【完結】ステラのまほう/百武照攻略実況   作:兼六園

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STAGE 1-3

 米喰いてー! でも痩せたーい! な頭バクシンの実況プレイはーじまーるよー。*1

 

 前回は大判焼き論争の果てに名称を『おやき』で統一したところで終わりましたね(大嘘)

 今回は……というかGWの合宿イベントまでは、暫くのあいだ普通の日常回が続きます。

 

 とはいえ燎原くんは百武照攻略のためにスキルレベルを均一に上げないといけない縛りがあるため、適宜絵を描いたり音楽を聞いたり小説を読んだり映画を見たりで【イラスト】【サウンド】【シナリオ】の熟練度を上げていきます。

 

 たまちゃんたちと学校に行くまでのあいだに稼ぎ、部活でも稼ぐ。まるでRTAみたいだぁ……誰か走ってもええんやで(同調圧力先輩)

 百武照攻略があまりにも面倒くさいだけで、たまちゃん辺りは簡単に攻略できますし。

 

 

 ──と、そろそろ通学の時間なので熟練度上げを切り上げます。

 音楽聴きながらテレビで映画を流しつつパソコンでお絵かきとかいうヤバい絵面を親父殿に見られたら不審に思われますからね。

 

 3日目の通学路では、確定で歌夜と椎名に出会います。会話で増える好感度は微量ですが数をこなせば後々楽になるので欠かさないようにしましょう。オッハ────!!(音量注意)

 

 コミュ力おばけの歌夜は自分の事を名前で呼べと言ってきますが、まだあんまり仲良くないのでこの時のたまちゃんは名前呼びイベントを中盤に回しています。

 燎原くん? 彼は頼まれたら大抵の事はやるので呼び捨てから雑用までこなしますが? 

 

 などと言っていると、昼飯は部室で食わないかと言われるのでホイホイ誘われましょう。お前、俺の部室で創作活動しろよ(阿部さん)

 

 

 それからお昼まで倍速しまして、たまちゃんと共に部室に向かいます。

 たまちゃんはこの時点だと自分の絵柄がちょっと……独特……なのを気にしているので、スケブを見せるのを躊躇っていますね。

 

 それを言ったら燎原くんの絵柄もこの堅物さからは想像できないような可愛いげのある絵柄なので、まあバランスは取れてるかと。

 

 では部室へ……となった直後、聞こえてきたのはあやめの声。シナリオ執筆でテンションが上がると朗読しながら文字を打ち込む癖があるらしく、中二節全開のフレーズは聞いてるこっちもゾワゾワするというか、顔が熱くなるというか。

 

 共感性羞恥って奴ですね。*2

 

 たまちゃんも自分の絵柄が恥ずかしいようなのでどっこいですが……分かるよ(マリア様)

 しかし関あやめの渾身の作品『星屑のインテンツィオーネ(前編)』の破壊力の前には全てが無意味、アレを読むと顔面が爆発して死にます。

 

 あとは全員集まるまで倍速して昼食に。などといったところで今回はここまで。次回も会話回で短いと思われますが、お楽しみに。

 

 

 

 

 

 ──通学路をたまと二人で歩いていると、ふと背後から気配を感じて振り返る。

 その正体は、脅かそうとしたのかそっと近付いていている藤川さんだった。

 

「────」

 

 まさか気付かれるとは思わなかったのかビクリと体を震わせるが、指を口許に当てるジェスチャーをされ、狙いがたまだと分かる。

 ……悪質ではあるまい。と考え、俺は藤川さんのイタズラに目を瞑った。

 

「……たーまきちゃんっ」

「ひゃあああああっ!?」

 

 つん、と背中を指で触られ、たまは体を跳ねさせて驚く。慌てて振り返った先に居た藤川さんのイタズラと察して、たまは声を荒らげた。

 

「ふ、藤川先輩!?」

「いやあごめんごめん、そこまで驚くとは」

「りょーくん! 来てたなら教えてよぉ」

「……知っていたが、黙ってた」

「なんで?」

 

 どうやらたまは、俺がこういった茶目っ気を出すとは思ってもみなかったらしい。

 ──なんとなく、と答えると、二人は呆れたように薄く笑っていた。

 

「それで、藤川さんは自転車通学なのに俺たちに合わせていてよろしいのですか」

「いいのいいの、たまにはこういうのもね」

「じゃあみんなで行きましょうっ」

 

 朗らかに笑うたまは自転車を押す藤川さんと俺の間に立って歩き出す。

 それから少しして、見覚えのあるどんよりとした空気を纏う部長を発見した。

 

