STAGE 1-1
攻略対象が出てくるのがだいぶ先なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は縛りやシステムの説明やらキャラクリやらで終わりましたので、今回はSNS部に入部するまで進めようと思います。
それでは高校デビュー初日、たまちゃんちよりは小さいがそれでも大きい方な武家屋敷風の自宅からスタートです。
あとは電車通学の本田珠輝、布田裕美音の二人が来るまで玄関先で待機します。
実はこの時点で学校に行く前に河川敷に向かうと低確率で百武照が居るのですが、まだSNS部に入部していないので所詮は他人。挨拶をしたところで警戒されて終わります。あの人自分が普通と違うことを自覚してるので。
──と、来ましたね。
他愛ない会話をして好感度を微量に上げつつ、どんな部活に入ろっかな~(すっとぼけ)と話を膨らませます。裕美音はイラスト部に入ることが確定しますが、幼馴染補正や主人公の初期設定によってはSNS部に入れることもできます。
初期から【イラスト】や【シナリオ】のレベルがそれなりにあるため、主人公のスキルレベル上げをサボっててもゲーム製作イベントを成功させやすいです。そもそも居ないことが前提なので入れなくても問題ないのですが。
まあ原作とは違うif展開に発展♂させるのもゲーム版の醍醐味なのでね。
……そろそろ学校に着きますね。
入学式のあとは部活を見て回り見学したりすることが出来るので、SNS部で【イラスト】のスキルレベルを上げることを加味しつつ、DTM研や演劇部に顔を出して【サウンド】と【シナリオ】の熟練度も増加させておきましょう。*1
では入学式が終わるまで倍速。
──はい、たまちゃんと裕美音の二人とは一旦散ッ! して個人で部活を見ます。
この時間にDTM研に行ってもSNS部の音担当こと藤川歌夜は居ないので、適当にモブと会話をして別れます。あとは演劇部に行って【シナリオ】の熟練度を上げて……外で二人と合流。
んだらば最後にくだんのSNS部を訪れて会話を発生させましょう。「ピーシーカタマッテル!」といった名言(名言?)を回収しながらも、たまちゃんと裕美音がゲームをしているのを後ろで観察しつつBGMに耳を傾けておきます。
今回は百武照の攻略までにたまちゃんと歌夜も攻略するつもりなので、この辺で音楽分かってる感を醸し出しておきましょう。音を聴け、音を(ライブハウスの壁際に寄り掛かってる人)
SNS部作の同人ゲームを後ろで見ていると、会話が進んで同人ゲームとはなんぞやといった話になりました。要するに面倒くさいし難しいし人手(特にイラスト担当)が居ると嬉しいけど、無理強いしたくないな~ということです。
大変ですよと語るトーンに無機質さがありますが、許してあげてくれ、
ともあれ一度その場から離れて他の部を見ることになりますが、PRが終わる頃にはたまちゃんの心ここにあらずといった様子になりました。
本当はSNS部に入りたいんじゃないの? 正体見たり! って感じだな。
本心に従わないなんて各方面に失礼だよね、オラッ入部! 大学中退! 入部!*2
手作りゲームで……笑顔を……が根底にあるたまちゃんはSNS部に入ることを決意したようなので、私も便乗して入部しましょう。
老け専でファザコンのたまちゃんはちょっと独特の絵柄をしているので、燎原くんに可愛い絵柄を描かせることで中和させます。
ちなみにスキルレベルでのゲーム製作の成否は、めちゃくちゃ分かりやすく言うとゼノブレイド2のフィールドスキルと同じで、その時のSNS部全員の合計スキルレベルで判断されます。*3
まさかゲーム内容にリアルの画力や文章力、音楽やプログラミングを求められるわけないでしょうよ。──と思っていましたが、リアル画力を求められるMODを開発したアホは居ました。
PCにペンタブを繋いで実際に絵を描くシステムを導入するのですが、何を隠そうMOD開発者本人の画力が壊滅的だったんですよね。
