【完結】ステラのまほう/百武照攻略実況   作:兼六園

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STAGE 4-2

 新たなメンヘラ兼ヒロイン候補が登場するゲームの実況プレイはーじまーるよー。

 

 前回はたまちゃんの歌の収録と音声公開羞恥プレイをしたところで終わりましたね。

 今回は後日、関あやめが参加するオンリーイベントに着いて行くところから再開です。

 

 他サークルとのオフ交流も兼ねているため今回のあやめは久しぶりのIri§先生モードなので、当然のようにIri§ガチ勢はーちゃんも参戦しています。もちろん私も同行する(ガバ要院)

 

 そんなこんなで待ち合わせをしているあやめの元にはーちゃんと共に参りましょう。

 はーちゃんはオンリーイベントの内容であるアニメのコスプレをしているのですが、正直よくわからん羽の付いた帽子とか付け尻尾とか謎アクセのを身に付けていました。なんか足んねえよなあ? もっと腕にシルバー巻くとかさ!*1

 

 えっ私? 

 ……男なら鶏マスクのみで勝負せんかい! 

 

 んだらばIri§先生~! と近付き合流します(片やコスプレ、片や妖怪鶏ヘッド)

 どうやら今日のイベントを機にはーちゃんにIri§先生=関あやめであることを知らせる意図もあるようですね。それはそれとして、『アリとな』……『()()シャ()()球体関節』なる作中作の二次創作イベントは楽しみにしているそう。

 

 Iri§先生は主人公と弟子キャラのBLを推しているらしいですが、はーちゃんは原作至上主義なのでBLは地雷です。危うく踏み抜く直前で話題を避けた彼女は本能的に長寿タイプ。

 

 はーちゃん曰く『原作にない描写を邪な目線で捏造するのは良くないと思う』とのこと。

 その通りだガリアード、お前の言っていることは全て正しい。

 でも私含めて二次創作者が死ぬからあんまり表立って言わない方が良いよ(致命傷)

 

 

 などと言いつつイベント会場へ。

 Iri§先生はオフ会で知り合った友人のサークルに挨拶に向かいたいとのことですが、はーちゃんはその話題が彼女が以前ブログで小説を書いていた頃の話だと知っていました。

 

 わりとマジのドン引きをしているIri§先生に、はーちゃんはあっけらかんと『Iri§』でググって25ページ辺りでブログを発見したと言っていました。ドエレ──"COOOL"じゃん? 

 

 ですがそんなことはどうだっていいんだ、重要なことじゃない。大事なのはIri§先生がオフ会友達に会えば名前で呼ばれるだろうということ、それをきっかけにIri§先生=関あやめだとはーちゃんが知ることが大事なのです。

 

 ……まあ、普通に考えて本名でオフ会なんてSyamuさんでもやりませんからね。

 残念ながらそれとなく本名を呼んでもらおう作戦は互いにHN(ハンドルネーム)しか知らないという本末転倒ぶりを発揮して失敗に終わりました。

 

 そもそも燎原くんに本名で呼ばせれば良いのでは? とお思いのホモも居るでしょうが、Iri§先生自身がそういう提案をしてくれば良いだけかと思われているでしょう。

 言っておくと、はーちゃんは単行本9巻現在でもまだ正体を知りません。あな恐ろしや。

 

 ──作戦に失敗しながら歩みを進めていると、遂には『アリとな』のBL島に到着。

 原作至上主義とはいえBLも立派な二次創作、なんでも試してみるもんさ。と進言する雑食オタクIri§先生のお言葉にはーちゃんも考えるところがあるご様子。

 

 ちなみに燎原くんは幼馴染にBLのモデルに勝手に使われた過去があるのでそういう創作は耐性が高い方です。などと話していると、Iri§先生が一部購入したBL本の作者が何を隠そうサークル参加していたユミーネ様こと裕美音でした。BLの話題あるところに姿あり、妖怪かなんか?*2

 

 突然の邂逅とはいえ裕美音が居るならチャンスとばかりに、Iri§先生は裕美音にジェスチャーを送ります。が、Iri§先生=関あやめという方程式をBL方面に解釈した裕美音は、『関あやめの趣味がBLだとバレたくない』という意味で誤魔化していると勘違いしたのか、Iri§先生渾身のヘルプを「人違いでした」と無慈悲に切り落としました。救いはないんですか……(ドトウ)

 

 

 ──そんな一幕もありつつ、イベントの時間も進みます。サークル参加の裕美音はその場に残り、我々三人で先へと進むと、そこにはIri§先生が会うつもりだった最後の友人がおりました。

 

 更には友人殿の隣には『アリとな』のヒロインのコスプレをしている女の子が座っていました。友人のいとこらしい女の子の格好は完コピと言ってもいいクオリティ、はーちゃんは適当に合わせたモノ。その差は歴然でした。しかも鼻で笑われるおまけ付き。*3……*4

 

 ウッキー! 今年は申年ィ! と暴れる寸前のはーちゃんを取り押さえつつ、完コピ少女とお話をしましょう。別にぃ? 普段アニメなんて見ないしぃ? と若干お口が悪い感じですが、他のお客から写真を求められたら完璧な角度でポーズを披露しています。本当は何度も見返してるんじゃないの? 正体見たり! って感じだな。

 

 

