同人制作は遊びでやってんじゃないんだよ! なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は部長の家でたまちゃんとはーちゃんのゲーム制作にスパートを掛けたところで終わりましたね。今回はその直後から続きます。
あれから深夜1時を回りましたが、こんな時間にチャイムが鳴りました。ウワ──ッ! 敵襲!(2回目)。何事かと部長と共に正体を探ると、外にいたのはたまちゃんと燎原くんの同級生こと飯野 夏……
門限までに帰るという決まり事を破って夜中まで人んちに転がり込んでるので、身内も夏もカンカンです。残念でもないし当然。
そんなこんなではーちゃんは、夏率いる飯野家が乗ってきた黒塗りの高級車(ガチ)にハイエースされてしまう……。よし、寝るか!*1
……はい。突然の襲撃にガチビビリしている部長に引っ付かれつつ、翌日まで倍速。
土曜の部室で歌夜とたまちゃんと一件の会話をしていますが、夏いわくはーちゃんは高校生活中の部活を禁じられたらしく、このままではゲーム制作が出来なくなってしまいます。
曲を依頼されている歌夜に悔しくねえのかよ! と聞くも、ちょっとだけ? と返されました。ふん、意図せずダジャレになったわ。
『しょうがないもんはしょうがない』で完結させる歌夜では戦力にならないので、たまちゃんと燎原くんはあやめを連れてはーちゃんの元へ向かうことにしました。ど~けどけどけどけ~、根性の無い奴はどけ~(たづなさん)。*2
──Iri§先生メイクが出来ないあやめは戦力になるのかという疑問があるでしょうが、たまちゃんはちゃんと説明すればはーちゃんも関あやめ=Iri§先生だと気づいてくれるだろうと希望的観測をします。いえ、はーちゃんは単行本9巻の段階でもまだ気付いていないので……。
などと不安になりながらも飯野家に到着。飯野夏と水葉はガチな方のお嬢様なので、お家もクソでか屋敷です。余談ですがたまちゃん宅はこれの1/5程度らしく、燎原くんのところはそんな本田家の半分くらいの大きさですね。
それから中に通され居間に案内されると、夏がお茶の用意をしていました。
ちなみに燎原くんたちを案内した飯野家で給仕……メイド? をしている女性・田山は、前回言った村上母を狙ってる例のレズです。*3
……と、何はともあれ対話の時間です。
厳しいご家庭の飯野家では度々はーちゃんが門限や成績のあれこれで怒られており、今回でいよいよ夏も庇いきれなくなったのだとか。古いしきたりによそが文句を言うのは筋違いとはいえもう少しこう、何というか……手心というか……。
要するに『とにかく部活は認めん。飯野家のブランドに傷がつくからな……』ということです。
プロでもないのにたかが絵に意地になるもんでもないでしょ、と諭されますが……シン!!!!! この……馬鹿野郎!!!!! たかが絵に本気になるから創作はいいんだろうが! 遊びでやってんじゃないんだよ!!*4
──こ、このガキ……さっきから黙って聞いてりゃ勝手放題抜かしやがって……!
そのうち登場する新たなヒロインにドハマりして生主限界オタクになるクセによ……!