「あの後ろ姿、部長じゃないか?」

「本当だ、部長さーん!」

「…………はい」

 

 こちらを見る部長の顔は若干不機嫌そう……というよりは、対応に困る、だろうか。

 あまり会話が得意ではないのだろう部長の顔から察するに、俺たちをわざと無視したのか。見つけても黙っておくべきだったな。

 

「おはようございます、部長」

「……おはようございます。犬井さん」

「すみません、突然声をかけてしまって」

「いえ……お気になさらず」

 

 犯人はお前かと言わんばかりにじとっとした目を向けられるが、ふぅと小さくため息をついてかぶりを振っていた。許されたらしい。

 

「あれっ? 藤川先輩、今日はヘッドホン使ってないんですか?」

「ん? ああ、そうだね。持ってるけど、通学中は使わないんだ。

 外には色んな音が溢れ返ってるし、音屋的にも沢山インプットしたいからね」

「それに反して、部長はイヤホンをしていましたね。音楽を嗜むのですか?」

「ああ……私は単に人混みの中だと笑われている錯覚をするので、耳を塞ぐために」

「……さいですか」

 

 ……それは果たして大丈夫なのか。部長の気弱な面が心配になりつつ、学校に着いて別れる直前、不意に藤川さんが提案をする。

 

「そだ、お昼は部室で食べようよ。ねえ村上さん、関さんも来るでしょ?」

「おそらくは」

「はい、是非っ」

「右に同じく」

 

 特に先約も無い。裕美音はイラスト部に行くだろうし、問題はないだろう。

 

「それとさ、二人とも私のこと名前で呼んでよ。後輩にまで他人行儀なのってアレだし」

「えっ!? ぅ~……か、歌夜、先輩……なんだかちょっと呼びづらいです」

 

 突然の提案に困惑しつつも、たまは恥ずかしがって頬を朱に染めるだけに終わった。

 

「うーん、そっか。ほら犬井くんも」

「…………歌夜さん」

「普通だな~、敢えてちゃん付けとか?」

「…………歌夜ちゃん」

 

 さぞや渋い顔をしたのだろうと自覚するほどに口角が痙攣する。眼前の藤川さんが噴き出す程度には、俺のちゃん付け呼びは似合わない。

 

「あっはははは! 犬井くんのちゃん付けって似合わないよ~!」

「自覚はあります」

「まあいいや、なんなら呼び捨てにする?」

「いえ。それではまたお昼に。……歌夜さん」

 

 会釈をして、ゆっくり歩いていたせいでチャイムが鳴る寸前の時間になっていることに気付いた俺は、たまを脇に抱えて下駄箱に向かった。

 

「いやあ、あの子達からかい甲斐あるよね」

「それで嫌われて、もし絵描きがいなくなったらどうするんですか」

「ネガティブだな~」

 

 からから笑う歌夜さんとやや猫背気味の部長のそんな会話は、当然だが聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 ──昼、弁当箱とスケッチブックを持って部室に向かっている俺は、たまに抗議されていた。

 

「もー、りょーくんっ。遅刻しそうだからって私を抱えるのはどうかと思うよ!」

「なら、もう少し早く行動するんだな」

「む~~~っ」

 

 頬を膨らませるたまは、小学生の頃からどこか危ういのだ、のんびりとし過ぎると言うべきか。とにかく目を離すと縁側でぼんやりとしていたり、なんなら入浴中に寝ていたこともある。

 

「中学生の時は遅刻しなかったのか?」

「…………し、してないよ……」

 

 どうだか。ともあれ部室に到着し、あとはみんなが集まるのを待つだけなのだが、扉の前に立つと、中から声が聞こえてきた。

 

「先客か」

「誰だろう?」

「声からして関さんだろう────」

 

「†アハハハッ、また会ったねぇ! †

 †貴殿(アナタ)が都で平和と戯れていたものだから、私の菜園もすっかり──†」

 

 ──直後、扉を開けてすぐの俺と隣のたまは疑問から動きを停止させる。

 

「…………」

「…………」

 

「†ご覧、このレオントキルの夜露†

 †まるで貴殿の────…………」

 

 ピタリと動きを止めた関さんが、錆びた人形のように首を動かして、扉の前で立ち止まっている俺とたまを見やる。

 

「…………どうも」

「…………こ、こんにちは」

 

 そして、関さんはほろほろと涙を流した。

 

「泣いた──っ!?」

「泣くほどなのか……」

 

 

