STAGE 4-1
燎原くんの戦いも4巻に突入したゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は文化祭で無事にゲームを流行らせコラ! したところで終わりましたね。
今回からChapter4、SNS部も新たなゲームを制作すっぞ! なところから再開です。
ちなみに本来なら英語の補習をするたまちゃんがついでにネットに自作の絵を載せる話があるのですが、本筋とそこまで関係ないのでバッサリカット。余談ですが燎原くんのSNSアイコンは鶏マスクを被った自撮り画像です。*1
あやめが今のメンツで作ったゲームももう2作目だし、新たな挑戦をしよう! とのことで、今度はフルボイスにしようぜとかなんとか言ってきました。アカン歌夜が死ぬぅ! 音響担当が死ぬねんそんな発案されたら!
案の定座った姿勢でぶっ倒れた歌夜の『ボイス……収録……トリミング……マスタリング……ドラゴヴィッチ……クラフチェンコ……シュタイナー……』という呻き声は無視しましょう。*2
前に先輩の手伝いでボイスドラマを作った時に色々と苦労したらしい歌夜の"やりたくねぇオーラ"を感じつつ、素材の音量がバラバラだと苦労するならじゃあキャラクターごとに音量調節出来るようにすればいいじゃん! とのこと。そんなことしたら部長が過労死しちゃうだろ!
続けてぶっ倒れた部長こと椎名を燎原くんが介抱しつつ、あやめは燎原くんの横で座っているたまちゃんに意識を向けます。
なんだかんだ自作の絵に声が付いたらいい……よくない? という流れになりますが、たまちゃんは渾身のおじさま絵に声が付いたら……いいなあ! とこちらをチラッチラッしてきます。
…………いや、やんないよ。【ボイス】のスキルレベル上げるつもり無いし……。
ですが今の〆切でフルボイスなんて不可能、ということでこの話は終わり! 閉廷!
……となる所さんでしたが、歌夜の主題歌ならまだしも……という失言により、あれよあれよと主題歌を作ることになりました。このやる気をシナリオ制作にも向けてくれたらという部長のぼやきはあやめには聞こえていません。
そいだば次の問題は作曲は歌夜が適当にどうにかするとはいえ、じゃあ誰が歌うかという話なのですが、知将あやめの案によりこの場の誰かが歌えばいいじゃんとなりました。なんで……?
──カラオケバトルの時間だ、コラァ! ということでやって来ましたカラオケ店。
歌夜を審判として我々四人で競い合うことになりましたが、歌に消極的な部長は最後にやるらしく順番が繰り上げになります。
1番手のあやめがノリノリで選んだ曲は………………なんと言えばいいんですかね、サンホラの曲調で青椒肉絲を作る歌でした。みんなが困惑しているのをよそに歌いきったあやめは一仕事終えたような顔をしています。
2番手のたまちゃんは恥じらいの混じった小声で可愛らしく歌っていますが、これ古い年代のハードボイルド系のアニソンなんですよね。
そして3番手の私こと燎原くん。私自身はドスケベ音頭しか歌えないと以前別のRTAかなんかで言いましたが、人は日々進化中……聴かせてやるぜ、渾身のアニソンってやつをよぉ!!
──ぐあああああああ!!(音波に吹き飛ばされ壁に激突する音)*3……*4……*5
……燎原くんが主題歌担当になると【ボイス】の熟練度が上がってしまうからと微妙に下手な感じで歌い、無事(無事……?)に微妙な点数で終わりました。決して採点で負けた燎原くんが闇のゲームのルールに則ってダイレクトアタックされたわけではありません。
そして真打ち、4番手の部長の歌ですが…………選んだ曲はイントロで終わりました。そんなに歌いたくないのか……(困惑)
とかなんとかやりつつ、
──後日、たまちゃんは歌夜作曲の主題歌を収録するべく音楽練習室を借りましたとさ。
といったところで今回はここまで。今回も短めなので、今週中に4-2を更新します。ではまた。
──部室棟地下の音楽練習室にて、歌夜の作ったゲームの主題歌予定のそれを歌うたまを、俺は彼女の隣で聞いていた。雑音が入らないようにとついつい無意識に口許を覆っていると、収録が終わったのか歌夜がたまに声をかける。
「……うん、OK! お疲れ本田ちゃん」
「たま、タオルと水だ」
「ふぅ~終わったあ……、藤川先輩もお疲れ様です。りょーくんもありがとっ」
ハンドタオルと自販機で買った水を手渡し、収録した先程のたまの声を早速と聴いてみた。
『~~っ、~~~♪』
「ほう、ほう……なるほど」
「わあ……おお……。私ってこんな声で歌っているんですね」
「ははっ、自分の声って、録音して聞くと自分の耳で聞いてる声と違うから驚くよね~」
からかい混じりに、録音されていたらしいさっきの会話をリピートする歌夜に、妙な恥ずかしさを覚えたようでたまが止めている。
「歌夜も、もしかして自分の声を録音して聞いたことがあるのか?」
「…………はっはっは、なんのことやら」
ふい、と顔を逸らす歌夜。どうやら図星なようで、それきりたまの声で遊ぶのはやめた。
「…………んん?」
「たま? どうかしたか」
「──い、いや。なんでもないよ」
どこか疑念の目を向けてくるたまに質問するが、誤魔化された。なにかおかしいことを言った覚えはないのだが……まあ、いい。
それはそれとして、もじもじと体を捻ってからたまは歌夜を見て口を開いた。
「あの、藤川先輩っ。私やっぱり恥ずかしくって……誰にも聞かれたくないというか」
「うーん……まっ、本田ちゃんは歌が本職じゃないしね、仕方ない仕方ない」
「……では、今回はボツにするのか」
「ん。この曲は私の家で永久保存するだけにしとくよ…………ってあら、自前のUSB無いや」
──んじゃあとりあえずこれで、と言って歌夜は音楽練習室に置かれていたUSBをパソコンに差し込む。全て終わったということで三人で部屋を出ると、おもむろにたまが俺の袖を引いてきた。
「……なんだ?」
「りょーくん、藤川先輩と距離近いね」
「────、ああ。そうだな」
「…………むむむむ」
距離というよりは以前より気安くなっただけだが、と訂正する必要は無いだろう。
俺はむんむんと言いながら脇腹を小突いてくるたまを連れて、教室へと戻るのだった。
──歌夜は音楽が本職だからと信用していたせいで、雑に選んだUSBが『放送部用』の物だと気付かなかったことを、俺とたまは数分後に後悔することになる。
『DTM研のオススメコーナーも、今日で早くも10回目となりました~!』──そんな放送を教室のスピーカーで聞きながら、俺はたまと裕美音の三人で昼食を取ろうと集まっていた。
「りょうくん、たまちゃんっ。お昼一緒に食べよ」
「ああ。いいぞ」
『本日もビストロによる選りすぐりの曲を集めたUSBメモリから1曲ご紹介~!』
「…………USB……?」
ちり、と脳裏を過る嫌な予感。弁当箱を持って、たまがこちらに駆け寄ってきた──瞬間。
「私ももうお腹ペコペコで────」
たまの言葉に被せるように、スピーカーから、音楽練習室で収録した歌夜作曲のたまの歌声が流れてきた。ピシッ、とたまの動きが固まり、教室中の視線が彼女に集まる。
「うにゃああああああああ!?!?!?」
「たっ、たまちゃ────ん!!」
「…………そりゃあ、逃げるよな」
恥ずかしさが限界を超えてその場から逃げ去るたまを、俺が咎められるわけがなかった。