奴は明らかにぜんまいざむらいの必笑だんご剣にしか見えない落書きを頑なに乖離剣エアと言い張る精神異常者でした。私は眼科を勧めてそっと通話を切りましたが。
──と、話題が逸れ始めた辺りで今回はここまで。次回、SNS部。そして
──今日から高校デビューということで、新品の制服に身を包んだ俺は、幼馴染が来るまで玄関先で待機していた。
ぼんやりと玄関の靴を見れば、そこにあるのは俺のスニーカーを除けば親父の靴のみ。映画監督で色んな作品に引っ張りだこの母さんの靴はここ一ヶ月は見ていない。
……寂しい、とは少し違う。仕事で忙しいということはそれだけ人気である証拠である。誇らしくはあるが、今日ようやく高校生になる息子の勇姿を拝まず仕事を優先する様は、世間の
逆に、エコノミークラス症候群にならぬようにと、日に一回は散歩に出ろと強く言ってある小説家の親父は、意外にも近所から好評であった。親父は散歩以外で滅多に外出しないせいで色白だが長身の男なのだ、言わんとしていることはわかる。とはいっても一応は既婚者なので、
……両親のことは、尊敬している。ただ、俺は、何か奇跡的な事が起きるでもない限り、小説家にも映画監督にも、成るつもりは無い。
──などと薄暗い感情がふつふつと湧いてきた辺りで、何年も前から聞き飽きたくらいに耳にした声が、玄関越しに届いた。
ガラリと横に扉をスライドさせて外に出ると、そこには星ノ辻の制服を身に纏った少女が二人。彼女らは、中学の頃は滅多に会えないでいた、懐かしの幼馴染であった。
「りょーくん、おはようっ」
「ああ、おはよう。たま」
「りょうくーん? 私も居るんだけど?」
「別に無視した訳ではない……裕美音」
所々の毛が跳ねた髪を後ろで一纏めにし、サイズが大きくぶかぶかの制服を着た少女──本田珠輝が、人懐っこい笑みを浮かべながらやや舌っ足らずの声で俺を呼ぶ。
その隣に立つ少女──布田裕美音は、たまに挨拶した俺に無視されている訳ではないとわかっていながらも、わざとらしく拗ねていた。
「本当かな~、りょうくんってたまちゃんにゾッコンだし。はっ……寡黙系誘い受け!?」
「急にハッスルしないでくれるか」
裕美音がいつからこうなったのか理解に苦しむが、彼女は男同士の恋愛とやらが好みらしい。だからといってたまを男ということにして俺と絡める創作をするのはやめてほしいものだが。
「──そろそろ行くか。親父、行ってくる」
仕事の執筆作業に移ると周りの声が聞こえなくなるため、返事は待たずに外に出て扉を閉める。鞄を肩に提げて通学路を歩くと、俺の隣で歩を合わせるたまと裕美音と雑談を挟んだ。
「りょーくんのパパ、お仕事忙しいの?」
「最近は映像化ありきの内容を期待されているらしい。ただ、締切はまだ先だそうだ」
「プロのお仕事は大変そうだねぇ」
そう言って、しみじみと裕美音が締めた。
親の仕事の話を俺が好ましく思わないことを知っているからか、それから裕美音はとぼけたように話題を切り替える。
「ところでりょうくんとたまちゃんはどの部活に入るの? 私はイラスト部だけど」
「どうせなら三人で入って天下を取るか」
「三等分したら天下ちっちゃくならない?」
「たまちゃん、問題はそこじゃないと思うよ」
天然気味のたまに裕美音が指摘をする。俺も両親の仕事と同じ道は歩まないと子供心で反発してずっと絵を描いてきたが、であればそれでプロの道に行くのかと問われると、些か返答に困る。
だが、まあ、なんというか。
たまか裕美音が居るならそこで良いと考える程度には、絆されているのだろう。
──入学式を終えて部活PRの時間となった午後、たま達と別れて部活に顔を出していたが……俺は俺の諦めの悪さに呆れていた。
DTM研と演劇部に顔を出し、結局入ることはないという冷やかし。かつてミュージシャンを目指したことがあるらしい親父の影響で下手の横好きだが音楽を聴くとはいえ自身で音を生むという行為に興味があるわけでもなく。