 ──関さんが泣き止むまで数分を要し、それから改めて座り直して話を聞く。

 曰く、ああして朗読しながらだとシナリオ作成が捗るらしい。

 

 いや、まあ、なんだ。何年か前に家で台本を朗読しながら部屋をうろついていた母さんを見ているからわからなくはないのだが。

 

「もうこの話終わり! 折角だから二人の絵を見せてよ! 見る!」

「あっ……はい、どうぞ。最初の方なら」

「お好きなように」

 

 関さんは俺とたまのスケッチブックをめくり、描かれた絵を拝見する。

 俺のスケブは適当なアニメの模写から近所の猫や鳥のスケッチまでしているごった煮の内容になっているから、目が滑るかもしれない。

 

 たまは……どうだろうか。たまの絵は趣味のせいで若干独特だし、少しばかり修正していかないと、最悪の場合ノベルゲームの立ち絵が一昔前の漫画の世紀末覇者になりかねないのだが。

 

「なんかアレだな、自分達の作品が他の人に描かれてるのって新鮮だ。それにしても犬井さんの描くミニキャラって本田さんに似てね?」

「そこは引っ掛からなくていいです」

「あっ──あの、ここからは……」

「……ほう?」

「あの、模写じゃなくて自分のイメージで描いたから……雑と言いますか」

「そうなん?」

 

 ……関さんの目付きが、からかい甲斐のある者を見つけた顔をしている。案の定好奇心を擽られた関さんとの攻防を繰り広げるたまとの二人を見て、俺は小さくため息をついた。

 

「……それはそれとして、渡したゲームの出来はどうだった?」

「ええと……私が読む漫画とは絵柄が違って少し戸惑いましたけど、遊んでいるうちに親近感もわいて、描いてて楽しかったです」

「そりゃよかった。君の感情のままに描いたなら、質なんて関係ないよ」

 

 ──私もそういう、ナマの絵が見たいんだ。そう言って笑みを浮かべる関さんに、たまはじゃあと言って交換条件を出す。

 

「関先輩の書いたものも見せてください!」

「え゛っっっっっ」

「それについては俺も興味があります」

「うっ……犬井さんもか……」

 

 困ったように頬を指で掻き、関さんはう────んと唸ってから言葉を絞り出す。

 

「そ、その……これは書きかけだから!」

「ではそれ以前の作品でも構いません」

「ぬっ……」

 

 追い詰められた犯人かのような慌てようにそろそろ止めてあげるべきかと考えていると、おもむろに横から顔を覗かせた部長が言った。

 

「……†星屑のインテンツィオーネ(前編)†

 †筆……Iri§††それは、私が3037歳の誕生日を迎えた夜だった。空にはまるで、落涙するように煌めく満天の────

「ぬあああああ!? しー! やめろ! 暗唱やめろ! 全文忘れろォ!!」

 

 突如として語られる、どこか肌がむず痒くなる文章。なるほどと納得する。関さんはいわゆる、思春期のアレを引きずっているのか。

 

 推察したあと、遅れて部室に入ってきた歌夜さんを含めて、部員全員が集まった。

 

「やー、いい雰囲気で入りづらくて」

「声かけろよ! 後輩√に入った所だったのに」

「√……?」

「もっと二人と仲良くなりたいって意味」

「はぁ……じゃ、ご飯にしよ」

 

 焦りと興奮で顔を赤くする関さんがそう纏め、席について弁当を広げる。

 たまのきんぴらと俺の厚焼き玉子を交換したりしていると、歌夜さんが続けた。

 

「二人ともー、さっきの星屑はね、関センセの中でも最高傑作で展開ヤバいんだよ」

「ご飯が……鉛の味がするぞ……?」

「歌夜さん、やめてあげてください」

 

 むごい仕打ちをやんわりと止めつつ、昼食も終わる。やいのやいのと話し合っている関さんと歌夜さんを余所に、ふと部長が声をかけた。

 

「先日はすみません。プレッシャーを与えてしまったみたいで、気にしましたよね」

「いえ、その……す、すこし」

「俺は特に。共同製作な以上、あれくらいは言われて然るべきかと」

「……あの、ごめんなさい。お二人の絵には、期待しています」

 

 そう言って頭を下げる部長の真面目さに驚きつつ、俺とたまは、顔を見合わせてくつくつと笑った。期待されているのなら、応えなければと、決意を新たにする。

 

 

 

 ──たまの趣味を前面に押し出した渋い絵柄を見て、やはりかと天を仰ぎながら。

*1
この作品はウマ娘ではない

*2
いわゆる『見てるこっちが恥ずかしい』的なアレ

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