STAGE 6-1 A
メインヒロインの出番が数回で後半戦に突入したゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回ははーちゃんが部室に襲来してきたところで終わりましたね。
今回からChapter6、新作ゲームの体験版を売りにコミマに来たところから再開です。
……などと言っていたのも束の間、どうやら乃々がコスプレセットを忘れてきてしまったらしいです。うわー! 落としたー! ゲームの衣装落としちゃった!*1……*2
最初から中に着てこい! と突っ込む前に、乃々は衣装を取りに帰ってしまいます。どうか行かないで! ウワアアアア……マァァァァァ(ギアチェンジ)
しょうがないので二人でどうにかします。先ずはサークル会場に入り、それからスペースに着いたら隣の人に挨拶しましょう。電話越しの関あやめ曰く、既作を一箱会場に宅配したようなので、受付場所に向かって箱を受け取ます。
早速と箱を受け取りますが……あれー、おかしいねもうひとつ箱があるねー。
……なんか、池谷乃々とかいう人宛のコスプレ用衣装が送られてきていました(すっとぼけ)
もー乃々ったらうっかりなんだ(半ギレ)
とりあえず連絡をして、慌てて家に帰るところだった乃々をUターンさせましょう。
しかし、コミマ会場を出て駅まで行ってしまっている彼女が戻ってくるのは10時頃。
サークル入場を打ち切られる9時には間に合わないので、乃々との合流は午後になります。
えっ、それって……素人二人だけで切り盛りしろ……ってコト!?
──んだらばスタッフに提出するサンプルを用意したら、サークルの机を飾り付けます。
たまちゃんのおじさまと燎原くんの少女キャラを合わせて……デン! 宣伝のやつ。
あとはぱぱぱっと前作と新作を机に並べて、開催! 遠くでCDを販売しているだろう歌夜からの応援メールもいただいたので、気楽にやりますか。どうせ歌夜の方に客も流れるし楽な商売だぜ……と高を括っていると、早速とお客が。
どうやらたまちゃんを池谷乃々もとい人気投稿者の恋詩露咲るるなと勘違いしているようでした。たまちゃんは燎原くんに助けを求める視線を送りますが……いや、なんすか、この鶏頭が恋詩露咲るるなだって言いたいんすか。*3
それはそれとして新作を買っていったお客を見送り、その横でたまちゃんは乃々にヘルプ……ヘルプ……(AKNM)とメールを送ります。
そうしたら、乃々に『るるなの振りしておいてください』と言われていました。たまちゃん……やるんだな? 今、ここで!
……たまちゃん渾身のきゃるるん☆(死語)とした演技を見つつ、なんだかんだ乃々の宣伝で前より売れてる気がする新作を捌きましょう。
そうしていると、声を担当している乃々のファンである客に見所を聞かれてしまいます。
ここでも恋詩露咲るるなの振りをして語るべきかと悩むたまちゃんは、ついに自分が代理であることを明かします。まあ、るるなであると騙ったわけではないからね(屁理屈)
そんなこんなで客を相手したりしなかったりしていると、お次の客があれやこれやと質問してきます。シナリオの文量だの声はパートボイスかだの、オタクくんっていつもそうですよね!
専門外の説明が出来ない燎原くんとたまちゃんが困っていると、そこについに、戻ってきた池谷乃々がコスプレ衣装で現れました。
来た、メイン盾来た! といったところで今回はここまで、次回は後半戦です。お楽しみに。
──『お待たせしました』と言いながら颯爽と現れた池谷は、恐らく今までで一番輝いていることだろう。ファンらしいお客さんに対応する池谷が、俺とたまに代わって説明をしていた。
「今朝、私が宣伝の際に公開したシーンについては全てボイスありです」
……どことなく股を擦り合わせるたまがもじもじしているが、お手洗いならさっさと行けばいいものを。そう考えていると、お客さんの質問に対応していた池谷が、トイレに行こうとするたまの袖を掴んで質問をしていた。
「じゃあ例えばこのシーン、『うら若き男子二人がトイレでなにか──』とかも?」
「ええ。録らせていただきました」
「この手のBL描写って作中にあるんですか?」
「へ? ……ええっと……。あの、たまき先輩、トイレで何をするんですか?」
「聞かないでよ!!??」
捕まっているたまをよそに、俺は池谷の代わりに説明をする。裕美音が勝手に人のことをBL創作のモデルにしてくるせいで、知識だけはあるのだ。悲しいことに。
「……そうですね、一応のストーリーは『BLという物語』が主軸になっており、作中作のBLもシナリオ担当の考えた話を組み込んであります。その手の創作が苦手な場合はおすすめ出来ませんが、いけ……恋詩露咲るるな氏のフルボイスを堪能したい方なら購入する価値はあるかと」
「なるほど……」
裕美音のせいで俺の古傷がえぐられる感覚に襲われるが、ぐっと堪えてダイレクトマーケティングをする。その甲斐あってか、説明を求めてきたお客さんは購入を決意してくれた。
最後まで俺の顔──マスクに意識が向いていたが、いったいどこがおかしいというのか。
人の流れが落ち着いたのを感じながら、ふと裏で会話をしている二人に顔を向けると。
「実は読むときも意味とかわかってなくて」
「えっ!? 自分で声当てたのに?」
「そもそもBLとか読んだことないので……」
──そんな会話を繰り広げていた。
「私もそんなにわからないけど……」
「はい」
「こう、男の人が二人で……」
「……はい」
「……を……して……を……する、的な」
「…………」
小声と鶏マスクのせいで全部を聞き取れなかったが、池谷のどんどん赤色が濃くなって行く顔を見れば、何を話しているかの察しはつく。
「──こ、こんないかがわしいゲーム売れませんよ私!! 帰りますっ!!」
「ののちゃ──ん!?」
「落ち着け池谷、逃げようとするな」
咄嗟に両脇に手を差し込んで持ち上げると、池谷は顔を赤くしながら借りてきた猫のように大人しくなる。……俺は、この時点で理解した。
──池谷乃々は、性に関する知識が皆無に等しいのではないか……と。この推測が正解だったとわかるまで、残り十秒。