かといって演劇部に入りたいという訳でもない。ついぞ魅力的な部を見つけることも出来ないまま、二人と合流することになった。
「りょーくん、どうだった?」
「最悪帰宅部になる」
「見つからなかったんだ……」
仄かに香る畳と抹茶の匂いからして恐らく茶道部にも行ってきたのだろうたまが、自分のことのようにガックリと肩を落とす。
「と言ってもね、私もこれだ! っていう部活が見つからなくて……これならほんとに三人でイラスト部に入るのも良いかも?」
「たまちゃん、りょうくんの天下を取るって流石に冗談だからね?」
──わ、分かってるよ! と本当に分かっているのか怪しい返答をするたまだが、いよいよ時間が迫ってきていた。
ともあれ入学初日に入る部活もなく帰宅部で終わるのは、中学の焼き直しでしかない。
最初からイラスト部と決めていた裕美音に習い、最悪たま共々厄介になればいいかと辺りを見渡すと──不意に、視界の中にどんよりとした空気を纏った人物を捉えた。
「……裕美音、あれはなんだ」
「えっ? ……あー、なんだろう」
「ねっ、ちょっと行ってみようよ」
興味本意からか、たまがそのどんよりとした空気のなかに突貫して行く。なんとなく脳裏に『好奇心は猫をも殺す』ということわざが浮かんだが、きっと気のせいだろう。
「こんにちは」
「──へっ? ああ、はいはい!」
「何をする部活なのですか」
代表して俺が問い掛けると、机に突っ伏していた眼鏡の少女が慌てる。すると、隣に座っている気だるげな少女が説明を始めた。
「ここは同人ゲームを製作する部です。既作品なら遊べますよ」
「同人……なるほど、自主製作ですか」
「はい。PCにもプロモ動画が流れて……」
身を乗り出してパソコンの画面を覗き込むが、画面には暫く前から何も映っていない。
「──PC固まってる!?」
「落ち着けしー! お茶こぼれる!」
「……大丈夫なのか……?」
……少しして、大慌てで再起動されたパソコンに映るゲームをたまと裕美音が遊ぶこととなった。後ろで画面を観察しながら、俺はぼんやりとBGMを聞いている。部員が製作したのだろう拙さを感じるそれは、しかしてプロのモノとはまた違う──気取った言い方をするなら『味』があるのだ。
俺はこの曲が嫌いではない……が、担当は居ないのか。もしかしたらDTM研の方に居るのかもしれない。きっとすれ違ったのだろう。
そして二人のゲームプレイも終わり、渡されたジャケットを片手に少女たちの会話を聞く。同人ゲーム──要は素人同士の合作なのだろうそれに、たまは興味を持った。
しかし気だるげな方の少女に「大変ですよ」とバッサリ言い切られる。嫌味や敵意があるのではない、ということはわかる。寧ろ逆……心配されているのだ。
「うーん、私はイラスト部に入るから難しいかも。たまちゃんとりょうくんはどう? 昔から絵を描いてるんだし、適任かもよ?」
「……わ、私の絵なんてそんな、作品に出来るようなレベルじゃないし……」
「そう気負わなくてもよいのですが……まあ、無理強いはしませんよ。そちらの方は?」
ちらりと、俺を見て呟くような小声で語りかけてくる。たまが入らなくても俺が入ればそれで済むのかもしれないが、たまのあの悩み方は『自分なんかが勤まるのか』という悩み方だ。──きっと、この部に必要なのは俺ではない。
「ひとまず保留、ということで」
「そうですか。わかりました」
とはいえ、なにも今決めなくてはならない訳ではないし、あとから違う部に変えることも出来る。焦る必要は無いということで、今回は保留にするのも悪い判断ではない。
そうしてPRの時間も終わり、部員の少女達に会釈してから離れて校内を歩く。
──俺と裕美音の間でとぼとぼ歩くたまは、本当にわかりやすくて、少し面白い。
「たま」
「……ん? どしたのりょーくん」
「本当はあの部に入りたいんだろう」
「……でも、私パソコンで絵なんて描いたことないし……入っても何も出来ないよ」
「そうか。ところでこれは独り言だが」
「えっ?」
校門の方にゆったりと歩きながら、横のたまを見るでもなく、あくまで独り言を呟く。
