BLは別に得意というわけではないんだけどね……なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は裕美音が仮入部したところで終わりましたね。今回は数日後から再開です。
裕美音と関あやめが一緒にシナリオを考えるということで、仲良く出来ていると良いんですが、なんか部室に入ろうとしたらあやめが創作なんてやめてやる──! とか言いながら出ていきました。なあに創作者の創作やめる宣言は大抵の場合本気じゃないから問題ない。マジでヤバイやつは何も言わずに消えるので。
事の発端は先日、新作ゲームのストーリーが『失われしBL同人誌のストーリーが本編の進行で明らかになっていく』という感じで進むことになり、そのBLのストーリーをあやめに担当させることになったのですが……撃沈してました。
あやめにとってBLとは創作のきっかけとなったサンクチュアリ、読むのは良いけど書くのはわりとまあまあ辛いのだ……となっています。創作してると結構な頻度で地獄の業火に焼かれる感覚になる、という感覚はわからなくもない。
ならばと裕美音と二人で話を考えるか……となるも、これ結局書かされてるだけじゃん! もうやだ創作なんてやめてやる──! という流れに繋がるのでしたとさ。*1……*2
裕美音はストーリー考えるのが恥ずかしい、あやめはBLで創作したくない。
これもう駄目じゃない? 終わり! 閉廷! 以上! みんな解散!
どうしてこうなってしまったんだ……何かがあったに違いない。そう! 裕美音はそもそも関あやめと特に仲が良いわけではないのである!
…………そういえばそうでしたね。
じゃあ駄目だわ(無慈悲)。と済ませるのもアレなので……やるか、裕美音とあやめの仲を深める交流会。そんなこんなで犬井宅に集まることになりましたので、んだらば倍速。
──次の休日、みんなが集まり最後にあやめが来るということで、チャイムがなったら対応します。……裕美音がな。行け! なんかいい感じの決めゼリフ!
>関先輩っ本日はようこそ『朝までBL鑑賞会』へ! ……君もう帰っていいよ(戦力外通告)
お前は……なんなんだよ! お前はなんなんだよおおおお!! ぶっちゃけ歌夜よりデリカシーないんだよなあユミーネ様は、YO!
逃げたあやめは燎原くんにさっさと捕獲させてtake2と行きましょう。……なんだぁ? 鶏マスクを着けた男がターミネーター走りしてあやめを捕獲して脇に抱えて家に帰ってきたただけだろ! 見せもんじゃねーぞ散れ散れ!*3
部屋に戻り気紛れで装備したマスクを外すと、逆に裕美音がIri§先生を模した紙製の仮面を着けていました。ここまで来るといっそあやめが可哀想になってきましたね。
どうして分かってくれないんだ! 可哀想は可愛いんだよ!(内なる飛電社長)
……はい、紆余曲折を経てBLアニメ鑑賞会となりましたが、特に語ることもないので倍速&カット。いやあ良い映画だったなあ……となりつつ、あやめのBL関連の話題に移行します。
中学の文芸部の頃から腐の友達とオフ会してたしてっきり裏で書いてたのかと、と部長に言われますが……あやめは家族に隠していた事もあってそういった話題は聞く専だったそう。
それから百武照とエンカウントして、色々と交流を経て今に至る……と。ところでこの回想とBLになんの関連性が……?
あ、ない。そっかあ……といったところでなんも進展してないけど今回はここまで。次回、新たな
──関さんと裕美音の親睦会は、あまり進展を見せないまま時間だけが過ぎていた。
「……どうしても駄目ですか?」
「アイデアくらいは出すけど……」
ガチャガチャとコントローラーのボタンとレバーが動かされて行く。
「私じゃ面白いもの作れないのにっ」
「書いてみなきゃわからんだろッ!」
画面の中でキャラクターが忙しなく動き、裕美音のキャラが関さんのキャラを圧倒する。
「私が作っても見向きもされないもん~っ!」
「評価される為に作るんじゃないだろ!?」
「あ、終わったか」
画面の中の、裕美音の操作キャラが勝利ポーズを取っている。格闘ゲームはあまり得意ではないが、モーションで翻る服の動きなんかを参考にするために買っておいたのだ。
──ただ、まあ。それはそれとして。
「あんまり騒がないでくれるか、一応、親父が隣の部屋で作業しているからな」
「あっ……ごめん」
「──いやいや、気にしてないよ」
「うぉわっ!?」
シャッ、と隣の部屋とを隔てる襖が開いて奥から親父が現れる。
驚いて座ったままのけ反る関さんの背中に押されて、部長が「ぐえ」と呻いていた。
「僕は気にしないけど、ご近所さんのことは気に掛けてあげてね」
「す、すいません……えーっと、犬井さんのお父さん、ですよね?」
「うん、犬井縁です。一応は小説家かな」