 ──そう、何を隠そうこの子が新たなメンヘ……ヒロイン、池谷(いけたに) 乃々(のの)ちゃんなのです。

 詳しい説明はChapter4中盤で再度登場した時にすることにしましょう。乃々ちゃんは乃々ちゃんで……んまあそう、色々と"濃い"ので。

 

 といったところで今回はここまで。次回は新作ゲームのプロットを練ります、お楽しみに。

 

 

 

 

 

 ──関先輩もといIri§先生の友人に会うべくサークル巡りをして暫く、俺はあまり詳しくないが、どうやら『アリとな』のヒロインのコスプレをしているらしい少女に水葉が鼻で笑われているのをよそに、押さえ込みながら会話を続行していた。

 

「今、アイリスさんって星ノ辻高だよね? こいつは星ノ辻の中3なんだよ」

「おっ後輩なのか~。学内のどっかで会うかもね、よろしくな」

「……はあ、どうも」

 

 そっと握手を交わした二人を見て、俺の腕から逃れた水葉がその様子に噛みつく。

 

「アンタもっとありがたがりなさいよ偉大なるシナリオライターIri§大先生との握手を!」

「……大先生、なの?」

「いや、そんな……」

「6月に出されたノベルゲームなんて80周してもまだ泣けるんだから!」

「なんで持参してるんだ」

 

 俺の呟きと、Iri§先生が突然の裏切りがごとき不意打ちに噴き出すのは同時だった。水葉が少女に俺たちが制作したいつぞやのノベルゲームを布教していると、Iri§先生の友人が口を開く。

 

「ノベルゲーム作ったんだ、すげーね」

「ん、ああ……高校でゲーム部が出来てさ、そこで集まってなんやかんや」

 

 Iri§先生の返しに相槌を打つ友人氏は、少女がパッケージを見ている横から顔を覗かせる。

 

「へぇ……ん、どした?」

「んー、絵が頑張ってる感じしてて好感持てる。悪くないと思う」

「おぉ。アイリスさん、部に絵描く子も居るの?」

「居るよ、本田さんって後輩と、そこの鶏」

「鶏です」

「すげーじゃん……あれ、その鶏マスク見たことある。こないだSNSに絵の投稿してなかった? なんだっけ、『猟犬』さん?」

「はい、猟犬です」

 

 すげー、すげーと誉めてくる友人氏から謎の握手を要求され応えつつ──本当ならIri§先生の素晴らしさの布教をしたかったのだろう水葉に注意を向けておく。パッケージを見ただけではストーリーなんて分からないのだから、絵に話題が移るのは仕方ないだろうに。

 

「んぎぎぎぎ……何よーっ! そのコスプレ可愛いと思ってやってるわけ!?」

「そりゃ思ってますけど? アリシャの姿になる以上相応の誇りがないと、嫉妬なら痛いです」

 

 もはや子供の喧嘩と化した会話。一旦締め上げた方が良いかと水葉に視線を向けた直後、横から颯爽と彼女に近づいたIri§先生が居た。

 

「こらこら僕の為に争わないで……美しい顔が台無しだよ……」

「せ、先生──っ」

 

『なんだコレ……』という言葉が顔に貼り付いているのが分かる少女と友人氏、そして俺もまたマスクの中で同じような顔になっている。

 どうにか場を納めつつ門限により退場した水葉を見送ったIri§先生だが……なんというかこう、どつぼにはまると言えば良いのか。

 

「……アイリス先輩でしたっけ? なんだか随分無理してましたね」

「昔は全然垢抜けない感じだったよねー? 高校デビュー?」

「正直ちょっとイタかったです」

「恐らくあれを本末転倒と言うのかと」

 

「いっそ殺してくれ……っ」

 

 少女、友人氏、少女と交互に指摘され、俺もまた現状を言葉にする。しかし、少女は率直に語ったそのうえでIri§先生に続けた。

 

「でも、カッコよかったですよ。あの人の理想を壊さないであげているんですよね。

 誰かの為に必死になるのって素敵だと思います。ゲーム、帰ったら遊んでみますね」

「乃々ー、行くよーっ」

 

 その言葉はコスプレも本気でやる少女からの惜しみ無い褒め言葉だった。

 だが、その自信満々の表情からは、どこか──強烈な()()()()を感じ取れる。

 

「それじゃ、またどこかで会えるかも」

「ああ、うん」

「鶏さんも、もう一人の絵描きさんによろしくお伝えください。……じゃ」

「わかった、伝えておく」

 

 ……あの子は、()()()。母親譲りの俺の観察眼は、乃々と呼ばれた少女から承認欲求と同時に危うさを感じ取った

 

 ──それはそれとして、残された俺たちに近づいてきた裕美音が、おもむろにIri§先生へと後ろから声を掛ける。

 

「あれっ? 関先輩、帰らないんですか? りょうくんも帰らないの?」

「俺はもう帰るが、Iri§先生……いや、関先輩がな……」

 

 関先輩は──泣いていた。どんどん収拾がつかなくなって行く現状と水葉の中の『Iri§先生像』が膨らむ様を見て、静かに泣いていた。

 

 

「帰れないよ──。ボクはもう帰れないんだ……関あやめには──」

「……おいたわしや」

*1
ちなみにアテムのシルバー推しは古代エジプトでは金より銀の方が稀少だったかららしい

*2
(妖怪は)お前じゃい!

*3
ハァ……ハァ……敗北者?

*4
乗るなはーちゃん! 戻れ!

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