文化祭まで残り2日な締め切り間近のゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は温水プールで遊んだところで終わりましたね。今回は後日の学校から再開です。
廊下でばったり遭遇した歌夜と話をしつつ、たまちゃんが作業する時間を愛しのパッパとのゲームで浪費してしまったとのこと。
あんまり怒った様子ではない歌夜に訝しむたまちゃんと燎原くんですが、歌夜はさっさと諦めてしまう人が嫌いなだけで、ちゃんと努力しているたまちゃんを怒るわけないんですよね。
そんなわけで勉強風景は倍速して歌夜の視点に。残り2日で6曲作らないといけない彼女は、現在18時なら1曲3時間で行けるな! とデスクにかじりつきますが、気がつけば22時でした。
ちなみに手っ取り早い集中力を高める方法はうんこを我慢しながらやることです。これは意外とマジなので試してみてください。*1……*2
漏らしとらんわ。
んだらば翌日。部室で仮眠から目覚めた歌夜を気遣う部長とたまちゃんは間に合わないなら使い回せるから無理するなと助言するも、この手の創作者は却って意固地になるタイプなんですよね。
このまま泊まり込んで部室で作業する我々と違い家の機材で作業する歌夜は帰ろうとしますが、プロ意識に固執する歌夜に部長はまず〆切を守ってクレメンス……とマジレスをします。
これに藤川、キレた──!
ハァ……ハァ……敗北者?*3
おいやベーぞ喧嘩だ喧嘩だ! 出あえ出あえ! 上様がこのような所に来られるはずがない! 上様の名を騙る不届き者だ!
ここで死ねばただの徳田新之助! 我ら幕臣あっての上様ではないか!
腹を切るのは拙者ではなく上様である! 上様、お手向かい致しますぞ!*4
……ちょっとピキッと来た歌夜は、一時期絵描きを目指していた部長がペンタブを手放した事を指摘して反論しますが、STAGE1-5Aで渡されたペンタブを使わなくなったからと誤魔化していたので、その事実をたまちゃんは知りませんでした。
気まずくなって部室を出ていった部長とそれを追ったたまちゃん、そして残ったあやめが歌夜に注意しています。えっ、燎原くん?
…………額の青筋が破裂寸前です。
キレてる? って聞いたらいやキレてないっすよと返ってくるレベルでキレてます。*5
人の趣味嗜好関連の言い争いなんかが琴線に触れたのか、燎原くんはわりと本気でぶちギレる寸前でしたが、なんとか耐えていますね。うわあ急に落ち着くな!(デスノートコラ)
それでは部長と歌夜を仲直りさせましょう。しますさせますさせませんってか(TAS)
階段辺りでたまちゃんと話をしている部長は、かつては絵描きを目指していたけれども、今はプログラムを書けてゲームを作れているのは凄いことでは……と話をしています。人には得て不得手があるからまあ、多少はね?
……と、盗み聞きしていた所で二人に見つかりましたが、お互いに言い過ぎたということで、これにて歌夜と部長は仲直りできましたとさ。などといったところで今回はここまで。
次回、文化祭当日。
なお帰った歌夜はテンションが上がりすぎて何故か9曲も作ったりそのまま気絶するように寝ますが気にしなくていいです。
──息を吸う、四秒留める、息を吐く。
それを数回繰り返して、頭の中で沸騰しそうな感覚を押さえ込む。
「────歌夜」
「……っ」
自分でも驚くほどに低い声が出て、呼ばれた本人とその隣の関さんがビクリと跳ねた。
「部長も部長だけど、貴女にも言い方というものがあったでしょう」
「……そりゃ、まあ……」
気を抜くとカッと苛立ちが勝りそうになり、改めて数回深呼吸。それから、歌夜さんの腕を引いて部室を出ようとする。
「謝りにいきますよ、関さんは入れ違いになると困るので待っていてください」
「あいよー」
「えっちょっまだ心の準備が」
問答無用と引きずり、背中越しに関さんに見送られていった。廊下を歩いて少しして、歌夜さんはゆっくりと語り始める。
「……確かにペンタブ関連の話をしたって本田ちゃんは村上さんに申し訳ないと思うだけだろうし、私も嫌みっぽかったのは悪いけど」
「はい」
「でも、村上さんだって、絵を描けるようになりたいって一年前言ってたんだよ。別に私が、村上さんの将来に口を出すのは違うけどさ」
──諦めたことは事実じゃん、と。歌夜さんは悔しそうに言った。
なるほど、歌夜さんがプロ意識に固執する理由は、その辺りにあるらしい。
「妥協するのは、そんなに嫌ですか」
「……プロ目指す前に、手元の〆切を守るのは大事だってわかってるよ。でも──君だって私の夢を応援してくれるじゃん。だからこそ、妥協なんて、したくなかった」
歌夜さんは俺に腕を掴まれたままぼんやりと歩き、そんな言葉をこぼす。
ふと、階段の近くに人の気配を感じて、俺は歩みを止めてゆっくりと近づく。
「……たぶん部長とたまですね。静かに」
壁に近づいてそろそろと歩き、声が聞こえる範囲まで近づくと、二人の声が聞こえてきた。
「──ずっと前は、私も絵が描けるようになりたいって思ってたんです。
プログラム自体は小学生の頃、親のパソコンで教わったのがきっかけでした。
でも、あの頃は絵を描いている時間の方が多かった……と思います」
部長のお母様も、確かその手の仕事をしていたのだったか。拙い喋り方で、部長は続ける。
「本田さんと犬井さんのように上手に描けるわけでも、藤川さんのようにプロを目指しているわけでもなくて……絵も、こんな風景とか」
「わっ、色が淡くていいですね……!」
会話の流れで部長が自作をたまに見せているのだろうというのはわかるが、なにやら隣で歌夜さんが小さくむくれている。……嫉妬か。
「私が絵を見せてって言ったときは見せてくれなかったのになぁー」
「信用ならないからですよ」
つい辛辣に返してしまったが、事実として歌夜さんはどこか纏う空気が軽薄なのだ。などと言っている裏で、部長が続ける。
「……人には出来ることと出来ないことがあって、私には絵は向いていなかった。それでもプログラムを書けて、皆さんとゲームが作れる。それって、凄いことだと思うんです」
そう言って話を締め括ったのか、こちらに近づいてくる二人。何故か慌てて逃げようとする歌夜さんの腕を掴んで、階段の方に引っ張り出した。はた、と鉢合わせた部長と歌夜さんは、一瞬気まずそうにして──諦めたように笑みを浮かべる。
「──ごめん、さっきは空気悪くしちゃった。〆切前なのに、不真面目だったよね」
「……いえ、私も、わざとトゲのある言い方をしてしまったかと……」
そうした会話を皮切りに、二人の間には朗らかな雰囲気が流れる。これで解決だ──と一区切りつけようとした折、ふと、たまが俺に近づいてくると心配そうに見上げて言ってきた。
「ねえ、りょーくん。怒ってる?」
「────。ああ、少し」
「そ、それって部室のアレのせい?」
「……そうだな。あのくらいで心を乱した俺に、少し苛ついている」
もっと感情のコントロールをして、冷静に物事を見られるようにしなければと、そんなことを考えながら──俺は明るく会話をしている部長と歌夜さんの背中をそっと見るのだった。
──その後、何故か6曲ではなく9曲送ってきた歌夜さんに触発されて部室の中でたまたちが負けじと盛り上がったのはまた別の話。
今頃、限界が来て眠りに就いているのだろう。手の掛かる娘に呆れる親の感情を若くして体験している自分が少しおかしく感じて、俺は三人を見ながら小さく笑った。