──いや、プロだろう。
「…………ううん」
「部長? どうしました」
「……ああ、いえ、犬井さんの名前は赤ではないんだな、と思いまして」
「なんで──ああ、三原色ですか」
親父が
「親父、まさか俺が産まれたときの候補に『赤』があったとは言わないよな」
「ははは、まさか。もし女の子だったら
「そうか……まあ、今の問題はそこではない」
改めて親父も席に混ざると、不意に裕美音が親父に質問を投げ掛けた。
「パパさん、小説……というか、物語ってどうやって作っているんですか?」
「ん? ああ……裕美音ちゃんたちは、なんだっけ。BL……男色家の話を作ってるんだよね?」
「大人に確認されるのだいぶキチィぞ……」
「あははは。あやめちゃん、あんまり気にしなくて良いよ。というか僕も男色家が主人公の小説を一つか二つほど書いているからね」
あっけらかんと親父は言うが、そうだったのか……流石に親の作品全てを知っているわけではないから、把握しきれていなかったらしい。
「え、マジっすか?」
「本当だよ、あとで貸してあげるから読んでみてよ。よかったら本屋でも探してみて」
「さりげなくマーケティングするな。それで親父、裕美音の質問に答えてあげてくれるか」
話がどんどんずれて行くため、指摘して話の本筋に修正すると、親父は悩むように言う。
「そうだったそうだった。うーん……どうやって話を作るかと聞かれても、そういうのは小説家によって千差万別だからねえ」
「そうなんですか?」
「──さっきの裕美音ちゃんの声は聞こえていたけれど、僕としては『評価される為に作品を作る人』は居ても良いんじゃないかと思っているんだよ、居ても良いんだ。
だけど、その作り方をするということは、作品が評価されなかったらその作品の全てが無意味になるのと、同義だとも思ってる」
「────」
親父の言葉に裕美音は、そしてSNS部のシナリオライターである関さんにも突き刺さる。
「僕が小説を書く理由が必ずしも裕美音ちゃんの作品を作る理由になったり、きっかけになるとは限らない。そもそも毎回プロットを考えたり資料を一から百まで揃えてるわけでもないよ」
「……親父は稀に、勢いで書いた作品を本にしている時があるからな。それでも一定数は確実に売れる辺りが恐ろしいのだが」
気まずそうに目を逸らす親父だが、やはりというべきか、結局のところ答えがあるわけでもなく、何かが解決したわけでもなく。
その日は解散し、俺は置かれたゲーム機やコップ、和菓子を乗せていた皿を片付ける。
「それにしても、燎原の周りには女の子ばかりだね。小さい頃からたまちゃんや裕美音ちゃんが横に居た記憶があるよ」
「かもしれんな」
「いやあ、今の燎原を見てると、同じぐらいの時の碧さんを思い出すね」
「……母さんを?」
うん、と言って親父は懐かしむような表情を作り俺と向き合うように座り続けた。
「碧さん……お母さんもそれはもうモテにモテるタイプでね、先輩後輩男女関係なく囲まれていたよ。教師にも大人気だったかな」
「……まあ、なんとなく想像出来るな」
母さんは恐らく、無意識にカリスマを発揮してしまう人間だ。その立ち振舞いと言動に、どうしようもなく惹かれてしまうのだろう。
そういう意味では、もしかしたら、照さんは母さんと少し似ているのかもしれない。
「しかし……結構クセの強い子揃いだったね、気になってる子は居るのかい?」
「親父、あんたも母さんじみてきてるぞ」
「いやいや気になるだろう、息子の女友達だぞ? ほら……男同士腹を割って話そうじゃないか……今なら日本酒を三本空けられそうだ」
「くそっ、圧が強い……!」
──果たして、なんとか親父の質問責めを捌けたのは幸運と言う他ないだろう。
そんな親父は宣言通り日本酒を三本飲み干して潰れていたが、それは俺の責任ではない。
──後日、裕美音と共に廊下を歩いていると、イラスト部の近くをうろつく小柄の子を見つけた。俺と裕美音を視認すると口を開いた。
「ここの方ですか」
「俺は違うが、こっちは部員だ」
「あの、イラスト部に何か用ですか?」
「ああいえ、前に見学をしたことはあるんですが、絵は苦手だから肩身が狭そうで……」
「あ~~~…………」
あはは、と愛想笑いをする裕美音。
確か今のイラスト部では、面白い話で漫画を作れとか無茶振りをされているのだったか。
「──なので、去年できたばかりっていう同人ゲーム制作の……SNS部に入れたらなって思って、探してるんですけれど……」
そう言って俺と裕美音を見る後輩だろう少女には、見覚えがあった。確か……いつぞやのイベントで関さんに着いていったときにコスプレをしていた──乃々と呼ばれていた子だ。
俺の顔を見てもピンと来ていないようだが──そういえばあの時は鶏のマスクで顔を隠していたな、と思いながら、不思議そうに小首を傾げる乃々