新ヒロインの属性はいつものメンヘラなゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は裕美音とあやめが熱いパトスをぶつけ合ったところで終わりましたね。
今回はSTAGE 4-2で登場したコスプレっ娘が見学に来たところから再開です。
彼女はここ星ノ辻の中学3年5組で、中高一貫ゆえに高校の部活に入ってもオーケーな制度を利用して見学にやって来ていました。
あやめを発見していつぞやの……となりますが、空気を読んだのか指摘はしないでくれました。女子力オーラが眩しすぎる。
そんなコスプレっ娘こと
乃々は裏で動画配信をしており、結構な人気者です。しかしその行動の動機は、仕事で家を空けがちな両親から得られない愛情を欲したがゆえの承認欲求から来ているんですね。
性格は狡猾で強か、注目されるならそれはそれでヨシ! と炎上も許容するタイプなので、ある意味で危険だったりします。めちゃくちゃ分かりやすく言うと燎原くんが
とはいえ、燎原くんはそれでいて事情がわかればめちゃくちゃ甘やかすでしょうね。
そんなこんなで乃々に制作したゲームで遊んでもらうことになり、パソコンをセッティング。
とはいえ普通に遊べば20分弱で終わるゲームをサクッと終わらせれば15分くらいで終わってしまいます。乃々の顔には『短い……』と書かれていますね。いいだろお前同人ゲームだぞ。
……と、ゲームをプレイした乃々ですが、イラストやシナリオ、サウンド、プログラムで事足りているところに、彼女は声優を募集してないかと提案してきました。
そう、彼女こそがスキル【ボイス】に関連するヒロインだったのです。まるで追加戦士みたいなポジションしてんなお前な。
とは言ったものの、声の収録は音担当の歌夜が乗り気ではないんですよね。曰く、音量がバラバラだと揃えるのが大変らしいです。
乃々が自分も加工できるとは言いますが、家で録ってもノイズ混じるしなぁ~と返す歌夜に、彼女はあるものを見せます。それはなんと、音楽練習室を使える優待券でした。これは歴史ある部にしか配られないゴールドチケットだそうです。はぇ~すっごい(適当)
物で釣られた歌夜はいやーいっぺん声録りたかったんだよねえ! と手のひらギガドリルブレイクしていますね……。音楽系の部活をしていたのかと聞かれた乃々は演劇部に居たことを明かしますが、裕美音が演劇部は声の加工なんてしないと推理します。妙だな……(バーロー)
もしかして自分で歌ったやつ投稿してたりする? という指摘に、乃々は顔を赤くしながらも否定しました。言っておくと投稿してます。
早速録音するかァ、テンション上がるなぁ~(偽ひろし)と乃々を連れて音楽練習室に向かう歌夜を追いかける途中、燎原くんとたまちゃんは部長に優待券ってそんなに凄いのかと聞きますね。
部長も以前、歌夜から『音楽や演劇系の部なら余るほど貰えるけど、DTM研は同好会だからあんまりもらえない』と聞いているそうです。ついでに言うとSNS部も『部』を名乗ってはいるけど書類上は同好会らしいです。
そんなこと、知りたくなかった……。
……はい、んだらば乃々の実力を拝見いたしましょう。たまちゃんに即興で書かせた制作予定のゲームのセリフにアフレコしてもらいますが…………いやあ、配信者やってるだけあって上手いですね。『歌ってみた』の動画が数日で5桁再生行くくらいの上手さです。*1
収録も程々に、そろそろ撤収するかーとなりましたが、場所取りの時間はまだ残っているのでそれならと歌夜が作った曲を歌ってみることになりました。
すると、乃々は曲が動画サイトの人気曲だという覚えがあったらしく、もしや……と歌夜のハンドルネーム『
乃々はSingnaこと歌夜が有名な作曲家であると知ってかテンションを上げるも、そのわりにSNS部って知名度低い……低くない? しぐなさんのネームバリューがあればすぐ人気出せるじゃんアゼルバイジャンとマジレス。しかしそれが、逆に藤川歌夜の逆鱗に触れた!