などと憤っていると、ようやくあやめが重い腰を上げて反論に出てくれました。
たまちゃんだとレスバで負けるし、そもそも燎原くんは性格的に
じゃあなんで来たんだよこいつ……というツッコミは、原作準拠ストーリーモノのオリ主に言うのは野暮ってもんです。
そんな関あやめのパーフェクト創作教室を聞きつつ、ポエムめいた語りにトゥンクしているはーちゃんを画面に納めておきます。
冴えない眼鏡から繰り出されるIri§語に脳が混乱してますねクォレハ。
あやめが行った説得に夏も反応を変え、彼女はじゃあと折衷案を出します。
田山に持ってこさせた当時小学生だった頃の文集を今のあやめに朗読してみてくれと提案してきましたね。創ることが出来る自分が誇りなんだルルォ!? という挑発にも取れます。
そうしてデスポエム(言う方も聞く方も死ぬの意)が始まりますが……フルで聞いたら私も死ぬので倍速で飛ばします。*5
夏はあやめ渾身のポエム朗読に免じて、はーちゃんが部活をやれるよう説得してくれることを確約してくれました。その代わりに出されたゲーム制作続行の条件とは……。
といったところで今回はここまで。Chapter2も残りわずか、ではまた次回。
──関さんのポエム朗読をそれとなく聞き流しつつ、湯気の立つお茶を音を出さずに啜る。
家で飲むお茶と味が近く、これなら某店のようかんが合うだろう。
「──は、辱しめを受けた……」
「ドンマイ」
「ん……終わったか」
ここ暫く、ことある事にIri§先生の黒歴史的な部分を刺激され悶えることの多い関さんだが、今回ばかりは頑張ったと言わざるを得ない。
田山と呼ばれた給仕さんに慰められている彼女をよそに、俺は湯飲みを机に置く。
「それにしても本田珠輝の保護者。あんたなんで何も言わなかったのよ」
「水葉。犬井くんね、名前覚えなさい」
不満げに頬を膨らませる水葉に飯野が窘める。目配せで構わないと伝え、口を開く。
「俺は単なる付き添いに過ぎない。そもそも──門限を破り成績もよろしくないお前が悪いだろう。創作に本気になるのはいいが、それはやるべきことをやってからするべきじゃないか」
「……ぐう、姉さんと同じ事を……!」
正にぐうの音もでないらしい水葉。だが、俺とて絵を描いているからといって、それ以外を疎かにしているわけではない。
関さん──もといIri§先生の作品をゲームにすると意気込んでいる以上、大言壮語になられては困るのだ。たまの教育に悪いのでな。
「──全く、好きな作品に情けない姿は見せるものではないだろう。これからは、家のルールを守って絵を描くんだぞ?」
「……わかってるわよ」
つん、と水葉の眉間に寄ったシワを突き、俺はばつが悪そうにしながらもむず痒そうに口角を緩める彼女と似たような表情を作る。
「そんじゃ、今回はポエム朗読してくれた先輩に免じて、私から婆様にもう一回説得してみるけど──ただし、一つだけ条件」
びしっ! と指を立てて、飯野は水葉とたまに向けてくだんの条件を突きつけた。
「水葉と本田さんは今度の期末テストで全科目70点以上取ること!」
「全科目!?」
「わ、私まで!?」
「本田さんは前のテストのときも結構点数悪かったでしょ!」
難題な条件に戦慄する二人だが、満点を取れとでも言われていないだけかなり妥協されている。飯野はきっと、水葉の普段の成績も鑑みているのだろう。流石は姉といったところか。
「……ってあれ、りょーくんは?」
「俺のテストの平均点は80前後だ」
「う、裏切り者……!」
「裏切った覚えはない」
早速とテスト範囲の復習を始めさせられているたまを尻目に、俺は荷物をまとめて立ち上がる。おや、と声を上げたのは飯野だった。
「どしたん犬井くん」
「俺はそろそろ帰らせてもらう。スーパーの特売日なのでな」
──そう。もうすぐ近場のスーパーでタイムセールが始まるのだ。卵10個入りが1パック50円とあっては、買わない理由が無い。
「そっか。んじゃ、本田さんはうち預かりで」
「ああ。電車に間に合う時間に合わせてくれ」
ポエム朗読で力尽きた関さんも帰るらしく、二人で廊下を歩くと、給仕の──田山さんが玄関まで案内してくれた。
先に外へ出た関さんを見送り、俺は靴を履いてから田山さんと向き合う。
「なにか」
「先ほどのお茶ですが、あの味なら──店のようかんが合うと思いますよ」
「……そうですか、試してみます」
「では、また。たまと水葉には頑張るよう伝えておいてください」
会釈して、それから改めて外へ出る。
田山さんの顔にはどこか諦めを感じ、どこか乾いた感覚を覚えた。存外、部長のお母様なんかと相性が良いのかもしれないなどと考えながら、俺はスーパーへと小走りで向かうのだった。
──主婦のパワーが凄まじく、2パックしか確保できなかったのは余談である。