 スケブを請け負ったたまが本人にそれを返している様子を見つつ、荷物を片付ける。

 どこか引き気味の関さんが俺の顔を見ながら、一拍置いて恐る恐る口を開いた。

 

「……ところで、いつまでマスク被ってんの」

「………………と、取れない……!」

「犬井! 嘘をつけ!」

 

 

 こうして、初めてのゲーム制作とゲーム販売という稀有な時間が終わりを告げたのだった。

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