「俺が絵を続けているのは、個人的な意地以上に、たまが俺の絵を好きと言ったからだ。良いんじゃないか? 理由なんて、単純でも」
「理由なんて、単純……」
「昔、よく双六なんかを作ってただろう。あれだって立派なゲーム制作だと思うが」
そう。理由なんて、単純でいい。
あのゲームだって、難しい思想や思惑があって作られたわけではないのだろう。
「──りょーくん!」
ハッとした様子のたまに手を握られ、ぐいぐいと引っ張られる。興奮冷めやらぬ紅潮した顔が、あの部に入りたいと語っていた。
「えっと……私、やっぱり……!」
「わかってるよ。悪い、裕美音」
「はいはい、すぐそこで待ってるから。早く行かないとあの人たち帰っちゃうよ~」
ひらひらと手を振り、さっさと行けと暗に言われる。俺はたまの腰に腕を回して、脇に抱えて駆け出した。わあああああ!? という気の抜ける声を聞きながら、先程の所まで走って行く。
「もし、よろしいですか」
「おや……先ほどの」
「おっ、1年生」
「……あの、あなたは?」
たまを下ろして立たせると、見慣れない人物がなにか話していた。金髪のツインテールを揺らし、首にはヘッドホンが掛かっている。
「私はここ部員で2年の藤川ですっ、ゲームでは音担当なんだけど聞いてくれた?」
「さいですか。見学してて曲に集中してましたが、よい音でしたよ」
「おお、わかってくれる? そっちの子はどうかな」
「あっ……私は……ゲームに熱中してて音楽聞いてませんでした」
それを聞いて、音担当の……藤川さんはスッと表情を暗くする。直後、からからと笑って気にしていないような顔をした。
……あれは明らかに気にしている顔だった。プライドが高い、というよりは自分の仕事に誇りがあるのだろう。それを『聞いてなかった』と言われては、面白くないのも分からなくはない。
「それで、戻ってきた理由は?」
「……ほら、たま」
「うん。あの、ゲーム作りのことで……さっきこの絵を描いた人が居るって言いましたよね? だから、その人に教わりながらなら──」
「あー……いや……言いづらいんだけど、その人──先輩って、もう居ないんだよね」
えっ、というたまの声。
そのまま眼鏡の少女が続けた。
「この部も一年前にその先輩が作った部でさ、私たちを集めてゲームを作ろう……なんて言い出して。絵も企画もマネジメントも全部一人でやってのけたんだけど、もう卒業したんだ」
「──で、今では三人でやってるんだ。絵描きもリーダー張れる人も居ないし、どうしもんかなーって悩んでたとこ」
新入部員も居ないしねー、と、若干の諦めた顔。そんな三人を見ながら、俺は言い淀むたまの背中をぐっと押して一歩押し出す。
「あのっ──私が、新入部員になります!」
前のめりにそう言って、たまは力強く頷いた。まさか入ってくれる人が居るとは本気で思っていなかったらしい三人は、驚きつつも嬉しそうな雰囲気でたまを歓迎する。
「では、俺も保留の件を撤回して、新入部員その2になろうかと」
「おおー、大歓迎だよー! 二人とも絵描き担当ってことでいいの?」
「はい。俺とたまはイラストを担当しようかと。どちらにせよたまは……」
眼鏡の少女と気だるげな少女に早速と絵を披露するたまを横目に、俺は疑問符を浮かべて小首をかしげている藤川さんに続ける。
「あの子が?」
「たまは、絵柄が独特なんですよ」
──完成したらしい、劇画タッチの渋い男の絵を描くたまを見て、俺はそう言った。
自慢気に絵を見せるたまに邪気がないからこそ、そういう絵柄なのか……と思うだけで、そのことを指摘するのも憚られる。
「……では、明日からよろしくお願いいたします。あー……藤川さん」
「ああ、うん。よろしく……」
たまを除く俺たち四人全員が、渋い絵柄への反応に困っていたのは余談である。……しかし、部の創設者が卒業していたとは。
いつか会ってみたいものだが──くだんの先輩の話題を口にしたとき、藤川さんの顔が僅かに渋くなったのは、気のせいなのだろうか。