といったところで今回はここまで。次回、乃々の本性が明らかに? お楽しみに。
──いつぞやのイベントで顔を見た少女、池谷乃々の収録も終わりを迎えた頃。
池谷が歌夜の事を『Singna』と呼んだ辺りから、歌夜の纏う空気が変わった。
「しぐなさんは有名ですけど、SNS部ってあんまり有名じゃないですよね……?」
「ここでは小規模にやってるからねぇ」
「あ、あのっ! しぐなさんの名前をもっと押し出して、中規模なゲームを作って公開すれば、もっと広く人気が出ると思うんです!」
「────いかん」
池谷の言葉を耳にする度に、どんどんと歌夜の目付きが冷ややかになって行く。
以前から何度か似たような状況を見てきたからなんとなく察するが、歌夜は──
「私はさぁ、人気とか評価のために曲を書いてるんじゃないんだよ。そりゃ伸びれば嬉しいけどそれはあくまで結果であって、創作者としてこう、心の底から出し切ってこそ自分の子であり作品足り得るというかさ……わかる? ──評価されること自体を目的に書きたくないんだよ」
「ヒュッ──す、すみません……っ」
「あーいや、謝る必要は無いんだけどさ」
さーっと顔を青くする池谷は謝っているが、そもそも歌夜は怒っているわけではない。
自分の考えとは違う創作を行いたくないだけなのだ。それだけだからこそ、普段の態度に戻るだけで切り替えが早いと評されるのだろう。
あれやこれやと練習室を出て放課後、完全に萎縮している乃々に余った優待券を返して歌夜は続けた。意識して行っているわけではないからか、あの態度からこの態度に切り替えられると、俺でも少しばかり妙な感覚を覚える。
「ああそうだ、池谷ちゃん、優待券あんがとね。でもこれは次の機会までそっちで持ってて」
「アッ、はい……」
「そんじゃあね。明日はバイトあるから、部にはよらないよ~っ」
「歌夜、お疲れ様」
「ん、またね燎原くん」
自転車を押して帰って行く歌夜を見送り、どっと押し寄せてくる疲れに小さくため息をつく。
「さて……アレはどうしますか」
「うーん、大丈夫なんかね」
「しぐなさん怒らせちゃったどうしよう晒されたりしないかなどうしようどうしよう」
ちら、と池谷を見れば、今にも消滅しそうなほどに縮こまっていた。死にそうな顔で去る背中を見送るが……放っておくわけにもいかないか。では、と声を出しながら俺は鞄を提げ直す。
「俺が見てきます、このまま悪印象だけ持たれてはSNS部にも顔を出しにくいでしょうし」
「あっ、私も行くよ」
「じゃあ、駅で待ってるね」
たまと一緒に帰る予定の裕美音を先に帰らせ、関さんたちの視線を受けながら、俺たちは池谷が去っていった道を追いかける。近くの公園に到着すると、おもむろに池谷の声が聞こえてきた。
「りょーくん、なにか聞こえてこない?」
「静かに……やけに大きい独り言だな」
思わずそろりそろりと忍び足で近づくと、ベンチに座る池谷が──フクロウのぬいぐるみを抱えながら自虐気味に声を荒らげていた。
「──ばかばかっバカ──! なんで私はいちいち一言多いんだ──っ!!」
凄まじいモノを見てしまった気がする。見なかったことにしないかと脳裏で俺の良心が提案してくるが、今動けば間違いなくバレてしまう。
「はぁ……楽しそうな部だと思ったんだけどなぁ……。演劇部もつまんない喧嘩で辞めちゃったし、ぴーさん……人生って世知辛いよ」
端から見たら痛々しい一人芝居なのだが、どうやらアレは池谷なりのストレス発散法らしい。
──が、ついに池谷と俺たちの目がバチリと交わってしまった。
「……もっとクールに? そうだねぴーさん! 私はクール、クー…………ル……」
「んん~~~~~……」
「………………すまない」
「────!!!??」
ぬいぐるみを手に、池谷の顔がどんどん赤くなる。俺たちの間に生じた気まずい空気は──次第に重くなっていった。